裁決書

                               裁   決   書


                                       審査請求人
                                       赤穂市塩屋○○番地
                                            □□□□

 平成15年6月2日付けで提起された審査請求について、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第40粂第2項の規定に基づき、次のとおり裁決する。

                              主      文
本件審査請求は、これを棄却する。

                              事      実
 西播都市計画事業塩屋土地区画整理事業(以下「本件事業」という。)の施行者赤穂市(以下「処分庁」という。)は、土地区画整理法(昭和29年法律第119号。以下「法」という。)第103条第1項の規定に基づき、平成15年5月14日付け赤都区第28号−664で、審査請求人(以下「請求人」という。)が所有する赤穂市塩屋○○所在の宅地基準地積○○.○○平方メートル(以下「本件従前地」という。)について、換地処分(以下「本件処分」という。)を行い、換地として、赤穂市△△町▽▽所在の宅地□□.□□平方メートル(以下「本件換地」という。)を定め、併せて徴収すべき清算金○○円(以下「本件清算金」という。)を定めた。
 請求人は、本件処分を不服として、平成15年6月2日付けで兵庫県知事に審査請求を提起したものである。
 法律とは恐ろしいもので、このような書き方をされると、従前地から換地へと移動したように思えてしまう。私が全く動いてなくて、住所が勝手に変わって、気付いたら土地が削られていたということが全く分からない書き方だ。おまけに訳の分からない清算金を徴収されるのだが....。 

                           請 求 の 要 旨
 請求人は、本件処分の取消しを求めており、その要旨は次のとおりである。
1 本件事業は、既存住宅の住民の意見と生活を無視し、地価の上昇による税収増加や保留地売却による収益をねらったものであり、特に既存宅地の住民を犠牲にするものであると言わざるを得ない。

2 本事業は、既に居住していた住民の反対に対して、負担はかけないとのことで強行された。ところが、その住民の信頼を裏切り、過大な清算金を課し、財産権と生括権を侵害しようとしている。

3 住民に、何らの具体的な納得できる説明もなく、一方的で秘密主義的なやり方で住民の和を破壊しようとしている。暮らしを尊重した住民合意のまちづくりの理念から遠く離れた愚策である。

4 本件処分は、清算金の決定・通知にも見られるように、満足な説明もなく、具体的な根拠も示すことなく行われてきた。これは、土地区画整理事業の情報を非公開としている点で違法である。

5 縦覧公告に対する意見書を提出した結果、送付された通知書と、さらに提出した質問書に対する回答書には大きく矛盾する点があり、処分庁の対応は信用できない。

6 本既存住宅については、14メートル道路に面しているという理由で、清算負担金が発生するとの口頭での説明があったが、それは計画上の都合であり、既に居住していた者にとっては何ら責任がないし、玄関は従来からの5メートル道路に面している。永住希望で売却するつもりもないので、増加した固定資産税の納入以外に負担をすることは了承できない。

7 本件換地は、14メートル道路と5メートル道路の角地であるため、負担率が増加したとの説明も、同じ理由で、角地になるよう求めたわけではない。周囲の目にさらされ、ロータリー状の不必要な広さの道路のため通過車両の騒音に悩まされ、むしろ不利益を被っている。居住している場所が変わったわけでもなく、住民が生活する上での利益を得ていないのに対価を求めるような行為は税の2重取りに等しく不当である。

8 本土地は工事によって無断で形状を変更・削減されており、当時、処分庁に対して抗議したが、面積の変更はないとの説明を受け、無断での施工については口頭での謝罪を受けたので市の発展のためと態度を保留してきた。しかし、わずかながらも減歩されていることが判明した。既存住宅は減歩しないとの説明にも反するし、先の謝罪を受けたときにも明らかに虚偽の説明を受けたことになる。このようなことは違法性を感ずるし、道義的にも不当であるとの感が否めない。

