1. 光と色

e = mcで現される相対性理論が支配するこの世界にあって、 その相対性を裏打ちするのが絶対的な存在、すなわち “光” です。
従って、”光" について全ての事を知ることは、所詮私たちの知識の及ぶところではありません。 あくまでも、起こっている現象を説明するために 「こんなもんだろう」 「いや!こんな性質も持っているのでは・・」 などと、決めているだけ(= 定義)なのです。
そうした、“光” が織りなす “色の世界” にもそれを説明するための幾つかの 「定義」 があります。しかし、そうした学問付けは、 偉い学者先生にまかせて、ここでは、 もっと自由に理解しやすいであろう発想をもって説明してみます。

目に見える色

赤いバラはなぜ赤いと聞かれたらどう答えますか?
「赤く見えるから赤い」と言うのが私の答えです。
すなわち、人が見てその色をと知覚し、と言う言葉で共通認識したのです。 虹を見たことがある人なら、それが幾つもの色で成り立っている事を知っています。 あるいは、太陽の光をプリズムで分解して虹の七色を確かめた事があるかもしれません。そうした、太陽の中の色々な色の中から、このバラは、人の認識する赤 以外の成分を吸収し消してしまったのです。つまり、目に写っているのは、

太陽光−バラが吸収した光=バラが反射した光(余色) →

と 言う事になります。(従って、太陽が今の太陽光ではなく X(エックス)線しか出さない天体であったなら、もはや、そのバラは赤い色を持ちません。 また、同じ太陽光下であっても、知覚領域が違う昆虫や犬には違う色として映っていることでしょう。)

余談 1  : 光の色が虹と同じ七色に分かれると言う事を世界で初めて科学的に確認したのは、 万有引力の法則で知られるあのニュートンです。


染料における色

染料で染めた時 に出る色は、 バラと同じように太陽光の特定の波長
を吸収する事で現れます。

前の図で示したように、 太陽光を分解すると色々な色の連なりとなりますが、 それを "波長の変化" として分布させると、右のようになります。逆に言えば、この分布状態を作るべく、幾つかの波長帯の光を足していけば、 太陽光と同じ様に色のない「白色」状態になります。
このように、複数の色を足して行くほど明るい「白色」に近づく事を 「加色混合」 と言います。
これに対し絵具(=顔料) や染料では、光を吸収する事により色を与えますので、違う色を足せば足すほど全てを吸収する色= 「黒色」 に近づいていきます。
こちらは 「加色混合」 に対して 「減色混合」 と言います。



染料の構造

それでは 染料はどのようにして光を吸収するのでしょう。

これには、 通常光の粒子が染料分子に当たって生じるエネルギーの変化を因とする理論と、 それを裏打ちさせるための幾つかの分子軌道論が提唱されています。
しかし、ここでは、そうした難しい理論は横におき、簡単に、こう想像して下さい。 先ず、染料のBodyとして沢山の動きやすい電子を持つ分子構造を用意します。ここにそれを強制的に動かす道具を付けます。 これで、染料の中では、(不承不承)多くの電子が動き回わる訳です。 そのBodyと(電子を動かす)道具やその道具の付く場所を換えると動く電子の数(密度)と動き方が変わって来ます。
ここに、色々なエネルギー状態(波長)の光粒子(= 光子)がやって来ると、この密度・動きと釣り合うエネルギーを奪い安定します。
これが、特定の波長の光を吸収する仕組みです。
染料の構造において、この沢山の動きやすい電子を持つBodyを「発色団」と言い、その電子を動かすための道具を「助色団」と言います。

