犬の一生


先日、メールで親しくさせていただいている方の愛犬が思いがけない事故で亡くなりました。2歳8ヶ月での突然の死に、その方が受けられたショックは計り知れないものがあったように私には映りました。そしてその痛みは一ヶ月以上経った今でも、まだ癒えてはいないようです。

人であろうと犬であろうと生を受けた以上、いずれ死を迎えなければなりませんが、人の一生がざっと80年以上なのに対して、フラットの場合、長生きしても15年がやっとのようで、人間とは比較にならないほど短いものです。

我が家には、フラットのほかにインコ2羽がいますが、大型インコのアオボウシインコの平均寿命が30〜40年、中型インコのコガネメキシコインコの平均寿命が15年ぐらいと言われています。感覚的には、小さなインコ(アオボウシインコでも約500g)でさえそんなに長く生きられるのに、それに比べてどうして犬はそんなに短いの?と不思議に思います。インコには悪いですが、これが逆なら納得なのに‥‥。

犬の寿命は、一般的には大型犬より小型犬のほうが長生きだそうですが、それでも20年ぐらいが限界のようです。動物病院へ行けば、かなり歳をとっていると思われる老犬をよく見かけますが、年老いた人間と同じように彼らも身体のいたるところに問題を抱えながらも飼い主の愛情に支えられて頑張って生きているのだろうということが痛いほどよく解ります。

仮に、犬の一生が50年もあるとすれば、それは犬にとって不幸なのかもしれません。なぜなら、犬が長い一生の最期の時を迎えるとき、仔犬の時からずっと可愛がってくれた飼い主が既に亡くなっていてそばに居てやれないかもしれないからです。また、犬にとっても、この人しかいないと思っていた最愛の飼い主がいなくなってしまったら、おそらくショックは大きいでしょうし、いやそれ以上に、その後、これまでのような幸せな生活が保証されるとは限らないからです。最悪、保健所行きもあり得ないことではありません。

したがって、飼い主は、愛するワンコより先に逝ってはいけないのです。神様は、そのような不幸をできるだけ起こさないために、人間よりはるかに短い一生しか人間のパートナーである犬に与えなかったのに違いありません。

我が家のギャンが、フラットの平均寿命をはるかに上回るほどの天寿を全うしてくれることを願っているのはもちろんですが、いずれ、犬生の最期に「虹の橋」を渡るときには、何があろうと、そばにいて送ってやろうと思います。

まだ生後9ヶ月のワンコにこんなことを思いめぐらす自分自身のほうが心配といえば心配ですが、 こんなことを考えながら、足元で横たわっているギャンを見ていると、なぜか目が潤んできてしまいました。
年齢を重ねると、涙もろくなっていけませんね。 (11/16/2002)
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