9 これまで、処分庁を信じて支払ってきた固定資産税も不当である。

10 20年近くかかった工事の結果、突然、何百万円以上もの清算金を請求し、速やかに支払いを求める行為は、全く庶民感覚を無視しているし、適正な負担額とも思えない。

11 本件事業の結果、対象区域に隣面する地域の中で、広い道路に面することになった地域は、豪邸が建ち、市のおかげで儲かったとの話も出ており、区域内の既存住宅の住民との格差は歴然であり不公平であるし違法性を感じる。

12 「西播都市計画事業塩屋土地区画整理事業清算金分布表」では、徴収金額と交付金額の合計が同じ金額となっている。発生した交付金に合わせるために作為的に数値等を操作して徴収金額を算定しなければこのようにはならない。処分庁から説明のあった計算式や指数等には妥当性も正当性もない、住民無視の不当な行為である。

13 請求人以上の徴収を受ける住民もある。このような事態は、処分庁の計画の見通し、減歩等の不手際から生じたものであり、その責任を一部住民に押しつけるかのような清算金の徴収はとうてい納得できるものではない。

14 請求人が提出した意見書は、審議会で協議して却下したと通知があった。しかし、審議会は委員の提案により、一部を除いては処分庁がまとめて提案し、一括して審議をし、裁決されたので、それぞれの意見に対応するかたちの決定通知はなされなかった。一人ひとりの住民の願いを込めた意見書を、ひとまとめにする市の審議会のやり方は不適格といわざるを得ない。

15 既存宅地は減歩しないとの事前説明があり、清算金については言及がなかったが、清算金の徴収は金納による実質的な減歩であり、事前の説明に反する。また、精算金が発生することが分かっていながら言及しなかったのであれば不誠実であり、悪意すら感じる。

16 仮換地等の縦覧において、既存住宅の減歩及び清算金などについて処分庁は説明したと主張するが、説明を受けた住民は多額の清算金が発生することなど想像できなかった。
 処分庁も縦覧に参加した住民が少なかったことを認めているが、反対のでないように、できるだけ知らせないようにする処分庁の手法は、非情に不誠実で、何らかの悪意による作為や一部の者の利益を優先する不公平さ、丁寧な説明を怠った怠慢がある。

 確かに文章にすればその通りなのだが、気持ちを大切にしたい私としては、以前、口頭で訴えた。金額をどうのこうの言ってるだけではなく、納得させてもらいたいのだ。会ったこともない新しい担当者に私の気持ちを伝えるすべもない。もっとも、気持ちなんか知りたくもないのだろうが。 


                           理       由
1 本件処分の照応性について

(1)土地区画整理事業の施行者が適法に換地を定めるに当たっては、法第89条第1項に規定する照応の原則に則り、換地及び従前の宅地が位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等の諸点において照応するよう定めることが必要である。

   そして、土地区画整理事業は、そもそも土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更を内容とするもの(法第2条第1項)であり、その性質上、すべての換地を従前地に定めたり、すべての条件において従前地と一致するように換地を定めることは、技術的に困難であるから、法第89条第1項における照応とは、これらの諸要素を総合的に勘案して、指定された換地がその従前の土地とはぼ同一条件にあり、かつ、施行地区全域にわたるすべての換地がおおむね公平に定められるべきことをいうものと解するのが相当である。そして、指定された換地が、地積、形状、環境その他の個々的な点において従前の土地と必ずしも符合しない場合であっても、当該換地処分が直ちに違法又は不当となるものではなく、それが上記諸要素を総合的に考察してみてもなお、従前の土地と著しく条件が異なり、又は、格別合理的な理由もなくして、近隣の権利者に比較して、甚だしく不利益な取扱いを受けたという場合でない限り、当該換地処分は違法又は不当とならないものと解すべきである。

