反論書

平成15年9月1日

兵庫県知事 ○ ○ ○ ○ 様
   (従前住所)赤穂市○○○○番地
                      (現住所)赤穂市△△△△番地
  審査請求人  □ □ □ □  印

反 論 書

 平成15年6月2日付けの審査請求に関し、平成15年8月6日に到達した処分庁(代表 赤穂市長 ○○○○)の弁明書(赤都区第○○○号)について、次のとおり反論します。

1.反論の趣旨
   処分庁(代表 赤穂市長 豆田正明)の弁明書について納得できません。

2.処分庁の弁明
   省略

3.弁明に対する反論
 (1)弁明の方法について
     審査請求の理由の項目に対応する形での弁明がなされていない。不明瞭で不誠実である。
 (2)弁明の(1)、(2)、(3)について
     審査請求者の個々に対して、同じ文で一般的な説明に終始している。これは、一方的な主張であり、弁明と
    は認められなし、処分庁が一貫して行ってきた不誠実な対応と何ら変わっていない。
 (3)請求人の主張(1)、(2)、(5)、(9)と追加(2)を失当としたことについて(1)と追加(2)は、本事業が既存住宅
   (住民の居住権)に対する配慮の欠如を問うたものであり、見込み以上の事業費の増加を住民の負担でまかな
   おうとする処分庁の姿勢を問うものである。(2)は、既存住宅の住民からの反対を避けるため、「減歩はしない」
   とのみの説明で、清算金について言及していなかった不誠実な対応についての抗議である。(5)と(9)は、既存
   住宅という表現で、いかにも居住権を考慮したように見せながら、他の文書では既存宅地とし、居住していた土
   地と更地を同等に扱っていることへの不信感と、隣接する一部の地域を対象外とすることで不公平感を生じさせ
   ていることに対する疑念を述べている。さらに、建築物の移動においては、曳き家で対応し、建てかえはしない方
   針だとしておきながら、隣接した地域では、建てかえで対応しており、住民は不信感、不公平感を持っている。
     これらのことは、本審査請求の原因となる事業の不誠実性、不公平性にかかわる率直な疑問であるにもか
   かわらず、「失当」の一言で弁明を回避することは、公共の福祉をうたう処分庁としては、まさに不誠実そのもの
   であり、不透明感、不平等感をいっそう持たざるを得ない。
 (4)弁明の(4)について
    @ 弁明Aで、本件換地は、従前地と同じ整形であり、面積も変わっていないとしているが、無断で地形を変更
      されている。抗議したにもかかわらず、市当局は無視を通してきた。
    A 弁明Bで、事業当初より建築物があったため、形状が従前地と同様としながら、従前地の148.00平方メー
      トルが換地の147.43平方メートルと減少したことを技術的理由としている。また、既存宅地は減歩をしないと
      しながら、減歩したことを認めている。
       境界杭を地権者に無断で撤去し、形状を変更しており、その時に面積をも削減したことは明らかである。
      これは、行政が公共の福祉のために行う事業と呼べるものではない。土地を地権者に無断で切り取る行為
      は犯罪である。
       無断で形状を変更しておきながら、面積の変更はないと言い張り、結果、このような矛盾を生じさせた責
      任は大きい。技術的な理由(誤差)と言うには、あまりにもお粗末で、違法な行為、不誠実、不当な対応であ
      る。さらに、この件に関しては、一貫して無視し続けており、立ち会いの上での確認もしていない。また、前
      記のことも含め、事業の意義やその実施方法の論議以前の問題で、このようなことが認められるのなら、
      行政には善意は存在しない。無知や善意を利用してだまされたという感が払拭できない。
       本年6月に抗議したときにも、調査する旨答弁しておきながら、何ら具体的な説明がなされていないことも
      付け加えておきたい。
  B 弁明のAで、幅員5メートルの道路に面していた従前地が、幅員5メートルと幅員14メートルの道路に面し
      た角地となったとしているが、従前からの建築物は幅員5メートルの道路を利用するべく建築しており、幅員
      14メートルの道路による土地利用増進の利益を得ていない。建築前ならともかく、利用状況を考慮かのよ
      うな弁明をしておきながら、東側に隣接する土地には負担がない等、清算金についての多額の格差は容認
