明石市総合選抜制度を考えるシンポジウム レポート その3

HOME】【INDEX】【1】【2】【3】【4】【5

 ここで突然、横山教授より教育次長の公家氏に対し質問。現状の明石の公立高校の入学者数について。

 公家氏によると、平成14年では、明石商業を含め、76.7%(明石西高の全県学区国際人間学科除く)、明石商業を除けば60%余りだそうです。

 続いて横山教授の「以下の平成11年から平成15年にかけて明石の中学卒業者数が410人減っている。受験競争はどんどん緩和されて行くのでないか?」という質問に対し、公家氏は「高校の入学定員を減らしていく」と発言。

 その答えを受け、横山教授、「公立入学者と私立入学者の割合という難しい問題があるのでしょう」とのこと。

2.新しい時代に求められる人間像

 ここでお題変更。「企業が求める人材はどういうものか?」という横山教授の質問を受け、再び戎氏の発言。

 戎氏の発言を要約しますと以下の通りです。

 企業が求める人材とは、企業に貢献してくれる人である。それはどんな人か?当たり前のことが当たり前に出来る人である。当たり前のことは何か?それは努力をすれば、努力しただけの結果が出る、努力しなければ結果が出ないということである。それを体でわかっている人が企業に求められるのである。

 働いているから給料がもらえると思っている人はどんどん肩を叩かれる。会社に利益をもたらす人こそ企業に必要なのである。

 では、その能力がある人とは何か?学校の成績が良い人が?一概にはそうではない。我々が経験してきた受験はどちらかというと記憶力を重視したものだった。しかし記憶力が良いだけならダメ。しっかりものを考える力のある人、そして実行力のある人でないといけない。その前提として最低限の読み書きそろばんをしっかりできていないといけない。創造力には結びつかない。

 結果として報酬が与えられるのである。努力すれば報われるのが、公平な社会システムである。頑張らなくても、同じ給料であったり、同じ高校に進学できるというのであれば、誰も努力しない。

 以上が戎氏の発言。努力すれば報われる…。当たり前のことですね。はたして明石総選は「公平な社会システム」だろうか?努力しなくても適当にやってりゃ、高校に行ける。能力差のある人間を同じ場所に押し込める屈折した平等意識…。気持ち悪い制度はもうヤメヤメ!(やっさん)

 次にこの戎氏の発言を受け、中学校教諭の立場で池田氏の発言。

「同じような考えで生徒に接しています」と池田氏。努力すれば結果が異なることを指導し、自分で判断し考え行動する力を育成していると池田氏は言います。

「最近の傾向として楽して結果を求める人が増えている気がする。しかしそれは制度のせいではない」

 ランク付けや競争を入試制度でやる必要がないと思うとのことです。

 池田氏曰く、制度上、ある程度の学力さえあればそれ以上、努力しなくても高校に合格できるが、それでも勉強させている。努力すればもっと伸びる子にはもっと頑張るように指導している。親も子もそれをめざして努力しているとのことです。立派なことです。

 さらに池田氏、「単選地区の場合は高校を受ける前から進路指導による受ける高校は決まっていて、底辺校に入ってしまえば、センター試験を受けられない。そんな学習指導をやっていませんから。明石にはまだ、センター試験を受けられる余地がある。」と発言。

 お言葉ですが、先生。明石でも総選高校合格ギリギリラインで入った子がセンター試験を受ける確率は非常に低いと思いますが。アホが高校に入ってから心機一転してセンター試験を受けられる力をつけるのは、単選でも総選でも同じことだと思いますけど。総選でアホがカシコの刺激を受けるということも考えられますが、それは個人的な人間関係にその可能性を委ねているだけであって、アホをカシコのレベルまで学力向上させる教育システムが総選高校に制度としてあるわけでないと思います。(やっさん)

 少し大学受験の話にもなったので、ここで横山教授の重大発言

 「私は現在、関学の教授で、前は国立でも教授をしておったのですが」という前置きの後、

明石からの関学受験生がものすごく減ったような印象があります。

と発言。実際の数値で見ていく必要があるかもしれないが、合格者も随分減ったような気がしますとのことです。

 わははは。これは重大発言ですよ〜。教授!その通りです。横山教授はこのシンポジウムに備えて、普段あまりみない資料で勉強してきているはず。印象なんて言っていますが手元に確かな資料があるにちがいない。我々の調査でも確かにそうなってます。因みに我々の「関関同立」に関する考えを用語集で確認して下さい。(やっさん)

 次に「保護者の立場で…」横山教授から意見を求められ、高校受験を控えた子を持つ明石市連合PTA副会長の中塚氏の発言。

 中塚氏曰くは、「やさしい気持ち」「思いやり」「礼節」のある子供に成長して欲しいというのが親の願いであるが、現在、社会情勢が厳しいものに変化してきた中、戎氏が言う「努力が報われる」ということも大切である。人生の中で最も重要なことだと思う。とのことです。

 立場上、卒業式の祝辞を行うことがあるが、やはり現在の社会情勢をふまえ、努力すればそれに応じて報われるということを話すことが多いそうです。子供でも現在の厳しい社会状況を薄々、感じてるでしょうね。バブル期に育った我々とは違うことが痛感させられます。

 次に明石からの関学受験者が少なくなっていると思っている横山教授より、行政の立場から公家氏(教育委員会教育次長)に質問。

 「高校からの大学への入学はどうなっているか?数値的資料はあるか?」

 横山教授が最近、私学の校長と話したところによると、その校長は「うちを落ちたら明石の公立に行っているわ」と言っていたそうです。

「そういう認識が拡がって来ると…。保護者の経済力によって子供の進学が左右されるということは避けなければならないと思うのです」

 以下、公家氏の発言。

 単独選抜最後の卒業生(昭和52年)は、国公立だけに絞ると名門校言われた高校(明石高校)に圧倒的に集中している。次の年(総選一期生の大学入試)では、明石北高校が多い。新設校で如何に努力しているか伺える。大学進学が人生の全てと言わないが、総選の当初の狙いが達成されている。その後、それが、次々と出来る新設校にも受け継がれて、所謂、「学校間の競い合い」があったのではないだろうか?

 現在は明石総選6高の大学入学者総数は国公立だけだと200名を超えているが、大学の数も増え、高校の収容人数も増えたので、総選当初と単純に比較はできない。

 大学合格実績とは別問題として、中学の受験競争は緩和されたが、高校ではどうなのか?をよく見ておかないといけない。中学の緩和が高校に持ち込まれるとすれば問題である。

 以上が公家氏の発言。「なかなか行政の答えで、うまく言うなあ」という横山教授の感想で会場にどっと笑い。

 いやいや、横山教授はそう言うが、この公家氏の発言で非常に意味深い。ここで某サヨク系偏狭思想組合なら「国公立の合格者が増えている」ことを強調すると思うが、明石市にとってはもう数値など、もうどうでもよく、総選当初の目的だった学校間の競い合いがなくなり、高校に中学のほんわかムードが持ち込まれていることこそ、問題だとしているわけだ。脈絡もなく受験競争の緩和の話を公家氏が始めたところでそのことがよくわかる。よくわかってるなあ明石市!期待してるぜ!(やっさん)


HOME】【INDEX】【1】【2】【3】【4】【5】【TOP