大阪中之島
大阪市中央公会堂


大阪中之島の中央公会堂は大阪近辺でスケッチされる方が必ず描かれる場所です。1911年株の仲買人であった岩本栄之助が渡米し、アメリカの公共の建物が立派なことに感心し、また資産家が慈善事業に多額の寄付をするのを見て、帰国後、大阪の公共施設のため私財100万円を寄付します。建設に当たっては設計競技が行われ、岡田信一郎の案が採用され、辰野金吾、片岡安が実施設計を行いました。1913年に着工し5年後に完成しますが、立役者であった岩本栄之助は第1次大戦後の相場の変動で失敗し、公会堂の完成を見ずにピストル自殺してしまいます。ネオ・ルネッサンス様式にバロックやセセッションの意匠を採り入れた華麗な建物と、一人の実業家の波乱の人生がかさなって、歴史の流れを感じさせてくれます。戦災にも生き残り、近年耐震補強と保存再生工事が行われ、大阪市民に親しまれています。国の重要文化財   2010/11/9記               
著書「れんが・街ものがたり」、電力会社PR誌表紙、阪急ラガールカード、「経済人」表紙などに掲載

                                           

安田泰幸アート&スケッチ

YASUDA YASUYUKI

水彩画スケッチ紀行

水彩スケッチ 「大阪高麗橋三休橋筋 旧日本教育生命保険」 2007年 157x226 mm  

ポストカード水彩スケッチ 「同志社大学クラーク記念館」 2009年 120x165 mm  

旧トーマス邸 神戸北野            水彩スケッチ  1997年  158x203mm
神戸の北野にある風見鶏の館、旧トーマス邸である。明治時代の終わり頃、海岸通りに建てられた当時の画期的な建築オリエンタルホテルを設計した、ドイツ人建築家G.デ・ラランデの設計になる異人館だ。横浜や神戸で活躍した貿易商ゴットフリート・トーマスの邸宅であった。30年以上前のNHK連続テレビ小説で有名になった。この10月から月1回、12月まで計3回の特別講座が、NHK文化センターで開かれる。現地集合の水彩スケッチ講座で、1回目が北野の予定。 2011/9/12記          
■著書「神戸・街ものがたり」(1997。駿台曜々社刊)に所収   

■パナソニック電工2010卓上カレンダー「松下幸之助の言葉−志」に掲載
■著書「神戸街角ものがたり」(2011.神戸新聞出版センター刊)に所収        
神戸市文学館 旧関西学院ブランチメモリアルチャペル          ポストカード水彩スケッチ 2011年 120x165mm
神戸の王子公園のあたりには、学生の頃からよく来たものです。兵庫県立美術館があって、大きな展覧会が時折開かれていたからです。神戸に住むようになってからは、子どもをつれて王子動物園に来てました。この動物園横の、関学発祥の地に煉瓦造りの礼拝堂が残っています。現在関学のキャンパスは西宮の上ヶ原、阪急宝塚線甲東園駅から丘を登ったところにありますが、創立の頃は灘区にあったんですね。イギリス人建築家ウィグノールの設計で、100年前の1904年に竣工しました。国の登録有形文化財になっています。今月6月の末から7月12日まで、新刊「神戸街角ものがたり」の原画を、原画を描いた場所を描写している有名な文学作品と一緒に展示していただくことになりました。ちょっとおこがましいですが…。7月2日土曜日には神戸の街とスケッチについてお話もさせていただきます。  2011/6/9記

れんが建築紀行-1

寺田紡績 大阪貝塚            ポストカード水彩スケッチ 2011年 165x120mm
関西経済連合会発行の「経済人2011年7月号は大阪の貝塚市。4枚目は寺田紡績の煉瓦造りの工場。泉州は紡績や綿織物で栄え、かつては日本の産業の近代化に貢献した。今も多くの工場が残っている。寺田紡績は明治末の創業。津田川河口に赤れんがの壁が続く。 2011/7/19記      
■関西経済連合会発行「経済人」2011年7月号表紙に掲載

