立山周辺と剱沢、長次郎谷滑降 その2

大日岳の彼方に沈む夕陽
◆【山行日時】 2009年5月3日〜6日
□5月3日

芦峅寺・立山駅〜室堂ターミナル〜一ノ越〜御山谷〜タンボ平〜黒部平〜室堂〜一ノ越山荘泊

□5月4日

一ノ越山荘〜雄山〜大汝山〜富士の折立〜真砂岳〜別山(〜北峰往復)〜別山乗越(剱御前小屋泊)

□5月5日

剱御前小屋〜剱沢〜長次郎谷出合(〜長次郎谷上部往復)〜剱沢〜別山乗越〜雷鳥沢〜雷鳥荘泊

□5月6日

雷鳥平・雷鳥荘〜室堂〜芦峅寺・立山駅

◆【第二日(5月4日)の記録】
一ノ越をあとに雄山を目指す 今日は一ノ越から立山、真砂岳、別山を縦走して別山乗越に建つ剱御前小舎まで。

スキーの出番はなく終始、担ぎ。

小屋前から雄山への登路を見上げると岩肌が露出している箇所が多分にあるので、こちらはツボ足のまま、Sさんは念のためはじめからアイゼン装着して歩きだす。

スキーをザックに結わいでの歩きだから、ザックが少々重い。
一ノ越をあとに雄山を目指す

少し霞んではいるものの、高度を上げると一ノ越よりもさらに展望が利くようになり龍王岳の向こうには五色が原、薬師岳が大きな山容を見せる。

まっ白な尖峰、笠ガ岳が彼方に聳え、右手に黒部五郎、薬師。雲ノ平が手前にのんびり横たわり、赤牛から延びる尾根の先、平坦な個所はまるでヘリポートのような薬師見平。

赤牛、水晶、野口五郎、烏帽子と続く裏銀座の山々と、その向こうには燕から大天井、常念へと続く穏やかな稜線。

昨日同様、展望はよく利き、槍〜穂高連峰もよく見え、眺望はこの上ない。

東沢谷の奥に槍〜穂高連峰 五色が原と黒部五郎〜薬師岳
東沢谷の奥に槍〜穂高連峰 五色が原と黒部五郎岳〜薬師岳

雄山への登りで一本入れた際、昨日の東一ノ越での『レンズ紛失か?』事件に続き、今度はSさんにもっと重大なアクシデント発生

なんと、おニューのコンデジの『液晶損傷事件』。

今のコンデジはどれも色々な機能を搭載しているのは当たり前で、その機能を操作するのはすべて背面に位置する液晶だから、扱いやすくしようとすると必然にこれが大きくなる。

もちろん、画面は大きいほうが撮った画像を確認するにも都合がいいし、機能の確認もこの液晶画面に大きな字が表示されるので、普通に使うには何かといいことばかりなのだが、今回のようなハードなアウトドア・シーンではその液晶の大きさが逆にアダとなった格好で、ザックを下した際、どこかの岩角に打ち付け破損してしまったようだ。

液晶拡大化の弊害はファインダーなしだから、本来なら以降の画像は、なし・・・。

なところ、不幸中の幸いか、全損でなく右下部分1/3ほどがかろうじて生き残ったので、このあともアングルを駆使して多くの画像を撮り続けたSさんには感謝したい。

もちろんソフトケースには収納されていたが、それでもこのようなことは起こりうるから、たとえコンデジとはいえ精密機械であるカメラの取り扱いや携行には注意したいものだ―。

気を取り直し、足もとに注意しながら急坂を登り切ると雄山山頂。

昨日、タンボ平や黒部平からもこの方面の展望は眺めたが、そこよりもさらに高い位置からの眺めはさらに素晴らしい。

後立山連峰の主峰、鹿島槍は南峰がひときわ大きい。

その連峰の南端の主峰、針ノ木岳の山頂部は名の通りずいぶん尖って見え、その奥に見えてきた蓮華岳は大きな山頂部を持ち、信州側に大きな尾根を従え横たわっている。

それら、後立山連峰の展望は素晴らしいのだが、やはりここからの展望の主役は真北にそびえる剱岳。

岩と雪の殿堂とも称される山容はアルペン・ルートからでは見ることはできないので、この風景は登山者のみに与えられるご褒美的景観だ。

大汝山 雄山をあとにすると、しばらく岩稜帯の続く歩行となり緊張させられる。

アイゼンの爪や背負ったスキーの先を岩にひっかけないよう十分な注意が必要だ。

トラバースの際には室堂側を通過するが、高度感がある景観が目に入るので視覚的にかなりプレッシャーを感じてしまうし、稜線上は風がきついのでこれにも対応できるよう注意しておかなければならない。

大汝山

要は、しばらくはかなりシビアなところを歩かなければならないってことだ。

それも大汝山まで来れば、あとは正面に見え隠れする剱や左手の大日、室堂、正面右の後立山連峰の展望を楽しみながらのんびり稜線漫歩。

大汝山北方の休憩所 内蔵助カールと白馬岳方面
大汝山北方の休憩所 内蔵助カールと白馬岳方面

天候があまり芳しくなかったが、ちょうど真砂沢源頭部は風がなかったのでここで昼食。

腹が良くなり腰を上げると、少し前から呑気そうにガーガーと独特の鳴き声を上げていた雷鳥が、ごく至近にやってきたので何枚も写真に収めてから別山へ向かう。

ところで、大きな口を開け延々下方へと続くこの真砂沢。本来は明日、ここを滑る予定だった。

Sさんはこのブレイクに先立ちエントリー・ポイントを偵察していた。

この時点ですでに明日の予定を剱沢滑降に変更していたが、どうしてもそこがどんなものか自身の目で確認しておきたかったようだ。

別山山頂からのドロップも可能のようだったが、稜線からでも初めがかなり傾斜がきつそうだったので我々、軟弱スキーヤーには少し荷が重そうなので明日は剱沢を滑降することとして先へと進む。

ライチョウと雷鳥平のテント村 別山より真砂岳、立山
ライチョウと雷鳥平のテント村 別山より真砂岳、立山

別山山頂は、さすが浄土山、立山と並び立山三山の一つに数えられるだけのことはあり立派な祠があった。

北方まで足を延ばすと遥か眼下には剱沢下流の真砂沢出合いのさらに下方、南股が見える。高度差は1,200メートル。

左手には岩と雪の殿堂、剱。この景観を二人占め。

硯池付近のライチョウ 別山北峰より剱沢南股を俯瞰
今はなき硯池付近のライチョウ 別山北峰より剱沢南股を俯瞰
剱沢上部と剱岳
剱沢上部と剱岳

別山に戻ったら御前小舎の建つ別山乗越まではそう遠くない。

右手にそびえる剱岳を見ながらのんびり歩くと、やがて御前小舎に着く。

 御前小舎、坂本心平さんとの一期一会はこちら

美味だった御前小舎の夕食 御前小舎の人たち
美味だった御前小舎の夕食 御前小舎の人たち

表題画像でご覧のとおりの千載一遇とも思える素晴らしい夕景を堪能したあと、ここでも今日一日の無事の祝杯を挙げ早々に就寝。

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パタゴニア


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