大茅スキー場〜若杉原生林〜沖ノ山(おきのせん)
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このページの画像はすべて Canon IXY DIGITAL 55で撮影しました

1,196.3付近よりみる沖ノ山方面(山頂は左のピーク)
◆【山行日時】 2008年3月15日  快晴

◆【コース・タイム】

大茅スキー場=70分=若杉天然林・休憩舎=55分=県境尾根・吉川越え分岐ピーク=80分=沖ノ山・北ピーク

=40分=吉川越え分岐ピーク=15分=休憩舎=35分=スキー場

(コースタイムは一部シール登高時間と滑走時間が混在しています)




◆【詳細】

前日の3月14日、西粟倉村役場に大茅(おおがや)スキー場から若杉原生林に通じる林道の状況について問い合わせてみた。
「この区間の開通はいつですか」と。

「降雪がなければ明日15日、除雪を行い、16日の日曜日には開通予定です。」
このところの暖かさならきっと開通しているものとみて問い合わせたものの、無常の返事が返ってきた。

この週末に今回の沖ノ山に行こうと少し前から決めていた。

16日の日曜日はどうでも出席しないといけない用事があるので、この返事を聞いて先延べしようかどうか少し悩んだ。この区間が開通しているか否かで歩行時間が往復で1時間半以上違うから、こうなってしまう。

心揺るがされしばらく思案したが、
「長く歩いたほうがより行った気になれるし、それよりもあとになればなるほど雪の状態もよくないに違いない。」
15日早朝、家を発った。

順調に兵庫県から岡山県へと走り、岡山・鳥取県境の志戸坂トンネル手前を左折(厳密にいえば右折)、大茅スキー場へ向かう。この谷に入った頃からようやく付近に残雪が現われ、ほっとする。

大茅スキー場から先は通行禁止 帰路、問題と感じたラッセル車と除雪車大茅スキー場には聞いたとおり進入禁止のラッセル車二台が道をふさぐように駐車してあった。

ここまでは予定通りだったが、昨日聞いたところでのこちらの理解では、スキー場から上部ではまったく除雪されていないとの判断をしていたが、見たところ少なくともしばらくは除雪されている道路を目にしたことは予定外だった。

除雪されていないとのことだったので道路上に積もった雪上を歩けばいいと考えていたが、これでは道路上を歩くことができないではないか。

それ以降に降雪もなかったようなので道路面はすっかり乾ききって、路面を歩くこともできない。
「路面の通常歩行だけは勘弁してほしいからな〜。」

除雪は千種方面分岐までだった
さいわい、道路脇には50センチメートルほどの雪の壁ができていて、さらにその脇にはほぼ同じくらいの積雪が残っているので、ここを歩くとして出発する。(7時35分)

スキーはあまり沈まず、ほぼ道路上を歩くのと変わらない感覚で歩けるのが救いだった。(右側通行で行く)

休憩舎上部の案内板








45分ほどで千種町への分岐に達し、ここからは聞いていたとおりの除雪していない状態の道路上を歩く。

雪はほどほどに締まり、原生林駐車場らしき場所にはスキー場から1時間強で到着。少し上部の休憩舎で一本入れる。

ここに来るのは約2年ぶり。春の湿雪に打ちのめされて以来だ。

そのときは雪の状態が最悪で、このあと難儀した記憶が強く残っている。今日もここから先のことが心配されたが、これまでとそのときの雪の状態を比較してみると比べ物にならないほど今日は良く、 おまけに天気も良いので大いに期待が膨らむ。何とかなりそうな感じだ。

沢沿いに少し歩き、雪の繋がったところを見計らって適当に右岸へと渡る。

当面の目標点は左上部の尾根を上がり台地上の箇所に出ること。ここは前回、締まらない雪に相当苦労したので、まずは第一関門。

登り始めると予想以上にシールが利きサクサク歩ける。しばらく大きなジグザグを切って歩くと難なく台地上に上がることができた。
岡山県、智頭、若桜町境の標識
過去の記録を見ると、そのときは休憩舎からここの東屋まで40分もかかったようだ。

今日はここまで来るのに具体的にどれほどの時間を費やしたかはっきりしないが、時間を気にせず歩けたこと自体が、かなり早く、また調子良く歩けていた証拠ともいえるだろう。