                      
               
同志社大学
クラーク記念館


上のポストカードスケッチより以前に、朝日・JTB文化交流塾「安田泰幸-街旅スケッチ」講座で、受講されているみなさんと一緒に描いたスケッチです。F6の紙にコンテ鉛筆で輪郭を描き、透明水彩で着彩しました。

大阪高麗橋
旧日本教育生命保険


大阪の三休橋には、綿業会館をはじめ、優れた近代建築が残っています。高麗橋界隈に、明治時代に建てられた煉瓦造りの建築があり、目をひきます。20年ほど前私が初めてこの建物を描いたときは、大中証券のビルになっていました。その後フランス料理のレストランなどにも利用されていました。設計は東京駅や日本銀行を設計した辰野金吾と片岡安の建築事務所です。南隣はW.M.ヴォーリズが設計した日本基督教団浪花教会で、東隣りは、料亭本吉兆の高麗橋本店です。最近、近代建築を見ることを趣味にされている方が非常に増えてますが、このビルは正面の交差点に電線が張りめぐらされていて、写真を撮るのに苦労されていて、ネットでも多くの写真が公開されていますが、写真説明によくボヤキがはいっています。


築港赤レンガ倉庫 大阪          ポストカード水彩スケッチ 2011年  120x165mm
関西経済連合会発行の「経済人」-スケッチ紀行・歴史を歩く-8月号は大阪港天保山をとりあげた。3枚目は築港赤レンガ倉庫。このあたりは第1次大戦後、民間による港湾施設の整備が進んだところで、近くには住友岸壁があった。住友倉庫によって1923年に建てられた倉庫群は、1999年まで使用されていた。旧200倉庫と旧300倉庫が残っている。絵は旧200倉庫で、5棟の建物が連なっているように見える。現在は住友倉庫から大阪市に移管され、再生の計画中といわれている。すぐとなりにCASO海岸通ギャラリーという、美術館のような立派な現代美術ギャラリーがあったり、安藤忠雄設計による「人工地盤」があり、親水護岸ができている。駅や商店街など繁華なところから離れているので、こんなところにこんなものが…という一画。  2011/8/10記
  
■関西経済連合会発行「経済人」8月号表紙に掲載
                      
              
大阪中之島
大阪市中央公会堂
正面


このスケッチは、2004年にカルチャーハウス香里ヶ丘のスケッチ講座で、みなさんと一緒に描いた一枚です。線のゆがみ方が気に入っています。絵具のムラもこうして見ると楽しいものです。
2010/11/14記

                                                 
            
                                           
琵琶湖疏水
九条山浄水場
ポンプ室
京都蹴上


明治維新や東京奠都で衰退した京都を活性化するため琵琶湖の水を京都に通す計画が立てられ、工部大学校を卒業したばかりの田辺朔郎の設計により、1890年に琵琶湖疏水の第1疏水が完成しました。
やがて第1疏水でまかないきれない電力需要に対応して、1912年に第2疏水が完成。このとき日本初の急速ろ過式浄水場として蹴上浄水場ができました。この第2疏水の建設にともない、御所に水を送るために、九条山浄水場ポンプ室が設けられました。設計は赤坂の迎賓館の設計でも知られる片山東熊や山本直三郎。いま、森のかげにひっそりとたたずんでいます。
                         著書「れんが・街ものがたり」所収、「経済人」2010年10月号表紙掲載。
                      
                                           
琵琶湖疏水
蹴上発電所
京都


明治維新や東京奠都で衰退した京都を活性化するため琵琶湖の水を京都に通す計画が立てられ、工部大学校を卒業したばかりの田辺朔郎の設計により、1890年に琵琶湖疏水の第1疏水が完成しました。琵琶湖から送られてきた水を利用して、1891年日本で最初の水力発電が行われました。この電力を使って京都市内に日本で最初の電車が走りました。いわゆる京都のチンチン電車、のちの京都市電です。南禅寺の近くの煉瓦造りの発電所はいまも現役です。2010/10/22記




