◆【山行日時】 2002年9月15〜16日 
◆【コース・タイム】 
□9月15日  高曇りのちガス、夕方より雨 
 
見ノ越=38分=西島野営場=20分=大剱神社=15分=剣山山頂ヒュッテ=7分=剣山山頂 
 
=25分=次郎笈水場=2分=尾根道合流点(=15分=次郎笈山頂=8分=) 
 
=35分=丸石=15分=丸石避難小屋=1時間40分<伊勢の岩屋経由>=石立分岐 
 
=55分=赤白ポール三角点=20分=白髪避難小屋(水場往復15分) 
 
□9月16日  ガス時々雨 
 
白髪避難小屋=5分=白髪別れ=15分=韮生越え=10分=カヤハゲ=30分=大岩下=15分=三嶺山頂 
 
=5分=三嶺ヒュッテ=30分=ダケモミの丘=25分=林道登山口(名頃より国道を20分) 
◆【正味歩行時間】 
□9月15日  6時間10分 
 
□9月16日  2時間35分 
      
       
      ◆【詳細】 
四国随一の縦走路とうたわれる剣山山地、一ノ森〜天狗塚にあって未だ踏破していないのが次郎笈〜カヤハゲ間。 
ずいぶん距離はあるがこの間をコマ切れにとも行かず、 
「これで一気に一ノ森〜牛の背完歩!」 
この際、思い切って剣山〜三嶺縦走を試みた。 
□9月15日 
前日、見ノ越に入り、車中泊。 
翌15日、駐車場を後に、暗闇の階段をまずは剱神社へ。 
「パチ、パチ」 
無人の拝殿でかしわ手を打ち山行の無事を祈願し、いざ出発。 
 
夜中には雨も降ったが、どうやら今は落ちていない。星は出ていないようだが、さて、今日の天気はどうだろう。 
ランプで登山路を照らしながらしばらくするとリフトをくぐり、分岐は左へ。自然林の中を登る。日の出が近いのか、やがて、あたりが徐々に明るくなってきた。 
「何とか持ちそうだろうか。」 
自問自答しながら歩くと、やがて白みかけた祖谷谷が右手に見え隠れする。 
「まずまずの天候だ。」 
西島の野営場まで来れば視界が開け、正面上方に雲海荘や右手には次郎笈の端正な姿。 
  
    
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      | 西島から見る次郎笈 | 
     
  
 
振り返れば、これから向かう三嶺が祖谷谷の遥か彼方にわずかながらの朝日を浴びて、りりしい姿を見せてくれる。もちろん、塔ノ丸や奥祖谷の山々も視界に入り、貞光方面には雲海も広がりすばらしい光景が広がる。 
  
    
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      | 西島から見る三嶺の雄姿と塔ノ丸 | 
     
  
 
わずかな朝日を浴び、ほんのり赤ら顔の三嶺がちょっとはにかんでいる様にも見えるのは気のせいだろうか。 
「いや、きっと久々の再会に恥ずかしいんだな。」 
「久しぶりだからって、そんなに照れなくてもいいのに・・」 
勝手なことを思いながら、しばらく三嶺と対峙する。 
 
もう少し早起きして出発していれば山頂で日の出を見れたようだが、今さら悔やんでも仕方ない。 
気を損ねてもいけないので、ならば、しばらくここで写真撮影。しかし、間もなく三嶺の赤ら顔は真顔になってしまった。 
「ほんの短い間のはにかみだったようだ。」 
 
リフト終点から山頂へはどのルートを取ってもいいが、これまでに歩いたことのない真中の道を選択し大剱神社へ。 
ここからは、朝日を浴びた次郎笈や三嶺はさらにりりしく、対照的に塔ノ丸はのんびり寝そべっているよう。 
  
    
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      | 大剱神社から次郎笈 | 
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      北面に広がる雲海 | 
     
  
 
神社を後にすると山頂へはもう少し。右上に雲海荘が見えると、やがて登山路正面に山頂ヒュッテが見えてくる。 
ヒュッテにもぐり込めば、とりあえず剣山到着だ。 
  
    
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      | 木道台場から見る山頂、次郎笈と白髪山〜三嶺稜線 | 
     
  
 