   これを本件処分についてみると、次の事実が認められる。

  ア 本件換地は、本件従前地のほぼ原位置に指定されていること。
 「ほぼ」ってどうよ。全く動いていないんだよ。向きが変わったとか、形が変わったとかじゃなくて、「全く変わっていません」と言われたのに削られたんだよ。それも無断で。 

  イ 本件従前地の基準地積が○○.○○平方メートルであるのに対し、本件換地の地積は□□.□□平方メートルであって約▽.▽▽パーセントの減歩となっていること。
 だから無断でやられたんだよ。他人の財産を無断で取り上げるのは犯罪だろう。多い少ないの問題じゃないよ。 

  ウ 本件処分の前後において、その土質、水利に大きな変化はないこと。
 同じ場所なんだから当たり前。変化があれば一大事。 

  エ 本件従前地は、北側において間口9メートルで幅員5メートルの公道に面する宅地であったのに対し、本件換地は、西側において間口16メートルで幅員14メートルの公道に面し、北側において間口9メートルで幅員5メートルの公道に面する宅地で角地となること。
 頼んだわけじゃない。勝手に工事しておいて、費用を払えと言うのは、悪徳業者と同じだってことに気づけよ。 

  オ 本件事業により、本件換地が西側において面する道路が幅員14メートルの道路が整備されるほか、その施行地区内において幅員16メートルの都市計画道路塩屋線を始めとする道路や都市計画公園塩屋公園などの公共施設が整備されることなどにより、本件換地の宅地としての利用状況は本件従前地に比して向上し周辺環境も良好なものとなること。
 周辺環境が良好かどうかは、住んでいる人間の願いが少しでも叶うかどうかと言うことで、行政側の言い分しか採用しとらん。第一、14メートルの道路に面している我が家と、隣家とどれほど環境に差があるというのか。百万円を超す負担の差があるとはとうてい思えない。これを「 甚だしく不利益な取扱いを受けた」と言えないというのなら、この裁定をした人間はよっぽど裕福な生活をしている人間なのだろう。

(2)請求人は、その主張第8及び第7において、処分庁から従前地については減歩しないとの説明を受けていたにもかかわらず、わずかではあるが減歩となったこと、本件換地では道路拡幅による交通量の増大に伴い、通過車両の騒音により環境が悪化したことについて不服を主張し、本件換地が本件従前地に比して、地積、環境の点で照応していない旨を主張しているものと解される。

   そこで、(1)アからオまでの事実を踏まえて、以下請求人の主張について判断する。

  ア 請求人は、その主張第8において、処分庁から従前地については減歩しないとの説明を受けていたにもかかわらず、わずかではあるが減歩となったことに対して不服を主張している。これは要するに、本件換地が本件従前地に比して地積において照応していない旨を主張しているものと解される。
    土地区画整理事業は、法第2条第1項に規定するとおり、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図ることを目的として行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業であるから、公共施設の整備改善のための土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に伴い、結果的に宅地がいわゆる減歩を受けることは、土地区画整理に関する法令にしたがい当該事業が遂行される限り容認されなければならないところである。
    そして、換地の地積は、事業の遂行による本件従前地及び換地の条件を比較し、その利用価値の増進の度合いに応じて定められるべきものであるから、利用価値の増進の度合いが高ければ、結果として減歩率も高くなり、利用価値の増進の度合いが低ければ、結果として減歩率も低くなるものである。
    本件についてみると、本件換地は、本件従前地に比して約▽.▽▽パーセントの減歩となっているものの、前述のとおり、本件換地の宅地としての利用価値は本件従前地に比して向上していると認められ、この減歩により請求人に多大な不利益を与えるものとは認められず、本件処分が違法又は不当なものとは認められない。
 事前の説明と結果的に違っていても、わずかな違いはかまわないということを言っているのだろう。いやしくも行政が結果的にでも嘘をついたということを言っているのに、これじゃあ話にならん。 

