ランスの冒険 第一話 〜光を求めて〜

第6章 捜索3日目 〜見えてきた闇〜


目的もなく適当に歩いていたランス。さすがに、お城といえるだけあって広く立ち入れる場所を回りきれないでいた。まあ、所々、それなりに見るべきものがあったのでそれなりに退屈せずにすんでいた。色々歩いていると途中に地下への入り口があるが、わざわざ、こんな所まで来て地下にもぐる事も無いだろうと別の通路を進んだ。すると通路の両側に扉が見えてきた。

 この城はなぜかかなりオープンに開放されているので部屋なんかも割合自由に使用したりできる。おそらく、通行手形事態、信用のある人物にしか与えられないのであろう。それでも、ここは無用心なようだが、そういうお国柄なのかもしれない。あの王を頂いているから。

 ランスは左の部屋に入ってみることにした。そこは客室のようだった。そして中には桃色の髪をした見た目14、5の少女がいた。

「誰?健太郎君?あれ、違う人みたい」

そういって少女は振り向いた。

「健太郎?」

「健太郎ははんばーがを買いにお買い物に行きましたけど?」

「いや、だから健太郎ってなんなんだ?」

「健太郎君に御用じゃないのですか?では、なにかしら?」

「(はぁ、何か妙にずれた娘だな)いやーー、今日はいい天気だな」

「はい、私もそう思います」

「君は、どこから来たんだ」

「日本」

「なんだそりゃ、どこの国だ?」

「ほら、自動車やコンピュータをたくさん輸出しているの」

(コンピュータはともかく、自動車っていうのはなんのこっちゃ)

「君の名前は?」

「来水 美樹(くるす みき)」

「へんな名前だな」

「そうかな???」

「健太郎君は小川 健太郎って言うの」

「だれも、そんなの聞いてないわ」

ランスは彼女に突っ込みをいれようとした。

しかし・・・背筋も凍りつくような恐怖がランスに襲い掛かりなにもできなかった。

「君はいったい・・(なんだ、さっきのアレは?普通、こんな娘にできるプレッシャーじゃない)」

ランスの本能が危険を告げていた。

「くすっ」

「君、いくつだ?」

「一つ、二つ、みっつ、よっつ、いつつ・・・えーと、いっぱい」

(こいつは、見た目よりずっと幼いのか?)

「ヒカリって子を知らないか?」

「ヒカリ?」

「そう、ヒカリという名前の娘なんだが」

「私、知らない。健太郎君なら知っているかな?」

(なんだか、相手してると、疲れるな)

「明るいナショナル、明るいナショナル、みんな家・・なんか違うね」

「ああ、もの凄く違うぞ(大体、ナショナルってなんだ?)」

「怒んなくてもいいでしょう」

「なら、ユランについては?」

「知らない」

「わかった。じゃあな」

「ばいばい」

ランスはこれ以上ここにいると疲れそうなので客室をでて、向かいの部屋に入った。そこは倉庫だった。棚が一つポツンと置いてあるだけだ。そのタンスの上に突然、ネズミが現れた。片手にパンティをそして、しっぽには、ブラジャーをくくりつけた・・

「じゃ、じゃじゃーん。そうさ、世に有名な変態ネズミとは俺様の事さ」

えっへんと胸をそらして変態ネズミが自慢した。

「また、おかしいのが現れてしまったぞ」

どうやら、この倉庫は変態ネズミの住処になっているみたいだ。普通のネズミより少し大きい位で外見、自体は別におかしい所はない、だが、身に着けているものおかしい所だらけだ。それに、しゃべっていること自体もおかしい。

「おかしいとは、なんだ。俺は立派な変態だぜ」

やれやれ、とランスは肩をすくめた。相手に品方がよさそうだと棚に目をやると、

「その棚には、何も無いよ。俺が物色したからもう何も無いんだな。それよりも、ほら、見てくれよ。このパンティ・・白でリボン付きだぜ。最近は、黒や紫や下品なのを着ける奴が多くて困るぜ」

(・・本物の変態だな)

