ランスの冒険 第一話 〜光を求めて〜
第8章 捜索3〜4日目 〜陰謀の匂い〜
ランスは自分の物(ランス主観)である奈美に手を出した者(とその連れ)に制裁を加え、満足したあと、酒場に足を向けた。
(さて、せっかく外に出たし、酒場に顔出しておくか。うまくいけば、パルちゃんとうっしし・・)
ランスは酒場[ぱとらっしゅ]に顔を出した。
「あっランスさんいらっしゃい。あの時は、ありがとうございました」
そういって、にっこりと笑う。
(俺様が救い出してやったんだから、この娘は俺様の物だな)
「お父さん、ランスさんがいらっしゃったわよ」
「おう、ランスさんいらっしゃい」
「なんか、違和感を感じるな。前と同じ呼び方でいい。
「それじゃ、兄さん。のみにきたのかい」
「まあ、そんなところだ」
「じゃ、サービスだ」
「このカクテル私が作ったんです。飲んで、飲んで」
そう言って、カウンタ席に座ったランスの隣に座るパルプテンクス。
「しゃあねえな。少しだけだぞ(ごく、ごく、ごく)」
「美味しいでしょう」
「ああ」
「おう、いいのみっぷりだ。次はこれをのめ」
「いらん。なんで、男に注がれたのをのまないかんのだ」
(でも、どうしてこんなおやじかでこんなかわいい子が出来たんだ?)
「そういえば、噂でだが、あのコロシアムのチャンピオン、ユランの挑戦を受けたんだってな」
「ん、そうだが、そんな噂流れてるのか?あの時は俺様達以外には誰も聞いてないと思ったんだが」
「ああ、いつも、トーナメントを観戦した後、のみに来てくれる客がな、たまたま聞いていたんだそうな。次のトーナメントが楽しみだとか言ってたぞ」
「でも、お父さん、次のトーナメントって言ったら一月後じゃない?」
「何、それは本当か?」
「ああ、今回のトーナメントは明日が最終でもう、予選とかは終わっているからな」
「何だと!(ち、来月まで待っていられるか)今回参加できる方法ってないかな?」
「そうか、ランスさんはそこまでこの街にいないんだよね」
ちょっと悲しげな表情を見せるパルプテンクス。
「ふふ、さびしいのか?たまには会いに来てもいいぞ」
「なにを言ってるんですか(ポッ)」
そう言いながらカウンタの中にいる親父からは見えないのをいい事にパルプテンクスのスカートを少しめくり、太ももを触るランス。
「おい、娘はやらんぞ」
(前とは違う事言っているぞ、この親父)
ランスはパルプテンクスの太ももを触っていた手を徐々にその付け根のほうに移動させていく。それにつれて、真っ赤になる。
「なんか、今日は客入りが悪い。今はお前だけなんて、せっかく、無料サービスしているのに」
「なんで、無料サービスなんだ?」
「うちの娘が無事だった事へのだ」
「ふーん。でも、俺様が入ろうとしたとき、[CLOSED]になっていたぞ」
「何!くそ、また、あの悪がきの奴か。お、おのれー焼きいれてやる」
そういって、酒場の親父は表に飛び出していった。親父がいなくなったのを見て、ランスはパルプテンクスの腰に手を回し、自分の膝の上に抱き寄せた。そして、パルプテンクスの胸をもてあそび始め、その耳元に囁いた。
「悪がきってのは、何なんだ?」
「あっ(ポッ)、多分、ウィスのこと・・だと・思・う。いい・ところの・ぼっ・ちゃん・・で、ああ、それを・かさに・・きて・・あん、昔から、私に・・ちょっ・かい・・かけて・きたり、ん、あっ、お店・に・悪戯・し・たり・はぁ」
