新たなシーズンが始まるとき・・・・
別れの季節である3月から、出会いの季節である4月へ。
先生方は、どの学年を担任し、どの先生と同じ学年になるか期待と不安の
入り交じったお気持ちではないでしょうか?
そして、どんな子ども達との出会いになるか・・・

しかし、それは子ども達も同じです。保護者も同じです。
願わくば、お互いに素晴らしい出会いであってほしいです。

 新学期のスタートは何かと準備が忙しく、あれもこれもと気持ちが焦るし、失敗もしやすいときです。
そんな時に、出会ったばかりの子どもが忘れ物をしたり、友達をいじめたり、給食をこぼしたりすると、
ついカッとなって怒鳴ってしまいがちです。大体は怒鳴った後に後悔するのですけれど・・・
また、学級のルールをしっかり教え込まなくてはと、このときとばかりにまくし立てるかもしれません。

ですが、自分はよく忘れ物をするだらしない子、友達をいじめる悪い子、給食をこぼすだめな子と
先生に自分の存在が否定的に思われていると感じる言葉かけではなく、どうしたら良かったのかという
失敗経験から学んだり、いじめられた相手の悲しさが伝わり素直に友達に謝れるような気持ちにさせられたり
こぼした給食を進んで片付けたり手伝ってもらった先生や友達に感謝したりできる前向きな気持ちを持てたりできる
良い言葉かけをしてあげたいです。

 子どもの評価の大切さは今更言うまでもないことです。子ども達が何を頑張ろうとし、
どんな頑張りを見せるかは、周りからの評価いかんにかかっています。
時には子ども自身が、自分の良さに気づいていないときがありますが、そこを見出し、
褒めることで、自分の良さに気づき、自分自身の成長を実感するきっかけにすることもできます。

 前期(1学期)は、できるだけ子どもの良さを見出してやりたい。そのために、
教師自身が1人1人の学習活動を記録に残し、同時に子ども達自身も自分の学習記録を
つけ、振り返らせたい。そうすることで、自分の成長を確かめることができます。

おとなしくて静かであり、行動が遅い、イコール消極的、では必ずしもありません。
慎重である場合もある。
逆に、活動的で、発言が多く、いつでもすぐ手を挙げる・・・子は、ある意味
慎重さに欠けると言うこともいえます。そのことを常に念頭に置いて、
1人1人の良さを評価していきたいです。

 
−−−記入のポイントを6つ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
各学期ごとに重点を変えて書く

一・二学期(または、前期)は一人ひとりの全体像やよさ、がんばりに着目して書いてきました。
三学期はこの一年間の子どもの伸びや目標の達成の様子、次の学年でがんばってほしいこと
などを記入する、というように、学期ごとにメリハリをつけてみましょう。
そうすると、所見の内容が重複することもなくなります。

 そのためにも、一・二学期の所見がすぐ確認できる状態にしたいです。
所見出ーたちゃんをお使いの方は、以前の所見が保存してあるのですぐに確認できますね(^O^)
そうでない先生も、返ってきた通知表(あゆみ)の所見欄を見れば確認できます。4年2学期の振り返りシートへ

三学期は、@期間が短い(実質2ヶ月しかありません)、A行事が少ない(6年生を送る会等くらい)ので、
事前に、「どんなことを所見に書くか」「何を中心に見るか」を明確にしておきたいです。
そして見るポイントを決めたら、必ず所見出ーたちゃんで記録してください。
そうしないと、あっという間に時間が過ぎてしまいます。


