<野菜の養分吸収のスタイル>

・普通、多くの植物のライフサイクルは茎葉などの栄養器官が生長する栄養生長期と花芽が分化発育して稔実するまでの生殖生長期の2つの生育相があります。また、発芽して結実するまでのそれぞれの栄養素の生理機能は生育時期によって大きく変化しますので、栄養素の役割や吸収量も変わってきます。そのため、栽培に対して野菜たちの養分吸収のスタイルを知る事も大事なようです。

1.栄養生長型
葉又は茎の生長を持続しながら収穫する野菜。ホウレンソウのように生育が盛んな時に葉っぱを収穫するので初期生育から収穫期まで肥切れを起こさないようにする。

◆栄養生長型◆
生育タイプ 野菜の種類 養分吸収のスタイル
栄養生長型 ホウレンソウ、春菊、コマツナなど 連続吸収型

2.栄養生長・生殖生長同時進行型
茎葉を生長させながら果実の肥大や充実を図り、連続的に収穫する野菜。基肥は初期生育の確保を行い、追肥は茎葉の生長と果実の肥大と充実を図る。スイカ、メロン、カボチャなどは基肥過多になると着果不良や蔓ぼけを生じるので基肥少量で着果後と果実肥大期に追肥で調整を行う。

◆栄養生長・生殖生長同時進行型◆
生育タイプ 野菜の種類 養分吸収のスタイル
栄養生長・生殖生長同時進行型 トマト、ナス、キュウリ、ピーマンなど 連続吸収型
スイカ、メロン、カボチャなど 尻上がり吸収型

3.栄養生長・生殖生長不完全転換型
茎又は葉が栄養生長から結球期などに転換する野菜。キャベツやハクサイなどの養分吸収のピークは外葉発達期と結球充実期の2つがあるので十分な外葉作りと結球前の的確な追肥が望まれる。タマネギは玉肥大期(生育中期)に養分吸収のピークがあるので玉肥大初期に肥料を効かせる。

◆栄養生長・生殖生長不完全転換型◆
生育タイプ 野菜の種類 養分吸収のスタイル
栄養生長・生殖生長転換型 不完全転換型 間接結球 ハクサイ、レタス、キャベツなど 連続に近い山型吸収型
直接結球 タマネギ、ニンニクなど 山型吸収型
根肥大(直根類) ダイコン、カブ、人参など 山型吸収型
根肥大(塊根類) サツマイモ、ジャガイモなど 山型吸収型

4.栄養生長・生殖生長完全転換型
栄養生長が止葉などにより順調に進まなくなり、生殖生長へと転換する野菜。ブロッコリーなどは花芽分化〜蕾が出始め(生育中期)が最も生育が盛んであるため、この時期に肥切れを起こすと花蕾の生育に支障をきたす。

◆栄養生長・生殖生長完全転換型◆
生育タイプ 野菜の種類 養分吸収のスタイル
栄養生長・生殖生長転換型 完全転換型 ブロッコリ、カリフラワ、トウモロコシなど 山型吸収型

苗づくり

・野菜を栽培するには種を蒔きますが、苗づくりとして2種類のやり方があります。また、どちらのやり方でも出来る野菜もありますので一例として記載しておきます。

直播き栽培・・・畑に直接、種を蒔くやり方です。
移植栽培・・・・・あらかじめポットやトレーなどの仮苗床を使って種を蒔き、苗を育ててから畑に植えるやり方です。

◆苗作り◆
直播き栽培 ホウレンソウ、ミツバ、青梗菜、ニラ、ダイコン、ニンジンなど
移植栽培 トマト、ナス、ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、タマネギ、オクラ、レタス、キャベツなど
両者栽培可能 春菊、ハクサイ、カブ、エンドウマメ、ソラマメ、エダマメ、トウモロコシなど

実生苗・接木苗・ウイルスフリー苗

・種を蒔くには多すぎるし、時間や手間を考えるとついつい苗を購入しちゃいます。苗を購入するとき、よく耳にする言葉に「実生苗」「接木苗」「ウイルスフリー苗」と言うのがあります。接木苗は、植物の一部を切り離して別の植物とつなぎあわせて新たな植物にするやり方です。双方の性質を持ち合わせて連作障害や病害虫に強い苗として期待出来ます。台木と呼ばれる根の部分と希望の穂木を合体させたものでナスやカボチャ、スイカなどがあります。実生苗は、種子から生長したそのままの苗を言います。特殊な例外を除き、種子にはウイルスが侵入しないため一種のウイルスフリー苗です。ウイルスフリー苗は、植物の生長点の先端0.2〜0.5mm程度の組織である茎頂の培養によって出来たウイルスに感染していない苗を言います。サツマイモ、サトイモ、山芋、ニンニク、イチゴなどがあります。

