Q78.直接クームス試験の検体を保存をするときの注意点を教えてください。検体はクロスマッチをして陽性反応が出てきた後に不規則抗体と一緒に検査をしています。


A.78
基本的には直接クームス試験の検体は保存不可かと思います。
検体は提出されたら、すぐに検査されることをおすすめします。
例えば、寒い時期に、高力価の自己冷式抗体を保有している患者さんの検体を、採血して放置していると、その自己抗体(主にIgM型)が自己血球に感作されていき、さらに補体などが付いてきますと、その影響で陽性反応を起こすことがあります。
そのため、この抗原抗体反応が生体内での反応か採血後の試験管内での反応かが区別できなくなります。特に、病棟患者さんの場合、朝6時頃に採血されますので注意が必要かと思います。

直接クームス試験は、溶血所見の原因確認(温式自己抗体・冷式自己抗体・輸血後の同種抗体)、新生児溶血性疾患、寒冷凝集反応、自己免疫疾性疾患の確認など、どのような検査目的で行うか、また、その後、抗体解離試験を行うかなどによっても保存の可否・方法は変わってくるかと思います。

直接クームス試験は、輸血歴があってクロスマッチが陽性になり自己対照も陽性になった時に実施されることは意義のあることかと思います。

参考ページ↓
自己対照陽性