大杉山、須留ヶ峰
須留ヶ峰山頂は元来、展望は利かない

須留ヶ峰山頂
◆【山行日時】 2007年9月08日  くもり・ガス一時小雨
◆【コース・タイム】 
養父市餅耕地上部・駐車地点=35分=林道出合=45分=大杉山山頂=17分=須留ヶ峰山頂

(=30分=須留ヶ峰山頂)=18分=大杉山山頂=35分=林道下山口=10分=岩滝下=18分=登山口
◆【正味歩行時間】 3時間28分

パタゴニア


◆【山行の記録と画像】
諸般の事情により、今夏は日帰りの山行ですらままならず、工夫を凝らしながら近くの高御位山に何度か上がっただけで終わってしまっていたが、ここに来てようやくその事情も少しは緩和される目鼻が立ってきた。

そこで、今年の5月の連休前に上がったものの、三箇所あるこの山域への一般ルートのなかで唯一歩いていない養父市餅耕地(もちごうち)からのルートで大杉山〜須留ヶ峰を歩くことにした。


朝来市から八代坂を上り切り、トンネルを抜けると養父市へと入る。

これから登る山、大杉山はこの谷に沿って流れる建屋(たきのや)川の左岸に端正な姿を見せてくれるはずなのだが、南部ではくもりがちで納まっていた天候も生野峠を越す辺りからとたんに怪しくなり、ここまで来ると霧雨のような小さな雨が降ってきた。

建屋集落を避けるように付けられたバイパスで標識に従い左折し、餅耕地集落へと向かう。棚田脇に付けられた細い道を進み、小さな集落を抜けると鳥居に出くわす。

傍らにある標識によると、右は一般コース、直進すればベテランコース。
一般コースといっても、ただ単に林道をたどって進むコースのようでベテランコースに比べるとずいぶん距離が長そうなので、このまま直進。

コンクリートの道をしばらく進むと三叉路に立派な標識。ここを駐車地点として、準備したら歩き出す。
今日はルート確認が第一の目的なので、あいにくの天候も決行。

わずかに歩くと林道は終わり、登山道へ。

はじめは餅耕地川源流部に向かって沢沿いの道を行く。右岸、左岸と何度か渡りながら右手には巨大な大石も見て歩く。
苔むした渓谷美は意外にも見応えがある。

鳥居の立つT字路はルートの分岐点でもある 駐車地点三叉路
鳥居の立つT字路はルートの分岐点でもある
右、一般コース、直進、ベテランコース
駐車地点三叉路
餅耕地渓谷
苔の美しい餅耕地渓谷


二俣を左俣方面へと進むと動物避けネットを簡易の出入り口で抜ける。

岩滝分岐を見て、滝を巻くように付けられた急な道を行く。登山路には背丈以上の植物が覆いかぶさり、足下が見えづらいので少し歩きづらい。

再度、沢沿いに歩くようになると水は涸れ、源頭部が近付くと二度目の簡易ゲート。

ゲートを抜けると、一般コースとの合流点でもある林道に合う。

道路、向こう正面の標識によると、登山路は林道を左方面へ向かったところのようなので、それに従い進むとすぐに林道は終点となり、右手に延びる尾根に登山道が見える。

これまでは沢沿いの道、ここからは尾根道。

岩滝分岐点 野生動物避けネットの簡易ゲートを上方より見る
一つ目の野生動物避けネットの簡易ゲートをくぐると岩滝分岐点 二つ目の簡易ゲートを上方より見る
林道終点、尾根道基点にも標識がある
林道終点、尾根道基点にも標識がある
登山路は右上へ


雑木の尾根を短く急登すると、尾根を左手から回り込むように歩く。

薄暗い植林帯を歩き小さな沢の源頭部を渡ると、やがて自然林帯を歩くようになる。
あいにくの天気で見通しは利かないものの、それでも幻想的な森の光景は素晴らしい。

登り切った小さな鞍部は大杉山南の市境尾根の鞍部で、標識に従い右折。

しばらく上ると傾斜は緩み、雑木の小径のような気持ちよい登山路。
餅耕地展望地らしき地点の右手の切り開きからは、天気が良ければ点在する集落を眼下に望めそうだが、今は展望皆無。

急傾斜の登山路をしばらく頑張ると傾斜は緩くなり、間もなく大杉山の山頂に着く。

餅耕地展望所付近は雑木の小径 大杉山山頂
餅耕地展望所付近は雑木の小径 大杉山山頂

山頂には誰も居ず、独り占めは良かったものの、良かったのはそれだけで展望は全く無し。

とりあえず腰を下ろして、おもむろに目線を下げた足下を見てびっくり。ズボンの右の裾が真っ赤になっている。
下草のあるところが多分にあったので、てっきりその際、草の身でも飛び散ったのかと思いきや、その裾をめくってみて再度びっくり。
ズボンの外の赤い様とは大違い。皮膚からは、あちらこちら流血だらけ。ダラダラと血が垂れている。

