ランスの冒険 第一話 〜光を求めて〜

第4章 捜索2日目 〜嵐の通り過ぎた後の痕〜


「さて、後は事後処理だな。そして、お楽しみタイムだ」

そうつぶやいて、パルプテンクスを迎えに戻った。ランスという男は自分の利益になるならば労力は惜しまない。最も楽してできるならその限りではないが。

     *

「おう、またせ・・・ん・・・寝ているのか。疲れていたんだものな」

迎えに着てみれば、疲労のためにパルプテンクスは寝ていた。

(とりあえず、フララちゃんの所へ行くか)

寝ているパルプテンクスをお姫様抱っこしてフララの所まで移動することにした。

「おう、またせた・・ん・フララちゃんも寝ているのか。仕方ないかな。でもこのままじゃ、風邪をひくな」

寝ているパルプテンクスを床に下ろて、フララを起こすランス。

「フララちゃん、起きろ。風邪をひくぞ。早く起きないとイタズラしちゃうからな」

といいながらすでにフララの胸をさわるランス。

「ん・・、あっ!・・てっ、ラ、ランスさん??」

「お、やっと起きたか」

そういって名残惜しそうに手を引っ込めるランス。

慌てて、胸をかばうフララ。

「もう、エッチ」

「がはは、男はみなエッチだ。それより、服を持ってきたから着るんだ。サイズはちょっと合わんかもしれんがないよりましだろ」

そう言って、フララに渡す。受け取ったフララは服を着ようとして、ランスの視線に気づいた。

「あの、いつまで見てるんです?」

「飽きるまで」

「見ないでください」

「別にいいじゃないか。一応、全部見てんだし」

「(真っ赤)それでもです。それに誤解するような言い方やめてください」

怒ることに夢中になったのか全裸でランスの方を向いているに気づかないフララ。

「一応、本当のことだろ(くくく、現在進行形で見ているんだがな)」

ニヤニヤ笑って自分を見ているランスにやっと気づいたフララは悲鳴を上げた。

「キャーー。もうヤダ。見ないで。早く後ろを向いてください」

フララを急いで後ろを向き、ランスに要求する。十分にフララの肢体を堪能したランス。

「わかった。わかった」

そういって、後ろを向く。フララはランスが後ろを向いたのを確認して、着替えを再開する。

しかし、ランスはランスであった。

なんと強力カガミで出来た[めでうさの盾]を使って、しっかりとフララの着替えを堪能していたのです。

(うしし・・グッドだ)

そんなそばで散々騒いでいたのだが、パルプテンクスは起きることはなかった。結構、大物かもしれない。

     *

 こうして、ランスは寝ているパルプテンクスを背負い、フララを伴って盗賊のアジトをあとにしたのである。

(戦利品は、今回の件がかたずいた帰りに回収してお持ち帰りだな)

ランスは盗賊たちが手に入れていた価値あるものはちゃっかり場所を移して隠してしまっていた。

 ランスとフララは無言のままに街へと向かう(パルプテンクスは寝てる)

「フララちゃんは、今、向かっている街の出身か?」

「えーと、違います。こちらには、一人で遊びに来ていたんです。帰りに乗合い牛車ごと盗賊に襲われて・・・」

「そうか(・・・ううん。会話で慰めるのはあんまり得意じゃないからどう話せばいいのかわからん)」

「・・・はい」

「・・・とりあえず、これからのことについては、俺様がちゃんと手配してやる。だから心配するな」

「・・・はい」

「わかったか?」

「・・・はい」

「あそこに転がってるのはなんだ」

「・・・はい」

「だー。元気出せ。辛い事があったんだから、次は嬉しい事があるもんだ。もっとも、嬉しい事ってのは俺様に出会ったことだぞ。ん、おお、あれは、泉のようだな。あそこで休憩しようか」

「・・・はい(心配してくれるんだ、ランスさん・・・)」

「ちょっとは、元気になったようだな」

そういって、フララの頭にを手置いてなでてやる。

(ランスさん・・・あたたかい)