山頂へはヒュッテ、社務所間の階段を上がり、山頂部に敷かれた木道を歩く。そのまま真っ直ぐ進めば山頂だが、進路を右にとり一旦下ってから登ると三嶺を正面に見る台場があるのでここでゆっくりしよう。 
 
少し靄がかかってはいるが、何とか三嶺の左に天狗塚付近の稜線も見えるので展望はまずまずだろうか。 
正面の三嶺はもちろん立派な姿を見せてくれるが、すぐそこにも感じられる左手の次郎笈の大きさが一際目を引き、ここでの主役はこちら。次郎笈に較べると遠くて少しばかり小さな感の否めない三嶺は、しばし脇役に回ってもらうことにしよう。 
  
    
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      | 剣山山頂 | 
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      次郎笈 | 
     
  
 
剣山山頂からいよいよ縦走開始。まずは大きな次郎笈を正面に見ながら吊尾根を急降下。左右にササ原の広がる斜面を下る。 
 
      大剱神社への道を右に分けると次郎笈はさらに大きさを増し圧倒的な姿で迫るようになる。大きな次郎笈とは対照的なのが道端に咲く小さくかわいい花たち。リンドウをはじめタカネオトギリ、シコクフウロ、コガネギク、ツリガネニンジン、・・。 
  
    
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      | タカネオトギリ | 
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      シオガマギク | 
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      コガネギク | 
     
    
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      | リンドウ | 
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      オトメシャジン | 
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      シコクフウロ | 
     
  
 
 
次郎笈の先へもう少し進むと、丸石手前のコルへの下りではウメバチソウもかなりの数見ることが出来、大きく聳える次郎笈をバックに白い花を咲かせる可憐で見事な姿に感激するに違いない。 
  
    
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      | 巻き道から見る剣山 | 
     
  
 
さて、ジロウギュウ峠からは次郎笈へ直登せず、巻き道を行く。再度、尾根道と出合う少し手前、道端に湧水があるので是非、口にしてみよう。さすがは名水選のことはある。これまでに飲んだ水の内でも一、二を争う美味さ。 
 
水をタンクに補給、すぐ先の尾根道合流点に荷をデポ、後戻りする格好で次郎笈山頂へ。しばらく急登すると山頂の尾根に出る。次郎笈山頂は目と鼻の先。 
  
    
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      | 次郎笈より見る三嶺方面 | 
     
    
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      | 次郎笈山頂 | 
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      次郎笈より見る剣山 | 
     
  
 
 
山頂からの展望は剣山のそれよりも遥かに素晴らしい。 
 
そう広くない山頂からは360°遮るものは何もなく、先ほどまで居た剣山〜一ノ森は目の前に大きく見え、また、これから向かう丸石、高ノ瀬は少し下方に。あいにく石立山はガスの中だが、さらにその先、尾根を辿れば三嶺も遠くに辛うじて見える。 
 
ただ、気がかりなこともある。相対に剣山で見たときよりも見通しが悪くなったように思われ、山頂部にガスが沸いて来ていることだ。 
「いよいよ、天気は下り坂か?」 
 
見通しが良ければ人も少なくゆっくりしたいところだが、幸い(?)天候が下り坂なのと時間的な余裕もあまりなさそうなので早々にここを後にする。 
 
急坂を下りデポ地点まで戻ると、丸石に向けしばらく下って行く。ここから丸石の登りにかかる手前のコルまでに咲くお花は見事に尽き、気持ちをも和らげてくれる。なかでもウメバチソウの白い色が特に印象的で、いかにもあまり人の立ち入らないところのお花って感じで咲いている。 
ただ、これらは登山道のほんのすぐ脇に咲いているので登山者に踏まれ傷まないことと同時に、これからも永く綺麗な花を見せてくれることを願わずにはいられない。 
  
    
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      | 後方に次郎笈を振り返る | 
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      丸石と手前のコル | 
     
  
 
花を楽しみながらササの広がるコルまで下ると丸石に向け登る。 
後には次郎笈が大きく聳え、また、左前方には先ほどまで姿を見せなかった石立山も見えていた。 
  
    
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      | 左手に石立山 | 
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      丸石への登り | 
     
  
 
