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ツインズ



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藤守が教室に戻ってきたのは昼休みも終わろうと言う頃だった。

「よっ!!藤守、らんの具合は・・」

オレが言い終わる前に藤守は早口に捲し上げた。

「羽柴、ちゃんと夜と話してくれなかったの!?」

藤守のあまりの剣幕にオレは飲まれた。

「へっ?あ、まだだけど。なんかあったのか。」

藤守は真っ赤な顔をしてぷるぷると身体を小刻みに震わせる。

「藤守・・?」

「・・・・・よる・・が・・」

藤守が何か言いかけた瞬間、間の悪い事に昼休みの終わりを告げるチャイム
がなった。
藤守はくっと唇をかみ締めると自分の席へと戻っていった。

一体なんだったんだと思っていたらしばらくすると今度は梅ちゃんと一緒に夜が
教室に入ってきた。

たく、夜のやつチャイムはとっくに鳴ってるっていうのに急ごうとする
そぶりもねえんだぜ。
しかも梅ちゃんもそれをとがめるわけでもねえし。

その時オレと目が合った夜はにやりと笑みを浮かべた。
オレはそれに妙にひっかかりを覚えた。




オレが夜を捕まえられたのは放課後だった。

「夜、ちょっと顔かせよ。」

「ふ〜ん空、オレに喧嘩でも売ろうってか?」

「ちげーよ。」

「だろーな。お前がオレに喧嘩して勝ったためしがねえもんな。」

「なっ・・。」

オレは煮えくり返りそうなほど怒り狂っていた。
確かにオレは喧嘩で夜に勝った例はねえよ。

だいたい一卵性の双子なのに体格も頭も夜の方が勝って
いるなんて不公平だって。
オレがそんな事を考えていると夜がオレの思考を察して苦笑した。

「まあ、そんなにひがむなって。それより、オレもお前に用があっから
付き合えって。」

「付き合うって?何だよ、」

「まあ、手っ取り早くオレとお前の用が済ませられるところ・・なっ?」

オレは仕方なく夜の後を追った。
部屋の件にしても、早く決着をつけるべきだしな。

夜につれてこられたのは先日夜がらんと逢引していた生物室だった。


「夜、何でここなんだよ?」

「まあ、そんな吼えるなって、オレにいいてえ事があんだろ?
だったらジャマが入らねえところじゃねえとな。」

「まあそうかもしれねえけど。」

どうも夜に言いくるめられてる気がしてオレは胡散臭さを感じた。

「って、早速だけど。らんのことでさ・・。」

「らん?ナオに泣きつかれたか?昼休みに見られちまったからな。」

「昼休み藤守に見られた??」

オレはなんの事かわからず怪訝な顔をすると夜はニヤニヤしていた。
オレはそれがすげえ気にいらなかった。

「夜、勿体ぶってんじゃねえ。見られたってなんだよ。」

「何だ。直に聞いてねえのか、オレとらんがヤッテる所を直の
やつが覗いちまったんだよ。」

「な?それって今日の昼休みか?らん調子が悪かったんじゃねえのかよ!!」

オレは体中が怒りで震えるのを感じた。
大体らんに学校を休ませるような事をしたのは夜だろう。
それに藤守はらんを心配して部屋に行ったんだぜ。

「たく、そんなに大声あげんなよ。外に聞こえちまうだろ。
それにな、もとはといえばお前が悪いんだぜ。」

何でそれがオレのせいになるんだと文句言おうとしたとき
夜はいきなりオレの体を壁に押さえつけた。

「なっ?よる!!」

「空、らんとスナオが夜、何してるか知ってるか?」

息もかかるほど間近に真剣な夜の顔があった。
オレはこのとき夜が茶化してるわけでも冗談のつもりでもねえってことが
わかった。

「らんと藤守がってなんだよ?」