下に具体的な染 料構造をいくつか示します。




これら染料の大 きさは通常1〜数ナノメーターです。 こんな小ささで、 数百ナノメーターの動きをする光を吸収するイメージは持ちにくいと思います。
そのイメージとして、海の消波ブロック=テトラポットを想像してみて下さい。このテトラポット一つが染料一つに当たります。 次に、それに押し寄せる波ですが、波は水分子が無数に集まり成り立っています。 それぞれの水分子は勝手に動き回っていますが、総体として、一つの方向性を持つ動き=波となっています。  
ここで、海の波と光の波の大きな違いは、光の波は海の波と違って、小さい波から大きい波まで混ざって一緒に押し寄せると言う点です。
さて、テトラポット=染料は、一つでは役に立ちませんが、沢山集まる事により波を消していきます。 この時、小さい波はテトラポットをすり抜けてしまいます。 そして、防潮堤(=繊維)で跳ね返り(=反射して)元の所に帰って行きます。 積んであるテトラポットより高い波は、それを超えてやはり防潮堤で跳ね返っていきます。 海の場合は、跳ね換えってくる波はまた元の海に戻っていきますが、光の場合には、それを人の目でとらえると ”色” として知覚されます。
テトラポットの形が大きくなると、大きな波(=波長)に対応できます。 しかし、消されずに漏れてしまう小さな波も増えてきます。テトラポットの数を増やすと、より多くの波を消す事が出来ます。 即ち、染料では濃度が増します。また、津波の様な大きな波は防波堤をも超えてしまいます。 つまり、赤外線の様な大きな波長の光は繊維(=防波堤)を通過してしまうのです。
(いずれにせよ、「数ナノ」と言うのは、あくまで染料一つ一つの 大きさであり。「数百ナノメートル」と言うのは、光子の大きさではなく光の動きを表す数字である事を忘れてはいけません。)

<補足>
それでは、赤外線を吸収するのには、どの様にすれば良いでしょう。これには、染料よりう〜んと大きい粒子の形で存在する顔料(主としてカーボンブラック) を置いてやると、赤外線も吸収することが出来ます。 その意味では、目で見て同じ “黒色” でも、染料は吸熱せず、カーボンブラックは吸熱や蓄熱効果を示します。 ただし、例外的に、赤外線吸収効果を持つ染料もあります。それが、一二のバット染料です。これらの染料は、元々大きい構造をしていますが、 それが、染色の最終工程で、幾つも集まって結晶化し、顔料的構造になり赤外線を吸収します。

人が知覚する色

「“赤いバラ" は、 人が “赤い” と知覚するから “赤い” のだ。」と先に言いました。
しかし、現実には人が知覚する故にそう言い切れない場合も起こってきます。 先ず、右の黄色を見て下さい。 これを見て、右の黄色と左の黄色は全然違う色だと言う人もいる事でしょう。 しかし、ある人はこの二つの色に違いはあまり無いと言うかもしれません。つまり、それぞれの人の知覚には大きな個人差があると言う事なのです。 “色” を扱う私たちは、この事を常に頭に入れておかなくてはなりません。

色の見え方に個人差がある事は誰しも理解できると思います。
しかし、自分ひとりの中であっても、同じ色ならばいつも同じに見えると言いきれるでしょうか?

下の左側の図を見て下さい。この図の上段の左にある赤は右にある赤に比べて随分黄味がかって見えます。
又、下段の緑は、片方は黄緑に、もう片方は、青緑に見えます。しかし、実際にはこれらはいずれも同じ赤色、同じ緑色なのです。 これは、 この図を左右に伸ばした右の図で確認する事が出来ます。

つまり、人の知覚は、 同一人物にあっても雰囲気に大きく左右されるのです。







光源の違いによる色の変化

今まで、 太陽を光源 とする前提で話を進めてきましたが、 現実の私たちの生活において、大部分の時間は、蛍光灯やLEDなどの人工光の下で過ごしています。
白熱電球の光は、蛍光灯の光より、黄色っぽい事は誰にでも分かりますが、蛍光灯でも昼色光と白色光ではその色に微妙な違いがあります。 同じくLEDも少しずつ違う光の種類で売られています。こうした違いは、それぞれの光に含まれる波長成分の分布の違いから生じます。 もちろん、そのそれぞれが太陽の波長分布とも違っています。
元になる光源の波長分布が違うと、吸収値が変化し、当然ながら反射値も変わってきます。 この結果、同じ色を違って知覚させる現象が生じます。(例えば、デパートで色が気に入って買った服が、 外に出ると全然違う色だったというクレームはこのために起こります。)

染色業界や ファッション業界ではこうした現象を、 “演色性" や “メタメリズム” という言葉を使って説明します。
正確には、”演色性” とは違う光源下でどう見えるかという事であり。一つの着色物において、光源が違っても同じ色に見える場合には「演色性なし」、 違って見える場合には「演色性あり」と言います。(先程のクレームを引き起こさないためには、 デパートの照明と太陽の光の差をはっきり捉え、色の差が出にくい(=演色性のない)染料使いをする必要があります。) 
これに対し “メタメリズム” と言う言葉は、ある光源の下で同じ色を持つ二つ以上の着色物が、 違う光源の下で、色差を生じるかどうかをうんぬんする時に使います。(例えば、ある照明の下では同じ色に見える色見本と染色物が、 太陽の下ではまったく違ったというトラブルの原因はメタメリズムの管理不備により起こります。)

