神戸・Sさんとともに立山周辺と剱岳・剱沢テレマーク・ツアーに出かけてきた。
5月2日、夕刻、自宅を出発し神戸でSさんと合流したら一路、立山へ。深夜に芦峅寺・立山駅着。
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バスの始発までテント、車中で仮眠ののち、早朝だというのに人であふれかえった立山駅から直行バスに乗車し室堂へ向かう。
ここからはマイカーは乗り入れできないので観光バス以外の人はここで乗り換える。
ケーブルに乗るのが観光客の常道のようだが、我々はバスに乗車。
こうすれば、ここでの30〜40分の待ち時間だけで乗り換えなしに室堂へと到着できるわけだ。
満員の乗客を乗せたバスはくねくねと山道を駆け上がり、美女平のケーブル駅を過ぎ、どこがそれだかも分からずじまいの称名滝展望台も過ぎると辺りの植生が変わり行く中を走るようになる。 |
立山駅の駐車場で車中、テント泊 |
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ブナや天然スギ、ダケカンバ。西日本となら少し違った植生だ。
道路脇の積雪量は高度を上げるとともに増してくるので、本来なら展望が少しづつ悪くなるなって行くのかもしれないが、例年よりも積雪量の少なさからか、それなりに車窓からの展望を楽しみながらの乗車が続く。
大きな大日岳や鍬崎山を左右に見ながら進むと雪原の中を縫って走るようになり、いつしか鍬崎山は低くなり、遠くに大きな姿を横たえるのは薬師岳が見えてきた。
弥陀ヶ原を抜け大日岳が大きくなると、立山での観光客の最大の目当てと言ってもいい雪の大谷。
残雪少なく圧巻ではないが、それでも約5メートルの雪壁がバスの間近に迫る様はテレビで見たとおり。
到着した立山ホテルのバスターミナルは想像していたのとは大違いで、愛想なしだった。
ターミナル屋上の展望台からの展望も、そう大したことはない。これしか見ずにアルペン・ルートを足早に駆け抜ける観光客には、この光景はどう映るのか・・・。
いくらなんでもこんな人はいないだろうが、「展望台で記念撮影だけ撮って終わり。」ではなく、せめて、みくりが池あたりまで散策して室堂平の雰囲気を味わう努力をしないと、高いお金とそれなりの労力が無駄になってしまいそうだ・・・。
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大勢の観光客をしり目に、売店の野沢菜入りお焼きをほお張り、ちょっぴり腹ごしらえしたら一ノ越向けシールで歩く。
ここからは登山者、山スキーヤーのテリトリー。
ターミナルを離れれば離れるほど、立山の立山らしいところがどんどん目に飛び込んでくる。
室堂平を取り巻くようにぐるりと聳える立山三山。
振り返り見る奥大日は秀麗な姿で登山者を見守るように横たわる。 |
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大日岳に見送られ室堂をあとにする |
で、我々の今日これからの予定は・・・、一ノ越に登りつめたら黒部側の御山谷に滑り込む。
適当なところでトラバースし、東一ノ越を経由して立山東面のタンボ平を滑走しアルペンルート・黒部平まで下りロープウェー、トロリーバスに乗車、室堂に戻る。
そして再度、一ノ越へと登り返し一ノ越山荘泊。こんな感じだ。
一ノ越まではほぼ片斜面のトラバース気味の登高。乗越手前はやや急斜面だが辛うじてシール登高で小屋着。
これまでは、いわば立山のすり鉢のような地形の場所に居ただけに、標高2,400メートルというかなりの高所にもかかわらず西面以外展望は利かなかった。
ところがどうだ、ここに着けば東から南にかけての展望が一気に広がり見事な大展望を欲しいままにできるようになり、稜線に出た際の一気に向こう側が見える醍醐味を味わえる。
雄山までの登山には抵抗がある人でも、ここまで足を運べばこんなに素晴らしい景観に出逢うことができるのだから、ちょっと足を延ばしてみてはどうだろう。 |
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時間はまだまだ早いが、今日の宿はここなので先にチェックインを済ませたら軽荷になり御山谷を滑る。
御山谷は黒部湖へと落ち込む適度の傾斜の続く大きな沢だが、我々のようにここを滑ったあと黒部平へと向かうルートを選択した場合、実際はあまり下方まで滑り込むことはできない。
登り返せば済むことだが、軟弱スキー隊はそんなことはあえてしない。
そんな思いを持ちながら、いざ滑り込むと、 |
御山谷を滑る |
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「なかなかやん!」
いきなりの快適スキー。
これならギャラリーが少しくらいいたってへっちゃらだし、もう少し下まで滑ってしまいたい気分になるも、それはぐっと我慢。
やはり、軟弱スキー隊に違いない。
わずかに下っただけなのに、早速のように東一ノ越へ向けトラバース。やがて露出地に出くわし板を脱ぐ。
先行者は手に板を持って歩いているようだが、これでは歩行が不安定で残雪とガレ場の通過に不安があったのでザックに固定して歩くことにした。セオリーはこうだと思うのだが・・・。
何しろ眼前には大展望が広がるから
「両手フリーでこの展望を楽しみたいからね〜。」
高度を下げたことで龍王岳、鬼岳が立派な山容でそびえたつ。 |
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東一ノ越より雄山方面を見上げる |
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東一ノ越より後立山連峰 |
