院長の談話室 読む葡萄酒

日本の葡萄酒読む葡萄酒 その12

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葡萄酒の夜明け

718年、修行僧の行基(668~749)が柏尾山大善寺を開山し、その薬草園で山梨葡萄の甲州が栽培されました。1186年、甲斐の国、上岩崎の住人雨宮勘解由が城の平の地で野生葡萄を発見し植栽しました。1549年に宣教師フランシスコ・ザビエルが島津藩主の島津貴久にポルトガルの赤葡萄酒を献上しました。1873年には大久保利通が殖産興業推進のため葡萄酒を推奨しました。1877年には、日本最初の葡萄酒醸造会社「大日本山梨葡萄酒会社」が創立され、同年、土屋竜憲(19歳)、高野正誠(25歳)がフランスに派遣されました。1879年に「大日本山梨葡萄酒会社」に宮崎光太郎が参画し、葡萄酒を30石醸造したとあります。

1949年、戦後本格葡萄酒の第一号ブランドとして「メルシャン」が登場しました。本格葡萄酒とは甘味料等を加えず造る葡萄酒という意味です。1970年には「シャトー・メルシャン」が誕生し、日本で本格的な葡萄酒造りが始まりました。まだ本格的な日本の葡萄酒の歴史は40年そこそこです。

桔梗ヶ原地区 棚栽培

現代日本の葡萄酒

長野県塩尻市郊外、桔梗ヶ原地区の葡萄酒は、世界的にも評価されています。標高は700mと高く、葡萄酒成熟期の9月〜10月には、昼夜の温度差が大きく、色づきのよい葡萄が収穫されます。土壌は礫層を基盤に、火山灰層が2~3mほど堆積したもので、水はけがとても良いテロワールとなっています。冬の寒さはとても厳しく凍害により枯死する樹もあるため、棚栽培を行っています。

桔梗ヶ原地区 垣根式栽培

1989年に初リリースされた、「桔梗ヶ原メルロー1985」はスロベニアの第35回リュブリアーナ国際ワインコンクールで、グランド・ゴールド・メダルを受賞しています。これは、垣根式栽培され、手摘みで、オーク樽にて17ヶ月間熟成され出荷されます。年間生産量約1,300本と非常に稀少です。2008年のものは、ワインメーカーの生駒元氏は、「やや紫色がかったガーネット色。ヴァニラ、杉、スパイス等の香りの下にふくよかな黒い果実や熟したプラムを十分に感じる。よく溶け込んだ重層的なタンニンに綺麗な酸がとても良いバランス。」とコメントしています。

桔梗ヶ原メルロー2008