(演色性を表す 英語は、Artificial Light Effect が実際的であると思われますが、color rendering と言う表現でも表されます。一方、メタメリズム (metamerism) は、日本語では 「条件等色」 と言います。)

染料:対象繊維による色の変化

繊維に色を与える染料構造の原理は先に説明しましたが、 それが電気的な仕組みに成り立ってい る以上、周りの状況に支配される場合が出てきます。つまり、同じ染料で染めても、 繊維内での環境に左右され、 染料が与える電子分布状態に変化が起こり結果的に違う色に見えるのです。これは、特に疎水性が大きい(=帯電性が大きい)分散染料で顕著に起こります。
右図はその例で、ポリエステルの上では、青い色を与える分散染料が、ナイロン上では、 くすんだ色を与えます。 また、PLA(ポリ乳酸)繊維では、紫色を与えます。
同様に、繊維そのものの太さも影響してきます。 これは、光が繊維を通過する距離が違うことで失われる光の量や質が変わってくるからです。一般的に、太い繊維程、濃く、やや濁って知覚されます。 また、極端に細い繊維では、紫外領域に近い吸収に変化が起こり、その染料が本来持つ蛍光性が失われたりします。


まとめ

この章では私た ちが普段目にしている色について、 それが何故そんな色に見ているのかを簡単に説明しました。 合わせて、染料がどのようにして求める色を与えているのかも述べました。しかし、人が知覚して初めてそれがその色たる訳ですから、 人が変わったり、雰囲気がかわる事で、認識される色が違っても不思議ではありません。 更にその染色で与えられる色そのものも、光源が変わったり、対象となる繊維が変わると変わってしまいます。 こうした事から、他の人と色の話を厳密に詰めて行くためには、その指標となる共通の色見本を互いに持ったり、 測色機を使い一定の光源条件で測定した数値で管理する事が必要です。 また、その大前提として、同じ染料で、同じ素材に染められているかを確認しておかなくてはいけません。

余談 2  : 太陽の光は放射状に広がって行きます。懐中電灯の光なども同じです。そして*進むと共に明るさが失われます。 これに対しレーザーの光は広がらず、明るいまま一直線にどこまでも進みます。 違いはどこにあるのでしょう? それは、**上にも書いた様に普通の光が多くの波長の光を含んでいるからです。 速度が一定なのに、波長の違う光が一斉に進むと、丁度、足幅の違う何人もの人間が二人三脚している様なもので、 進む内に隣の波長の光と邪魔し合いエネルギーが拡散してしまいます。これが、源では強烈な光も、進むほどに大きく広がり急激に暗くなってしまう理由です。 これに対し、レーザー光では、単一波長の光が上下揃えて放たれるため互いに干渉し合う事なくエネルギーのロスが生じないのです。この、“維持されるエネル ギー” は、硬い物質の切断など大きな力の源になります。

 *光の明るさと距離との関係は、正確には「逆二乗法則」と言い光源からの距離の二乗に反比例します。
レーザー光の場合にも地上で進む限りは、空気によるエネルギーの吸収や拡散があるので永遠に続く訳ではありません。
**この多くの光から連続的に特定の波長を取り出し、 数値化したり CCM(コンピューターカラーマッチ) で色を合わせるのに使用するのが測色計で、スペクトルフォトメーターや分光光度計と呼ばれます。 → 参照「24. 測色・CCM」

Appendix 1 色の名前あれこれ

世の中には、名前も聞 いた事も無い色、よく聞くけれでも正確にはイメージ出来ない色、名前のイメージとはかけ離れたものなど、数多くの色があります。 ここでは、そうした名前を和名・洋名を取り交ぜて挙げてみます。(なお、洋名の色については、 「THE BRITISH COLOUR COUNCIL DICTIONARY OF COLOUR STANDARDS」 にあるものは、私自身が、貼られている染色片を実際に見て評価しました。)