「うーん、あれ、私」

「おう、起きたのか。パルちゃん」

「え、わたし、なんで背負われてるの」

「そりゃ、疲れて眠っていて起こしてもなかなか起きなかったから」

「えーと。私、おります。おろして下さい」

「もうすぐそこの先の泉で休憩するから、構わん。楽にしていろ」

「わかりました(なんか、お父さんとは違う。けど、安心できる・・・)」

そういって、ランスの背中に身をゆだねる。

(うひゃひゃ、胸の感触がたまらん。やはり寝てるときと起きているときでは感覚が違うな)

どちらもが違う方向で気持ちよさを堪能していた・・・・

     *

ランスは泉の周辺の安全を確認した後、

「休憩がてら、丁度、泉があるから体を洗おう。俺様も奴らの返り血なんか浴びてたりするしな」

「そんな、うまいこと言って、また、私たちの裸を見ようってんじゃないですか?」

「がはは、何をいまさら、フララちゃんのはもう、すべて見てるんだから何をいまさら。恥ずかしがる事はないのだ」

「もう、またそんな誤解を招くようなことを。パルプテンクスさん、誤解しちゃだめですよ。私たちなんでもないんですから」

「え、ええ」

話半分、ぼーっとした感じのパルプテンクスの返事に思わずランスとフララは顔を合わせる。

「とりあえず、二人とも水を浴びてきな。これ、タオル。俺様はここでメシの用意をするから」

装備品から調理道具を出しつつ、一緒に出したタオルを二つ二人に渡す。

「あと、パルちゃんはこの着替えを、いつまでもそんな格好じゃな。俺様はうれしいが」

ニヤリとパルプテンクスをじろじろみていうランス。

「へ、きゃっ」

そういって急いで茂みの奥にある泉へ向かう。

「おいおい、着替え。いらないのかー」

「じゃ、ランスさん、私が持っていきます」

そういって、ランスより着替えを受け取る。

「何かあれば叫べよ。飛んでいくからな」

「はい、わかりました」

     *

(ふう、どちらも、いまは助かったという安心感で安定しているけど何がきっかけで不安定になるかわからんからな。にしても、フララちゃんよりもパルちゃんの方が精神的にもろいかな?)

ランスは女の子たちの状態を分析していた。なんせ、こういう冒険者家業をやっていると結構、こういう目に遭う女の子をよく見ることになる。自然と、どういう常態か経験則的にわかるのだ。

(くく、フララちゃんは今晩あたり、慰めるとして、問題はパルちゃんを慰めるタイミングだな・・・さて、どうするか。街に帰れば、あの親父がいるしな・・・)

・・・何か違うことを考えているようだった。

     *

 そろそろ、メシのほうも出来るかという時、泉のほうから悲鳴が聞こえてきた。

その瞬間、ランスは風のごとく泉のほうへ突進する。そこには、ブルー・ハニーに襲われるフララとパルプテンクスがいた。

「はにほー」

「キャー」

「イヤー」

ブルー・ハニーは手に持つ槍を掲げながら必殺の[ハニー・フラッシュ]を放とうとしていた。

(く、まずい、間に合うか)