      できない。
  C 弁明Cの土地利用の増進については、農地や更地の地権者については当てはまるが、既に居住していた
      住民には、理解できるものではない。特に、隣接する幅員14メートルの道路については、その必要性に大
      きな疑問を感じる。
       この道路は、本換地周辺を周回するのみで、幹線道路としての用をなさないばかりか、速度を上げ、騒音
      をまき散らす危険な運転が多く、住環境は悪化している。不必要と感じる道路によって隣接する宅地の住
      民のみに精算負担金が発生することに、大きな抵抗を感じる。
    D 弁明のDで、具体的な説明を行ったとしているが、精算負担金の通告を受けただけである。後日の住民に
      よる抗議によって、消極的で不十分であるが、説明の場を持った。もちろん、納得できるものではなかっ
      た。
    E 弁明のEに、情報公開を積極的に行ったような記述があるが、精算負担金等について理解できるような満
      足なものではなく、住民に十分な情報を提供すれば、反対が増えることを認識しており、それを回避しようと
      していたことは、仮換地縦覧者が少数だったことを認識していた当局の発言や、市議会において、取り組み
      の至らなさを認めた市長答弁からも明白である。さらに、清算金の一覧表を自治会役員のみに渡し、住民
      には知らせなかったことからも、不明朗な手法だといえる。
 (5)その他の主張に対する弁明について
    @ 理由の追加(1)について
       具体的弁明がない。
       路線価方式の計算では、徴収金と交付金が一致することなどあり得ない。全市的な事業であり、本地区
      の区画整理事業に直接関係のない、下水道整備が加算されていることや、幹線道路である国道250号線
      よりも、本換地に隣接する幅員14メートルの道路の方が路線価が高いことなどから考えると、徴収金と交
      付金を一致させる意図で、作為的な操作があったことは、何の知識や資料も持たない私たち住民でも容易
      に推察できることである。交付金に必要な資金を一部の既存住宅の住民からの徴収金でまかなおうとする
      手法は、ほとんど条件の変わらない隣接する宅地からは徴収しないため、不公平感が生じ、不適切であ
      る。このような、地域住民相互に不信感を生じさせる施策は、公共の福祉や地域の発展を目指すものとし
      ても不適切である。
       長すぎる事業の結果、経済の破綻による資産価値の低下や事業費の出費増や設計上の不手際による
      交付金の増加の処理を第1に考え、既存住宅の住民に負担を強いる結果を生じさせた。組合制ではなく、
      行政主導で行った事業としては、あまりにもずさんで、配慮に欠けており、住民の生活権を軽視している
  A 理由の追加(3)について
       具体的弁明がない。
       個々に対する処分であると言いながら、先の弁明書と同様、一人ひとりの主張に対して、一括で扱おうと
      する姿勢は、問題点を曖昧にし、不都合な事柄を回避しようとする。不当で不誠実な対応である。
    B 理由の追加(4)と(5)について
       具体的弁明がない。
       住民の反対を回避するために行われた不誠実な対応を問題にしており、弁明書の中にも誠実さが見られ
      ない。住民を敵視するような対応でなされた処分には、とうてい承伏できない。
   以上反論したとおり、本処分は処分庁の不誠実な事業の結果の産物であります。知識や資料の乏しい一住民の
 立場では、十分な主張もできませんが、よろしくご配慮の上、不信感や不公平感を払拭して、互いが仲良く、希望を
 持った市民生活が送れますような御裁決いただけますようお願いいたします。
  なお、弁明書の項目2の、弁明の趣旨に於いて、裁決ではなく、採決を求めていることには、疑問がある。我々素
 人と違い、職務としてかかわっており、決済まで受けたであろう文書としては、そのずさんさを露呈しているのではな
 いか。住民との話し合いの場で、「審査請求書の書き方も分からない」と訴えたとき、「とりあえず適当な内容で審査
 請求を出しておけば、県が十分調査するはずだ。」と住民の抗議を軽視し、上級処分庁である県に対応を任せる、
 無責任で不誠実な発言をした市当局の姿勢が、ここに現れている。