About Chibi〜発病その1〜 ちびの試練のはじまり・・・・・
 


















ちびの異変に気づいたのは2001年の秋。
しきりにお尻の辺りを気にし、羽を抜きだした。
それまでにも何度か無精卵を産んでいたので今回もそうなのかなぁ、程度にしか考えていなかった。
それでもちびの様子を気にしながら数日が経った。ちびも元気そうに見えていた。
しかし、いくら待っても卵を産む気配がない。総排泄腔の辺りをよく触ってみると何か柔らかいものが中にある様子。糞をするときもお尻をふりふりと振ってする上に数も少ない。少し体調も悪そうに思える。
慌ててちびのケージを電気毛布と湯たんぽでがっちり保温し、ペットショップのオーナーに相談したところ“卵づまり”ではないかとのこと。もうしばらく様子をみて、なるべく自分の力で出産させた方が良い、というので指示に従った。
しかしいくら待っても卵は出てこない。よく見てみると総排泄腔から卵らしき物体が時々顔をのぞかせる。なのに出てこない。
再度ショップのオーナーに相談してみる。
「もう時間的に限界だから無理矢理つまっている卵をつぶして取り出した方が良い。連れて来てくれたらそのように処置してあげるよ。でも万が一のことは可能性としてあるからね。」と・・・・・。
“万が一”という言葉が嫌に心にひっかかった。失礼ながら鳥のことを熟知しているオーナーといえども獣医師ではない。その万が一のことが起こった場合、何もうつすべもなくただ落鳥させることは私には考えられなかった。
迷った・・・。迷いに迷ったあげくある朝、私は以前インターネットで検索した『鳥を診れる病院』の中から1件リストアップし一か八か行ってみることを決心した。自宅から車で30分ほどのところにある動物病院。鳥専門の病院ではないけれども藁をもつかむ思いで病院の診察時間を待って電話をかけた。詳細をお話すると「すぐに連れて来てください。」との返答。すぐさまちびを厳重に保温したキャリーケースに入れて駆けつけた。病院の受付で名前を告げると奥から先生がすぐに出てこられ、諸々の手続きは後回しにすぐにちびをその場で触診し、
「軟卵による卵秘のようですね。今からすぐに酸素室に入ってもらいます。そして勢いをつけて自力でイキんで出産させるようにしましょう。2〜3時間経ってそれでも出ないようだったら取り出します。どちらにしても少し時間がかかりますのでご家族の方はいったんお家にお帰りになって連絡を待ってください。お昼頃には一度お電話します。」
と、ちびを奥へと連れて行かれた。私は後回しになっていた初診の諸手続きを済ませ、家に戻って連絡を待つことにした。
時計の針はなかなか進まない。
お昼過ぎにやっと電話のベルの音。受話器をとると先生の声。
「ちびちゃんは軟卵による卵秘ではありませんでした。軟卵と思われていたものは卵管近くにできた水腫です。その水腫が卵管に癒着していましたので血管の少ない部分を切開しました。まだ状態が安定していませんので、もう少し預からせてください。また夕方連絡します。」
何・・・?何・・・?水腫って・・・?癒着って・・・?切開って・・・?
ちびは今どういう状況なの・・・?
私は混乱した。混乱したまま、また病院からの連絡を待たなければならなかった。長い長い時間。
日も沈み外は真っ暗になった。
すると6時頃に再び電話が鳴った。ワンコールなるかならないかのタイミングで受話器を握る。そして先生の声。
「ちびちゃん、あれからずいぶんと落ち着きましたので、もうお家に帰ってもらってもいいですよ。」
やったー!!やったー!!やったー!!
ちびは生きている!!家に戻ってきたら、また元気なわがままぶりを発揮してくれるんだ!!
私はすぐに支度をし早々にちびを迎えに病院へ向かった。
待合室で少しの時間待ち、診察室へ通された。
病院が用意しているプラケースの中にちびがいた。少しお尻に血がついてはいるけれど、初めてのプラケースがおきに召さないようでずいぶんと「出して、出して」と訴えかけている。
ちびのレントゲン写真を見ながら先生からあらためて経過説明を受けた。
実は最近まで忘れていたが、今思い出してみると先生はその時にそれからのちびを予言するようなことをおっしゃっていた。
「レントゲンのここの部分なんですが、ほんの少ーしですが白く見える部分があるような気がします。意地悪な見方をすれば腫瘍ともみることができます。」と・・・・・。
けれど私はちびが帰ってこれる、ということに舞い上がってしまいその言葉を聞き流してしまっていた。

そして2001年は暮れていった。


                                                                     

 
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