(ウィスか・・そいつ、パルプテンクスが好きなのかもな。だとしたら、小学生レベルの愛情表現だな。まあ、金持ちなんかには良くいる奴ではあるか。そんな奴は、俺様の敵ではないわ)
パルプテンクスはランスにされるがまま、甘い吐息をしあえいだ。
「さすがだ、いい。もみごたえ十分だ」
「あっ、いや。だ、だめ。お父さんが帰ってきちゃう」
「それは、大丈夫だ。俺様ほどの戦士には近づいてくる気配はわかる」
そう言いながら、ちらりとっ窓のほうを見やる、先ほど、酒場に近づいてくる酒場の親父ではない気配を感じたからだ。だから、わざと、パルプテンクスをもてあそび、注意を引くようにしたのだ。様子を見るため窓を覗かせるように。これが、殺気を帯びていたなら対応も変わっていただろう。
そこには窓から呆然とこちらを見るお坊ちゃん風の若者が一人いた。パルプテンクスはランスにいじられて、それ所ではなく、窓にいる若者に気づくことなく痴態を露わにしていた。
(ふむ、あの状態からみてあれがウィスかな)
「でも・・あっ、い、いや」
「ふふ、そういっても、しっかり、感じているじゃないか」
ウィスにパルプテンクスはランスのだと見せ付けるべく、二つのふくらみの頂点をいじる。向きをウィスに微妙に見えるやな角度で。やっぱり、自分の”女”の肌は他人に見せたくないのだ。
「あぁ・・あ、いや・・ん」
見せ付けたショックかウィスは泣きながら去っていった。
(馬鹿め、やはり、クズだな。こういうときは、すぐに殴りにでも来るべきだろ。気概が足りんわ。あんな奴にはパルプテンクスはやらん)
「そろそろ、いくぞ」
「あぁ、だめ、だめなの」
「どうしてだ?」
「その、始まっちゃったんです」
「始まったって濡れ始めたのか?」
「違います。月のものがです(真っ赤)」
「そうか。(俺様は別にかまわないんだがな)だが、それではこれは収まらん」
そういって、ランス自慢の自身、ランス曰くハイパー兵器を指し示す。
「(真っ赤)えーと」
「だから、パルちゃんの口で鎮めてくれ」
「えっえぇ!そんなのやった事ない」
「そうなのか?」
「うん、アイツは変なプレイぱかり、してきたから・・・」
「すまん。思い出させてしまったか?」
「ううん、大丈夫」
「でも、おかげで、本当の意味での始めてが残っていたのに気づいたから」
「俺様は別にそんなもの気にしていないぞ。俺様が気にするのは、可愛いか、そうでないかだ」
「私がやっぱり気になっちゃうの。どうしても、汚されたと思ってしまうから。そんな私でも貰ってくれる?」
「もうパルプテンクスは俺様の物だと思っていたが」
「やっぱり、ランスさんを独占するのは無理なんですね」
「おう、スーパーな俺様を必要とする可愛い女の子がいっぱいいるからな。女の子の方が俺様を放っておいてくれない。それでもいいなら、俺様の”女”にするぞ。もっとも、そうでなくても、クズのような男には渡さんが」
「クス、でもそれって、ランスさんの価値基準でしょ?やっぱり、私を誰にも渡さないって事ですよね」
「がははは、そうとも言うかな?だから、俺様の”女”になれ」
「でも、なれって、私はもうランスさんの”女”なんでしょ?選択肢無いですよ」
「俺様は、これでも、可愛い女の子の意思はそれなりに尊重するのだ」
「ええ、分かりました。あんな強烈な体験をしたんです。忘れられそうにありません」
