A41.

オモテ試験ウラ試験不一致の場合、すぐに亜型と決めつけないで下さい。

今回の症例ではO血球にも凝集反応が認められますので、オモテウラ不一致の原因は、低温反応性の抗体による影響ではないかと思われます。

まず、ウラ試験を37℃でインキュベーションして、A血球O血球との凝集反応が消失したり弱くならないか確認してみて下さい。
次に、不規則抗体スクリーニング 検査を実施して抗M・抗Le・抗P1抗体などの低温反応性抗体が存在しないか確認して下さい。

抗I(低温反応性抗体でよく遭遇する寒冷凝集)による影響も考えられますので、患者と同型(もしくはO型)の臍帯血球・新生児血球(i型)と患者血清との反応を確認してみて下さい。また、寒冷凝集反応やマイコプラズマ抗体の検査値も参考にして下さい。

また、連銭形成が疑われる場合は、顕微鏡で確認したり生食水を加えて凝集が消失するか確認して下さい。 


参考資料

「ABO血液型検査でオモテ試験・ウラ試験不一致が出たときの考え方」

オモテ・ウラ不一致 → 判定保留       
   再検査でも同じ結果が出た場合、再度採血してもらう必要もあり
    ↓ 技術的な誤り、事務的な誤り(記載ミス)など
不一致の原因について考える 「輸血検査の実際」P12・改訂第3版P18を参照
    ↓
   患者情報 
    ↓ 年齢、性別、疾患、投与薬剤、輸血歴、妊娠歴、
      異型造血幹細胞移植歴、検査成績(免疫グロブリン値)など
   追加検査 「輸血検査の実際」P20〜・改訂第3版P24を参照
      血球側の検査
      血清側の検査
      唾液検査
      家系調査
     ↓
   最終判定
    ↓
   結果報告
    ↓
  輸血用血液の選択