民意と離れた結果つくる小選挙区制度
「選挙制度はこれでいいのか」―先の総選挙結果を受けて噴出する選挙制度見直しの声。浮かび上がったのは小選挙区制の害悪です。
虚構の多数 ゆがむ民意―4割の得票で議席を8割も
今回の総選挙で自民党が得た294議席のうち237議席は小選挙区でのものです。小選挙区での同党の得票率は43%でしたが、全300小選挙区議席に占める割合(議席占有率)は79%にもはねあがりました。自民党の大量議席は、小選挙区制がつくりだした「虚構の多数」です。
民主党が「政権交代」を最大争点にした2009年総選挙、自民党が争点を「郵政民営化の是非」にゆがめた05年総選挙でも“4割の得票で7割の議席”となっています。
得票率と議席占有率のズレが生まれるのは、そもそも小選挙区制が民意をゆがめる選挙制度だからです。各選挙区で最大得票の候補者1人しか当選できないため、それ以外の候補者の得票は議席に結びつかない「死票」になってしまいます。
民意反映の選挙制度こそ
選挙制度の最大の基準は、民意を鏡のように正確に反映できるかどうかです。
自民、公明、民主3党は来年の通常国会で国会議員定数の削減を行うことで合意しています。狙うのは比例代表の定数(180)です。民主党が主張する比例定数80削減となれば、衆院総定数400のうち75%を小選挙区制で選ぶことになり、民意のゆがみはいっそう大きくなってしまいます。
仮に衆院総定数を今回総選挙の各党の比例得票率で配分すると、自民党は133議席に激減するのに対し、共産党は29議席に増えます。小選挙区制が大政党に有利に民意をゆがめているのは歴然です。
日本共産党は衆院の選挙制度について、小選挙区制をなくし、現行の全国11ブロックごとの比例代表選挙にすることを提案しています。
同時に、3〜5人区の中選挙区制に改革することも、小選挙区制の害悪を取り除き、民意を保証する方向での抜本的改善につながるものとして選択肢にしています。