Just Fuchsias by YoYo

HOME > 育て方 Top > フクシアの生育温度

>> 育て方

フクシアの生育温度

optimum temperatures for growing fuchsias

生育温度の上限

フクシアの生育温度について、手元の本にある記述を拾ってみましょう。
  • 長期間27℃を超えた状態に耐えられるフクシアはわずかである 1)
    FUCHSIAS The Complete Guide (一番下の青い表紙の本)
  • 気温を27℃よりも低く保つように。多くのフクシアはこの値を超えると成長が止まり花も咲かなくなる 2)
    The Royal Horticultural Society Practical Guides FUCHSIAS (真ん中の本)
  • 夏期の理想気温は16〜21℃。これ以上の気温にも適応できるが、25℃を超えると成長が止まるので、日よけや換気をすることで必ず気温を下げられるようにしておかねばならない 3)
    Fuchsias (一番上に置いた本)
このように、多くのフクシアにとって、順調に生育できる上限は25〜27℃というのが相場のようです。

25〜27℃をごく短時間でも超えると致命的といったわけではありません。
大きく超えるか、少しだけ超えるか、超えている時間の長さ、夜温の下がり方など、色々な要素が絡み合ってフクシアの体調が決まっていきます。

ページトップへ

なぜ成長が止まるのか

こうした記述を読んで以来、私は一定温度を超えると成長が止まる理由を知りたいと考えるようになりました。

そのヒントはあるサイトで見つかりました。
  • 気温の高い日、具体的には約27℃を超えるような日、 フクシアは早朝のわずかな時間しか気孔を開かず、その後は閉じたままになる という一文を見つけたのです (Fraser's Fuchsia Page4) の Article on Correct Wateringより) 。
なるほど気孔がとじると、その間は二酸化炭素が十分に取り込めなくなります。
また蒸散量が減るので、下から水を吸い上げる勢いも低下します。
二酸化炭素と水が十分に取り込めないと、光合成の量も不十分になり、ブドウ糖の生産量が減って成長が止まってしまいます。

ここで、最低気温が25℃を上回る熱帯夜の連続が最悪なのはご理解いただけることでしょう。
昼間の気温はそれより高いわけですから、まともに光合成ができる時間帯がほとんどないことになります。

ページトップへ

気孔が閉じることによるもう1つの弊害

植物は蒸散により身体を冷やしています。気孔が閉じると蒸散が不十分になり、葉の温度が上がりすぎて光合成に必要な組織が傷み (葉焼け)、傷んだ分だけ光合成できる面積が減ります。
成長や身体の維持に必要な原料 (二酸化炭素、水) が供給不足になることに加えて、必要なエネルギーを生産するための施設自体も縮小してしまうのですね。

夜温の問題

フクシアは、一定温度を超えると光があっても十分に光合成ができないことがわかりました。
夜温の高さはこれに追い打ちをかけます。

植物は夜温が高いと呼吸が激しくなり、昼間に生産したブドウ糖をたくさん消費してしまいます。
フクシアの場合、昼間に十分なブドウ糖を生産できなくなっているのに、夜間にたくさん消費してはたまったものではありません。

ブドウ糖は、人間にたとえるなら食事です。食事から摂取するエネルギーよりも使う方が多ければ人は痩せていきます。フクシアも同様に、昼間に生産したブドウ糖の量よりも夜間に消費する量が多ければ、無理なダイエットと同様、自分の身体を自分で食べることになり衰弱してしまいます。

ページトップへ

フクシア栽培の適正気温

自分の栽培経験から、大半のフクシアがもっとも生き生きしているのは、最高気温が25℃以下で、最低気温が15〜10℃程度の時期です。

正しく保護しなければ高確率で枯死する植物

暖地でメコノプシスに気軽に手を出す人はいないでしょう。
それなりの設備がないと栽培できないことがすでに知られているからです。
メコノプシスの場合、通販カタログなどには 「一般平地では夏に枯死する」 旨の注意書きがあります。

フクシアの場合そのような注意書きは見かけませんが、ここまでお読みいただいた方は、夏期長期間30℃を超えて、しかも熱帯夜が連続する地域では、適切な対策を講じないかぎり秋までに枯死する植物であるとご理解いただけたことと思います。

暖地でのフクシア栽培はこの理解が出発点になります。

ページトップへ

ご自身の栽培方法を見つけましょう

生育の上限温度を長期にわたり大きく超える地域でフクシアを栽培するには、昼夜共に気温を下げるための対策を講じて、自分が選択した品種がそれで適応してくれるか観察することが必要になります。

トラブルのご相談を受けて感じることは、暑さ対策を講じるのが遅すぎるということです。株がしおれるのに気付いてエアコンの効いた部屋に取り込む場合などがこれに当たります。
じつのところ、株がしおれる、緑の葉がバラバラと落ちる、葉の周囲が茶色に枯れるといった根腐れの症状が初夏〜夏に現れたときはすでに手遅れだとお考えいただくのが良いと思います …(すみません、でも本当です)。
貴重な経験をどうか翌年以降に生かして、早期に夏越し態勢を取るか、より耐暑性の高そうな品種をお選びくださいね。

FUCHSIAS The Complete Guide には 「すべてのフクシアが27℃を超えた状態に長期間耐えられない」 とは書いていません。実際に育ててみますと、エンジェルス・イヤリング以外でも、上限が少し高めと思われる品種があります。

いろいろな品種を試しながら、可能な暑さ対策との間で折り合いを付けていくことをお勧めします。その過程でご自身の栽培ノウハウをどうか積み重ねてくださいね。

(2009年11月7日)

ページトップへ

参考(数字をクリックするとページ内のリンク先へジャンプします):
  • 1) GOULDING, E.、FUCHSIAS The Complete Guide、TIMBER PRESS Inc. (2002)、p.55
  • 2) BARTLETT, G.、The Royal Horticultural Society Practical Guides FUCHSIAS、Dorling Kindersley Limited (2003)、p.37
  • 3) BOULLEMIER, L. B.、FUCHSIAS、AURA BOOKS (1996)、p.68
  • 4) Fraser's Fuchsia Page のArticles / Pictures - Article on Correct Watering (2009年8月10日参照)

ページトップへ

HOME > 育て方 Top > フクシアの生育温度
Copyright (C) Just Fuchsias by YoYo. All right reserved