「うおおおおおっーーーー」

気づかぬうちに、ランスはほえていた。そしてそれは、ブルー・ハニーの注意を十分に促すことができた。

ランスは泉の岸まで来た瞬間。全身のバネを使い二人の娘とブルー・ハニーの間に飛び込んだ。その瞬間にブルー・ハニーの[ハニー・フラッシュ]がランスへと放たれる。

ランスは堪えるべく身構える。[ハニー・フラッシュ]が命中した。しかし、ランスに衝撃は来ない。

「!(そうか[はにわ銅像]か)」

「うぉりゃぁー」

ランスは剣を振り上げながら一気にブルー・ハニーに詰寄り、脳天めがけて振り下ろした。

その一撃は狙い違わず、ブルー・ハニーをまっぷたつにする。

「ぜぇ、ぜぇ、大丈夫か? 二人とも」

フララとパルプテンクスは抱き合っていたが、フララはランスの問いかけにコクンとうなずくがパルプテンクスは目の焦点が合っておらず震え続けていた。

「おい、大丈夫か。パルちゃん」

そういって、パルプテンクスの肩に触ろうとした。すると、パルプテンクスはその手を払いのけて、

「いやっ、いや、いやー」

と暴れだした。ランスは暴れるパルプテンクスの手をおさえると強引に自分の胸に収め、抱きしめた。抱きしめられたパルプテンクスは必死に逃げだそうとする。

「もう大丈夫だ、俺様がいる。だから、大丈夫だ」

そういって、さらに抱きしめる。やがて、パルプテンクスは暴れるのをやめ、ランスを抱きしめ返した。

「フララちゃん。悪いけど。メシのところまでもどっててくれ。先に食べててくれ。俺様達は後で行くから」

フララは場の雰囲気を察したのかコクンとうなずいて、その場を後にする。

「落ち着いたか、パルちゃん」

「・・・・・」

「・・・・・」

パルプテンクスが何か言うまでランスは黙っていた

「・・・ごめんなさい。もう、大丈夫です」

「本当か?」

「・・もう少しこうしてていいですか?」

「もちろんだ」

「ありがとう」

「かわいい娘の頼みは断らないようにしている(極力だが)」

     *

 しばらくして、落ち着きを取り戻したようで

「もういいですよ。放してくださっても」

「え、もおいいのか? なかなか抱き心地がよかったんだが」

「もう、ランスさんたら(真っ赤)」

「・・・・・」

「・・・あのブルー・ハニーが襲ってきたとき思い出しちゃったんです。盗賊に襲われたときの事。だって盗賊に襲われたきっかけもハニーから始まったんですもの。それからは連想ゲームのような感じで次々と起こったことが」

そういってパルプテンクスは自分の両肩を自分の手で抱え込む。

「・・・(へたなこといえんな。こういうときは強引でも行動で示すほうが結果的にいいんだよな)」

ランスは黙って、パルプテンクスの肩に手を置いた。はっとしてランスの方を向くパルプテンクス。

「わたし、わたしは、けが・ん・・・」

ランスはその言葉の続きを唇をふさぎ止めた。そしてそのまま、押し倒す。

(ここは言葉は要らない。行動あるのみだ)

ランスはパルプテンクスに覆いかぶさっていった。パルプテンクスは一瞬、体をすくめたがランスの行為を拒絶せず受け入れた。

          *
          *

 ことを終えた二人は固く抱き合った。

「大丈夫だ。君は穢れてなんかいないし、十分魅力的だ」

「本当に?」

「ああ、本当だ。どうしても、自分が犯されたと言う事が忘れられないんなら、いまここで、俺様に奪われたと思い込め。実際、本当の意味でお前が女になったのは俺様なんだから」

「ランスさん(真っ赤)」

「かわいいぞ。もう一度だ!」

「きゃっ!(真っ赤)」

          *
          *

 イタした後始末は大変だった。泉の中でだったから、ランスの装備はずぶ濡れになった。パルプテンクスも自分の大胆な行動に全身真っ赤にしていた。その余波を食らったようにフララも真っ赤にしていた。

さいわい、ランスも着替えは持っていたのでとっとと着替えて街に向かう事にした。結構、時間がたっていたので街につく頃には日が暮れるのではという時間になったからだ。

ランスは鎧が乾いてなくて着心地がよくなかったが、そうなったのも自分のせいなので文句も言えず不承不承身に付けるのだった。

(泉の中で犯ったまではよかったが装備を泉に放り出しちゃったのはまずかったな。あとで手入れが大変だ)

ランスは意外にも、武装については手抜きなく自分でしっかりと手入れを行っていた。やはり、自分の命を預ける事にもなるものなのでいい加減には出来ないのだろう。この男でも。

