院長の談話室 読む葡萄酒

読む葡萄酒とは読む葡萄酒 その1

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葡萄酒を知る

葡萄酒は本来「飲む」ものであって、「読む」ものではありません。しかし同じ葡萄酒でも、ただ「飲む」のと、それを知って「飲む」のとでは、その葡萄酒の味わいは全く異なったものとなります。映画やオペラの鑑賞も予備知識なしで見るのと、ちょっと知識があるのとでは、面白さが違います。映画が2回目に見た時の方が面白いのと同じです。

ところで、私がはじめて葡萄酒を口に含んだのは、中学校の保健室です。その時からもう50年近く経ちますが、今でもまだその時の葡萄酒の印象が昨日のように脳裏をよぎります。今思えば、なぜ保健室に葡萄酒がおいてあったのか不思議に思います。みなさんもご存じと思いますが、葡萄酒には薬価がついています。日本薬局方になっていて、薬価は10mlが20.70円となっています。750mlのボトルに換算すると、1,550円ほどします。適応は、食欲増進、強壮、興奮、下痢、不眠症、無塩食事療法となっています。以前薬問屋に葡萄酒を注文しましたが、それは赤葡萄酒で500mlのボトルに入っていました。味わいはほどほどのものでした。みなさんご興味がありましたら、一度注文なさってみてはいかがでしょうか。

葡萄酒が好きになる6つの近道

さてここで、私の独断で「葡萄酒が好きになる6つの近道」をお話しいたします。

  1. テロワール(土質)に興味を持つ。
  2. 葡萄品種を知る。
  3. 葡萄産地の地図を覚える。
  4. ヴィンテージを知る。
  5. 葡萄酒の用語を覚える。
  6. 葡萄酒の香りの表現の言葉を知る。

1.「テロワール」

葡萄酒は土地の表現です。土地が葡萄に個性を与えます。

2.「葡萄品種」

葡萄品種を知ることは必須です。ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブランetc.

3.「地図」

フランスのブルゴーニュとボルドーの地図をまず覚える。地図はコンピュータのファイルに相当します。データを入れるところがないと記憶は整理できません。飲む葡萄酒の地図を思い浮かべて、その印象をファイル(地図)にインプットします。

4.「ヴィンテージ」

葡萄酒の面白さは収穫年により、趣が異なります。グレートヴィンテージは21世紀では、2000年。20世紀では1961年です。

5.「用語」

私の愛読書である『ワインの言葉』。是非この本を読まれることをお勧めいたします。たとえば「猫の小水」「濡れ犬の香り」「エチケット」(ラベル)など。

6.「香り」

Nez du Vin(ネ・デュ・ヴァン、「葡萄酒の鼻」)

葡萄酒の命は「香り」です。いくら味がよくても、「香り」が今一つのときは興ざめます。「ネ・デュ・ヴアン」という本があります。これは、香りを訓練するキットです。