                   
著書「れんが・街ものがたり」所収、「経済人」2010年10月号表紙掲載。                        
                                           
神戸 相楽園
旧小寺邸厩舎


神戸の相楽園は、兵庫県庁のすぐ北にあり、元神戸市長小寺謙吉の先代小寺泰治郎邸の庭園だったところで、現在は神戸市が所有し、一般に公開されています。初夏のつつじや秋の菊、もみじが美しい庭園です。園内には北野町から移築された旧ハッサム住宅、播州に残されていた船屋形、そして小寺邸のなかで唯一戦災を免れた厩舎と、3つの国の重要文化財が残されています。厩舎は木骨煉瓦造りで、設計はドイツに留学し、神戸に名建築をたくさん残している河合浩蔵で、建物のあちこちにドイツの田舎風の意匠がほどこされています。5月の朝日カルチャー・JTB交流文化塾の教室で、受講されている方と一緒に描いたものです。2010/5/15記

ポストカード水彩スケッチ 「旧小樽倉庫」 1998年 1iox154 mm  

ポストカード水彩スケッチ 「小樽 海猫屋」 1998年 110x154 mm  

海猫屋
小樽市色内


小樽市色内の街に蔦でおおわれた煉瓦造りの倉庫のような建物があった。説明の札を読むと、小林多喜二の小説「不在地主」に登場する磯野商店の倉庫だったという。「海猫屋」の看板がある欧風料理の店で、雨に降られたので、早めにスケッチを終え、食事をさせてもらったことがあります。
 「れんが・街ものがたり」所収。

旧小樽倉庫
小樽市総合博物館
運河館


小樽運河のそばに、明治時代に建てられた旧小樽倉庫があって、当時小樽市博物館になっていました。絵は煉瓦造りの事務所棟ですが、屋根の上の鯱鉾が目立つ和様折衷の建築でした。この両側に石造倉庫がつづき、その長さは90m近くあります。中庭があってカフェテラスになっていました。スケッチをした日、描いている途中で冷たい雨が降ってきて慌てた思い出があります。現在この建物は小樽市総合博物館運河館になっていて、小樽の歴史や自然が展示されているそうです。



 「れんが・街ものがたり」所収。

日本銀行小樽支店
小樽市色内


小樽駅から港の方へ向かうと小樽運河に行きつきますが、そのあたりが色内という街で、明治大正にかけて、小樽が最も繁栄していた頃、近代的な建物が建ち並び「北のウォール街」と呼ばれたところです。いまも銀行やホテル、海運会社などレトロな建築がたくさん残っています。日本銀行小樽支店のビルもそのひとつ。優れた意匠の堂々とした建物で、当時の小樽の街の繁栄ぶりがしのばれます。設計は東京駅や日本銀行本店を設計した辰野金吾とその弟子長野宇平治です。現在は金融資料館として活用されているそうです。
 「れんが・街ものがたり」所収。切手は1998年に原画を描かせていただいた明石海峡大橋の記念切手です。


舞鶴にある煉瓦に関する博物館。
舞鶴は太平洋戦争で敗戦後、
最後まで外地からの引き揚げを
受け入れた町である。
古くから大陸との貿易港であり、
軍港でもある。
北吸地区には
戦前からの煉瓦倉庫が
たくさん残されており、
近年、多くの煉瓦建築が
国の重要文化財に指定された。
この赤れんが博物館は
日露戦争直前に建てられた
旧海軍の魚形水雷庫であった。

