大企業ため込み利益 1000企業1年で23兆円増

1〜4%使うだけで1万円賃上げ可能

 2013年度に大企業1000社の合計で、内部留保(ため込み利益)が前年度より23兆円以上増えていることが明らかに。

この調査は経常利益(連結)上位1000社を対象に集計したもの。12年度は16兆円程度の増加でした。13年度は、増加のペースが大きく上がっています。

 このうち、内部留保を1年間で2000億円以上増やした企業は22社にのぼります(12年度は16社)。内部留保の増加額が最も多いのはトヨタ自動車で、1年で1.4兆円も増えました。消費税増税前の駆け込み需要や円安の影響などで、利益が大幅に増えたためです。

 三菱自動車も利益を大幅に増やし、累積赤字を抱えた状況を脱出しました。内部留保は6872億円増えました。ホンダや日産などの自動車会社も同様に内部留保を増やしています。三菱UFJ、三井住友、みずほの三大銀行グループの内部留保は合計1兆8609億円増。ソフトバンク、KDDIといった通信産業や、総合商社なども増やしています。

 これらの大企業では、この1年間に増えた内部留保額の1〜4%程度を使うだけで、月額1万円の賃上げが可能です。

 安倍晋三政権は、国民に消費税大増税をおしつける一方で、来年度から法人税率を引き下げることを狙っています。法人税率を引き下げた分、内部留保が積み上がるだけの結果になりかねません。

内部留保とは

 内部留保とは、ひとことで言えば企業がさまざまな名目でため込んでいる利益のことです。

 日本の大企業は、法律で、さまざまな合法的なため込みの項目がみとめられ、欧米にくらべても異常に多いことが指摘されています。

 代表的な項目としては▽企業の利益から税金、配当金、役員報酬などを差し引いた部分をあてる「利益準備金」や、「任意積立金」などの剰余金▽株式の発行価額と額面金額との差益などをあてる「資本準備金」▽将来見込まれる費用や損失に備えるのがたてまえの「退職給与引当金」「修繕引当金」などの各種引当金・準備金―があります。

 たとえば引当金や準備金は、運用実態とかけ離れた額の積み立てが認められ、かなりの部分がため込み資産となっていることが指摘されています。

内部留保が2000億円以上増加した企業
順位 企業名 内部留保 月1万円
賃上げ
所要額
 13年度末  12年度末 増加額
1 トヨタ自動車 15兆4352億円 14兆64億円 1兆4289億円 283億円
2 三菱UFJFG 9兆6038億円 8兆8971億円 7067億円 108億円
3 三菱自動車工業 5726億円 ▲1145億円 6872億円 32億円
4 三井住友FG 4兆5863億円 3兆9574億円 6289億円 96億円
5 みずほFG 3兆6056億円 3兆803億円 5253億円 81億円
6 本田技研工業 6兆6521億円 6兆2143億円 4377億円 115億円
7 ソフトバンク 1兆5985億円 1兆2204億円 3781億円 31億円
8 ジャパンディスプレイ 3427億円 ▲323億円 3750億円 33億円
9 三菱重工業 1兆5807億円 1兆2257億円 3550億円 83億円
10 シャープ 3991億円 496億円 3496億円 35億円
11 三菱商事 4兆2754億円 3兆9284億円 3470億円 92億円
12 日産自動車 4兆7467億円 4兆4045億円 3422億円 98億円
13 三井物産 3兆3012億円 2兆9728億円 3284億円 66億円
14 日本たばこ産業 2兆8468億円 2兆5544億円 2924億円 38億円
15 デンソー 2兆7802億円 2兆5175億円 2627億円 85億円
16 KDDI 2兆8001億円 2兆5486億円 2515億円 54億円
17 伊藤忠商事 1兆9023億円 1兆6516億円 2506億円 111億円
18 日本生命保険 1兆4657億円 1兆2253億円 2404億円 84億円
19 新生銀行 4517億円 2369億円 2148億円 8億円
20 富士通 1兆471億円 8386億円 2085億円 85億円
21 JR東海 2兆2783億円 2兆755億円 2028億円 43億円
22 明治安田生命保険 9224億円 7219億円 2005億円 41億円
各社の連結決算データから計算。内部留保=利益剰余金+資本金剰余金+負債性引当金。
月1万円賃上げ所要額は、非正規を含む国内従業員数に12万円(年額)をかけて計算。
FGはフィナンシャルグループ。

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