南丹市議会議員
八木 眞

 

 市長施政方針演説(全文)

 提案理由の説明に先立ちまして、お許しをいただきまして、市政に対する所信の

一端を申し上げます。

 南丹市が発足いたしまして5カ月が過ぎましたが、私は、1日も早い市政の安定

をめざし、まず、市政への市民の信頼回復から取り組みます。そのためには市職

員が一丸となり、徹底した住民サービスを提供できる体制にし、「市役所 に来たら

何とかなる」と市民の皆さんに信頼される組織づくりに努めます。さらに、情報公開

と広報広聴活動を充実させ、市民の皆様方と意識を共有して納得していただける

施策を推し進めます。

 私たちは、南丹市民としての誇りと粋を強固なものにし、 新しい南丹市、輝き希

望あふれる南丹市を目指して、市民みんなで力を合わせて、努力していかなけれ

ばなりません。

 私は、新しい南丹市づくりに向けて、南丹市の豊かな可能性をしっかり引き出

し、実現するために、今、やらなければならないことを、迅速かつ着実に実行して

いく所存であります。何より市域の一体感を早期に醸成させることによって、「誇り

ときずなを大切に みんなで創る 新しい南丹市」の実現に向け、皆様と手を携え

て全力を傾注する決意であります。

 特に今、市がしなければならないことは、地域経済の括性化、効率的な行政運

営による市民満足度を高めるための 行政改革、市民の税金を「血税」と再認識

し、1円まで活 かすための基盤強化と財政改革を行うことであります。こ のことに

よって、市民も市職員も、市民であること、市職 員であることに自信と誇りを持て

る南丹市を築くことがで きると信じております。

 またその基盤となる財政再建のために、私は粉骨砕身努力いたしてまいる所存

であります。未来の南丹市を輝く南丹にするためには、南丹の可能性を十分に引

き出す市政運営とまちづくりを、今、しっかりしておかなければなりません。財政

難で地方交付税や国の助成金も減少しています。自主財源を増やす取り組みを

進めて参りますが、中長期的 な視点と時間が必要です。そのためには、まず、市

行政において見直すべきは見直し、改めるべきは改め、伸ばすべ きは伸ばす必

要があります。私は、明日の南丹のために、皆様のご意見を拝聴しながら、知恵

を使い、汗をかく努力を惜しまず今、しなければならないことを、着実に実行して参

る所存であります。

 そこで私は、市政の推進にあたり、合併時にまとめられた「新市建設計画」を基

盤として、今後次のような事柄を市政の柱に据えて取り組んで参ります。まず、南

丹市の美しい自然や伝統・文化はふるさとの誇りです。自然・伝統・文化の調和の

取れたまちづくりをめざします。

 私は、市民の皆様が「合併をして良かった」と感じていただけるまちづくりに取り

組んでまいる所存であります。

 それぞれの旧4町の豊かな自然や伝統・文化の上に築かれた、特色あるまちづ

くりや村づくりは、旧町民のみなさまが力を合わせて推進されて参りました。私は、

今日までの旧4町における素晴らしいまちづくり、村づくりを市政に継承するととも

に、今こそ、それぞれのまちの粋をもう一度強め、南丹市全域に広めていき、誇り

ときずな、これを強めることによって新しい南丹市を築いていきたいと思っておりま

す。南丹市は多様な機能や可能性を秘めた魅力的な素材が多く蓄積されていま

す。既存の観光に加えて、都市との交流や新たなる資源を生かして交流人口を増

加させ、観光をはじめ、各種の産業振興を図る施策の推進が必要であり、合併効

果がいかんなく発揮できるよう取り組んでまいります。次に、市民活動を積極的に

支援し、きずなを通わせ市民の皆さんとともに歩む市政を進めます。

 開かれた市政をどうやって推進していくのか、市民主権の視点に立っで情報を

公開していく広報活動の強化、市役所で何をやっているのかを市民に知らせてい

く広報誌の拡充、インターネット、CATV等高度情報通信網の拡充を図り、合わせ

て市民の皆様のご意見をインターネットでもお受けできるようホームページの整備

も図り、ご意見を拝聴する機会を増やしていきたいと思っております。

 特に、女性の皆様、子育て真っ最中の方、若い方たちの考え方等を十分にお伺

いをするシステムの構築を図ります。

 私は、市民主権の行政は、市民の皆さんの想いを行政に伝えていただくことから

始まると思っております。また私をはじめ、市の職員が、できるだけ多くの市民の

方々から、直接ご要望やご意見をお聴きする機会を持ちたいと思っており、市役

所においてもそれに対応できる市役所づくりを進めて参ります。

 市政の課題や問題については、市民と情報を共有し、課題への取り組みや問題

解決のための対応を、市民と一緒に知恵を出し合う行政が、地方主権を目指す地

方自治体の、今後のあるべき姿であると考えております。市民の皆様から信頼さ

れるようになるために、私は、わかりやすい情報提供および情報共有を目指した

情報公開の実現に、最大限の努力を図ってまいる所存であります。そして、市民

に意味のある、便利な、使いやすい行政サービスを実現するため全力を尽くしま

す。

 次に、JR複線化・道路整備・情報網の整備等、ひと・まちをつなぐ大切なネット

ワークの整備により、新たなきずなを結び、地域経済社会の発展を図ります。

 平成20年度に、京都・園部間のJR複線化の完成が予定されておりますが、八

木、吉富駅の周辺整備を進めることによって、住宅の建設が進み、南丹市は、人