パルプテンクスはなにを思い出したのか、真っ赤になってしまった。
「がはは、やっぱり、あれは無理があったかな。忘れさせるためにやったんだが?」
「もう、知らない」
「さて、話もついたんだから、コレ、鎮めてくれるか?」
ニタリとランスは笑い、パルプテンクスは真っ赤な顔のまま頷き、ランスのハイパー兵器を鎮めるため屈み込んだ。
*
*
その後、ランスはパルプテンクスという楽器を鳴かせ、3回ほど演奏を行ったが、結局、ランスが行為にふけっている間、酒場の親父は帰ってこなかった。
「帰るんですか?」
「おう、さすがにお前の親父がいるのに、お前の部屋に同衾するわけにはいかんだろ。そんな顔するな。美人が台無しだぞ。それから、お前は汚れてなんかいない。お前の初めては全部、俺様が頂いたんだ。お前が綺麗なのは俺様だけが知っている事だ。その俺様が言うんだからそれを信じろ」
「はい」
「いい返事だ。月ものが終わったら存分に俺様の”女”として可愛がってやる」
(だが、実際、月ものが始まってよかったよな。不本意な妊娠は不幸を呼びかねないからな。妊娠していなかった事が分かっただけでもかなり気が楽になったはずだからな)
やはり、盗賊に攫われてしまった場合、散々犯された挙句に妊娠させられてしまうケースは良くある事だったのである。中には、それに絶望して死ぬ女性もいたぐらいである。今回は運が良かったのだ。ちなみにフララは今日、奈美と一緒に医者に行き、妊娠していない事を確認していた。
「もう、ランスさん!」
「がははは、楽しみにしていろ。もちろん、俺様も楽しみにしている。じゃあな」
そう言って、ランスはパルプテンクスと別れ、宿に戻っていった。
*
宿屋へ戻る途中、ランスに対して近づいてくる気配を察知した。人数は複数そのうちの何人かは殺気だっている。
(ふむ、俺様が狙いのようだな。誰か知らんが、俺様を狙うからには覚悟してもらおうか)
ランスは邪魔されたくないので如何にももよおしたように見せかけて路地裏の方へ入っていった。そのランスの後を追いかけるように行く数人の人影。
「お頭、目標の奴が路地裏に行きやすぜ」
「バ、バカやろう。俺の事は隊長と呼べとあれほど言っただろう」
あまり大きな声が立てられず、ひそひそ声で話す男達。
「おか、(ジロリ)いえ、隊長、奴が行っちゃいますぜ」
「おう、こうしちゃいられねえ。おい、そろそろ、距離を詰めろ。仕掛けるぞ」
「へい」
*
ランスがある程度、人気のない場所まで移動した時、武装した男達に囲まれた。ランスは慌てずそいつらを見た。
(5、6,7、全部で7人、いや、一人少し離れた所にいるから8人か。離れた奴は見届け役か? だとするとこいつらが襲ってきたのは計画的というう事だな。このタイミングでだと心当たりは二つ。例の忍者を操っている所、そして、先ほどのウィスって奴なんだが・・・そういえば、先日の盗賊団ってのもあるが、全滅させたのは確認してるしな)
「悪いがあんたに恨みはないが死んでもらう」
「ふん、おまえらにできるか?(そういえば、[リーダ]を使ってみるか。手がかりが見つかるかもしれん)」
ランスは[リーダ]を使い情報を得られないか探ってみた。さすがに相手のボス格は思考を読めなかったがその手下共は読めた。その間にも、男達のうち二人が攻撃を仕掛けてきた。
(・・・・・・)
(へへへ、こいつを殺れば、特別報酬が入る)
(ふん、こいつ、隙だらけだぜ。楽勝だ!)
