西山林道〜イザリ峠〜西熊山〜三嶺(往復)  
威風堂堂 三嶺の雄姿

威風堂堂、大タオ近くより望む三嶺
◆【山行日時】 2001年9月15日〜16日
◆【コース・タイム】
□9月15日  曇り時々霧のち雨

西山林道・登山口=35分=1476m・ピーク=45分=イザリ峠=20分=お亀ヒュッテ

=30分=西熊山山頂=1時間05分=三嶺山頂=7分=三嶺山頂ヒュッテ(泊)

(=10分=名頃コース・水場=15分=三嶺山頂ヒュッテ)

□9月16日  霧のち時々晴れ

山頂ヒュッテ=13分=三嶺山頂=1時間05分=西熊山山頂

=15分=お亀岩=30分=イザリ峠=30分=1476m・ピーク=20分=登山口
◆【正味歩行時間】
□9月15日  3時間47分

□9月16日  2時間53分

パタゴニア

◆【詳細】
□9月15日

ちょうど日の出前の5時半過ぎ、自宅を出発。姫路バイパスを西に向けて走らせると黎明の東の空が何とも素晴らしい。天気は崩れる予報が出ていたが・・・。

瀬戸大橋を通過し井川・池田I・Cで下車。東祖谷山村、西山林道へと車を走らせる。天狗塚登山口の標識に従い、山あいのR438をさらに林道へ右折すると、約8キロで登山口だ。

先行の高松からの女性一人を含む三人パーティーがちょうど出発されるところだった。(結果的に、今日これ以降会った人は彼らのみ)
西山林道登山口
西山林道・登山口
遅れること約30分、腹ごしらえと身支度をして登り始める。曇り空からは予報どおり、時折ポツポツ雨が落ちていたので上下とも雨具を着込んだが、そう大した雨でなくやたら蒸すばかり。

おまけにここの上りはなかなか手強く、少々こたえる。

登山道の周りの木々は左、植林帯、右、自然林から、しばらくすると双方が自然林となり、登山路脇にササが現れだすとようやくダケモミ、ダケカンバが鬱蒼と茂る1476・ピークに着く。
ダケモミ林
1476・ピークの古い標識
その後しばらくは、これまでとなら随分傾斜も緩く歩きやすいが、そう長くはなく、再び急傾斜の道となる。ブナの樹も現れグングン高度を稼ぐと左手上方に西熊山らしき稜線も見えてきた。
「もうちょっとや!」

次第に潅木帯となり右手には牛の背が大きく横たわり、後ろを振り返ると祖谷谷が遥か下方だ。
祖谷谷を俯瞰
1476・ピークと祖谷谷を俯瞰
やがてイザリ峠を前方に見る笹原に出ると道端には可憐な花も見られ、気分も随分楽になりゆっくり歩くようになってしまった。
登山路脇で見かけた花・樹たち
ところが、イザリ峠に着く頃には雨も本降りになり、展望も全くなくなってしまった。

慎重に進路を東へとり(かつて西の天狗塚へ向かうという大失態を演じた、いわく付きの場所だ)、すぐにある綱附森への分岐を過ぎると、潅木の中をお亀岩へ向けて下って行く。
地蔵ノ頭の道標
地蔵ノ頭越に設置された立派な道標
雨はさらにひどくなりスリップに注意しながら進むと、お亀岩が見えてきて土佐側に少し下ると、お亀ヒュッテだ。
ようやく雨宿りができ、安堵の気持ちで中に入るも、人の気配なし。一人淋しく昼食とする。

それにしても、登山口で先行の高松のパーティーは何処へ。

天狗塚をピストンするにしてもイザリ峠にデポは見当たらなかったし、以降足跡もなくなり当然ここにもまだ着いていない。天候はこの時期とすれば最悪に近く、途中食事を摂る場所などないはず。昨年の自分のことを棚に上げて、いやな予感が頭をよぎる。
「大丈夫だろうか?」

食事を終えても、まだ来ない。雨も止みそうにない。小屋内で少しゆっくりした後、あまりの心配に外へ出て様子を見てみる。

「よかった!」
そこには、お亀岩から小屋に向かって下りて来る三人の姿。彼らだった。

聞くと、あまりの天候の悪さに、イザリ峠にはデポせず天狗塚直下にデポしてピストンしたらしい。

他人事ながら、なぜか無性にホッとした。

結局、彼らの食事の終えるのを待つ格好となり、三嶺まで同行することになった。
雨の西熊山 三嶺はもうすぐ 青ザレ脇を行く
雨中の西熊山山頂 青ザレ脇を三嶺へ向かう
西熊山山頂も含め縦走路からは一切展望はなく、四人ともうつむき加減で黙々と歩を進める。

三嶺は直下のフスベ谷分岐まで来ても、うっすら見えるか見えないかくらいだ。それでも最後の坂を上りきると、そこには当然三嶺はあった。

展望は全くないものの、この悪天候の中、山頂までたどり着けたことで皆、満足感で一杯だ。
展望皆無 三嶺山頂
展望皆無、三嶺山頂
彼らは元来、白髪小屋泊の予定なので、ここで別れることとなった。
(「一緒に剣山まで縦走しませんか」と、誘っていただいたが、ここで遠慮させてもらった。今になれば、滅多にないチャンス、勿体なかったかな。それにしても悪天候の中、彼らは大したもんだ。)