ところが・・・、後ろを振り返るうち次郎笈の姿が・・・。 
つい先ほどまでその雄姿を見せていた次郎笈。ガスが湧き出し見えなくなった。 
 
結局、これ以降、次郎笈をはじめ剣山はもちろん三嶺まで。ガスと雨のためそれらの眺望を得ることは出来なかった。 
  
    
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      | 見納めの次郎笈 | 
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      丸石 | 
     
  
 
丸石からの下りでは上りのササ原から一転、樹林帯の下りとなり展望もなくなる。 
樹林帯をしばらく下ると丸石避難小屋。 
この小屋は木立ちに位置するため展望もなく、内を覗いて見ても少し暗い印象だが、いざという時には重宝しそうな小屋には違いない。大きなロウソクが入口にぽつんと置いてあったのが印象的だった。 
  
    
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      | 丸石避難小屋 | 
     
  
 
小屋を後にすると間もなく奥祖谷かずら橋への道を分けさらに進む。 
高ノ瀬避難小屋跡を過ぎ、しばらくすると高ノ瀬、伊勢の岩屋分岐。 
 
ここでのルート取りが失敗だった。次郎笈の水場で水は確保できていたにもかかわらず分岐にある水場を示す標識と”巻き道”=近道の思い込みからか変な誘惑に負け、”巻き道”を選んだのが失敗の元。伊勢の岩屋の水場まではルートはある程度はっきりしているものの、最近の降雨量の少なさからか水場とは名ばかりでほとんど湧水はなく汲むに値しないほど。 
これだけならまだしも、元来、分岐まで引き返し高ノ瀬へ尾根道を歩く気など毛頭ないので、巻き道をさらにその先へ進み出すと登山路の様相が一変。踏み跡はか細いものになってしまった。 
 
今さら引き返す気にもなれず先へ進むと、 
『This is 藪漕ぎ!』 
しばらく、いや、かなりの時間ササの中を泳ぎまくる。道を見失いそうなこと2、3回。溺れそうになったのはさらに多く、数回はあっただろう。 
おまけに、天候もあまりよくないので曇ったりガスったりすると風景は一変。辺りは真昼間とは思えないほど暗くなり精神的にも追い詰められた感じになっている自分がいる。 
しかし、これだけ悪戦苦闘してもすぐそこのように見える右上の稜線はなかなか近づいてくれない。 
「ホンマに尾根に出るんかナー?」 
こんな心配もし始めた頃、稜線の木立ちを人が歩いているような・・・。も一度見上げると確かに誰か歩いてる。それも悠々と。 
「やっと尾根道に出れる。」 
最後は適当に樹につかまり直登。 
 
「なるほど、これなら悠々と歩けるはずだ。」 
尾根道はとても歩きやすそうな道だった。安堵の気持ちはもちろんだが、それ以上に変な誘惑に負け、巻き道を選んだ自分が妙に腹立たしかった。 
 
安心したせいか急に腹が減ってきた。きっと精神的にも参ったのだろう。しばらく歩き昼食とする。 
「えーい!」 
この際、ビールでおにぎりを流し込む。 
  
    
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      | 石立分岐 | 
     
  
 
この付近の登山路、確かにササが繁って足元もわかりづらく歩き易いとは言い難いが、伊勢の岩屋の巻き道とは比較にならない。これくらいならほとんど気にせず歩ける。 
  
    
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      | 1,732ピーク | 
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      中東山 | 
     
  
 
石立分岐を過ぎると次々に現れる1732ピークや1701ピーク、ササ原の広がる気持ちのよさそう所だが、あいにくのガスのため展望は得られない。 
  
    
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      | 1,701ピーク | 
     
  
 
地図で自分の位置を確認。もうしばらくかかるだろうと思っていた矢先、登山路が右へ折れ一段下がったかと思うとササ原の向こうにひょっこりと、あっけなく白髪避難小屋の姿が目に飛び込んだ。 
  
    
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      | ササ原に建つ白髪避難小屋 | 
     
  
 
一時はどうなるかと心配したが案外早い時間にここに着くことが出来、胸を撫で下ろした。本来、あわよくば今日のうちに三嶺まで行くことも考えの中にあったが伊勢の岩屋の巻き道の苦闘中にその思いは失せていた。 
 