これまでも黒部源流〜槍、穂高、笠、から裏、表銀座の山々等、素晴らしい眺望を欲しいままにしてきたが、東一ノ越に着いたら着いたで尾根を乗り越すことにより、これまで見えなかった後立山連峰がそれらにプラスして一望のもと。
アルペン・ルートの大観峰や行き来するロープウェーはまるでミニチュアのようだ。高度感は素晴らしく、大自然の真っただ中にどっぷり浸かりきっている。
「さ〜、これを撮ろう・・・。」
と思い、アウターウェアのポケットに詰め込んだはずのレンズを探ってみると、
「なッ、ない! ない!! な〜い!!!」
しまったはずの長いほうのレンズがない。アクシデント発生だ。広角レンズは身につけて携行しているからあるものの、交換レンズが無いんだ。
ザックやウェアをしばらく探してみたが、やはり無い。
「そうだッ。さっきスキーを脱いでザックに担いだ際、写真を撮るのにそのレンズを使ったから、きっとそこで忘れたに違いない。」
一ノ越ならかなり躊躇しそうなところだが、あそこならそう遠いところではなく即刻回収に向かう。 |
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「ここに違いない。」
と考え戻ってきた、先ほど写真を撮ったところまで来て付近を見回すと
「ない! ない!! な〜い!!!」
ここにもない。
「どこだ〜っ!!」
つい、大きな声でこう叫びそうになってしまった。
途中すれ違った二人に聞いても、その返事は
「見なかったですよ。」 |
レンズ探索のためルートを引き返す |
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だったし、今ここに到着した人に聞いても返事は同じで、やはり
「見かけなかったです。」
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「おっかしいな〜。」
羽根が生えて飛んでいくはずはないし・・・、一体全体どこへ行ってしまったのか・・・。
どうすればいいのか分からなくなるも、じっとしてても出てくるわけでもなし・・・。
仕方なくSさんの待つ東一ノ越へと急ぐ。
再度、足元やあたりを見回しながら歩いたもののやはり見つからない。 |
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レンズ探索も成果なく、しょんぼりして乗越着 |
そうこうするうち何も見つけることなく東一ノ越に到着してしまった。
「なかったんですよ〜。」
ショックは隠せない。
だって、今回、三脚を持参してきたわけだが、それはあのレンズを持ってきたからこそ、それを使う際、威力を発揮させようとしてのものなのに、これでは何のために持ってきたのか・・・。
そんな折、ふとザックの上ポケットのチャックを開けてみると・・・、
「あった! あった!! あった〜っ!!!」
ちゃんと入ってたよ〜。それも最も目につくチャックを開けたすぐそこに。
どうしてこれが目に入らなかったのかは自分でもよくわからないが、とにかく見つかればそれでいいんだ。
これで黒部平へ降りることができるようになった。。。
東一ノ越からタンボ平へは出だしが少し急斜面だから、ここは迷わずトラバースで飛ばす。
傾斜が落ち着いた頃を見計らって黒部谷方向めがけて落ちる。
見た目がまだらな雪は先日に降ったものが白、それ以前のものはかなり茶色で古い雪の箇所はかなり雪が重く足を取られるが、この斜面の標高差は実に600メートル強。
時折見える黒部湖も眺めながら針ノ木岳の稜線に向かって滑るロケーション。満足、満足。
きれいな雪を好んで滑りたくなるのは当然のことだから、自然に任せきれいな場所を選びながら滑る。
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タンボ平上部より見るロープウェー 遠景は鹿島槍ヶ岳 |
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タンボ平上部を滑るSさん 中央上に大観峰 |
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タンボ平上部を滑る |
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タンボ平より赤沢岳、スバリ岳、針ノ木岳 |
傾斜が緩めばその名の通りのタンボ平。のんびり滑る。
ロープウェーのワイヤーが発する人工的な音はこの大自然の中にあってはちょっと不自然だが、このあとお世話にならないといけないのでそれも仕方なし。
白と茶色の雪面のみせる小さな起伏のある斜面を滑るようになると黒部平は近い。
最後に少しツボ足で登り返したら、乗り継ぎの観光客でごった返す黒部平着。
全く想定していなかった2時間以上の待ち時間を経て、ようやく室堂に戻ったのは16時前だった。
人気のなくなった室堂をあとに、今日二度目の一ノ越へのルートを歩き17時、一ノ越着。 |
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満員のロープウェー内 |
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一ノ越へ二度目の登高 |
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雷鳥平のテント村(遠景は猫又山?) |
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一ノ越から見る大日岳と日の入り |
今日一日の無事の祝杯を挙げ、早々に就寝。 |
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