男達A、Bが剣で攻撃をしてきた。ランスは苦もなくそれらの攻撃を避け、男Aを切り伏せ、男Bを蹴飛ばした。男Bはそのまま吹っ飛び気絶した。
「くっ!、こいつやるぞ。ぬかるな」
リーダーらしき奴が残りの男に叱咤する。
「で、どうするんだって?」
ランスは男達を挑発するように言った。男達はアイコンタクトで意思の疎通を図り、ランスを牽制しつつ取り囲むように移動した。ランスはその行動を阻むこともできたのだがあえて彼らの行動を阻止しなかった。
(タイミングを計れよ。一斉に行くぞ)
(・・わかった)
(若造だから楽勝だと思ったが、できるな)
(慎重にやらねば殺られるのはこちら・・・)
(ウィス坊ちゃんの我が侭に振り回されるのは今回限りだ。絶対やめてやる)
(強いが我ら必殺の陣であれば必ず殺れる)
彼らの思惑を読み取り、今回の黒幕も判明したところでランスにはもう、男達の相手をするのが面倒くさくなった。
「(ニヤリ)仕掛けてこないなら、こちらから行くぞ。雑魚ども。手前等に何時までも俺様の貴重な時間を割きたくないからな」
*
「あっ、ランスさん。お帰りなさい。お風呂にしますか?ご飯にしますか?」
フララが戻ってきたランスを新婚ばりの言葉で出迎えた。後から奈美も出迎える。
「おう、(ここでお前だ。といいたいとこだが、なんとなく奈美さんの視線が痛いのでやめておこう)じゃ、先にメシにする」
「はい」
「フララちゃんは食べたのか?」
「ううん、食べてない。一緒に食べていい?」
「おう、かまわんがひょっとして待っていたのか?」
「うん」
「そうか、悪い事したな」
「そんなことない、勝手に待ってたのは私だから」
「奈美さんも食べてないなら一緒にどうだ?この時間なら他の客はもう食べ終わって世話する必要ないんだろ?」
「そうですね。今日の泊まりの受付も終えましたし、ご一緒させてもらっていいですか?」
「こっちから、誘ったんだからな。それに、奈美さんを拒絶する門戸はもってないぞ」
「では、部屋へお持ちします。待っていてください」
ランス達はテーブルを囲み食事を行った。
「ランスさん、次のトーナメントに参加するって本当ですか?」
「そういえば、私も聞きましたよ」
「何?ここでもそういう話がきているのか?」
「ええ、泊まりに来ていただいたお客さんがおっしゃっていましたよ。なんでも、今度こそチャンピオンのユランが負ける所が見れるかもしれないと」
「確かに、参加したいとは思っているんだが(ユランを手に入れるため)、次のトーナメント参加は一ヵ月後だろ、はっきり言って一ヶ月待つなんて俺様は暇じゃない。明日の最終トーナメント選に出る方法を知らないか?」
「えーと、私は良く分からない」
「そうですね、何かコネでもあれば参加できるかも」
「コネか・・・(ん、そういえば、最初にコロシアムに言ったときに話しかけてきた男が参加手続きがどうのとか言ってたよな)」
「どうしたんですか」
「いや、コネで、ちょっと心当たりがあったんでな。何とかなるかなと」
「そうですか、参加できるといいですね」
「参加さえできれば俺様の優勝で決まりだがな」
「それにしても、今日はJAPAN料理の鍋なんだな」
「わーい、私、JAPAN料理の鍋って始めて」
「鍋といえばカニ鍋が代表のような気がするがこいつは何鍋だ?」
「ごめんなさい。うちではカニ鍋は出さない事にしてるんです。それで、これは寄せ鍋です」
ちょっと、沈んだ表情になる。
「(何か事情があるのか?)これが寄せ鍋か。知ってはいたがこんなのか?