  イ 請求人は、その主張第7において、道路拡幅による交通量の増大に伴い、通過車両の騒音により環境が悪化したことについて不服を主張している。これは要するに、本件換地は本件従前地に比して、環境の点で照応していない旨を主張しているものと解される。
    本件換地周辺道路の整備により、一定の交通によるある程度の交通公害等の発生の可能性がないとはいえないが、これらは、その程度により警察権による適切な道路交通の規制、道路管理者の保安施設の設置により回避されるものであり、しかも今日における市民一般の生括状態を鑑みれば、この道路を利用することにより発生の可能性のある交通公害等がこの地域内の宅地全般の利用の増進を阻害するものとは認められず、本件処分が違法又は不当なものとは認められない。
  したがって、本件処分は請求人の主張する点においても照応を欠いているということはできず、その他照応の原則の適用に当たって何らそれを欠くところも見当たらないから、請求人の主張には理由がなく、本件処分を取り消すべき理由として採ることができない。
 つまり、道路を広げたために悪化した環境は、警察に何とかしてもらえという、いわゆる「まるなげ」ということ?
 何年か前から南庭に置いている物が無くなる。ほとんどが廃棄しようと思って置いている物だが、まだまだ使える端材などもやられてしまった。工作台のテーブル補助板もとられている。人目につくところに放置している方が悪いと言われればそれまでだが、少なくとも他人の敷地に不法侵入しているわけだ。
 金銭的なことよりも、モラルとか治安の悪さが目につきだしたことと、道路が出来たこととは無関係とは言えまい。突き当たりだったときにはそんなことをする輩はいなかったし、それなりの心的防止にもなっていた。
 不特定多数が通るようになって、気分の悪いことが続いている。近所の人間だとは特定できないし、疑うこと自体が精神衛生上良くない。これを環境の悪化と言わずして何とするというのか。
 

2 清算金の算定について
(1)換地指定が適法であるためには、前述のとおり、従前の宅地と換地とが、位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等の諸点において照応することが必要である。そして、そのようにして換地を指定した場合においても、区画整理施行前後の各宅地の利用増進の度合いは必ずしも一様ではなく、そのため、施行地区内の各宅地相互間に不均衡が生じることがあるので、この不均衡を是正するため清算金の徴収又は交付が行われるのである(法第94条)。

(2)請求人は、その主張第2、第6、第10、第12及び第13において、本件清算金の算定が適切でない旨主張しているので、以下請求人の主張について判断する。

  ア 本件に係る清算金の算定については、西播都市計画事業塩屋土地区画整理事業換地設計基準(以下「本件設計基準」という。)第6条の規定により比例評価式換地計算法が採られていることが認められる。この計算法によると、各従前地に対する権利価額は換地の評定価額総額と従前地の評定価額総額の比(比例率)を各従前地の評定価額に乗じたものとして表される。こうして算定された従前地の権利価額と実際に指定を受けた換地の評定価額との差額が清算金となり、後者が大である場合に両者の差額が従前の宅地の権利者から徴収すべき清算金となり、逆に後者が小である場合に両者の差額が交付すべき清算金となる。本件事業についても、西播都市計画事業塩屋土地区画整理事業施行規程第19条において、法第94条の規定による清算金は従前の権利価額と換地の評定価額との差額とする旨規定されている。
  イ 次に、この清算金の算定の前提となる土地の評価については、次のとおり土地の評価を行っていることが認められる。

