頭の中身を整理する。

友ヶ島



「友ヶ島」
「戦争遺跡。明治から終戦まで大阪湾を防衛する要塞として機能していた。戦後,砲台は爆破され,大砲は処分されたが,島には今でも砲台後や弾薬庫跡などが残っている。」


ネットや本を見ながらいつも「いいなぁ。行ってみたいなぁ。」と思っていて,先日ついに生まれて初めて廃墟に行ってきました。

でも,なぜでしょうか。計画を立ててから,行き道,散策ととてもワクワク興奮してたまらなかったのに,見るところを見終えて帰りの船を待つ頃になると,気分が「ズーン…。」と沈んでいきました。帰りの船の中でも「沈静」「鈍麻」。近所の有名な人形供養の神社「淡島神社」を参詣しても晴れず,「沈静」「鈍麻」。言葉に出来ない気分が横隔膜を押し上げるようにして,心拍数を変にする。引きずるなぁ...この気持ち。

「こういう気持ちは過去にも経験したことがあります。」

私が幼かった頃,幼稚園とか小学校低学年の頃,海に行った日の夜は自分の心の一部をそこに忘れたような気がして眠れませんでした。「本当の自分は今ここにいるんだろうか。布団の中で眠っているような気がしているけど,本当は海辺に残されているのでは,忘れたままになっているのでは。」そんな気がして,不安だった。

4日ほど経った今の気持ちもきっとこれに近い感じ。仕事中は集中しているけど,ふとそんな錯覚が鎌首をもたげ,心臓をくわえて下に下ろそうとするのです。

なめてたなぁ,友ヶ島。心の半分をおいてきてしまったようです。いまでもこの島の景色が見えます。きっと置き去りにしてきた僕が見たものなのでしょう。現実と幻想を行ったりきたりさせる,なかなかに侵襲性の高い島です。自分のことをギュッと抱きしめておかなくてはなりません。心だけつれて行かれます。帰ってこれなくなります。

よく「死にたくなるほどきれいな景色」なんて言い方をしますが,分かる気がしました。

生き生きと死んでいる,そんな所。友ヶ島。