加工種子

・野菜の種は自家採種を除き、種苗店などで購入しますが一般には殻をまとった裸種に種子消毒した種が大半だと思います。これらの種子に生産性や発芽率の向上を目的として様々な加工を施した加工種子なるものがあります。下記に代表的な加工形態を記載します。

◆加工種子◆
ネーキッド種子 種子の中でホウレンソウは硬い殻に包まれています。この硬い殻を取り除いて発芽を良くしたもの
ペレット(コーティング)種子 種子には小さい物や様々な形があります。
これらを造粒材(粘土など)を使って一定の大きさの球形等に成形したもの
シード(シーダ)テープ種子 土壌中で分解するテープ状の資材に種子を適当な間隔で鋏み込んだもの
フィルムコート種子 各種の化学物質(殺菌剤など)を添加したごく薄いフィルムで種子を覆ったもの
プライミング種子 発芽を早めるために種子中の水分レベル調整を行い、発芽直前の状態に処理を行ったもの

苦土石灰

・肥料の要素は窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の3要素が有名だけど他にカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)がある。苦土石灰肥料の苦土はマグネシウムの事で葉緑素の構成成分。石灰はカルシウムで有機酸の中和や葉緑素の生成とか根の生育促進に役立つものなんだ。それと、苦土石灰は作物に必要な微量要素(珪酸・鉄・マンガン等)も含んでいるそうだ。石灰が必要なときに苦土石灰を入れるとマグネシウムも入っちゃうんだ・・・・用途を間違えんとかなぁーあかんな。

自然の農薬

・なんか大げさなタイトルになってしまったなぁー、まあいいか。野菜たちの害虫の駆除には農薬を使う方法と減農薬、無農薬があります。もちろん薬を使う限りは記載事項を遵守して、適用野菜や範囲を見極める。なんでも効く万能薬は無いと思います。ところでコンパニオンプランツと言って一緒に植えることにより発生を押さえるやり方もあり、たとえばマリーゴールドは線虫に対して効果があるようです。また、違った野菜を組み合わせて共存させ、それぞれの特徴を生かして例えば片方を益虫の誘い用で、もう片方の害虫を駆除して貰う、っと言ったやり方かなぁー。専門的な事は小生、詳しくはわからないのでご勘弁を。小生の所では以下の物を使ってるかなぁー。
・木酸液・・・葉、幹、根を強くするとともに、病気予防、臭いで虫を寄せ付けない効果があるそうです。竹酸液もある。
・牛乳・・・そらまめのアブラムシ退治に役立ったかなぁー、乾燥すると収縮するんで虫が圧迫され窒息します。低脂肪はさらさらなんで、効果は?です。もったいない人は牛乳を飲みながら作業をする・・・・小生です(Hi)。
いずれにしても予防、駆除タイミングがありますので・・・発生してからでは大変だと思います。

鳥害対策

・露地で作物を栽培するにはどうしても鳥害はつきもので、色々と私なりに試行錯誤していましたが7月の上旬からCD―ROMを木に吊してみましたところ鳥が寄りつかなくなりました。CD―ROMの裏面はキラキラ光るので鳥はこれが嫌なようです。私が試したのは2枚を1セットにして裏面同士をひっつけて木の上部にくくりつけました。木に吊す場合は木の上部にくくりつけしてください。低い位置にくくりつけてしまうと木が伸びてきたときにCDがかくれてしまい、せっかくの効果がなくなります。ただ、このやり方のデメリットですが、自分の畑だけだと効果はありますが、周りの畑まで同じ事をされると効果は減ってしまいます。鳥は(カラス、鳩、ムクドリなど)賢い動物ですので同じやり方をすると抵抗力もついてしまい、各自工夫を凝らさないと効果が上がらない事もあるので例えば、吊す高さを変えるとか、位置を変えるなどは最低限必要だと思います。(城さんから頂いた鳥害対策についてです)

