SACRIFICE 8




シンに導かれるままベッドルームに入る。
メイドとしての仕事でなら何度も出入りしたが、このような目的で入るのは初めてだ。
視界に入る大きなベッドがやけに淫猥に感じて顔が紅潮する。


「脱げ。」

緊張して立ち尽くすに、シンが冷たい声で命令する。
その指示通り己の服に手を掛けながら、は自分が今から何をされるのかを意識して恥らう。
しかしシンはそんな事など全く気にも留めず、ベッドに足を組んで腰掛けたまま、が少しずつ素肌を晒す様を無表情にじっと見つめている。
そして、震える手つきで下着を取り払い、ようやく一糸纏わぬ姿になったに、寝台に上がるよう促した。


横たえた手足が小刻みに震える。
シンの視線を感じるが、目を合わすことが出来ない。
衣擦れの音が、もう引き返せないと告げているようで、は改めて自分の選んだ道を自覚していた。

この夜伽を境に、自分は安楽を失う。

たとえこの先どんなに身を引き裂かれるような思いをしようとも、耐えなければならない。
この想いは蕾のまま決して花開くことはない。

だけど、それでもいい。
ほんの束の間でも、彼が私を感じてくれるなら、それだけでいい。


緊張と期待が昂るあまり、自分に覆い被さってくるシンの動きがやけに遅く感じる。
激しく高鳴っている鼓動が、シンに聞こえているかもしれない。
そう思うとますます羞恥が強くなる。



「あっ・・・」

胸の頂を舌が這う感触に、思わず声が漏れる。
さっと掠めていったかと思うと、音を立てて強く吸い付かれる。
じりじりと焦がれるような快感を与えられ、早くも身体の芯が蕩け始める。

「んっん・・・・」

シンの指が胸を離れ、なだらかな腹部をなぞって更に下へと降りていく。
ひっそりと息づく花弁は既に熱を持って潤っており、その中心にあてがわれたシンの中指をやすやすと飲み込む。

「あっう・・・ん!ハァッ・・・・」

長い指で奥深くをかき回され、熱い蜜が後から後から湧き出てくるのが分かる。
それはシンの指を伝い、花弁全体をしとどに濡らしている。
頭まで蕩かされるようなシンの指の動きに翻弄されていると、ふいに肉芽を刺激されて思わず大きな声を上げてしまう。

「あんっ!!」

弾くように何度も擦られ、その度に内壁がシンの指を締め付ける。
連動する反応を愉しむかのように、シンはその二箇所を執拗に攻め立てる。
益々溢れる蜜は淫らな音を奏で、の聴覚をも苛む。



「やぁっ、はっ!あぁっ・・・、うあぁ・・・!」

止まらないシンの攻めに、限界に達したの快感がついに爆発した。
小刻みな痙攣が治まった後、ゆっくりとから指を引き抜いたシンは、透明な蜜に濡れているその指をの口内に滑り込ませた。

「んむっ、ん・・・」
「どうだ、自分の味は?」
「っ!」

卑猥な質問を浴びせられ、の顔が紅潮する。
シンは羞恥に戸惑うの口内を弄りながら、力の抜けた脚の間に己の身を割り込ませると、そのまま怒張した分身を中心に突き立てた。


「くぅぅっ!!」

以前より遥かに長い前戯に狂わされ既に蕩けきっている身体に、更なる快感がもたらされる。
念入りに解されたせいか挿入時の苦痛を感じることはなく、最初から鈍く甘い痺れがを襲う。

「んぅっ、ぅ、んっ・・・!」

口内にあるシンの指を力一杯噛み締めないように、思わずそれに舌を絡ませて吸い付いてしまう。
そんな自分に羞恥したのも一瞬の事で、またすぐ身体の奥を突き上げられる衝撃に翻弄される。
シンはの片脚を抱えて更に腰を密着させると、これ以上はない程奥まで己を突き入れ、そのままに覆い被さった。

「うぅっ・・・!んっ・・・!」

内部の圧迫感とシンの体重を預けられたせいで、が苦しげな呻きを漏らす。
シンはゆっくりと内部を抉るように腰を動かしながら、の耳朶を甘く噛んだ。
途端に内壁が収縮し、中にいる己を締め付けてくる。
その反応から其処がの性感帯の一つだと悟ったシンは、身を捩るを抱き込んで耳元を重点的に苛んだ。

「ふぁぅッ!んんっ・・・!!」

耳元に熱い吐息を感じる度に、の背筋が甘く痺れる。
鳥肌の立つような快感と、初めて感じるシンの肌の温もりが、の密やかな想いに火をつける。

今だけでもいい。
せめてこの一瞬だけでも、愛されていると思いたい・・・!



頬を上気させて喘ぐが扇情的で、シンは本能のままにその身体を貪った。
指を引き抜き、の腰を持ち上げて猛然と貫く。
塞ぐもののなくなったの唇から、悲鳴のような嬌声が漏れる。

「ああーっ、あん!はぁッ!!アッ、KIN、G・・・さ、ま・・・、ハッ、あっ、あぁっん!!」

言葉にならない甘い悲鳴の合間に己を呼ぶ声が聞こえて、シンはの顔を見た。
瞳を潤ませて何とも切なげな表情で己を見上げるを、シンは複雑な思いで見つめ返した。

何故だ?
何故そのような顔をする?
快楽に酔いしれているだけのようにも見えるが、どこか違う。
まさかこの女・・・・


呼びかけに応えない代わりに、シンは律動を早めた。
その力強い突き上げに耐え切れず、は固く目を閉じる。
一時絡み合った視線は再び途切れ、肉体の快感が二人を支配する。
やがて大きな波に呑み込まれ、二人は快楽の海に果てた。




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後書き

んー、今回は『裏』って感じに仕上がりましたな。
ショボいけど。
それはもう、この回に限らず全てにおいて言えるんですが(笑)。
1話まるまるエロて、シンでは初めてのような気が・・・・。
いっつもいっつも強○まがいじゃ、私の中のシンのイメージを疑われることになるかなと思い、
ちょっとちゃんとヤらせてみました(笑)。
ピロートークは次回という事で。