ランスはちょっと興味に駆られた。それに奈美攻略の糸口になるかもしれないと好奇心に駆られ[リーダー]を奈美に使用した。
(ランスさんてカニ釣りに出掛けて死んでしまったお兄さんにそっくり。ああ・・お兄さん・・どうして私や弟を残して・・それにしても、そっくりなだけあってなかなか美男子よね・・ランスさんって)
ランスに奈美の思考が読み取れた。奈美はどうやらブラコンの気があったようだ。
(俺様が兄さんとやらに似ているのか・・。それもかなり慕ってたようだ。という事は、それを、うまく利用すれば・・うっしし)
「ねえ、これって、どうやって食べるの?」
「ああ、これは、こうやって食べるの」
「へえ」
ランスが善からぬ事を考えていたとき、女の子達は和やかに食事を進めていた。
「おおう、早く食べないと無くなってしまうな」
「そんなに慌てなくても十分に用意してますよ。ランスさんは良く食べますから」
「ほんと、ランスさんてびっくりするぐらい食べるもん」
やはり、常人よりエネルギッシュに行動するからかランスは良く食べる。気持ち良いぐらいの食べっぷりである。
*
それから、食事を終え、ランスは風呂に入り、眠った。が、真夜中、自分に近づいてくる気配を察知して目が覚めた。枕の下に忍ばせてあった短剣に手にし、警戒した。しかし、近づいてきた気配が、見知った者、フララと知り警戒を解いた。フララはできるだけ音を立てないように近づいてきた。
「あの、ランスさん起きてますか?」
小声でランスに囁いた。ランスはちょっとした悪戯心で成り行きを見る事にした。返事をしないランスにフララは安心したのかそうっとランスの寝る布団にもぐりこんできた。
「ランスさん、一人はやっぱり怖いんで一緒に寝させてくださいね」
そういって、ランスの背中にしがみついた。
(さて、どうするかな)
「ランスさん・・・あったかい」
しばらくして、寝息が聞こえてきた。ランスはタイミングを逃した。
(まあ、たまにはこういうのもいいか・・・)
そう思って、ランスも珍しく何もせずに眠りに落ちた。
*
*
日が昇り、朝を迎えた街の空は昨日と同じく見事に晴れていた。
「はい、ランスさん」
用意していた朝食をランスの前に運び込む奈美。
「おう」
朝食は未だかと待ちかまえていたランスはそそくさと食べ始めた。
「んー、うまいうまい。朝っぱらから激しい運動したからな。いつにもましてうまい」
たちまち用意されていた朝食を平らげるランス。
「また、剣術の練習ですか?」
奈美は気持ちよく朝食を平らげたランスににこにこしながら言った。奈美の横では、顔を真っ赤にさせて俯いていた。
「そうだ、おかげでずいぶん気持ち」
「はい、ランスさん、熱いお茶です」
突然、フララがランスの話をさえぎり、お茶をランスの前に置いた。その際、奈美からは見えなかったがフララがランスを睨みつけていた。
・・ランスさん、これ以上言ったら許しません。
そう目が言っていたがランスはどこ吹く風で受け取った。
「おう」
「トーナメント上手く出れればいいですね」
「ああ、何か方法があるはずだ」
「確か何度かトーナメントに飛び入りで参加された方がいたはずですから」
「本当か?」
「はい、でも私はトーナメントに興味ありませんでしたからそんなに詳しくは知りません」
「いや、その辺は詳しい奴に心当たりがある。そうと決まれば早速行動するか」
「「いってらっしゃーい」」
奈美とフララに見送られながら、ランスは立ち上がり宿屋を出た。
*
*
早速、コロシアムに来たランス。しかし、さすがにまだ早くコロシアムも始まっていないので人も少ない。だが、あえてランスは来た。マニアはそういうものだという彼特有の決め付けを理由で。そして、ランスは目的の人物を見つけた。
「よう」
ランスは昨日話しかけてきた安っぽい服を着たひげもじゃの若い男に声を掛けた。
「おや、あんたは昨日の」
「おう、昨日あんたがトーナメント参加してみないかといっていたな。どうやって参加するんだ?」
「何?気が変わったのか」
「まあな」
「うーん、昨日だったら何とかなったんだがな。今日のは決勝トーナメントだからな」
「何とかならないか?飛び入り参加が過去にもあったと聞いたが」
「いや、まあ、無いことも無いんだが・・今日のは年一回の特別の奴だからな・・まあダメもとで頼んでみるか」
「特別?」
「ここのトーナメントはブロックが四つに大きく分かれていてな、それぞれ東西南北地区の出身者で争っているんだ。で、年に一回その4ブロックの上位のものが競い合うのが今回のトーナメントなんだ」
「なるほど、だから通常より難しいわけか」
「まあな、まだ予選段階なら飛び入りしてもそれほどとやかくは言われないんだがな。本選だからな」
とりあえず男に着いていきながらトーナメントに着いて説明を受けていた。そうこうするうちに男の目的地に着いたようだ。
「おう、元気にやっているかい」
トーナメント受付に座っている老人に声を掛けた。
「おお、あんたか久しぶりだな」
「ちょいっとあんたに頼みがあるんだ」
「ん、なんだ?」
「今日のトーナメントに一人ねじ込んでくれないか」
「何だと?おまえもか」
「お前もって」
「いや、さっきもさる貴族が参加させろって無理言ってきてねじ込んだとこなんだ」
「何だって」
「だから、もう俺の力じゃもう一人ってのは無理なんだよ」
受付の老人は溜息をついた。
(ちっ、貴族だと・・思い当たるとすればウィスとかいう野郎だな。妨害か?)
