アイルランド旅行記その2 ダブリン


 

 アイルランドの都市は、たいていが街の真ん中を川が流れています。
私が行った街がすべて海沿いであったからかもしれませんが、河口の港
が発達して出来た交通の要所であるようです。ダブリンの真ん中を流れ
るのはリフィー川。(スライゴーはガラボーグ川、ゴールウェイはコリ
ブ川、コークはリー川、リムリックはシャノン川)。ダブリンの語源は
「黒い川」だそうですが、リフィーというのはまた濁った、あまりきれ
いでない川なのだった。この川の北と南で、目抜き通りは北がオコンネ
ル通り、(どの街にもオコンネル通りってのがある)南がグラフトン通
りです。北は繁華街だが、ちょっと柄が悪い。南はトリニティーとか、
あかでみっくな博物館、教会などあって文化的な地域です。
 ダブリン一高級という、シェルボーンホテルで、アフタヌーンティを
食しましたが、ソファーにパンくずはついてるし、銀器は磨いてないし
ジーンズにスニーカーの若者がふんぞり返ってたりして、よく言えば、
カジュアル。悪くいえばださい。
 市民の憩いの公園、セント・スティーブンス・グリーンは、ゴミだら
けで、花の種類なんかも決定的にロンドンの公園に劣ります。しかしな
んか憎めないなあ。
 夏のアイルランドはルーツ探しのアメリカ人観光客でいっぱいです。
ヨーロッパ系の客が多く、有色人種がほとんどいません。トリニティー
大のオールド・ライブリーは「ケルズの書」をもってて、金を取って一
ページをけちくさく見せてくれますが、大学内に博物館、ギフトショッ
プまであるのでした。三つ葉のクローバ、ケルト文様、タラブローチ、
ギネス、クラダーリング(二本の手がハートと王冠を持ってるデザイン
で友愛と誠実のシンボル)が売りで、何にでもこのデザインがひっつい
ていますし、なんにでも「トラディショナルなんたら」と名前を付ける
とアメリカ人はころっとひっかかるのです。
 一度川端さんは危うくコドモにたかられるところでした。向こうで知
り合った友人とパトリック大聖堂の前で、写真など取っていたときです。
二人の女の子が写真を撮ってくれと申します。カメラを向けるといやに
慣れた態度でポーズを取ります。変だなあ、と思いつつ写真を撮り、出
来たら送ってくれと言うので、住所を書かせたりしていたところ、一人
が突然「Tシャツを買え」と言い出したのです。いらんというのに、み
やげにしろとか、安くするとか。はっと気がつくと私たちは5、6人の
コドモたちに取り巻かれ、彼らは私たちのペンダントやカメラ、時計に
触りながら口々に「ゴージャス」「ラブリー」とかいって迫って来るで
はありませんか。そやけど京女を甘うみたらあかんで、その手にはのら
へんさかいな。「いらん」と冷たく突き放してその場を足早に立ち去っ
たのでした。
 トリニティー教会では二度、聖歌隊の合唱コンサートを聴きました。
なぜかケンブリッジのクアイアでしたが、トリニティー教会の床は、き
れいな絵が書いてあって歩くのも楽しいのです。
 セミナーの間はほぼ、大学のダイニングホールで食事をしましたが、
アイルランドの飯の話は回を改めた方が良さそうでんな。
 あまりおいしかったので、太ってしまったと言っても誰も信じてくれ
ないのだ。事実おいしかったと叫ぶには少し無理もあるのだった。ステ
ーキ肉はナイフの歯が立たないし。            
 
 

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