全国建設研修センターの広報誌
「国づくりと研修」表紙

辰野金吾と、葛西万司設計の
東京駅は1914年にm完成した。
日本で最も多くの煉瓦を使用した
建築物といわれる。
「れんが・街ものがたり」にも掲載。
東京 慶応義塾大学 記念図書館          水彩スケッチ  2006年  ポストカードサイズ 120x165mm
東京三田の慶応義塾大学にあるもう一つの近代名建築は記念図書館旧館。慶応義塾創立50周年を記念して建てられ、1912年に竣工した。煉瓦と白花崗岩で意匠された、ゴシック風の建築で、東京丸の内の三菱3号館を手がけた曾禰達蔵と、札幌農学校を手がけた中條精一郎がつくった曽禰中條建築事務所の作品。国の重要文化財。この建物を描くのは2回目。1回目は正面から描いたので、この日は斜め前方から。  2011/10/26記

京都御所の北、元伏見宮家と
二条宮家の跡地にある同志社
女子大学の今出川キャンパス
にある煉瓦造校舎は、
武田五一の設計で1914年に
建てられた端正な建築。
国の有形登録文化財。

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大阪市中央公会堂 大阪中之島          水彩  165x240o
全国的に雪模様のきのうきょう、めずらしく神戸でも霰が降った。近畿地区信用金庫協会発行の季刊誌「いこい」の2011年冬号表紙には、大阪中之島の中央公会堂に雪が降るようすを描いた作品を掲載していただいた。この煉瓦造りの壮大な建築は1918年、北浜の株仲買人岩本栄之助の寄付によって建てられた。設計競技で選ばれた岡田信一郎の案をもとに、辰野金吾と片岡安が実施設計したもの。西洋のネオ・ルネッサンスの様式に従っているが、わが国の煉瓦建築の一つの到達点ともいわれる建築物。それゆえか、何度見てもいいなあと思うし、何度描いても描く対象としての魅力は尽きない。 2012/1/23記       
近畿地区信用金庫協会発行 季刊誌「いこい」2011年冬号表紙に掲載
    
神戸文学館         ポストカード水彩スケッチ  2011年  120mmx165mm
6月だというのに強烈な陽射しと、蒸せるような湿気。猛暑日だそうである。神戸市灘区の王子公園横にある神戸文学館で、「スケッチ紀行ー神戸街角ものがたり原画展」がはじまった。新聞を見たり、情報紙を見たりして、見に来てくださる方もいる。著名な文学に登場する神戸の街角と、スケッチと見較べることができる、今回の展示も興味深い。 2011/7/1記             
 

水彩スケッチ 「大阪中之島 大崎市中央公会堂 正面」 2004年 120 x 165 mm

水彩スケッチ 「大阪中之島 大崎市中央公会堂」 2002年 138 x 190 mm

ポストカード水彩スケッチ 「琵琶湖疏水 九条山浄水場ポンプ室」 1998年 120 X 165 mm

水彩スケッチ 「琵琶湖疏水 蹴上発電所」 1998年 135 x 182 mm

水彩スケッチ 「神戸相楽園 旧小寺邸厩舎」 2010年 280x380mm 

ポストカード水彩スケッチ 「日本銀行小樽支店」 1998年 115x158 mm  

水彩スケッチ 「同志社大学クラーク記念館」 2009年 280x380 mm  

同志社大学
クラーク記念館


幕末、禁制をおかしてアメリカにわたり、帰国後キリスト教精神による教育を日本に広げた新島襄が創立した同志社大学には、日本の建築史上貴重な煉瓦建築がたくさん残っており、重要文化財に指定されているものが5棟もあります。クラーク記念館は、神学館としてアメリカのクラーク夫妻の寄付によって建てられたものです。設計はドイツ人R.ゼールで1893年に竣工しました。ドイツ・ネオ・ゴシック様式を基調にまとめられ、八角形の塔が印象的です。




パナソニック電工2010年
卓上カレンダー所収


水彩スケッチ 「舞鶴 赤れんが博物館」 2003年 167 x 242 mm  

水彩スケッチ 「東京駅」 1995年 155x220 mm 1996年積水ハウスカレンダー所収 

ポストカード水彩スケッチ 「同志社女子大学ジェームス館」 2003年 134x190 mm