「無理か、やっぱり」
「ああ、俺じゃ無理だ。まあ、特別参加券があれば別の話だが」
「おい、その特別参加券ってのは何だ?」
希望が断たれたかと思った矢先に[特別参加券]という言葉がランスを会話に参加させた。
「えっ、いや」
受付の老人はあまりのランスの勢いに仰け反ってしまった。
「で、何なんだ?」
「特別参加券ってのは今日のようなグランドチャンピオン決定戦でチャンピオンになった奴が引退した時に発行される券だ。それがあれば、いつでもどのトーナメントに参加できることになっている」
「で、その券があれば参加できるのか」
「ああ、でもその特別参加券は発行数があまりに少ない。今までにも使われたりしていたから多分10枚有るか無いかだ」
(げー、参加できなかったらあのユランて娘を俺様の物に出来ないじゃないか。特別参加券ってどこで手に入れるんだ?くそ)
「そうか」
「すまんな、貴族のねじ込みさえなけりゃ、参加させれたんだが」
「特別参加券があれば参加できるんだな?」
「ああ、それは確実だ。だが、それもトーナメントが始まる前までにここに来て受け付けねばならん」
「もう、そんなに時間が無いぞ。無理だな」
安っぽい服を着たひげもじゃの若い男があきらめた口調で言った。
「よし、何とかするぜ。この俺様に不可能は無い」
「まあ、がんばってくれ」
「参加できたら応援するぞ」
とりあえず、ランスは特別参加券を手に入れるべくコロシアムを立ち去った。
(とはいえ、あてがあるわけじゃないからな、どうするかな。)
特にあてがあるわけではないのでランスにしては珍しく困り果てた。
(ここは順当にいって情報屋か)
決断を下せば後は早いランスは情報屋を訪れた。
「あら、いらっしゃ・・って、出てって」
「おい、いきなり客を追い返すとはどういう了見だ?」
「胸に手を当てて考えて見なさい。心当たりがあるはずよ」
言われたまま、ランスは手を当てる。
「無いな」
「なっ、あ、アレだけ酷いことしておいて無いですって」
オペレータの女の子はランスの様子に激昂する。
「まあまあ、落ち着け。俺様がいったい何をしたって言うんだ?」
オペレータの女の子は顔を真っ赤にさせながら言った。
「わ、私を無理やりあ、あれしたじゃない」
「あれ?」
「そ、そうよ」
しばし、ランスはあごに手をやり考え込む。
「おお」
「思い出した?」
「気持ちいいことはしたが酷いことはしていないぞ」
「な、なんですって」
「本当のことじゃないか、それを証明してやろう!」
そういって、ジリジリと間合いに近づいていたランスは一気にオペレータの女の子の懐に飛び込んだ。
「えっ?」
あまりの突然の変化に着いていけなかったオペレータの女の子が我に返り気がつくと何時の間にか服を脱がされランスに押し倒されていた。
「えっ、ちょっと、また、このパターンって、まって、まってってば・・あっ」
*
「やっぱり、しんじられなーい!」
「がははは、だが体は正直に感じていたぞ。とても、最近まで知らなかったとは思えないぐらい喜びようだった」
ランスはやることやってすっきりとしていた。
「もう、知らない。うう、私って流されやすいのかしら・・」
オペレータの女の子はさめざめと泣いていた。
<続く>