口増に向かっていくものと期待しております。あわせて「京都新光悦村」に進出い

ただく企業や八木町内におけるジャトコの拡張や、「虎屋」をはじめ新規企業の誘

致等によって雇用の創出が図られるとともに、園部町内の南丹都市計画事業本

町土地区画整理事業等により、地域社会、経済にとって、明るい未来があるもの

と確信しております。

 また、市内には美山のかやぶき、日吉のダム、瑠璃渓や大堰川河畔の風景等、

都市との交流を促進する観光資源が豊富にあります。市営バス路線の充実と併

せ、新しい観光資源も視野に入れた整備を進めて参りたく思っております。

 また、農林業の現状は、誠に厳しいものがありますが、安全・安心の京野菜の

市場への供給は、市内各地の「朝市」の賑わいとなって表れており、特産物の振

興に向け新しい息吹になっているように感じております。南丹市にとって農林業は

基幹産業であり、都市近郊といった立地を生かして、今後農林業関係者、営農指

導者、JA、森林組合等の皆様方のご意見を賜りながら地域農林業振興のための

各種の施策を検討・実施していきたいと思っております。

 ただ、豊かな大自然の中で水や空気を大都会に供給していますので、応分の負

担を大都市にお住まいの方や国に求めていくことも大切ではないかと思っておりま

す。

 次に、福祉は人と人とのきずなが支えます。お年寄り、障がいのある方や子ども

たちが安心して暮らせるまちづくりを進めます。

 南丹市の誇れるものの一つは人的資源に恵まれている点です。まず、市内にあ

ります医療、伝統工芸、建築、看護など多様な分野の大学や短大、専門学校と市

役所との連絡やネットワーク化を進めたいと存じております。また、高齢者や障が

いのある方が安心して生活いただくために、高齢者福祉施設、障がい者福祉施

設、公立南丹病院や明治鍼灸大学附属病院等の福祉・医療施設等とも連携を図

りながら、福祉・医療施策の充実を図っていきたく思っております。特に、ノーマラ

イゼーションを具現化する街づくりを,進め、人間としての尊厳を保障する地域社

会づくりを実現して、市民のみんなが一緒になって、地域社会を協働して形成し、

交流していく社会を構築していく必要があります。市民一人ひとりの命を守り、自

立した生活を支援・確立する施策を推進し、「くらしやすいまち・南丹市」の実現に

取り組んで参ります。

 次に、子どもたちの輝く未来のため、子育て支援施策の充実と教育環境の整備

を推進します。

 南丹市の子育て支援施策は、他市町村と比して、充実しておりますことは誇りで

ありますが、南丹市の将来を担う子どもたちのために「子育てのしやすいまち・南

丹市」を目標に子育て支援施策のさらなる拡充を目指します。

 また、幼・小・中・高校の公教育の教育環境を十分に整備することによって、将

来を担う子どもたちを健やかに育成することが重要であります。また、保育ニーズ

も多様化しておりますが、このことに的確に対応することも行政の責務であると考

えております。様々な課題がありますが、私は、子どもたちにとってどうすればい

いのか、何が必要なのかという視点を重視し、教育関係者、PTA、地域社会の皆

様方との論議を深めなければならないと思っております。乳幼時期の保育から、

幼稚園、学校教育を通して、学力の向上と合わせ、しつけや生活習慣等も含めた

豊かな社会性を身につけることのできる環境の整備が大切であると認識しており

ます。加えて、通園・通学の安全の確保、通学バスの問題を含めて地域社会と共

に安全対策を講じてまいりたいと思っております。

 豊かな人間性があればこその人材で、また社会で必要とされる人材であります

ので、人材育成を通して地域における特色を生かしたスポーツや文化の振興、生

涯学習の中で世代間の交流が図られるなど、地域住民が一体となったまちづくり

が可能になると確信するものであります。専門家の意見にも耳を傾けながら、鋭

意取り組んでまいる所存で あります。

 次に、人権が尊重され、市民お一人おひとりが、人間としての尊厳が守られるま

ちづくりを推進します。

 今、DVや児童・高齢者虐待が社会問題となっており、 また、悲しいことに今な

お、様々な差別や偏見が残っているという事実に、私は目を背けてはいけませ

ん。

 このことの解決のためには、啓蒙・啓発活動を積極的に進めていくことが大切

であり、南丹市においても市民の皆様とともに、新たな組織を立ち上げることが

必要であります。人権が尊重され、人間としての尊厳が守られるまちづくりを、私

をはじめ、市役所職員が先頭に立っていかなければならないと決意しております。

 以上のようなことを今後の市政推進の柱としていきたいと考えておりますが、新

しい南丹市にとって、可能性を最大限に引き出し、夢と希望溢れる南丹が実現す

るかどうかは、今を生きる私たち市民一人ひとりの夢を、形にする強い意思にか

かっています。

 私は、自らを律し、市長の職責を果たすべく、正に命をかけ全力を尽くす覚悟で

おります。しかしながら、これらの施策の推進のためには、市議会議員各位のご

理解が不可欠であります。市議会議員各位におかれましては、議会活動の中で、

今後大変お世話になりますが、市政に対する絶大なるご支援、ご協力をひとえに

お願いする次第であります。

 併せて、市民の皆様方のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、所信の一端

といたします。