ΔLOOP9の概要

作成日: 2010年10月24日
更新日: 2011年09月03日

 ΔLOOP8とALA1530の比較結果を受け、もっとノイズフロアが低く、そして感度もできれば高いアンテナを作ろうというのが、本ΔLOOP9の開発目標となります。

 このアンテナを考え始めたのが、2010年9月中頃になります。この頃、WSML(Wideband Small Magnetic Loop Antenna)の記事が公開されて、多くの皆様がご興味を持たれたようです。私もその中の一人であった事は間違いの無い事実です。しかし、その記事を参考にして同じものを作っても多分受信環境に合わないであろうとか、日本で手に入る部品では必ずそれなりのチューニングが必要であろうということを確信しましたので、まずは、WSMLの回路構成を基本回路に戻しました。初段はNPNトランジスタを用いたベース接地電圧増幅器、そしてその後段に、やはりNPNトランジスタを用いた差動増幅回路という回路構成となっています。ここまでは、非常にオーソドックスな回路構成です。CQ出版社より出ている、「定本 トランジスタ回路の設計」のP.152にもベース接地アンプのアンテナへの応用に関しての記事が出ています。
 また、私自身もトランジスタ回路に関しては大学時代〜会社生活において長期間、その設計方法や応用に関して携わってまいりましたので、この回路だと自由自在に使いこなせるとむしろ安堵の感覚を覚えました。そして、ΔLOOP9の試作は始まったわけです。
 当初の製作目標は、和製部品でWSMLを作る事でしたが、よく回路図を見ていますと、温度特性やバラツキに対する配慮が欠けている部分が散見されましたので、この部分は、改善を加えました。また、WSMLで使われているPN2222というトランジスタより、特性の良い2SC1907やら2SC1906というようなトランジスタが日本では手に入りますので、これらの部分でWSMLをより改善した回路構成となりました。
 試作を繰り返すこと16回でした。とはいえゼロからの試作ではなく、一部の抵抗値を変更したりというような実験の繰り返しでした。で、2010年10月23日に最終的な回路定数を確定させ、フィールドテストの段階にこぎつけました。ご近所のDXerの方々や私自身もフィールドテストを実施し、全部の性能要素のバランスを取って2011年12月に完成をして実運用に入っていました。
 また、別途記事を上げますが、このアンテナの室外BOXに使っている回路を簡素化してゲインも10dBほど低く、ノイズフロアも10dB程低くできる「ΔLOOP9Lite」も、検討途中に完成しています。これに関しても近々にUPします。

1.このアンテナの特徴
ΔLOOP9のコンセプトは、ノイズフロアの低い、「非同調形で実用的に使える磁界型LOOPアンテナ」です。
同調操作等が必要なく、複数の受信機でシェアできるアンテナでございます。

2.ΔLOOP7との項目別比較
ΔLOOP7と比べますと以下の表のようになります。

比較項目
ΔLOOP7
ΔLOOP9
エレメント形状
1辺1mの三角形、1TURN巻き 同左
受信周波数範囲
2200kHz〜21300kHz
50kHz〜40MHz
感度
1本釣りでローバンドを聞いた場合
はやや良い感じ、ハイバンドではノ
イズが増加、全体的にハイゲイン
全バンドにわたって同じゲイン、ノイズ
もあまり変化無し、ΔLOOP7に比較す
ると20〜30dB程ノイズフロアを低減、
S/N比は同程度
作りやすさ
製作本もあり、基板もあり作りやす
市販のトランジスタを用いて、ユニバ
ーサル基板に作れますので、Δ
LOOP8よりは圧倒的に作りやすいし、
再現性も良い。ただし、製作本は現状
ありません。
同調操作
不要
室内外のBOXの接続
同軸ケーブル+2芯スパイラルケー
ブル
同軸ケーブル1本のみ
回路動作電圧
12V (15V程度のACアダプターが必要) 10V (12Vの入手しやすいACアダプターでOK)
複数台のRXの同時接続
不可(同じ周波数を聴くならOK) 可(違った周波数も1基で聞ける)

というような比較になりまして、2010年12月より2011年3月上旬まで、当家においてはほとんどのBCLリスニングにΔLOOP9を使用しておりました。それ以降は新型のΔLOOP10となっています。ただ、ローバンドでノイズすれすれの非常に弱い局を聞く場合は、ΔLOOP7に感度が高いメリットがあるため、併用をお勧めしております。
このΔLOOP9の詳細情報のページについては、こちらからどうぞ!


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