ID. 色名 / alphabet // 色目・意味
1. アンバー / amber // 透明感のある褐色黄赤。アンバーは琥珀の意。
2. 灰汁色(あくいろ) / covert grey // 英名カバートグレイは、やぶ、茂みからきた色名で、オリーブがかったグレー
3. 藍鼠(あいねずみ) / // 暗い灰青
4. 浅葱(あさぎ)色 / // やや緑がかった薄い藍(あい)色。浅葱とは薄いネギの葉の意。
5. 薄浅葱(うすあさぎ) / Ice Green // 澄んだうすい青緑色
6. 梅紫(うめむらさき) / rose wine // にぶい赤味をおびた紫
7. 裏葉(うらは)色 / // 木の葉の裏のような白っぽい緑
8. 臙脂(えんじ) / // 赤
9. 鉛丹(えんたん) / // 黄味の赤
10. 江戸紫 / // 青味をおびた紫。江戸時代に武蔵野に産する紫草で染めたのでこの名がある。 
11. オーカー / ochre // この語はギリシャ語のochrosから来ている。黄色っぽい天然の土の色
12. オードニル / EAU-DE-NIL // 淡くてやや濁った緑色 Water Of Nile (ナイル河の水)の意
13. 老草色 / fresh green // 新緑の黄緑色。字は「老草」と書くが、若草のような鮮やかな緑
14. オリーブドラブ / olive drab // 暗い灰黄
15. 老緑(おいみどり) / sage green // 灰味を帯びたくすんだ緑色
16. カーキー色 / khaki // 中濃度の褐色。カーキーは、本来「黄土」の意。実際には、赤味から黄味まで広い範囲の中色オリーブがカーキ色と言われる。 軍服に多く使われる事から「国防色」とも呼ばれる。
17. カーディナルレッド / cardinal red // 和名は茜(あかね)色。古代ローマの枢機卿の衣服の色とされていた。カージナルスのユニフォームの色はここから来ている。
18. 樺(かば)色 / burnt orange // 赤茶がかった オレンジ色。カバザクラ(樺桜)の樹皮の色. 。
19. 萱草(かんぞう)色 / marigold // 英名マリーゴールドはキンセンカの花の色。源氏物語や今昔物語では、伝統色名で萱草色と言う 
20. キングフィッシャー / kingfisher // やや赤味のターコイズ色
21. 金赤 / // 鮮やかな黄赤
22. クラレット / claret // 僅かに紫がかった中色赤。クラレットは、赤ワインを指す。
23. グリーブ / grebe // 中色グレー
24. クリムゾン / crimson // クリムゾンは、コチニ−ルという虫から採った色料からきた色名で和名は臙脂色(えんじ色)。
25. 梔子(くちなし) / naples yellow / /鮮やかで強い黄色。名前は、イタリアのナポリ(Napoli)に由来する
26. 栗梅(くりうめ) / burnt sienna // 栗色みがかった濃い赤茶色。英名バーントシェンナは酸化鉄を主成分とする天然の土を焼いてつくった顔料の色
27. 桑色(くらいろ) / // 薄い黄色
28. クロームイエロー / chrome yellow /  // 黄
29. 桑の実色 / mulberry // 英名マルベリーは桑の実の、暗い紫色をいう。伝統色の桑色とは異なる。
30. マリー; / murrey     // 英語の意味は桑の実だが、上記「Briish ・・・Standards」で実際に示されている色は典型的な中色ブラウン
31. 滅紫(けしむらさき) /  // くすんだ紫。伝統色名に滅赤、滅紫、滅藍などの名があり、色みの少ない暗い色に滅をつけて呼んだ。“めっし”と読む。
32. コバルトグリーン / cobalt green // 顔料の色からきた色名で、明るく鮮やかな緑色
33. コバルトブルー / cobalt blue // 輝コバルト鉱からとった顔料で、さえた青
34. 柑子(こうじ)色 / golden orange // 鮮やかな明るいオレンジ色。柑子は中古の橘(たちばな)と同じで、 現在の蜜柑の色より黄みによった色。
35. 古代(こだい)紫 / tyrian purple // わずかに赤味を帯びた、にぶい紫色。貝紫とも言う。
36. サックスブルー / sax blue // 西洋の藍染あいぞめによる淡い青。サックスはドイツ南部の州のSAXONYからきている。
37. サテンウッド / satinwood // やや赤味で濁った淡黄色
38. サルファ / sulphur // 黄色。イオウの色
39. 錆浅葱(さびあさぎ) / //ややくすんだ浅い緑青色。