「知りてえ?だったら教えてやるよ。」

夜はオレを壁に縫い付けたままオレの下半身へと手を伸ばした。
思わぬところに伸びた夜の手にオレは逃れようと暴れたが
オレはかろうじて身をよじった程度だった。

「なんだ、空、誘ってるんのか?」

「なっ、わけあるかっ!!」

夜は右手でオレの両手を壁に縫い付けて左手だけで起用にズボンのバックルを外す。
カチャカチャという音が妙に耳に響いてオレは体中が羞恥で熱くなるのを
感じた。

なんでオレの体うごかねえんだよ。体格差があるって言っても夜とは
双子なんだぜ。こんなに一方的にされるなんておかしいって。
つうかなんでオレいきなりこんな事されてんだよ。

そしたらすっかりとズボンを寛げた夜が「そんな事もわかれえのかっ」て
言ってきた。
くそ〜わかるはずねえだろ。
夜は涼しげな顔して言いやがった。

「そりゃあ、お前がオレにこういうことされたがってるってことだろ。」

「違う!!」

オレが即答すると夜が含んだように笑った。

「ちがわねえよ。それにらんと直がやってることも知りてえだろ?」

オレはうっと言葉を詰まらせた。確かに藤守とらんの事は気になるけど
それとこれがどう関係あるんだって??
そんな事を考えてる間にも夜の下着の隙間から指を滑らせてきてオレは
下半身の震えるのを抑える事ができなかった。

「ヤメ・・夜・・。」

夜は確かめるようにゆっくりとそこを撫で回した。

「ふ〜ん、結構成長したじゃねぇか。まあオレに比べればまだまだだけどよ。
でもこれならちゃんと使えそうだぜ?」

「何いって・・。」

下着の下で動きまわる夜の指の動きに感じねえように必死で抑えてるのに
意志とは別に勝手に体は反応しちまう。

「うっく・・・よる・・・ヤメ・・ヤメろってっ!!」

オレの抵抗をよそに夜はオレの弱いところばかりを狙って触れてくる。
先端のくぼみをいじられてオレは力の入らなくなった体を壁に
預けた。

チクしょ〜、オレは心の底から情けなくて泣きてえ気持ちだった。

思い通りにならない身体、いや気持ちもどんどん夜に持って
行かれてる・・。けどすげえそれがオレはゆるせなかった。

夜のやついくらなんでもやっていいことと悪い事ってのがあるだろ。
オレはせめて心の中は抵抗してやると思ったとき夜の指の動きが激しくなった。

「はっうう、」

唇をかみ締めたが喘ぎ声が漏れて俺はますます自己嫌悪に陥った。

「空、そんな風に思うなって。快楽におぼれちまえよ。
オレにされる方が一人でするより断然いいだろ?」

「夜、何言って・・。」

「直とらんだってこうやってやってんだぜ。」

「なんだって!!」

あまりに驚いてオレは目を見開いた。

「驚いたか。けど本当のことだ。直だってあんな顔してても男だからな。そういう
欲求はあんだぜ。」

藤守も男・・。
オレは夜に言われたことをもう1度頭の中で繰り返してみた。
藤守がらんと・・んなことしてるって・・。本当のことなのか?

オレはこのとき、夜に抱かれながらオレ自身は藤守と絡み合う
自分を妄想していた。快楽におぼれはじめたオレはまともな事なんて
もう考えられそうになかった。

藤守・・・。

「へっいい感じじゃねえか、腹にくっついてんぜ。なあ空・・さっさと直を自分のもんに
しちまえよ。でねえと後悔すんぜ?」

オレは夜の言葉通り妄想の中の藤守に溺れるように手を伸ばした。
夜の手の動きがひと際激しくなる。


「ナ・・オ・・・。」

絞り出すようにその名を呼んだあと白光のむこうに藤守が微笑んだような気がした。



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夜×空でした(^_^;)さて話も後半戦に突入。残りあと2〜3話の予定です。