          *
          *

 ランス達は無事に街にたどりついた。途中、モンスターに遭遇したりしたが、ランスの敵ではなかった。

「やっと、街に着いたぜ。随分疲れたような気がする」

「がんばってたみたいですからね。パルプテンクスさんと」

「お、やきもちか、フララちゃん」

「違います」

「そんなにいうなら、フララちゃんもかわいがってやるぞ。ただし、俺様ランス流にだが」

「クスクスクス」

「もう、笑わないで下さいよ。パルプテンクスさん」

「でも、本当に、やきもちやいているみたいよ。フララちゃん」

女の子達、二人は、街につくまでに、心の底から出はないにせよ笑う事ができるようになっていた。

ランスたちは街につき酒場に向かった。途中で、フララを宿屋[あいすくりーむ]にあずけたので、ランスとパルプテンクスの二人であった。段々、酒場に近づくにつれ、パルプテンクスの表情は暗くなる。
「何を心配してるんだ?」

「あっ、いえ、そのどういう顔すればいいのかわからなくて」

「さっきのように、笑顔で会えばいい。辛い目にあっても笑う事が出来ればまだ大丈夫。っていった人がいたな」

「その人って誰なんです?」

「さあ?」

「もう、ランスさん。いい加減ですね!」

そういって笑うパルプテンクス。

「そう、その顔だ。それを見ればあの親父の心配も一発で吹っ飛ぶ。それに、君のあの事を全部知っているのはもう俺様一人だけだ」

「えっ、あの事って」

「そうあの事だ」

「・・・(真っ赤)」

「ほら、着いたぞ。俺様はしばらくしたら入るから、親父さん、安心させてやりな」

「はい、ランスさん」

そういって、パルプテンクスは酒場へ入っていった。さすがに今日は経営していなかったようだ。

(あの親父ならやっていそうな気もしたんだが・・・)

     *

(あたりも、だいぶ暗くなってきたな。そろそろいいか。報酬をもらうとしよう)

ランスは酒場に入っていった。

「娘を助けてくれてありがとう。君なら大丈夫だと思っていた」

親父はニコニコしながらいった。娘が戻ってきて安心したようだ。そばにいるパルプテンクスも肉親が近くにいるからかどこか安心しているように感じる。

「当然だ!」

(とりあえず、この親父のそばにパルプテンクスはいれば大丈夫だな。心の傷は時間が解決してくれるさ)

「盗賊もいなくなった事だし、めでたしだな。あんたのおかげで盗賊達は全滅だそうじゃないか。きっと、俺の娘に手を出したからこうなったんだな」

「あの盗賊のボス、エッチで困っちゃったわ」

「なにーー、お前、XXXで、XXXをされたのか?」

「お父さん!変な創造しないでよ」

(なんか・・もう、立ち直っているのか?なんか違うような気がするな・・・)

「お前、なかなか男として見込みあるぞ、どうだ俺の娘を嫁にもらってくれないか」

「もう、お父さんたら(真っ赤)・・変な事いわないで」

「これでも、俺の娘は別嬪で有名なんだぞ」

「お父さんだってかっこいいわよ。ねぇ、ランスさん」

「・・・勝手にやってくれ。それより、娘は助けた。約束のものを貰おうか」

「ああ、通行手形だな」

そういうと親父は壁に掛けられていた絵の後ろから通行手形を取り出した。

「お父さん、あの手形は・・」

親父の肘を引っぱりながら娘が言った。

「しかたがなかったんだ。お前を助けるために。これが通行手形だ」

「確かに。じゃ、今日はこれで」

ランスは、親父から通行手形を受け取り、酒場を出て行く。

「娘を助けてくれて、本当にありがとう」

「ありがとうございます、ランスさん」

ランスは振り向かずに手だけをあげて答えて去っていった。その後には、

「お父さん、通行手形渡したら・・もう行けないね」

「あんなものより、お前のほうが大事だからいい」

「お父さん!」

「娘よ!」

がしっ!熱い家族愛が展開されていたた・・・・

          *
          *

(通行手形が手に入ったし、早速使って行って見るか・・)