しばらく休憩の後、水場へ。水場から戻るのと前後して雨が降り出した。 
白髪分岐から見る夕陽を楽しみにしていたがあっさり裏切られた形となった。 
 
本日の宿泊者、ほとんど満員の11名。 
      
      □9月16日 
 
夜半に雨は上がったようだが朝になってもガスは晴れていなかった。 
「明日、天気が悪ければ三嶺に登らず直接名頃方面に降りようか。」 
前日夜にはこんなことを思わないでもなかったが、ここまで来たら今回の山行の目的を達成するため悪天をつき三嶺を目指すことに。 
 
      思い返せば、 
「初めて三嶺を目指したお亀ヒュッテでもこんな天候だったな。」 
あの時は初めてということもあり自信もなかったので断念せざるを得なかったが、今はカヤハゲまで行けば何度か歩いている道なので何とかなるだろうと決断した。 
 
ガスをついてまずは白髪分岐へしばらく上る。この分岐、かつては悪天時に白髪方面へ迷い込むこともあったようだが今は立派な標識が立ち、そんな心配は無用だ。 
  
    
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      | 白髪別れ | 
     
  
 
      
      分岐を右にとると足元の悪い急な下りとなる。スリップに注意しながら進むとやがて韮生越え。 
 
ここからはカヤハゲに向け少し登り返さなければならない。手前の大きな岩が待ち遠しく、それが見えるのを楽しみに一歩一歩確実に登る。岩まで来ればカヤハゲはすぐそこだ。 
  
    
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      | 韮生越えのツリガネニンジン | 
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      カヤハゲでは大きく見えるはずの三嶺も 
      今日は影も形もなし | 
     
  
 
あいにく、展望は皆無。早々に後にする。 
再度、スリップに留意しながら一旦下り、それからは三嶺に向け徐々に高度を上げる。 
この付近、我慢のしどころで苦しい歩行が続く。そんな折、滅入った気持ちを和らげてくれたのは、やはりかわいい一輪の花だった。 
「もう少しだ、頑張れよ・・」 
雨露に濡れながらも可憐に咲く花はそっと話し掛けてくれるようで、大きな元気をもらった。 
  
    
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      | コモノギク | 
     
  
 
小さなアップダウンを何度か繰り返しながら進むと鎖も現れる。いつしか大岩まで到達すると、ここからは最後の急登が待っている。鎖の手も借り一歩一歩確実に高度を稼ぐ。 
 
降り出した雨と強風に耐えると、ようやく念願の三嶺山頂だ。 
 
こんな天候だから当然、誰もいない。風雨激しく立っているのもままならない。 
 
「それにしても天気に恵まれるのは、なかなか大変なことだなー。」 
「昨日の朝、西島で三嶺にだけ思いを寄せたのを近辺の山が察知し、機嫌を損ねたかな。」 
「次は皆に思いを寄せるから、あまり怒らないでくれよな。」 
一面のガスに向かい心の中でつぶやいた。 
  
    
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      | 三嶺山頂にも真新しい道標 | 
     
  
 
 
 
山頂にもこれまでにも分岐の度に目にしてきた徳島県が設置したと思しき道標があった。 
「こんな悪天時、もし初めての人がいれば大助かりだ。」 
 
      ここでも、初山行時、イザリ峠での失敗を思い出した。 
「イザリ峠にも道標は設置されただろうか?」 
設置されていることを願いつつ、足早に三嶺ヒュッテにもぐり込んだ。 
  
    
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      | 三嶺ヒュッテ | 
     
  
 
小屋内には今朝、白髪小屋を自身よりも少し早く発たれ、昨日、剣山からずっと同行だったと言ってもいい新居浜からの単独の男性が一人でおられた。 
 
「白髪も良かったけど、やっぱ、ここの方が明るいし広いし綺麗だし・・、こっちの方がいいかなー。」 
(後に聞いたところによると、昨夜の宿泊者、4名) 
 
風雨を避け、しばらく休んだあと三嶺に別れを告げる。 
 
池の脇、下山ロ分岐にも道標があるので別の方面からここへ来た者にとっては心強い。 
 
大きな岩の下を通り急坂を下ると水場分岐。(最近の調査では大腸菌が検出されたとか) 
緩やかになった登山路を下ると次第に回りは潅木帯となり、やがては樹林帯を歩くようになる。濡れた木の根に足を取られぬよう注意してさらに下るとダケモミの丘。 
  