  (ア)本件事業における土地の評価については、路線価式評価方法が採られている。この評価方法は、路線ごとにこれに面する標準的な宅地を選定して、その単位地積に対する価額を指数で表したものを各路線の路線価とし、これを基礎として同じ路線に属する他の画地については、その画地の形状等の特性に基づいてこれを加算及び修正して土地の評価を行うものである。この評価も相対的な指数によって表されているので、この指数1個当たりの単価を算定し、これを従前地及び換地の評価の総指数に乗じて従前地の権利価額及び換地の評定価額を算定し、両者の差額が清算金となるものである。
     この評価方法は、路線価の定め方及び画地の特殊性に基づく評価方法が適正になされる限り、理論的かつ科学的に土地の客観的な利用価値を評価する方法として、広く一般的に採用されており、その評価方法に違法又は不当な点は認められない。
  (イ)次に、指数1個の単価については、処分庁が過去に実施した事業における算定方法も踏まえて、公的評価である固定資産税評価額、相続税路線価額を使って算定していることが認められる。この固定資産税評価額、相続税路線価額などの公租公課評価額を参酌した単価の算定方法についても、広く一般的に採用されており、その算定方法に違法又は不当な点は認められない。
     具体的には、1平方メートル当たりの指数に見合う平成14年4月現在の固定資産税評価額平均単価○○○○円と相続税路線価額平均単価▽▽▽円を基礎として、換地計画作成時から清算金の徴収開始までの約1年間(平成13年1月から平成14年1月まで)の本件事業地内の地価公示基準値の変動見込み率○.○○を加味して指数1個の単価□円を算定されていることが認められる。また、この単価の決定の手続きについても、法第88条第6項の規定により、平成14年6月19日に西播都市計画事業塩屋土地区画整理審議会を開催し審議会の意見を聞くとともに、法第65条第3項の規定により、平成14年6月20日に塩屋土地区画整理事業評価員会議を開催し、評価員の意見を聞いて決定されており、法令に定める手続を適正に経て定められたことが認められる。
  (ウ)また、路線価の定め方については、道路の機能・性質に関する要素で、道路の系統(国道、県道、市道等の系統性)、道路の連続性、道路の幅員、舗装・歩道の有無などを数値化した街路係数、公共的な施設に対する接近性に関する要素で、駅からの距離、学校・公園等によりもたらされる受益を数値化した接近係数、宅地そのものの性質に関する要素で、土地利用状況(建ぺい率、容積率)、供給処理施設(上水道・下水道等)の有無などを数値化した宅地係数により各路線価を算定していることが認められる。なお、各路線の路線価の表示については、施行前の路線価の最大値を指数1,000個として各路線価と比較換算した指数(以下「路線価指数」という。)により表示するものとされている。
     これを本件についてみると、施行前の路線価の最大値である国道250号沿線を路線価指数1,000個として定め、これから比較換算することにより各路線の路線価指数を算定していることが認められる。具体的には、本件従前地が北側において面する幅員5メートルの道路については、国道250号に比して幅員が狭いことなどを勘案して路線価指数を○○個と定めていることが認められる。また、本件換地が北側において面する幅員5メートルの道路については、連続性などを勘案して路線価指数を○○個、西側において面する幅員14メートルの道路については、国道250号に比して公共施設の整備状況により、宅地の有効利用性等が増進していることなどを勘案して路線価指数を○○個と定めていることが認められ、この各路線価指数についても、本件設計基準に基づき定められたことが認められる。
  (エ)次に、従前地の評価については、上記路線価指数に基準地積を乗じた指数を基礎に、既存の宅地等に対する指数加算や画地の形状等ごとに定められた指数の加算及び修正を行い総指数を算定していることが認められる。
     これを本件についてみると、本件従前地は、その画地の形状は1辺が路線に面している普通地と判断されるため、その画地の形状等ごとに定められた指数の加算及び修正は行われていないことが認められる。もっとも、本件従前地は、従前において建物の用に供されている宅地であると判断されるため、既存の宅地等に対する指数加算が行われていることが認められる。このことから、本件従前地の評価については、路線価指数○○個に本件従前地の基準地積○○.○○平方メートルと既存の宅地等に対する加算率○パーセントを乗じた指数○○○個が本件従前地における評価の総指数となり、これに指数1個の単価○円を乗じた○○○円が本件従前地の権利価額となる。
  (オ)また、換地の評価については、仮換地指定において、上記路線価指数に仮換地地積を乗じて得た指数を基礎に画地の形状等ごとに定められた指数の加算及び修正を行い算定された指数に、さらに仮換地と換地における地積の比を乗じて総指数を算定していることが認められる。
     これを本件についてみると、本件換地は、その画地の形状は2路線の交差する位置にあって、それらのいずれにも面する角地と判断されるため、角地による側方加算指数を加算して指数が算定されていることが認められること、また、その画地の奥行きが最大で○メートルであるため奥行低減率により修正が行われていることが認められる。このことから、本件換地の評価については、路線価指数○○個に仮換地地積○○.○○平方メートルと奥行低減率○を乗じた指数○○○個に、角地による側方加算指数○○個(側方路線指数○○個に側方路線間口9メートル及び側方加算率○を乗じて得た指数に、さらに正面路線間口16メートルを乗じて20メートルで除した指数)を加えた指数○○○個が仮換地における評価の総指数となり、さらに、これに仮換地地積○○.○○平方メートルと換地地積平方メートルの比を乗じた指数○○○個が本件換地における評価の総指数となり、これに指数1個の単価○円を乗じた○○○円が本件換地の評定価額となり、本件従前地の権利価額○○○円との差額□□円が徴収されるべき清算金となっていることが認められる。
  以上、本件処分に係る土地の価額の評価については、法令等に定める手続を適正に経て行われたものであり、また、その算定についても、路線価を基礎として、本件設計基準に基づき、形状等による画地修正などが行われたものと認められる。
  したがって、徴収すべき清算金○○○円の算定は、一般的に採用されている評価方法により定められた本件設計基準に従って行われており、そこに特段違法・不当な点は認められないので、請求人の主張には理由がなく、本件処分を取り消すべき理由として採ることはできない。
 そら、行政側の主張を行政側の立場から言っているのだから、そうなるだろう。そんな計算の方法を説明して欲しいのではなく、明らかにつじつま合わせの計算でしかないのに、後付けの理由をつけていることに納得できない。
 あくまでもこちらを納得させる気はないらしい。 