ランスは城へ向かっていた。城門にたどり着くと番兵がやってきた。

「おい、通行手形は持っているのだろうな」

「ああ、これのことだろ」

ランスは先ほど入手した通行手形を差し出すと番兵に見せた。

「たしかに、本物のようだ。しかし、今日はもう遅い明日出直してこい」

「そうか、わかった」

素直に引き下がり引き返すランス。

(ちぇ、せっかく入れると思ってたのに、宿屋へ行くか)

肩透かしを食らったランスは宿屋に向かった。

「いらっしゃいませ、ってランスさん。おかえりなさいませ」

「おう。奈美さん。ところで、フララちゃんは?」

「フララさんでしたら、お疲れのようでしたのでもうお休みになっています」

「ふーん、そうか」

「ランスさんの部屋は昨日とおなじです。食事お持ちしますから待っていてください」

「わかった」

ランスは部屋でくつろぐことにした。

     *

(このJAPAN式の部屋は妙に落ち着くんだよな)

「お待たせしました。ランスさん」

食事を持って奈美が部屋に入ってきた。

「おう、待たされたぞ」

「ランスさん、盗賊を退治されたって本当ですか?」

「まあ、軽いもんさ」

「戦いもなされたのでしょう、ケガはありませんか」

心配そうにランスを見やる奈美。

「いや、大丈夫だ。あんな奴ら俺様にかかれば片手も必要なかった」

そんな奈美の様子にランスは自慢げに話す。

「ランスさんは盗賊退治が目的でこの街に来られたのですか?」

「いや、人捜しだ。盗賊に捕まっているかなと思ったのだが、いなかった」

「あの、それって、昨日聞かれたヒカリって娘さんの事ですか?」

「ああ、そうだ」

「それは、残念ですわね。それじゃこれからは、どうするのですか?」

「そうだな、手がかりも無いし、城にでも行ってみようかと思っている」

「お城ですか、私達の国JAPANのお城と言えば、立派な天守閣がありますよ」

「ほう、って、ちょっと、待て、さっきから俺様の行動を聞いているが、もしかしたら、どこかのスパイか!」

はっと、身構えるランス。

「違いますよ。そんなに私の事、信じられませんか」

真摯な瞳でランスを見つめる奈美。

「冗談だ。すまん」

バツがわるくなったランスは謝った。

「よかった。私もヒカリって娘のこと、それとなく聞いておきますね」

そんなランスを見て奈美はにっこりと笑いその謝罪を受け入れた。

「おおっ、今日はなんか豪勢だな」

「今朝、誕生日をむかえまして20歳になりました。それでちょっとしたサービスです。私もこれで大人の仲間入りですね」

「いや、まだ、本当の意味で仲間入りしていないぞ」

そういって、昨日じっくり攻めるとか思っていたのはどこ吹く風でジリジリと迫るランス。

「JAPAN女性は、そう簡単に体を許しませんよ」

そんな、ランスにも身構えることなく告げる奈美。

「なら、力づくで」

とランスは奈美に飛び掛った。

「うわ・・・」

ランスは昨日と同じ結果、つまり・・・宙を一回転して倒れた。

「これが柔の技・・・」

一度ならず二度もランスを見事投げた奈美。ランスの行動はともかく腕は一流といっても良いのである。そのランスを投げ飛ばせるのだから奈美はかなりの腕である事が伺える。

(この技の切れ、すごいな奈美さん)

技を食らったランスはすぐに起き上がる。

(このままの正攻法では奈美さんとウハウハができ。!!ならば・・)

「また、投げ飛ばされたいの?」

奈美は身構えた。

「好きだ。俺様は君を愛してしまったんだ。本当だ」

(・・我ながらよくここまで言えるな)

