1978年9月の近況(その2)

 1978年、学校を卒業して数年。そのまま近畿に居を構えた人、関東に移った人、あるいは故郷に帰った人、
皆、それぞれの考え、思いを抱いて社会に旅立って数年。みんなどうしていたんだろうか。






こんばんは。チョットお邪魔します。嫌な顔なさらないで。

あらNさん。眠たそうなお顔なさって。

何?この前姫路で飲んだ。はしごして途中でぶっ倒れてしもた。

それで可愛い子ちゃんと乳繰り合わんと帰ってきた。

もう体力に自信ない、わしゃもうおじんや、そう思うとる。

けど、あれはよかった、また行きたい、と。

ほら、ほら、報知器が鳴っとるで。ピーポー!ピーポー!あっ、パトカーか。

またタバコすってる。乳の代わりにこれ吸わんとやりきれん。

それに不況やから残業やっても残業代つかん。

そんなこと言わんと頑張っとくれやす。


おやおや、MIさん。長野出張ご苦労様。長野美人でけた。あら、深刻そうな顔をして。

今月はあかん、売り上げがない。まっこと商売の道はむつかしい、ですって。

え、今度の日曜おデート、横浜にも行ってきたし、

東京タワーのてっぺんで飯食ってきたし、こんど何処行こかですって。

だめだよ、浮気せんと商売頑張らなくっちゃ。


おや、まぁ。これはFuさん。またお飲みに行ってらっしゃたのね。

だめよ、あの時のことを思い出してやけ酒飲んじゃ。えっ?あの時のことってなに?ですって。

歩行者妨害で捕まったじゃない。そう、あれよ。

『ピー!ピピピー!そこ、そこの車、屁の く、さ、い、よ!止まって。歩行者妨害だよ、君。

横断歩道はちゃんと止まらなくちゃ。思わず懐中電灯を投げつけようとしたじゃないか、えっ。

周りの交通状況をよく見て運転しなくちゃいけないでしょうが。めっ!

なに、運転がへた。言わなくてもわかってるよ。そんなの言い訳になんないよ。

事実、歩行者が迷惑してるでしょうが。え、何、もしそのまま行ってしまったらどうするかって。

50ccで追いかけちゃうよ、君。本官をバカにしちゃいけないよ。

一晩ぶち込んじゃうよ。夜だったら逃げられちゃうけどね。はい、免許は。

うん、初心者マークは付けとるな。これからは気をつけて下さいよ。

はい、切符。5000円なり!チーン。まいどありー。

交通事故だけは起こさないでね。


おやおや、その声はもしかしてゲスッテットナーさん。

『こんにちは。私、こういう者でございますが。』

なにぃ、げぇすてっとなー?知らんなぁ。

『ここにパンフレットがございますので、いちおう、目を通して下さいませんでございましょうか。』

ふんふん、輪転機を作って売っている会社。なるほど、ほぉ、よくできてるねぇ。

なるほど、なるほど、こういう事も出来る、うん、うん。一度使ったら、やめられない、止まらない。

なるほど、なるほど。性能はわかった。じゃが、問題の値段はどうなっちょるかに。

なに、じゅうごまんえん。うーん、高いなぁ。ちっとはまからんかに。

何、まったくまからん。この頃は、不景気やしなぁ。

なんと、不景気やから経費を切り詰めて安くしあげなならん。

なるほど、一理も二理も・・・ない。ないでぇ、ぜには。

『そんな事言わんと、こうとくんなはれぇ。』

いらん!

『あんさん、こうとくんなはれー。』

いらん、いらん!

『殺生な、こうとくなはれー。だれかー、こうとくなはれー。』

わて買うでぇ、四畳半の経費で。一万五千円で。

『あんたにゃー、売らん!』

ゲスッテットナーさん、土、日、お休み?いいですわねー。ゆっくりなさってくださいね。

当時、尼崎の次屋で一生懸命友の会会報を考えたものである。
今となっては懐かしいの一言である。これは当時のものを一部手直しして掲載しています。


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