・「俺んち畑」は、もともと田んぼの土(田土)なんで雨が降ると粘土みたいになり、乾くと石のように固くなります。そのため土壌改良を行ってます。土地改良と言うとすごいことをやっているように聞こえますが、そんな大げさなものでなく単に土を肥やすために馬糞を入れ、土のふんわかさは「おがくず」でやってます。要は馬小屋内に敷いている材料を使って改良しています。馬糞以外には牛、豚等があります。ただ両者とも未熟な堆肥はだめですよ。鶏糞は成分量が多いので土の改良ではなく肥料になるので気をつけます。これ以外にEM菌を利用するもの・・・連作が可能のようですが、小生は詳しくわかりません。また、腐葉土、残飯野菜等で配合して改良する方法もあります。別に改良しないで、その土にあった作物を作れば良いわけであまりこだわるとややこしくなってきますよ。また、田土は細粒塊(単粒構造)であり隙間がほとんどないため排水性、通気性が悪いですが、保肥性はいいです。と言っても団粒構造の方が隙間が適度にあるため保水性、通気性が良いので根の生育はこちらの方がよいです。まぁー両者の特長を合わせ持った土が一番良いわけです。一般に畑用の土として代表なのは真砂土、田土、腐葉土かな?これらの酸度(pH)はそれぞれ5.5〜6.5位で中性が7ですから酸性に片寄っています。そのため石灰等をいれ野菜作りに必要な弱酸性にします。厳密に言えばそれぞれの土をペーハ試験器で確認する必要はありますけど・・・。話は違いますが園芸用土はパーク堆肥(7.0〜7.5)、ピートモス(3.5〜4.5)、赤玉土(6.0〜6.5)をそれぞれ組み合わせて使うようです。

施肥の種類

・肥料の使い分けが何気なく出ていますが、主に次のような種類があります。
元肥・・・これは、野菜等を植える前にあらかじめ土に施す肥料です。
追肥・・・成長に応じて施す肥料を言います。
お礼肥・・・果樹の開花または収穫後はどうしても、ある程度弱るので回復を図る為に施す肥料を言います。
寒肥・・・春に向け、成長が休んでいる冬期に施す肥料を言います。
置肥・・・土の表面に置く肥料を言います。
お礼肥は回復狙いなので早く効く速効性肥料が、追肥はゆっくりと効く緩効性と速効性を混ぜて使うと良いと思います。

マルチシート

・畝などに被せるマルチはいろんな物があってどういう風に使い分けているかわからないものですね。もともとマルチは地面を直接覆うことにより地温の上昇・抑制や土壌水分の調整保持、土壌の固結防止、肥料の流亡防止、病害虫や雑草の防除、それと案外知られていない果実の着色促進に利用されています。そのため使用目的に応じて使い分けるようにします。ここで言う白黒ダブルとは表面が白、裏面が黒色の物です。また、銀黒ダブルもあります。ところで色マルチは厚みによって異なることもあるようですね。小生も黒、シルバーを使いますが0.02mmより0.03mmの方が良いような気がします(コストも厚い方が高い)。仕方なしに半マルチとして2つ折りにし、畝肩に使っている場合もあります。

地温上昇・・・透明マルチ>緑マルチ>黒マルチ>シルバーマルチ>白マルチ
地温上昇抑制・・・白黒ダブルマルチ、有孔マルチ
害虫防除・・・シルバーマルチ、白マルチ
雑草防除・・・黒マルチ、白黒ダブルマルチ、シルバーマルチ
果実の着色促進・・・シルバーマルチ、白マルチ

固定種とF1種

・栽培して見て、とても良かったので次回も栽培したいと言うことで収穫後、その種を採って栽培してもうまく発芽しなかったり、生長しても最初に栽培した時と比べて様子が異なったりする事があります。F1種と呼ばれている種子で野菜を栽培したときは、この点に注意が必要です。

固定種・・・遺伝的に安定した品種で純系種または一般種とも呼ばれ、自家採種しても安定しています。ただ、将来も全然変わらないと言う意味ではなく、何十年か後には鈍化してしまうので他の品種と交雑させて再び安定した元気な種子にするようです。

F1種・・・・一世代の雑種と呼ばれている物で、好ましい性質を持たせる為に異なる品種を人為的に交雑させた品種で、メンデルの優劣の法則を利用。自家採種の安定性は難しい。一代雑種、交配種、ハイブリッド品種とも呼ばれている。他にF2、F3・・・とある。

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