窒息!?
父親参観保育(この日の夜入院)
あれ、かあちゃんじゃないのぉ?
風邪気味だったゆーさくが、夜になって咳こみが酷くなり、咳き続けるようになったので、B病院の夜間救急へ。
まだ1歳を過ぎたばかりであり、気管支喘息というより、喘息性気管支炎ということで念のため入院となった。
咳はたまに発作様に起こりしばらく続き、即効性のある咳止めシロップ薬を飲んでは様子を見ていた。
入院3日目のことだった。
咳でかなり体力をしょうもうするせいか、酷く咳き込まなくなったけれど、その日は朝から元気が無くしんどそうにしていた。
主治医が回診にきて、咳はおちついてますね、よかった、と話をした後の夕方のことだった。
PT大ちゃん先生が様子を見に来てくれた。
ゆーさくは注入中であった。
だから、ゆーさくはそのままにしておき、かあちゃんと大ちゃん先生で話をしていた・・・。
”うっ”・・・突然ゆーさくがはいた。
が、そのまま白目を向き、かたまってしまう。
嘔吐物を喉に詰まらせたようであった。
見る見るうちに顔色が悪くなる。
大ちゃん先生が、慌てて廊下に出て、”誰か!誰かすぐ先生呼んで”と廊下中に響き渡る声で叫ぶ。
サチュレーションは一気に下がり、あっというまに0に。
心拍数も一気に下がるが、かろうじて20くらいのところでふらふらしている。
病室中にアラームの音がけたたましく鳴り響く。
ゆーさくの顔色は、真っ青から真っ白になり、そして真っ黒になった。
かあちゃんは、とっさに”吸引をしなきゃ”と思い、吸引機のスイッチを入れ吸引をしようとした。
しかし、手がガクガク震えて、吸引チューブが鼻の穴にも口にも入らない。
”落ち着け、落ち着け、気道確保、気道確保”とかあちゃんは必死に心の中で自分に言い聞かせていた。
主治医には、何かあったらまず気道確保!といわれていたのだ。
そこへ、病棟看護師さんが何人も駆けつけてきた。
その日ゆーさく担当だった看護師さんは、靴を履いたまま、ベットに飛び乗った。
かあちゃんは看護師さんにバトンタッチをして吸引チューブを渡す。
真っ黒になっているゆーさくは、痙攣をはじめる。
さらに、そこへ、小児科のベテランの先生も大慌てで駆けつけてきてくれた(主治医の先生は帰宅後であった)。
ゆーさくがいた病室はNICUの前の部屋だったのだが、駆けつけてきた先生はNICUから飛んできたようで、NICU内の服装、滅菌帽に滅菌服のままであった。
先生はゆーさくの口にふぅと息を吹き込み、蘇生術を始めた。
先生の顔を見ると、かあちゃんは少し安心して我に返る。
我に返ると同時に、かあちゃんは腰がぬけ、フラフラになってしまった。
”先生が着たから大丈夫”とかあちゃんはふらふらになりつつ、病室の外へ出て、廊下に座り込んだ。
と同時に、私の目の前にあったNICUに、病棟の看護師さんが”至急、緊急セット(挿管セットなどが入っている)を貸して!”と駆け込んだ。
すぐ、NICUの看護師さんが緊急セットを持って、出てきた。
出てきた看護師さんは、ゆーさくがとてもお世話になった看護師さんで、すぐかあちゃんがへたり込んでいるのに気づく。
”え?これゆーさくなん?何があったん?”と看護師さんは聞いてくれた。
”ゲロを喉に詰まらせたみたいで・・・”と私が言いかけたら、”ええ!?"とびっくりして、そのまま、緊急セットを持ったまま、ゆーさくのところへ駆けつけて行った。
”ゆーさく、しっかりして!”とその看護師さんが叫ぶ声が聞こえた。
また、そのすぐ後、仕事明けの別のNICUの看護師さんが出てきた。
その看護師さんもゆーさくのこと良く知っている方で、バタバタしている様子に、”何かあったの?”と聞かれ、かあちゃんがゆーさくのことを告げると、その看護師さんもあっというまにゆーさくのところへ行ってしまった。
しばらくして、ゆーさくはナースステーションの前にある監査室に移される。
小児の救命救急医療がメインのNICUの看護師さんが中心に先生の処置を手伝ってくれていたようで、その看護師さんがゆーさくを抱えてダッシュで移動する。
一瞬かあちゃんに見えたゆーさくの口には、未熟児で生まれた直後にお世話になった青い気管内挿管チューブが刺さっていた。
また、意識は回復していなかったようでぐったりしていたが、とりあえず自発呼吸は戻っていたようだった。
監査室に移動してもしばらくは処置が続いた。
その間、ゆーさくの処置をやってくれていた一人のNICUの看護師さんが出てきてくれて、ずっと私の横についてくれてもう大丈夫だよと言ってくれたり、かあちゃんの驚愕ぶりを聞いてもらってたりしていた。
また、小児病棟(とはいえ、当時は慢性期の内科病棟の1室が小児であった)の看護師さんたちも、”本来ならば、私たちが・・・本当にすいません”など声を掛けてくれた。
ゆーさくが嘔吐物を喉に詰まらせ、2時間くらいはたっていたと思う。
さらにしばらくして、”処置がおわって、ゆーさくの意識も戻ったけど、ゆーさくがすごい興奮しているし、おかあさん、ゆーさくのところに行ってあげて”とずっと処置をしてくれていたNICUの看護師さんがかあちゃんを迎えに来てくれた。
ゆーさくと対面する。
ゆーさくの体の色は元に戻っていて、ちゃんと呼吸をしている。
しかし、ゆーさくの姿は人工呼吸器はついてなかったものの、NICUの保育器の中にいた時の姿と良く似ていた。
気管内挿管をされて、酸素チューブが挿管カニューレにつながれていて、点滴をしていて、胸には心電図モニターもついていた。
しかし、ゆーさく自身はNICUで挿管されていたときとは反応が違っていた。
えらい苦しそうに咳き込み続けていた。
”ゆーさくは挿管の管にひどく拒絶反応を起こしてるねん。しんどいけど、管になれるまでは・・・”と看護師さんは言った。
確かに食べ物すら口に入るのを嫌がるゆーさくにとって、挿管カニューレはもっと嫌な異物であり、異常に咳き込むのも私は仕方の無いことだとすぐ納得した。
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