いよいよ一人となり山頂ヒュッテにもぐりこむと、案の定誰もいない。この足で水をくみに行く。名頃からも誰も登って来るような気配はなく、結局一人っきりでの夜となった。
三嶺ヒュッテ内部
明るいヒュッテ内部
□9月16日

雨はいつしか止んだようだが、ガスは朝になっても晴れていなかった。

天気予報によると、ここしばらく本州上に居座っていた秋雨前線も東海上へ移動したらしく、大陸からは秋の高気圧が張り出し今日は回復傾向だという。

しかし、日の出は見ることはできず、未だ小屋から目と鼻の先にある三嶺の池すら見えない。
「ホンマに回復するんかな〜」

「この際天気予報を信じ、少しゆっくり下山することにして小屋でのんびりしよう。」
三嶺ヒュッテ 三嶺
とりあえず撮っておきました ガスが晴れてきた!
のんびりした甲斐あって、時間を追うごとに祖谷谷側が少しづつ明るくなってきたので、とりあえず山頂へ向かう。

するとどうだろう、池脇のササ原を歩いていると、目の前に今回始めて山頂の姿が現したではないか。今とばかり、昨日は一度もシャッターを押すことのなかったカメラを大急ぎで取り出す。

山頂に着くと、360度大展望とまでは行かないものの祖谷谷側のガスはかなり晴れてきた。
三嶺山頂
天候回復を約束しているかのように・・
「天候は回復に違いない。さあ、天狗塚へ向かおう。」

フスベ谷や綱附森は既に見えている。青ザレ脇でその気配はあった。ただ、まだ晴れるには至っていないのでザレ場で花の写真撮影。

うしろを気にかけながら大タオへ向かうと・・・、
「待ってました!」
これまでの鬱憤を一気に晴らすかのようにガスが切れてきた。まずは前方、西熊山と、やや左手にゆったりとした山容の綱附森。
西熊山 三嶺
西熊山 三 嶺
そして・・・、
後方、大きなカーテンが開いたと言うか、はたまた巨大な緞帳が上がったというか・・、主役のお出ましだ。
威風堂堂、主役のお出まし 三嶺
威風堂堂、完全無欠、
「三嶺だッ!!」

とにかくその瞬間には思わず感嘆の声が出そうになり、エルガーの『威風堂堂』を口ずさみそうだった。
「♪♪ター、タララー、ラーラ〜・・・」
四方八方見回すのに暇がないくらい。

来た甲斐があった。

北側、祖谷谷越しの寒峰、矢筈山は辛うじて見える程度で眺望はさほどよくないが、南側の展望は素晴らしく、綱附森の向こうに高知市街や太平洋、さらに水平線と一線を画し彼方には大空が広がる。

また、室戸岬方面には土佐の山々が連なり、さらに海岸線を右へたどると足摺岬(?)までも見えるではないか。

昨日の悪天候はどこかへ吹っ飛んだ。
三嶺 西熊山 西熊山から西望
地蔵ノ頭、天狗塚、イザリ峠、牛の背(左から)
左下方にお亀岩、お亀ヒュッテが見える
西熊山から三嶺、次郎笈 昨日とは大違い、西熊山山頂
しかし、お亀岩を経て地蔵ノ頭への上りにかかった頃、振り返ると三嶺はガスの中だった。
「束の間の夢だったか。」
イザリ峠付近で
天狗塚へ向かう人
イザリ峠でも状況は変わらない。天狗塚や綱附森、高知市方面はくっきり見えるが、三嶺はやはりガスの中だ。

ゆっくりした後、この際天狗塚へは向かわず下山することにする。

登る際には見る余裕のなかった、徐々に変化する樹木の植生を楽しもう。

ただ、それも1476・ピークまで。右手に植林帯が現れるとフィナーレが近く、林道のカーブ・ミラーが見えると”夢山行”は終わった。
◆【ワン・ポイント・アドバイス】
とにかく三嶺は素晴らしい。山行を重ねるたび、この思いは強くなって行く。

徳島側、祖谷谷・名頃から登ると短時間で登れてしまうが、むしろ時間を要する当コースや高知側からのコース、剣山からの大縦走を経て登ると、達成感はきっと違うはず。

三嶺〜西熊山から三嶺の眺望は特筆に値する。
今回や春の山行時のようにカーテンが開くが如く、はたまた緞帳が上がるようにガスが晴れ、三嶺が姿を現すと殊更だ。

時間に余裕があればイザリ峠から天狗塚、さらに足を伸ばし牛の背散策してのんびりするのも良い。

登山口への西山林道は、林道と言っても登山口までは全線舗装されている。数台駐車可。

登山口少し下方の林道脇にホースを引いた水場あり。

登山口〜イザリ峠〜お亀ヒュッテ下方、その後稜線上を含め、山頂ヒュッテから名頃コースを下ったところ(ヒュッテから往復、約30分)まで水場はない。

◆【画像一覧はこちら
◆【高知側、フスベ谷から三嶺、カンカケ谷へのデータはこちら



G A L L E R Y | 山のアルバム | 四国の山TOPへ