「このブラジャーはメイドからかっぱらったんだ」

「ひどい奴だな(そういえば掃除をしていたメイドの女の子はブラジャーしてなかったな。ひょっとしてこいつのせいか?)」

「俺の下着コレクションは300もあるんだぜ。もちろん、すべて使用後さ」

「この変態」

「変態・・ああ・・なんてすばらしい響きなんだ」

(うげ、こんなことで悦に入ってやがる)

「中身より、やっぱり下着だな」

「俺様は、中身の方がいいが・・」

「あんちゃん、まだ、極めていないね」

「とりあえず、おまえだれ?」

「俺の名前か、仲間内じゃ変態って呼ばれているんだ。あんたも変態と呼んでくれよ。なんせ、生まれながらの変態だからな。場所もパンティの中だ」

「年季は入ってるな」

「もう1才になるかな」

「えらい、若いな」

「ネズミなんてこんなものさ」

(なんか、ネズミとは言えん様な気がするぞ)

「ところで、ヒカリって子を知らないか?」

「知らねえな」

「なら、ユランについては?」

「おう、あの姉ちゃんのパンティはつい最近手に入れたぞ」

「ふう、じゃあ、用はないな」

そういって、出て行こうとしたランスのバックパックに黒い液体の入ったビンをみた変態ネズミがキラリと目を光らせ、引き止めた。

「ほう、あんちゃん・・珍しい瓶を持っているじゃないか。その瓶の薬には、不思議な魔法が掛かっていて飲み込んだ後ある呪文を唱えたらいい事が起こるよ」

ランスは振り返り、

「なんだと、その呪文を教えろ!」

変態ネズミはニヤリと笑い、

「ただで、教えるわけにはいかないな。そうだな、向かいの部屋の美樹って娘のパンティを取って来い、それを俺に渡してくれたら教えてやろう」

「わかった。本当だな(・・さて・・どうやって奪うかだな・・)」

思案にくれつつ、倉庫をでて向かいの客室に入った。

「誰?健太郎君?あっ、この前のおじさんですね」

「誰が・・誰が・・おじさんだ・・・こら・俺様は若いぞ(このガキいっぺん犯したろか。俺様はまだ十代だ)」

その物言いに少々傷つくランス。

「(まあ気を取り直してストレートにいってみるか)君のパンティをくれないか?」

「いや」

(まあ・・普通そうだわな。それなら、無理やり奪ってくれる)

ランスはパンティを奪取すべく行動に移った。

「きゃ・・・えっち・・・・」

突然突風が襲ったと思うとランスの体は宙を飛ばされた一瞬きを失った。

「う・・・体の節々がいたい。なんなんだあの子は」

気がつくと城のどこかの通路に飛ばされていた。

「ここは、どこだ?いてて・・げ、体力がない。[ヒーリング]」

あわてて、回復させるランス。

「とりあえず、もう一度だ」

不屈の闘志で挑もうとするランス。旗から見ればバカなような気がするが。

          *
          *

結果から言えば、同じだった。

(いてて、直接、あの娘のパンティを奪うのは、不可能のようだな。・・どこかで偽者でも買うか)

[ヒーリング]で回復させながら思案する。

(ん、そういえば、どこかでパンティを買うよう進められたな・・・そうだ、パティのところだ)

自分の記憶を掘り出し、あてが出来たランスは、さっそくアイテム屋に向かうのだった。

          *
          *

「おう、パティちゃん」

「あ、いらっしゃーーい。こんどこそ、買いに来てくれたのよね?」

「おう、まえに君が薦めてくれた[うさぎさんのパンティ]を・・えーと、なんだか妹が欲しがっているので一つくれ」

(・・我ながら下手な嘘だな)

「はい、15GOLDです」

ランスは[うさぎさんのパンティ]を買ったのが恥ずかしかったのをごまかしたかったのか、

「ついでに、その世色癌を5つくれ」

「はい、15GOLDです」

(これで、ごまかせればいいんだが・・)