そして何と何と、これが、後々の「指導要録の作成」にも、しっかり役に立ちます。(/_・)/
3つの学期の所見があれば、要録を仕上げるのも簡単ですね。


ちょっと余裕があれば、1人1人の1年間を思い出して、どんなところがどのように変化してきたのか、

振り返ってみたいです。
より振り返りやすくするために、1年間を振り返る作文を書かせたり、
「1年間できるようになったこと新聞」「1年間成長新聞」「この1年でがんばったこと新聞」などなど、
を書かせてみましょう。(1年間をふり返って新聞のダウンロード)
すると縄跳びの○○○○ができるようになったとか、算数の計算が速くなったとか、漢字の
間違いが減ったとか、たくさん友達ができてよく遊ぶようになったなどなど、この1年ででき
るようになったことを書いてくれます。
それはすなわち、教師の評価でもあり、大変嬉しいものでもあります。
それらに目を通し、教師自身も振り返ると、子ども達1人1人のこの1年がよく見えてきます。

子どもの全体像が表れるように書く
記入後読み返してみると、その子の一面しか見えないような文章になっていることがあります。
また、前の学期と同じようなことを書いている場合もあります。全ての学期に書く必要はありま
せんが、その子のその学期のがんばりや姿が表現されているような所見にしたいです。

豊かな表現で書く
教師にも文章に癖があります。つい同じような言い回しや似た言葉を多用したりしてしまいがち
です。また、「・・ができました。」「・・を達成しました。」など結果のみを書いてしまうと、冷たい文
章となってしまいますので、どこかに「・・大変頑張りました。」「・・素晴らしかったです。」など教師
のその子に対する感情も織り交ぜたいです。これは賛否両論あると思いますが、子どもの力を伸
ばす、信頼関係を築く等の観点から必要であると考えます。豊かな表現でしかも好意的な書き方
をしますと、「がんばってよかった」、「次の学期もがんばろう」とやる気がわいてきて、その子の次
の伸びにつながっていきます。

分かりやすい言葉で書く

教師はつい教育用語や難しい言葉を使いがちです。わかりにくい言葉は冷たく感じられたり、文意
が曖昧に伝わったりしてしまう場合がありますので、できるだけ分かりやすい言葉や文章を書くよう
にしたいです。

どこをどのように直せばよいのか分かるように書く

「わり算に課題が見られます。」「発言が少なかったです。」など課題面を書くだけで終わってしまう
と、子どもや保護者もいやになってしまうので、どのように努力していけば改善され
るのか、見通しがもてるように書きたいです。また、課題面を書く場合は、先ずよい点
を褒めた上で書くと、がんばろうという意欲の向上にもつながりやすいです。

振り返りシートを活用して書く振り返りシート例
振り返りシート一太郎ファイル ,振り返りシートWORD形式ファイル
(画像が含まれているためWORDのファイルは2メガ近くあります。
上記のファイルをダウンロードして、ご活用下さい)
<手のマークで、右クリックして、「対象をファイルに保存」で可能です)


私は学期末にいつも「振り返りシート」(上記のファイル)を書かせます。その学期の自分の学習や行動はどう
であったか振り返らせることによって、自分を客観的に見つめることができ、次の学期へつなげるこ
とができます。それは子ども自身の反省と次への目当てを持たせるためのものですが、それを所見を
書くときにも活用するのです。今まで所見に生かそうと情報収集をしてきたのに、一つもチェックが付
かなかったという子もいると思いますが、その場合は何を書いたらよいのか本当に迷いますね。そん
な時こそ振り返りシートに書かせた学習面・生活や行動などの子ども自身の自己評価を参考に、その
子のがんばったことについて書きます。そして、再度その子が頑張ったことについて、テスト結果や
行事や係について調べ、書くべき内容を探します。
そこで案外素晴らしい一面を発見したりすることができるでしょう。

その子のよい面を見つけることができなかったことを反省しつつ、それを有効活用することで、
子どもの「これをがんばった」という思いとずれた所見を書くことはありません。


以上、所見記入のノウハウは、地道な教育活動の中にあるものばかりです。学習進度が遅れたり、
多くの会議や事務処理に追われたりして、ずるずると学期末に突入してあわてて所見に取りかかる
ことのないように、子どもに寄り添い好意的な目で情報収集して、子どもや保護者に喜ばれる所見
にしたいものです。