この後も順調に歩け、かつて到達した県境尾根に難なく到着。

景色だってバッチリで、背後には後山〜駒の尾山の稜線が逆光気味ながらきれいに見えている。

進路を西へとり、登りきったところが岡山県と鳥取県智頭、若桜町との境界でもある吉川越えへの分岐点。

北方へ伸びる町境尾根の先にはわずかに東山が望め、西方にも、まだ遠くながら沖ノ山らしき双耳のピークがわずかに見える。

地形図を見ると滑れそうなので、ここでシールを外し滑る。

短い滑走ながら何とか手に負えそうな雪質を確認できたことに、胸をなでおろす。

右手(北)に見える東山や氷ノ山方面次のコブはそのまま巻き気味に滑れたが、すぐにシール歩行を強いられる斜面が現れた。

この付近では目的地である沖ノ山は見えず、正直あまり面白くない。

それでも、目の前の大き目の斜面を登り1,196.3に立つと、正面に沖ノ山への雄大な稜線がきれいに見えるようになった。(表題画像)
歩いてきた稜線と、遠景(東)くらます、三室山〜植松山稜線







いくら標高が低いとはいえ付近で最も標高の高い主峰を望む状態なので、ずいぶん見映えがして素晴らしく、他の方角を見回しても展望抜群で中国山地東部の山々がほぼ見渡せる。

ここでの雄は右手(北)に見える東山(とうせん)。かつてKさん、Mさんと歩いた長かった町境尾根が懐かしい。

この先、少し下りはあるもののその先にはまたすぐに登りが待ち構えていることが分かっているので、シールのまま進む。

雪原にわずかにブナが点在する稜線を景観を楽しみながらのんびり歩く。展望抜群でロケーションは近隣では最上級だ。

次第に東山の左肩に扇ノ山が姿を現す1,193まで来れば少し近づきすぎて、沖ノ山の景観自体はあまりよくなくなってしまうのが、いささか残念なところか。

どう見ても場違いな、へんてこりんな銅像や灯篭を見ると山頂に向けての雪原の登りとなる。

景色も楽しみながらゆっくり歩き、手前のコブは右(北側)から巻く。

山頂直下の、稜線上では最大の登りを頑張れば沖ノ山に到着だ。

残念ながら山頂は木立ちに囲まれ展望が良いとはいえない。

すぐ右前方(北西)のほぼ同じ標高のピークは東面が切り開きのように見えたので、そこまで足を伸ばす。(11時20分)

このピーク、あいにく北面の東山、氷ノ山方面は立ち木でよく見えなかったが三室山や植松山、後山稜線が見事に見える東を向いて腰を下ろすことにした。

ところで、今日はこれまでに誰とも会わずここまで来ていた。もちろんここも誰の足跡も、動物のものさえもない。
「どうせなら、誰にも遇わない山行もいいかも・・・。」

遠くに大山山塊がほんのりと浮かぶ那岐山稜線
















昼食をとり、暫時あたりから見える遠景の写真を撮ったあと、再度のんびりしていると、どこからか人の声が聞こえてきた。

先ほど想った希望的観測は 山頂へ向かい稜線を上がってくる3人のスノーシュー隊を見とことで、あっさり打ち消された。

「余計なことを考えなければよかった・・・。」北峰でのんびりする(右は沖ノ山 遠景は後山稜線)

彼らはしばらくしてもここまで来ることはなかったので、もうしばらく一人でのんびりする。

それにしても、ここのロケーションは最高だ。

ピークでのそれは氷ノ山を間近に見る落折山と双璧。

また道中で見た雰囲気は仏ノ尾、三室山・ショウダイのコルに匹敵するほど素晴らしい。

ロケーションだけに限れば他にもいいところはあるだろうが、それプラス静寂な環境を独占でき、享受できるところは数少ない。

仰向けに寝そべり、春の穏やかな日差しを浴び、しばし至福の時間を過ごす。

山頂に戻り、山頂西に腰を下ろした彼らとしばらく話したら滑降だ。(彼らはちくさスキー場から発)(12時45分)