40. シアンブルー / cyan // 鮮やかな緑味の青。色科の三原色の一つ
41. シトロンイエロー / citron yellow // レモンに似た果実のシトロンのような、緑みがかった黄色
42. シャルトルーズグリーン / chartreuse green //やや黄色がかった緑。フランスやスペインの修道僧がつくったリキュール酒の色からきた色名
43. ジュニパー / juniper // 灰色がかった中色緑
44. 漆黒(しっこく) / lamp black // 漆のような純黒。英名ランプブラックは煤煙から作った黒色顔料
45. 猩々緋(しょうじょうひ) / poppy red // ケシの花の明るい赤。猩々は猿の意味、猿の頬の赤色。
46. 新橋(しんばし)色 / // わずかに緑がかった明るい青色。明治の終わり新橋花柳界に流行したことから名付けられた
47. ストリング / string / / 赤味がかった淡灰色
48. スマルト / smalt // 花紺青。赤味の中色ネービー。
49. スレートグリーン / slate green // 暗い灰みがかった緑
50. 蘇枋(すおう)色 / // 黒味を帯びた赤色。今昔物語では凝固しかけた血液の表現にも使われている。
51. 砂色 / sand // 灰色がかった薄い黄色で、薄いベージュ色に近い
52. セーブル / sable // こげ茶。フランス語で同じ綴りのsable(サーブル)は、tanに近い淡い茶色
53. セピア / sepia // イカ墨由来の黒褐色
54. セルリアンブルー / cerulean blue // セルリアンは空色の意で、やや緑みの明るい青。 一般に、硫酸コバルトなどから作られた顔料の鮮やかな濃い青をさす。
55 千歳緑(せんざいみどり) / // 常磐樹(ときわぎ)の暗い緑からきた色名
56. ターコイズ / turquoise // トルコ石からきた鮮やかな黄味の青
57. ダイオプテーズ / // 深い青緑
58. タイガーリリー / tiger lily // 鬼ゆりの花の明るい赤みのオレンジ
59. ダックブルー / duck blue // 鴨の羽根ある緑味がかった青
60. タン / tan // タンはなめし皮を意味し、黄味がかった茶色
61. 代緒(たいしゃ)色 / // くすんだ黄色
62. 煙草色(たばこいろ) / tabacco brown // たばこの葉のような黄味のブラウン
63. ナスターシャム / nusturtium // 中色朱色
64. 菜種油(なたね)色 / oil yellow // 緑味の深い黄色。英名オイルイエローは、菜種から採った油のような色をいう。
65. 鉛色(なまりいろ) / lead grey // 青味をおびたグレイ
66. 納戸(なんど)色 / // くすんだ緑みの青
67. 肉桂色 / cinnamon // シナモンの樹皮のような明るいブラウン
68. 中黄(ちゅうき) / // 緑味の黄
69. チリ /chilli// 濃い赤色。トウガラシの色。
70. 丁子(ちょうじ)色 / sun tan // 日焼けした膚の色。香料にする丁子の木を煎じた汁で染めた色。
71. 露草(つゆくさ)色 / // 淡い青。露草の花の色。露草の花から取った色汁は青花といって友禅染などの下書きに用いられる。
72. ティールグリーン / teal green // マガモの頭部にある濃い青緑色
73. デルフィニウム / delphinium // 灰色がかった中色青
74. テレホンブラック / telephon black // 昔のダイヤル式電話機の深い黒色
75. 鉄紺 / // 鉄色がかった濃い紺色。黒に近づくと同時に、わずかに緑みを帯びる。
76. 鉄色 / // 暗い青緑系の色。鉄分を含んだ藍色の顔料から出る色。英語のsteel blueは、淡いブルーであるので注意。
77. トープ / taupe(仏)// 黒に近い暗褐色。taupeは、モグラの意。英語でこの色はmoleと言いやはりモグラを指す。
78. 朱鷺色(とき)色 / // 朱色がかった濃いピンク色。朱鷺色(とき)の風切羽根の色
79. 常磐(ときわ)色 / ever green// 常磐樹(ときわぎ)-常緑広葉樹に見る濃い緑色
80. 木賊(とくさ)色 / // トクサの茎の色からきた色名。青みがかった濃い緑色
81. 鳶(とび)色 / // トビの羽根に見られる灰みの茶を鳶色と言う
82. バナナ / banana // バナナの皮の「黄色」ではなく、中身のクリーム色を指す。
