第3版(1997.9)

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 藤沢目次総目次

出会いは『秘太刀馬の骨』


きっかけ

 おもしろ本の情報は、「毎日新聞の書評欄」,月刊書評誌『本の雑誌』(本の雑誌社) そして、NHK-BSテレビ「ブックレビュー」(「私の家庭訪問先」の頁に道案内があります)などから手に入れます。


『秘太刀馬の骨』

秘太刀  さて、その「ブックレビュー」で『本の雑誌』発行人=目黒孝二(北上次郎)さんが藤沢周平『秘太刀馬の骨』(文春 H4.12)を紹介しました。

 それまで読んだ時代小説は山本周五郎『楡の木は残った』のみで、それすら「侍の名前がややこしいなあ。筋についていくのも大変」そして、読後感といえば「それがどうした?」でした。

 だからそれほど注目して番組を見ていませんでしたが、合評コーナーで藤沢の読者でない他のふたりのゲストが「時代小説を読み慣れてないので、筋をおうのが大変だった」といい、「でも、ラストの奥様のたちなおる結末はいいですね」と語っていた。

 それに目黒は「藤沢さんの作品の女性の描き方はあたたかいのです」と話していました。



「ふうん、藤沢周平ってどんなんかな」

 『秘太刀馬の骨』を読んでみると、ゲストの言ったように時代小説を読んだことのない私は侍の名前がややこしく「ええっとこれ誰だっけ」と筋を追うのがせいいっぱいでした。
 でも、子どもを急死させて心の病になった主人公の妻の描写は印象に残りました。

 そして、ラストの妻のたちなおりのシーンはぐっときました。剣の小説としてではなく、一種の“家庭小説”として楽しみました。

 子どもをだしに商人を脅迫している浪人者を征伐した奥さまの「ずいぶん手間どりました。さあ、はやく帰って旦那さまのお夜食を支度せぬと」とのセリフを書きたいために、藤沢さんはこの小説を書いたのではないだろうかという人すらいます。
 私は、最後の文章「旦那さま、奥さまはもうご病人ではござりませぬ。お屋敷に入れば、すぐにそのことがおわかりになりましょう」でつんときました。
 


 

つづけて2冊読みました

 本屋では自分の知らない・読んだことのない作家の多いことに愕然とします。何かのきっかけで新しい作家を読むときは、原則として (という程でもないが)  3冊読みます。

 そして、「これから全部読むからね」とか「またお目にかかるかもね」とか「さよならね」とか選別をします。(3冊は原則で さよなら作家はたいがい1冊ですが)

 3冊とは、だれかに教えられてなどの「きっかけとなった本」、「作家が評価されるようになった本(受賞作など)」、「題名のいい本」です。


 目黒の「女性の描き方がいい」との言葉につられて、「ではもう少し藤沢を読んでみるか」と本屋に。時代小説のコーナーに近寄ったことのない私は藤沢作品の多さに驚きました。

 どれが評価の高い作品か,人気のあるのはどれか わかりません。
 で、題名のしゃれている『三屋清左衛門残日録』・『麦屋町昼下がり』(文春文庫版)を買いました。

 この二作が読み終わらないうちに、藤沢本を求めに本屋に走りました。



 そして、今、引多網家庭頁も「残日録」です。

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