A1.

この患者さんの抗MはIgMタイプなのかIgGタイプなのかが問題となります。
患者血清をDTTまたは2ME処理してIgM抗体を失活させて検査を実施すればその区別はできます。
また、「輸血検査の実際」では37℃1時間加温によるクームス法で陽性または溶血が起こらなければ適合血は選択しなくても良いとなっています。
つまり、IgMタイプなら適合血の選択は必要ないでしょう。
しかし、IgGタイプの抗M抗体であれば、それを考慮してM抗原マイナス血を輸血することになります。
また、妊婦さんの場合はHDN(新生児溶血性貧血)にも気をつけましょう。

さらに抗Mについてですが、
心臓血管外科手術では人工心肺を使い体温を下げて、(確か30℃以下で26.27℃くらいまで下げる場合もあるかと思います。) 心臓を止めてから手術をする術式があります。このような術式の場合で、患者さんが抗Mを持っていたなら、適合血(M抗原陰性血)を選択するケースもあります。
しかし、最近の冠動脈手術では心拍動下で行う方法(オフポンプバイパス手術:OPCAB)が主流になってきていますので、 そのような心配が不要となってきています。

参考ページ

抗M抗体(妊婦さんの場合)