用件を済ませたランスはアイテム屋をでて、変態ネズミに会いに行くべく城に向かった。

          *
          *

変態ネズミの住処に来ると

「おう、誰かと思いきや、あんちゃんか・・」

ろくでもないネズミが現れた。

「手に入れてきたぞ」

そういって、ランスは[うさぎさんのパンティ]を変態ネズミに渡す。

「くんくん、くん」

変態ネズミは、パンティに顔を埋めるようにして匂いを嗅いだ。

「だましたな、これは美樹ちゃんのじゃない!ちゃんと美樹ちゃんのを手に入れて来い」

そういって、パンティをランスに叩き返した。

「(こいつは、筋金入りの変態だ)ちっ、わかったよ。じゃあな」

倉庫を出た後、直ぐに腕を組んで考え込むランス、

(うーん、まさか、匂いをかぐとは。あなどれんな、さすが変態。とりあえず、匂いが問題なら、美樹ちゃんの匂いをつければいいわけだ。ナイス、俺様。これなら、美樹って娘を無理やりてこともないしな)

考えをまとめたランスは向かいの客室に入った。

「誰?健太郎君?あっ、この前のおじさんですね」

「誰が・・おじさんだ・・俺様は若いぞ。まだ、十代の俺様に何てこと言いやがる(俺って老けてるのか?)」

「ごめんなさい。お兄さん」

「わかればよろしい。ところで、君にこのパンティをあげよう。この前、スカートめくりしたお詫びだ」

ランスは彼女の手にパンティを握らせた。

「かわいい。でももらう訳には行かないわ。返します」

美樹はランスにパンティを返した。

「そうか、残念だな」

(しめしめ、彼女が最初から返す事は、わかっていたんだ)

「よく知らない人から、物を貰っちゃいけないって健太郎君がいったから」

(ほらな、基本的にこの娘はお子様なのだ。さすが、俺様。これで彼女の匂いが付いたからごまかせるはずだ)

「そうか、そういえば、俺様の名前、言ってなかったな。俺様の名はランス」

「来水美樹です」

ぺこっとする美樹。

「おう、よろしくな美樹ちゃん(かわいいな。なんか、俺様にしては珍しいがモノにしたいというより守りたいと感じるぞ)」

珍しく、保護欲を刺激されるのだった。その思いが決定的となるのは

「はい、よろしくです。ランスお兄さん」

との美樹の言葉だった。

「(ランスお兄さん・・・なんか、新鮮だな)俺様は、ちょっと用事があるので、失礼するぞ。もし、また会う機会があって、困ったことがあったら、助けてやる。それじゃあな」

そう言って別れを告げて、ランスは部屋をでた。

「ばいばい、ランスお兄さん」

(あの娘は、天性の男殺しかもしれんな。健太郎という奴、絶対苦労するな。まあ、男の苦労なんざ、気にせんが)
部屋をでて、早速うまく匂いをつけたパンティを変態ネズミに渡すべく向かいの倉庫に足を踏み出すランス。

「ふふふふのふ」

変態ネズミが現れた。

「なんか、モンスターみたいな登場の仕方だったぞ」

「モンスターか、俺から見ればあんただってモンスターさ」

「ふん、それより手に入れてきたぞ。今度こそ本物だ」

ランスはパンティを変態ネズミに渡す。

「本当だろうな。くんくん、くん。・・・いい香り。これこそあの子の匂いだ」

うれしそうに変態ネズミは、パンティに顔を埋めるようにして匂いを嗅ぎ、満喫している。

「しかし、パンティのどこがいいんだ・・(ふん、知らぬが仏だな)」

「ふん、未熟者め。この良さがわからんとわ。まあ、俺は、あんまり中身には興味が無いんだが、一度、人間の女とならやってみてもいいな」

「おまえなんか、ネズミで十分だ(かわいい娘はみーんな俺様のもんだ)」

「だめだめ、ネズミの女なんて面白くないよ」

「それより、約束の呪文を教えろ」

「いいだろう、呪文は3つある。そのうちの一つしか唱えれないが。[ごるごんごん]、[鬼畜米英]、[大日本帝国万歳]だ。効果は知らんが、どれもあんちゃんにとって有意義なものだ」