83. バーガンディー /burgundy// ごく暗い紫みの赤。フランスブルゴーニユ(Bougogne)産のワインの色
84. バターカップ / buttercup // 黄色
85. パーチメント / perchment // やや灰色がかった極く淡い肌色
86. ハネーバード / honey bird // ピーコックブルーとターコイスブルーの間に位置する黄味中色ブルー
87. バフ / buff // 淡黄褐色。牛・水牛のなめし皮
88. バーミリオン / vermillion // 緋色。人工顔料の銀朱(硫化水銀)の色。天然顔料としての朱の色は、スカーレット Scarlet
89. パールグレイ / // 灰黄
90. パンプキン / pumpkin // かぼちゃの中身のやや濁った黄色
91. 縹(はなだ)色 / orient blue // 藍色よりも淡く浅葱色よりも濃い色
92. 鳩羽鼠(はとばねず) / dove gray // 鳩の羽毛にみる紫がかったグレイ。
93. ビリジアン / viridian // くすんだ青味の緑
94. 白緑(びゃくろく) / // 白緑は日本画の絵の具の名で、緑青を粉にすると白っぽい緑になるのでこの名がついた
95. 鶸(ひわ)色 / // 明るい黄がちの黄緑色。鶸(ひわ)と言う鳥の、羽毛の色からきた色名
96. フォーン / fawn // 淡黄褐色
97. フレーム / flame // 炎の赤色
98. フレッシュ / flesh // 白人の肌の色で、少しピンクがかった淡い肌色
99. フレンチベージュ / french beige // やや赤味のベージュ
100. 藤納戸(ふじなんど) / // 青紫
101. 葡萄鼠(ぶどうねず) / straignt violet // 暗い灰味がかった青紫系の色
102. ベージュ / beige(仏)// 元は漂白しない羊毛の色で、白茶を含むごく淡い灰味の茶の総称。
103. ヘリオトロープ / heliotrope // ヘリオトロープの花のような明るい紫色
104. ベルディグリ / verdigris // 緑青の色(淡〜中濃度)
105. 弁柄(べんがら)色 / Bengala(蘭)// 暗い赤みを帯びた茶色。同じ色を表すテラコッタ(tera cotta)はイタリア語で、土を焼いた顔料の意。ベンガル地方から中国に蘭人が持ってきたのでこの名がついたと言う
106. ポンパドール / pompadour // 灰色がかった僅かに赤味の淡色青
107. マスティック / mastic // ベージュを濃くした茶色
108. マゼンタ / magenta // 色料の三原色の一つのさえた赤紫色。マゼンタはイアリア北部の町の名からきた色名。
109. マッシュルーム / mushroom // 少し紫味の淡グレー
110. マラカイトグリーン / malachite green // こい緑
111. ミスルトウ / mistletoe // やや灰色がかった中色グリーン。ヤドリギの意
112. ミッドナイトブルー / midnight blue // ミッドナイトは真夜中の意で、非常に暗い黒に近い青
113. 海松(みる)色 / sea moss // 黒色掛った黄緑色。Olive Greenに近い
114. メース / mace // 中色赤茶。ナツメグの皮の色。
115. メドーグリーン / meadow green // 牧場で見る緑色
116. モーブ / mauve // 薄く灰色がかった紫色、マゼンタよりも灰色・青味が強い。パーキン(英)が1856年にコールタールから合成。
117. 萌黄(もえぎ)色 / // 春先に萌え出る若葉のようなさえた黄緑色
118. リド / lido // 赤味のネービー
119. リィシーダー / reseda // 灰色がかった中色緑。フランス語ではレゼダと発音する。
120. リュパンブルー / lupin blue // 灰色がかった淡い紫
121. 利休鼠(りきゅうねず) / // 緑 味のグレイ。利休鼠の「利休」は抹茶を表す緑味の意
122. レグホーン / leghorn // くすんだ黄
123. 若紫 / mauvette // モープの明るい色。明るい紫

Appendix 2 染料の発色メカニズムについて

「染料を使うと、 どうして色んな色が出るのか、幾つもの文献を読んでも、難しくてさっぱり理解出来ない。誰にでも良く分かる様に説明して欲しい。」 とのリクエストが複数寄せられました。 世に中には、「海の水」と「防波堤」の例えでは満足できない人も多いようです。そうした、小難しい話を聞きたい人向けに、別章を設けました。  → 別章へのリンク