ここから例の銅像付近までの標高差130〜140メートルがメインイベント。雪は適度に緩み快適に(決して快調ではなく)滑る。

後山〜鍋ヶ谷山〜駒の尾山とダルガ峰振り返れば沖ノ山が次第に遠ざかる
















あっという間に高度を下げ、銅像の前を通過する。

この後はアップダウンを何度か繰り返しながらシールで歩く。往路同様、この付近はあまり面白くない。振り向いても、いつしか沖ノ山も見えなくなったので、なおさら。

吉川越え分岐まで戻ればシールはお役御免、あとは滑走するのみ。

稜線をはずれ右手に滑り込むと東屋の建つ台地状の地点に戻り、左から裾を巻くように沢筋に向け滑り降りる。高度を下げるほど雪は腐り、登る際良さそうに感じていた斜面も思っていたほどうまく滑れず、ちょっとくやしい。

沢筋では意識して早めに左岸を滑り、傾斜が緩むと間もなく原生林案内板前に出た。(14時ちょうど)

予定通り除雪作業を行ったようで、目の前には真っ白だった朝とは打ってかわり路面があらわになった駐車場。

ここからは機嫌よく雪面を滑ることができず、除雪され吹き飛ばされてきたばかりの雪上を道端の雪壁の際に沿って足元を気遣いながら滑る。

それでも、この雪は除雪されたばかりで真新しく軟らかく、そう苦労せず滑れたので助かった。

やがて大きな音とともに、今まさに除雪作業中のラッセル車と除雪車のうしろ姿が見えてきた。

そのうち平行して滑るようになり、二台のうちのうしろ側の除雪車の運転手に向かい「通りたいんですが・・・。」の意思表示を装いストックを振ってみる。

しかぁ〜し、何度か振ってみてもこちらの行動が目に入っているはずなのに、お構いなし・・・。

運転手の方を見やってもまったく無視で、前のラッセル車の運転手も、こちらの存在を知ってか知らずか除雪作業を休める気配はない。

特殊車両とはいえクラクションのひとつも付いているだろうから、ピッピッとか鳴らして、「人が通るぞ〜っ」って知らせてくれるかと思ったのに・・・。

無謀とも思える行動のラッセル車そんな折、都合よく千種分岐手前の沢にかかる橋に出くわした。

ここは雪が途切れ、これまでのように雪上を滑れないので車道歩き。

今ぞとばかり板を脱ぎ二台の車を足早に抜き去る。もちろん、どちらの運転手にも目もくれず、無視して。

分岐まで歩き、ここから下方はほぼ朝と同じ状況だったので、雪壁を上がり自分の着けたトレースに沿って滑る。

それにしてもこの二台(二人)、ちょっとたち・・が悪くないか。

うしろの除雪車は前記のとおりだし、前のラッセル車も申し訳なさげに小さな愛想のひとつも振りまくわけでもなし・・・。

それどころか、この後、ひとが慌てて滑る準備をしているのに、急かすように除雪作業を続けこちらに迫り来る(ように感じた)のだから。

確かにこちらは遊びに来てるし、お宅たちは仕事中っちゃぁ〜、仕事中。その前をちょろちょろされたら気が悪いのは分からなくもないけど・・・。

スキーを履くや否やクロカン風に一目散に滑り出したので、この後、危機感を感じることはなかったが、いくらお宅たちが下請け業者とはいえ、
「仕事熱心にもほどがあるっちゅうね。しょうもないことなんやから、ちょっとは心くばりしたらどやねん。よくよく考えるまでもなく、誰が見ても公金を遣った役所仕事やねぇ〜かぁ〜。」

かなり腹立たしかったが、ま〜、いかにもよそ者を排他的に扱いがちな田舎モンらしと言っちゃぁ〜、らしいかぁ〜。

こころ鎮めて役所批判はこの辺で終わり。

分岐以降、はじめ滑りはよくなかったが下るほど滑るようになり、一ノ橋で一度スキーを脱いだだけで、やがてスキー場に戻ってきた。(14時40分)

最後に感じたラッセル車の一件がなければもっと良かったのだが、それでも好天と眺望、雪質に恵まれた今回の山行は、天候と悪雪に敗退した二年前の鬱憤を晴らす山行だった。

16日以降は彼らのおかげもあって(これは、あくまで役所の仕事)若杉原生林駐車場まで車の乗り入れが可能となるだろう。(降雪があれば不可 千種方面は未開通)

gps track

荒天下に限らず雪山では充分な知識、装備をもって臨まなければなりません
なかでも地形図、コンパスはどのような状況においても最重要な必須アイテムです(今回は念のためGPSも携行しました)



◆ 2006.4.01 若杉原生林周回の記録はこちら

◆ 2006.3.05 若杉原生林から鳥取・東山(とうせん)の記録はこちら

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