「よし、わかった。ありがとよ」

「なに、これは取引だからな。さて、おれはこれをコレクションとしてしまわなくっちゃな。じゃあな」

「おう」

変態ネズミが去っていったので早速、効果を試してみる事にした。

「うーん、まずそう」

ランスは瓶のフタを開けて中に入っている黒い液体を一気に飲み干した。ぬるぬるとした、気持ち悪い感覚が
ランスの喉を流れた。

「く・・そう・呪文を唱えなくては・・えーと、呪文は、なんだったけ」

結局、最後に聞いたのが一番頭に残っていたのでそれを唱えることにした。

「大日本帝国万歳・・・」

呪文を唱えた瞬間、ランスは自分の体が熱くなり何かの力が増大したのを感じた。

(なんか、力がみなぎってきたぞ。でも、急に腹が減ったな。そうだ、あそこのパンを食べよう。それに何が強化されたのかさっぱりわからん。後でレベル屋で確認するか。ついでにあの女のことも、うししし・・)

変態ネズミの住処である倉庫をでて、パンのある倉庫に向かった。倉庫に入るとまた、メイドの娘がかばんにせっせと白パンを詰め込んでいた。

「お前、また取ってたのかよ。こりないな」

ランスが声を掛けるとメイドの娘が反射的に飛び退き、壁に張り付くようにランスと対峙した。

「こ、今度こそしないから。この白パンはガンのおばあちゃんにあげたいの」

「なあ、さっきはお母さんじゃなかったか?」

「き、気のせいよ」

「まあ、いいか」

あせるメイドの娘を尻目にランスは無言のままパンを取ろうとした。

「だめ!ここのパンはみーんな私の」

「嘘をつけ。この城の物だろうが」

「いや、私のったら私のなの」

「けちけちするな、パン一つくらいで」

「私たちメイドは黒パンしか、食べさせてもらえないの」

(なるほど、それがこのがめつさの真実か・・)

「パンの一つぐらい食べたっていいだろ。なんなら、別のものを食べてもいいんだぞ?」

「うっ、(ポッ)ひ、一つぐらいならいいわよ」

「(そういえば、最初の時はまともに聞けなかったな)なあ、イタイちゃん。ヒカリって娘を知らないか?」

パンを食べながら質問するランス。

「そのイタイちゃんて、なんです?」

「君の名前だろ?」

「ちがいます!」

「じゃ、なんて名前だ?」

「私はしがないメイド、だからただのメイドと呼んで」

「やっぱり、イタイちゃんに決定」

「・・・もう、どうでもいい」

「あのときも、そういったぞ。ふむ、なんかこのパン他のに比べてふやけているような」

「あっ、そのパンは(真っ赤)」

「・・・おおっ、なるほど。(あの時のパンか・・)で、ヒカリって娘を知らないか?」

「知ってまーす」

「なにっ!」

「パン買ってくれる?」

「ああ、腐るほど買ってやる」

「くりーむぱんだよ、高いんだよ」

「ああ、分かった。だから早く話せ」

「ヒカリってね朝になるとお空からくるの」

「・・・・で・」

「雨や曇りの日は、無いよ」

ランスはその答えをきいて、イタイの頭をはたいた。

ばしっ、ばしっ、ばしっ、どか、どか

「いたい、何すんのよ」

「うるさい」

「いい加減な事をいいやがって。犯すぞ」

「いいもん、もう犯されちゃったもん」

「・・・じゃ、ユランについては?」

「わたし、知ってるんだ」

「何を」

「ユランの必殺技[幻夢剣]の破り方」

「なんだって、どうするんだ?」

「鎧に[ヒララレモンの実]を塗っているとすべってきかないの」

「そうか。(聞いたはいいが、役に立つのかこの情報は?)さて、パンも食ったし行くか。じゃあな」
そういって、用を済ませたランスは出て行こうとする。

「ありがとう」

出て行こうとしたランスにイタイはお礼をいった。

「何がだ?」

「番兵に私のこと秘密にしてくれたでしょ。だから、お礼にこれをあげるわ」

「何だ?」

「[牢屋のカギ]よ。なんで持っているかは聞かないでね」

「わかった。(捕まった時のことでも考えていたのか?)貰おう。それから、ほどほどにしとけよ」

今度こそランスは倉庫を出て行った。

(そういや、まだいるのか?)