3 本件処分に係る請求人のその他の主張について
(1)請求人は、その主張第3、第15及び第16において、本件処分及び本件清算金について十分な説明が行われていない旨不服を主張しているものと解される。
   本件処分は法令にしたがってなされるべきものであり、かつ、それで足りるものであるところ、本件処分を行うに当たって、請求人に本件処分などについて説明を行うことは、本件処分が適法であるための法令上の要件ではない。
   本件処分は法令に定められた手続を経て適法になされたものであると認められるところ、仮に、処分庁が、請求人に対して、本件処分などについて説明を行っていないとしても、そのことをもって本件処分が違法又は不当なものとなるものではない。
   したがって、請求人の主張には理由がなく、本件処分を取り消すべき理由として採ることはできない。
 「行政は、主権者である住民に説明しなくてもかまわない」といっていると受け止めるんだけど、それって憲法の趣旨に反すると思えるんだけどね。 

(2)請求人は、その主張第11において、本件事業の施行区域に隣接する地域において道路拡幅等により利益を受けた住民と本件事業施行区域内の既存住宅の住民との格差があり不公平である旨不服を主張しているものと解される。
   請求人の主張する隣接地域は本件事業施行区域外であり、当該地域の整備状況は本件処分の関わるところではない。
   したがって、請求人の主張には理由がなく、本件処分を取り消すべき理由として採ることはできない。
 道路というのは、隣接しているもののみが利用するのではなく、誰でもが利用できるものである。その意味から、道路をどうするかは行政の仕事であり、一部の住民に負担を強いるものであってはならないと思うんだが。 

