トランジスタ

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  未熟な左手が作った臨床工学技士国家試験の電子工学に関するよりぬきノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。




トランジスタ

トランジスタ

  電子・正孔がともに動作に関与するバイポーラトランジスタとどちらか一方しか動作に関与しない電界効果トランジスタ(FET、ユニポーラトランジスタ)とがある。

バイポーラトランジスタ
(トランジスタ)
ユニポーラトランジスタ
(電界効果トランジスタ;FET)
キャリア
(動作に関与する電荷)
電子・正孔がともに動作に関与電子・正孔どちらか一方でしか
動作に関与しない
動作制御電流制御電圧制御
端子(3つ)エミッタ(E)、ベース(B)、コレクタ(C)ソース(S)、ゲート(G)、ドレイン(D)
入力インピーダンストランジスタ<<FET

トランジスタ



バイポーラトランジスタ

  npnトランジスタとpnpトランジスタがある。バイポーラトランジスタの端子は3つあり、Eの端子をエミッタ、Bの端子はベース、Cの端子はコレクタと呼ばれる。

バイポーラトランジスタ

≪npnトランジスタ≫

  B−E間のpn接合を順バイアスとし、B−C間のpn接合を逆バイアスとして動作させる。

◆ 動作原理

npnトランジスタ
電子の流れと電流の向きは逆方向となる。

@エミッタ領域の多数キャリアである電子が、ベース領域へ拡散する(エミッタ電流 IE)。
Aベース領域の幅が短いため、大部分の電子は、ベース領域を通り抜け、コレクタ領域に到達する
(少数の電子は、ベース領域で正孔と再結合して、ベース電流 IBとなる)。
Bコレクタ領域に到達した電子は、ベース−コレクタ間の電界によって加速され、コレクタ電流 ICを構成する。

トランジスタ


  上記の動作原理より、ベース電流とコレクタ電流の和がエミッタ電流といえる。
   npnトランジスタ
ここで、IEのうちICとなる割合を電流増幅率と呼び、αで表される。
   npnトランジスタ
値は、1より少しわずかに小さい値(0.99くらい)となる。
又、IBの何倍のICが流れるかを電流増幅率と呼び、βで表される。
   npnトランジスタ
値は、一般的には50〜500程度である。


◆ バイポーラトランジスタ静特性

バイポーラトランジスタ静特性

@)入力特性
  VCEを一定としたときのIBとVBEの関係を入力特性と呼ぶ。
上記の図に示されるようにVBEが一定の値を超えるとIBが急激に流れ出すpn接合ダイオードの順方向特性を示す。
A)電流伝達特性
  VCEを一定としたときのIBとICの関係が入力電流と出力電流の関係となることから電流伝達特性と呼ぶ。
上記の図に示されるようにIBが増加すれば、それに比例してICも増加する直線の関係となる。
直線の範囲はIC=β IB
B)出力特性
  IBを一定としたときのVCEとICの関係を出力特性と呼ぶ。
上記の図に示されるようにVCEが一定値を超えるまではVCEが増加するとともにICが増加するが、VCEが一定値を超えるとICはVCEによらず、IBに依存する値となる。

≪トランジスタの増幅回路≫

◆ 動作特性 (ex エミッタ接地npnトランジスタ)

トランジスタの増幅回路
  トランジスタの動作領域は、遮断領域・活性(能動)領域・飽和領域の3つに分けられる。
増幅器としては用いる場合、活性領域が用いられる。

遮断領域ベース・エミッタ間の電圧が小さいため、コレクタ電流ICが流れない領域
コレクタ電流ICが流れないため、出力抵抗Rcでは、電圧降下が起こらず
   トランジスタの増幅回路
活性領域ベース電圧の変化に従ってコレクタ電流ICが変化する領域
トランジスタの増幅回路コレクタ電流ICとベース電流IBとの関係
   トランジスタの増幅回路
ベース・エミッタ間の電圧
   トランジスタの増幅回路
飽和領域コレクタ電位がほぼ0となり、ベース電圧を高くしてもこれ以上コレクタ電流ICが流れない領域
トランジスタは導通状態となり、殆ど出力抵抗Rcで電圧降下が起こり、Vo=0となる
   トランジスタの増幅回路

  上記の活性領域での特性を生かし、入力電流(ベース電流IB)に対して一定の増幅βをかけた出力電流(コレクタ電流IC)を得る増幅回路として利用される。


◆ 接地方式による特徴

エミッタ接地ベース接地コレクタ接地
電圧利得1よりやや小さい
電流利得1よりやや小さい
電力利得
入力インピーダンス
出力インピーダンス
入力と出力の位相関係逆相同相同相
周波数特性良くない良い良い

  上記の特徴より、エミッタ接地・ベース接地は、電圧利得が大きいことから増幅回路として用いられ、コレクタ接地は、入力インピーダンスが大きく出力インピーダンスが小さいことからインピーダンス変換として利用される。

バイポーラトランジスタ



電界効果トランジスタ(FET)

  FETの端子は3つあり、Sの端子をソース、Gの端子はゲート、Dの端子はドレインと呼ばれる。
動作に関わるキャリアによって2種類に大別され、電子が動作に関わるものをnチャネル形、正孔が動作に関わるものをpチャネル形という。

◆ 動作原理

  ゲートに加える電圧によって、キャリアの通り道であるチャネルの幅を調整することで、ドレイン−ソース間の電流を制御する。
ゲートにはほとんど電流は流れない。J-FETの内部構造

◆ 種類

  接合電界効果トランジスタ(J-FET)とMOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)に分類される。

≪J-FET≫

  n形半導体の両端にソースとドレーンの端子を置き、これにp形半導体で挟みゲート端子をおいたもの。

≪MOSFET≫

  金属・酸化膜・半導体のサンドイッチ構造でエンハンス形とデプレッション形がある。

エンハンス形ゲート電圧をかけることでチャネルが形成される。
デプレッション形予めチャネルが形成されている。







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