ついでに掃除をしていたメイドさんの様子を見てみようとランスは別の倉庫へ足を向けた。

「まだ掃除の最中ですよ。あっち行っといて下さい」

倉庫に入ってきた人物をみて掃除をしていたメイドの女の子が追い出しにかかった。

「あなたが暴れるから部屋が汚れちゃったじゃないの」

「へぇー、そうだっけ」

「また、俺様と楽しい事をしないか?」

「あー、こんな所に染みが出来てる」

「これは、俺様のせいじゃないよ、君が濡れて・・」

「もう、そんな恥ずかしい事言わないで下さい。それより、あなたも私とお掃除して遊びます?」

「おう、俺様が君を掃除してやろう」

「ひん、いいです。遠慮します(真っ赤)」

「君から言い出したのに・・・(今回は勘弁してやるか)邪魔したな」

(さて、どうするかな?このカギで行ってみるか?)

もてあそんで、いや、かわいがったイタイ(ランスの中で確定)からもらった[牢屋のカギ]を見て目的を決めた。

(牢屋といえば地下だよな・・)

ランスの予想通り、地下への入口をみつけると「牢屋へ」の標識を見つけ向かった。牢屋へ来ると番兵らしき女の子がランスの前をさえぎった。

「おい、ここは牢屋だぞ。許可の無いものは、近寄れないんだぞ」

きっとした目でランスを睨んでいる。負けずに睨み返した。

「うむ・・・」

「くすっ、変な顔」

「にらめっこしてんじゃねえ」

番兵らしき女の子を見ると緑の髪に一つにまとめたお下げをした、ビキニのようなはなはだ防御力に疑問を感じる鎧を着ていた。武器は持ってない。徒手による攻撃を得意にするのかともランスは思ったが、先ほどのこちらに来る動作を見る限りは素人くさい。

「ここは、入れないのよ。あっち行きなさい」

「この牢屋には誰がいるんだ」

「もう、仕事の邪魔よ。ほら、向こうの方が面白そうよ」

「この牢屋には誰がいるんだと聞いている」

「あっ、そこに美人が通る」

「えっ、なになに・・・いないじゃないか・」

うまく乗せられたランスは殺気を帯びた視線で睨みつける。

「(びくっ)ハハハ、あのここにはお姫様を殺そうとした恐ろしい女がいるのよ。こ、怖いのよ」

女の子は何とかごまかすように言った。

「ふーん。ところでお前、ヒカリって娘を知らないか?」

「ヒカリ・・知らないわよ。もうそんな退屈な話は、やめてよ」

「何か知ってそうだな。もう一度聞くヒカリって娘を知らないか?」

「退屈な話は、やめてよ。そんな話聞いていると私、眠く・・・すや、すや、すや」

(ありゃ、寝てしまったようだ。変な奴だな。まあ、チャンスだな)

女の子はすやすや眠ってしまったのでランスは牢屋に向かった。ランスは[牢屋のカギ]を使って牢屋の中に入っていった。

そこには、一人の娘が足を鎖でつながれて投獄されていた。青い髪の長い女の子で長い投獄生活のせいかもともと白かったと思われる肌は、さらに真っ白になっている。だが、その肌は、所々、擦り傷のようなものができていてちょっと痛々しい。戦士たるランスの目にはそれが鞭によるものだとわかる。

(拷問でも受けたのか?)

床には骸骨や茶碗などが転がっていて掃除もここ数年されていないみたいでかなりきたない。

(うーん、俺様の部屋でもここまでは汚くないぞ)

最近はシィルがいるので、汚くしようがないのだが。ランスが入ってきても、女の子はちらりと見ただけで無気力そうに俯くのだった。

「お前の名前は?」

「・・・・・・・・」

(無口な奴だな。それとも、この娘、話せないのだろうか?・・まさか俺様を無視してるんじゃないだろうな?)