「やられた〜。」
へばりついた数匹のヒルを見るまで気が付かなかった。
多少なりとも気を付けていたつもりだったが、無防備だったといえばそれまでで、結果、ここまでひどくなるとは思っても見なかった。

ティッシュを取り出しつまみ取ったが、流血は簡単には止まらない。
むやみにいじっても仕方なさそうなので、流れ出た血が自然に固まりかさぶたになるのを待つことにして、ここは放っておくことにする。

ヒルの餌食になった要因はいくつか考えられるだろうが、そのひとつは暑さを少しでも緩和しようと履いてきた、くるぶしの下までしかない靴下があるような気がした。
というのも、ちょうどその靴下の上端の部分にヒルが潜み、あちらこちら吸われていたのだ。

丈の長い普通の靴下を履いていれば少しはましだったかもしれないが、それも確証はなく、それよりも何よりも、この上に暑さ避けの半ズボンを履いて来なかったことが、せめてもの救いだったと思うしかなかった。

短く休んだら西の須留ヶ峰まで足を延ばす。
この天気、須留ヶ峰山頂からはあまり何も見えないので足を延ばしてもどうってことはなかったが、せっかくなので足を向けてみた。

須留ヶ峰まで来たけれど、やはりガスは晴れず、まったく展望はなく何てことはなかった。

須留ヶ峰山頂は元来、展望は利かない ガスにけむる大杉山山頂
須留ヶ峰山頂は元来、展望は利かない ガスにけむる大杉山山頂

この後、ハプニング発生。
ヒルに血を吸われ頭がボーっとしたからではあるまいが、思いもよらぬルートミス。30分ほど余計な労力を費やした。

山頂から大杉山へは、ほぼ真東へ延びる尾根をたどらなけらばならないのに、角度にして30度ほど違う南に派生する尾根を下っていた。
下りはじめから、「何だか違ってない?」と自問自答しながら歩いていたが、間違いだと確信して引き返すまでには15分ほど掛かった。

「本来の尾根道に比べると踏みあとはか細いし、辺りの植生はこれまでに見たこともない見事なブナ林が現れ出したし・・・。」

ガスが立ち込めていて方角が判然としなかったせいもあるが、思いもよらぬケアレスミスに山の恐ろしさを実感させられた。
(尾根道を歩くようになって以来、登山路には国土調査と称する杭が至る所に見られ、また、これに係わる人が山中に入るにあたり付けたと思われる赤や青の吹流しのようなテープがあちらこちらにあり、これらに惑わされたのもルートミスの一因と考えられる)

正規のルートを歩くようになると、20分もすれば大杉山に戻る。

山頂西でたった今、須留ヶ峰に向かうため大杉山を出発された今日、唯一の人と出会う。

展望のないなかも、大杉山でしばらくゆっくりしたあと下山する。

雨は落ちていないながら相変わらずの天気で、餅耕地展望地でも展望は利かない。

雑木林を抜け、鞍部で左折するとブナもある斜面を下る。植林帯に入り小さな沢を渡ると雑木林の尾根を急降下。
林道に出て林道を短く歩き、簡易ゲートを抜け沢筋へと下りて行く。

スリップしないように気をつけながら下ると沢音が聞こえるようになる。

右手下方に岩滝の姿を見ながら下り、ゲートを抜けるとそこへの分岐。
せっかくなので足を向けたものの、流量が少ないからか、それとも元来、こんなものなのか、そう大した滝ではなく少しがっかりだった。

稜線下ではブナも見られる 岩滝
稜線の下方ではブナも見られる 岩滝


下るにつれ次第に流量は多くなり立派な沢となる。大石前の流れでしばし休んだ後、さらにもう少し下るとコンクリートの林道終点地点に下り立つ。

駐車地点の三叉路は目と花の先。

ズボンの裾をめくってみると・・・、例のヒルがやはりいた。山頂では主に右足を吸われていたが、下りでは反対の左足がひどい。
これで左右、均整が取れたともいえるが、こんなことは嬉しくも何ともない。

お陰で、両足ともくるぶし付近は血まみれになってしまった。

入山時には記帳できなかった鳥居の所の記録帳に記帳した後、帰路に着いた。

八代坂で振り返っても、大杉山の端正な姿は見ることは出来なかった。



◆【ワン・ポイント・アドバイス】
大杉山までのルート上の要所には登山案内標識があるので、道迷いの心配はない。

強いて言うなら下山時、主稜線下方の自然林帯で一瞬ルートが分かり辛いことがあったが、天候にさえ恵まれていれば、こんなこともないだろう。

須留ヶ峰からの帰路のルートミスの件も上に同じ。



ちなみに、晴れた日の大杉山から北面の展望はこんな感じ 07.04.29

大杉山からの眺望
大杉山からの眺望


倉谷コースでの大杉山〜須留ヶ峰を見る

田渕コースでの須留ヶ峰〜大杉山を見る



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