    
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      | ダケモミの丘までに5人の登山者と出合った | 
     
  
 
林道まではいよいよ最後の下りだ。 
急斜面に咲くイブキトラノオ群落(?)を過ぎると左手に沢音を聞きながらの下りとなる。古びたブリキの標識が現れると登山口は間もなく。最後に急坂を下ると登山口に出る。 
  
    
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      | 三嶺林道・登山口(下) | 
     
  
 
本来の山行はここで終わりだが・・・、大きな問題として立ちはだかるのが見ノ越までの移動方法。 
 
      自分の車は見ノ越。ここは名頃どころか、まだそれよりも山中だ。 
      歩くのが常道だろうが、距離を考えるとはなからそんな気はなく、見ノ越までは当初からの策略どおり先の大山・三鈷峰山行で味を占めたヒッチハイクに挑戦だ。 
 
懸念されるのは今日の天気があまりに悪いこと。この悪天に日帰りで登る人はまず居らず(実際には五人に出会った)、時間的にもまだ早いのでその人たちの下山を待つわけには行かない。となると、期待は昨夜三嶺ヒュッテに泊まっていたという四人。2パーティーだったらしいので、林道終点より下山してくるのをしばらく待つことに。 
 
間もなくダケモミの丘でパスした新居浜の人も下山。ともに同じ思いでしばらくすると林道上部より乗用車が下りてきた。 
「来たッ。」 
お願いすると、快諾して下さり名頃まで乗せてもらえた。 
「大助かり。」 
 
とりあえず名頃に到着。今度は国道を見ノ越に向け二人トボトボ歩く。 
「それにしても車が来ない。」 
「往来がないんだ。」 
それでも、しばらく歩くと、 
「来たッ!」 
手を挙げてみたが、全く無視。無理もない、満席だった。 
      この先歩くこと約20分。これまでに見ノ越方面に向かって来た車は先ほどの一台のみ。下って行く車もわずか数台程度。半ば諦め 
「丸石まで行けば何とかなるか・・」 
と思いかけた矢先、前方から来た車に先行の新居浜の人が手を挙げた。 
「キ、キーッ」 
タクシーが空車で下りてきたのだった。 
 
      見ノ越まではまだ8キロ以上もあったはずだが、車に乗れば約15分。運転手にとってはいいアルバイト、こちらにとってはそれの回避。 
 
「お互いラッキーでしたね。」 
 
運賃2,210円也(1台)は決して高くはなかった。 
◆【ワン・ポイント・アドバイス】 
最近、縦走路の要所に徳島県が標識を立てたようなので、各分岐点において道に迷うことはないだろう。 
 
(剣山山中はもちろん、次郎笈・尾根、トラバース分岐点、合流点、スーパー林道下降点、伊勢の岩屋・水場分岐点、石立分岐、白髪別れ、三嶺山頂など) 
 
 
前日、剣山山頂で泊の場合はもちろん、見ノ越泊の場合でも早朝に出発すれば少し無理をすればその日のうちに三嶺まで行くことも可能。 
 
ただ、翌日の行程如何では無理して三嶺まで行く意味がないとも言えるので(特に剣〜三嶺〜名頃の場合)天候を見たうえで白髪泊まりか三嶺まで行くかを考えればよい。 
 
さらにイザリ峠〜天狗塚までの縦走の場合はその日のうちに三嶺まで入れば翌日、三嶺〜西熊山の稜線漫歩をのんびり楽しむ余裕が出来る。 
 
下山後の車の利用法については、それぞれ工夫しよう。 
  
    
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      【白髪避難小屋について】 
       
      内部の状況は、お亀ヒュッテや三嶺ヒュッテと比較するには及ばないが、それでも小ぢんまりとしたいい小屋だ。 
       
      内部よりも周りの雰囲気が気に入った。テント場もすぐそこ。 
       
      水場は高知側にある。ササ原を抜け急斜面を数分下れば、冷たくて美味しい湧水がある。 
      水の味ではこちらのほうに軍配が上がる。 | 
     
    
      | 白髪避難小屋内部 | 
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◆【他の三嶺へのコース・データはこちら】 
 
 
       
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