「お前の名前は、なんなんだ!」

「ユキ・デル・・・」

彼女は小さく一声そう答えた。

「ユキって言うのか話せるならさっさと話せよな。俺様はランスだ」

「歳はいくつなんだ?」

「・・・・・・・・」

「歳はいくつなんだ」

「20です」

「(年上か・・)何をしていたんだ」

「妹と一緒に街でパン屋をしていました」

「どうして、牢屋にいるんだ?」

「・・・・・・王女様に捕まって・・・」

「いったい、何をしたんだ」

「話せません、話したら、また私・・・それに妹まで・・」

ユキは、そのまま黙り込んでしまった。

「ふふん、理由はともかく、色々とかわいがられているようだな?」

(びくっ)

その言葉と不躾な視線に敏感に反応するユキ。

「くっくくく・・・(正解のようだな)。かわいそうに、俺様が慰めてあげよう」

ランスは鎖で身動きとれない娘に襲い掛かった。

          *
          *

「あっ・・・・」

ユキはランスに可愛がられ、気をやってランスの胸に倒れ気絶した。ランスは胸の顔を埋めているユキの髪をいじくりながら

(やはり、犯られ慣れてるな。だが、男を知っているって感じじゃなかった。俺様の感触では番兵は暗殺を企んだっていっているがこのユキって娘はシロだな。なにか裏がある・・それも、先ほど王女様に捕まったとかいってたしな。ヒカリについても確か、情報屋が手がかりはお姫様にありとか言ってたよな。調べてみる価値があるな)

「あっ」

ユキが目を覚ました。

「ん。起きたか。君のあれはなかなかグッドだ」

「あっ(ポッ)、何を言うんですか。でも、ひどいです。無理やりこんなことするなんて」

「君が素直にならなかったからな。文字通り、体に聞かせてもらった。そのおかげで色んな事がわっかたぞ。君が言えないこともなんとなくだが」

「えっ」

その言葉にユキはどういうことかと驚愕していた。それを見たランスがニヤリと笑った。

「君から得た情報は黙っておくから大丈夫だ。俺様は自分が抱いた女は大事にするんだ」

その言葉に先ほどの事を思い出し真っ赤になる。

「かわいいぞ。ユキちゃん。これは、とりあえず、犯らせて貰ったお礼だ。[ヒーリング]」

そういって、擦り傷や痣を治してやるランス。

「ユキちゃん、俺様の”女”になるか?」

何を言っているのかと意味をくめず混乱するユキ。

「俺様は自分のものは自分の力の及ぶ限り、全力で守るし、見捨てない。どうだ?」

要するにランスの物になれば助けてやるといっている事を理解したユキは目を張る。

「でも、ここから出るなんて・・・」

「あきらめてしまって、何もしなければ、何も起きはしないぞ」

「でも・・・」

「わかった。すぐには決められないなら、また、後で来る。その時に返事をくれ。正直に言って俺様は君が気に入ったからな」

そういって、ランスは牢屋を出た。牢屋の入口にはまだ、番兵の女の子が尻を突き出して眠っている。

(ふん、そういえばコイツ、俺様に対して生意気だったな。お仕置きしてやろう。それに、こんな据え膳状態、男が放っておいたら廃るよな)

思った事を実行する事にしたランスは番兵の女の子が眠っているうちに鎧を取り外した。

(さすが、ビキニ型、脱がせやすいな。これなら、シィルでも着けれそうだよな。こんど考えてみよう)

「ううーん」

(げっ、起きたかな。いや大丈夫のようだ。では、頂くとしよう)

そういって、突き出されているお尻めがけて、ランスは後ろから突き入れた。

          *
          *

「しかし、この娘、つわものだな。犯っってる最中に、あえぎ声とか出したから起きたと思ったのに起きてないなんて。ん、それに処女だったみたいだ。まあいいか、犯れたんだから。このままにしておくと風でも引きそうだな。無いよりましだから鎧は着せてやるか」

哀れ、番兵の女の子は自分の知らぬ間に初体験を済ませてしまった。もっとも、行為の後はしっかりと体に刻まれている(ランスは妊娠云々などの配慮をするはずもない)のでシャワーを浴びるときにでも気づくかもいれない。しかし、そんな事はランスの知ったことではなかった。

ランスは満足してその場を立ち去った。


 <続く>






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