A19.

オモテ試験ウラ試験不一致の場合、すぐに亜型と決めつけないで下さい。
注目点はA血球と反応しているものが何者かです。

最も考えられる一般的な原因は、低温反応性の不規則抗体による影響です。
不規則抗体検査を実施して低温反応性の抗体が無いかを調べて下さい。
例えば抗M、抗Le、抗P1抗体を患者さんが保有していた場合、オモテウラ不一致になることがあります。

今回の場合はA1血球と弱く凝集し、O血球とは凝集していないのですが、
試薬のA1血球やO血球はプール血球でしょうか?(もしかしてウラ試験試薬血球は一人のドナー由来の血球では...?)
例えば、患者血清中に抗M抗体が存在していたら
A1血球がMM型のドナー血球でO血球がNN型のドナー血球の場合、今回のような結果になります。
プールされた血球試薬の抗原組成によって反応に差が出てくることもあります。

次に、A型の亜型A2などを疑います。
抗A1、抗Hレクチン、A2血球などを使って精査してみましょう。
A1血球と反応しているのは抗A1抗体かもしれません。

今回のケースでは、O型血球との反応が陰性ですのでA2型の可能性がありますね。

参考資料

「ABO血液型検査でオモテ試験・ウラ試験不一致が出たときの考え方」

オモテ・ウラ不一致 → 判定保留       
   再検査でも同じ結果が出た場合、再度採血してもらう必要もあり
    ↓ 技術的な誤り、事務的な誤り(記載ミス)など
不一致の原因について考える 「輸血検査の実際」P12・改訂第3版P18を参照
    ↓
   患者情報 
    ↓ 年齢、性別、疾患、投与薬剤、輸血歴、妊娠歴、
      異型造血幹細胞移植歴、検査成績(免疫グロブリン値)など
   追加検査 「輸血検査の実際」P20〜・改訂第3版P24を参照
      血球側の検査
      血清側の検査
      唾液検査
      家系調査
     ↓
   最終判定
    ↓
   結果報告
    ↓
  輸血用血液の選択