(3)請求人は、その主張第4において、本件事業に対する処分庁の情報提供に関し不服を主張しているものと解される。
   法第84条第1項の規定によれば、施行者は、規準、規約、定款又は施行規程並びに事業計画又は事業方針及び換地計画に関する図書その他政令で定める簿書を主たる事務所に備え付けておかなければならないとされており、本件事業の簿書について、処分庁は、その主たる事務所である赤穂市加里屋81番地、赤穂市役所内に備え付けており、請求人はいつでも閲覧できる状態にあったものと認められ、それ以外の法定外の手続が処分庁に義務付けられているわけではないから、これを欠いたとしても、本件処分は違法又は不当とならない。
   したがって、請求人の主張には理由がなく、本件処分を取り消すべき理由として採ることはできない。
(4)請求人は、その主張第1、第9及び第14において、既存宅地の住民を犠牲にした処分庁の姿勢、これまで払ってきた固定資産税が不当であること、土地区画整理審議会のやり方について不服を主張しているものと解される。
   本件処分の取消しを求める理由としては、本件処分自体の違法又は不当をその理由として主張しなければならないところ、請求人の主張は、本件事業に対する処分庁の 姿勢、今までに支払った固定資産税が不当であること、審議会での審議方法に対する不服について述べるものであって、本件処分自体の違法又は不当をいうものではない。
   したがって、請求人の主張には理由がなく、本件処分を取り消すべき理由として採ることはできない。
(5)請求人は、その第5の主張において、処分庁の縦覧公告に対する意見書の回答と別途提出した質問書に対する回答が大きく矛盾することについて不服を主張しているものと解される。
   本件処分は法令にしたがってなされるべきものであり、かつ、それで足りるものであるところ、本件処分を行うに当たって、処分庁の縦覧公告に対する意見書の回答と別途提出した質問書に対する回答が一致することは、本件処分が適法であるための法令上の要件ではない。
   したがって、請求人の主張には理由がなく、本件処分を取り消すべき理由として採ることはできない。
 不誠実さに腹を立てているのであって、ここでしか自分の思いを表すところがないから請求したのであって、好きこのんでこんな面倒くさいことをやっているわけではない。
 納得できる説明がなされないから怒っているので、金額の多い少ないを言っているのではない。
 納得させられない仕事をしているのなら、辞めちまえと言いたい。 

  もっとも、事業の施行に当たり、処分庁が事業説明会等において個々の権利者の了解を得るよう努力し、地権者の疑問を解消し、説明を求められた事項については十分に説明を尽くすことが紛争の予防を図る観点からも望ましいのはいうまでもないことである。
 本件事業については、多数の審査請求が提起されているが、これは処分庁が地権者に対して行った清算金等についての説明や地権者の要望等に対する対応が最小限度にとどまり、地権者の十分な理解を得ないまま、事業を進めてしまったことが一因となっていると思慮されるところである。
 以上、本件処分は適法になされた妥当なものであると認められるところ、本件処分の取消しを求める請求人の主張にはいずれも理由がなく、他に本件処分を取消すべき理由も認められない。
  理解を得ないまま進めることが、行政として最もやってはならないことだというふうにはならないものだろうか。



 よって、主文のとおり裁決する。

平成20年10月17日
                    兵庫県知事  井 戸 敏 三


(教示)
1 この裁決について不服があるときは、この裁決があったことを知った日の翌日から起算して30日以内に、国土交通大臣に再審査請求をすることができる。
2 この裁決について不服があるときは、上記1の再審査請求の他、この裁決があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に兵庫県を被告としてこの裁決の取消しの訴えを提起することができる。ただし、この裁決の取消しの訴えにおいては、本件審査請求で取消しを求めた処分(以下「原処分」という。)が違法であるとの理由でこの裁決の取消しを求めることはできない。
  原処分が違法であることを理由とする場合は、この裁決があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に赤穂市を被告として原処分の取消しの訴えを提起することができる。

  上記は謄本であることを証明する。

平成20年10月17日

                    兵庫県知事 井 戸 敏 三
 この程度の内容の採決に、請求してから何年もかかっていながら、30日以内で再審査請求しろとはね。