「えっ・・」

彼女は、ランスの真剣な表情に明らかに動揺していた。

「愛しているよ、奈美」

ランスは立ったまま動揺の収まっていない彼女の着物を脱がし始めた。

「着物の下は、下着も付けていないのか」

「ランスさん、いけません」

ランスは彼女の胸を愛撫し始めた。

「もう。それ以上は・・」

奈美の柔らかな唇にキスをしようとした。

(うぎゃ・・・)

その瞬間、背負い投げを食らってランスの体は節々が痛んでいた。

「お客さん、冗談はよして下さい。これ以上、冗談が過ぎると出て行ってもらいます(危なかった・・。思わず流されてしまいました)」

顔を真っ赤にして脱がされかけた着物を直しながら抗議する奈美。

(お客さんって・・こりゃ、めちゃくちゃ怒っているな)

「わかった・・もうしない」

実際、もう一度、ちょっかいをかける力は今のランスには無かった。

「じゃ、おとなしく、夕食食べてください」

     *

食事をおえたランスは風呂に入りに行くことにした。

(むぅ・・・、やはり奈美さんは勢いでは無理か。・・後、もう少しだったんだがな。・・どうするかな)

風呂に浸かりながらさっきの行動を反芻していたランスは悩んでいた。先ほどで気力をなくしていたが食事もし、風呂で疲れを癒し、すっかり元気を取り戻していた。

(考えても、何も思い浮かばん。今日は寝ちまおう)

風呂から上がり、部屋に戻る途中、奈美に会った。さっきの事で気まずい雰囲気が流れる。しかし、場を動かしたのは奈美であった。

「お客さん、お休みですか?」

(う、まだ、怒ってる)

さすがに、これはまずいと思ったランス。その様子がおかしくって、クスッと笑う奈美。

「もう、怒ってませんよ。ランスさん。でも、ああいう強引なことはやめてくださいね」

「お、おう(強引じゃなけりゃいいのか?)」

「そろそろ、お休みになられた方が・・」

「ああ、そうだ。フララちゃんはどこで寝ているんだ?」

「どうして、聞く必要があるんです?」

さっきの自分のことがあるので警戒する奈美。

「いや、フララちゃんは・・・俺様が今日、何やったか知ってるだろ。そこで助けたんだ。だから心配でな」

そう言ってランスはフララの居所を聞き、様子を見に行くことにした。

     *

(フララちゃんは、もう寝ているかな・・)

そうっとフララの泊まる部屋を覗き込むランス。部屋は明かりがあり、テーブルのお茶セットを使って入れたお茶を前にぼんやりと座っているフララがいた。

(なんだ?様子がなんか変だな)

その様子にランスはいぶかしむ。観察していると、フララが唐突にお茶の入った湯飲みを取り、壁に投げつけようとした。

ガシッ。だがそれは、ランスの手により止められた。

「物に当たるのはあんまりよくなぞ。フララちゃん」

自分のことは棚に上げてそんなことをいけしゃあしゃあと言うランス。

「ランスさん」

そういって、ランスを見上げる、フララ。その瞳には、じわりと涙が溜まっていた。

「おう、フララちゃんの悲しみの声が心に聞こえたから、慰めに来てやったぞ」

そういって、フララの手から湯飲みを取り上げテーブルに置き、フララを自分の胸に抱き寄せた。その行為にフララは今まで我慢していたものを解放した。

「ふえーん、ランスさん、ランスさん」

そういって、フララもランスに抱きつき泣き始めた。その様子を、やっぱり心配で様子を見に来ていた奈美は部屋のそばから離れた。

(わたし、ランスさんの事、誤解していたみたい)

ランスは自分の知らないところで株を上げていた。

     *

「(昼間、元気だったのはやっぱり押さえ込んでたのか。一人になったんで耐えれなくなったんだな)よし、よし。泣きたいだけ泣け。俺様の胸はかわいこちゃんの為にあるからな」

しばらく、泣き続けていたフララが静かになったのでどうしたのかとフララを覗き込むと泣きつかれたのか眠っていた。

ランスはそれを見て、フララを抱きかかえ布団にまで運ぶとそのまま、自分も一緒に入り、フララを抱きしめて眠ることにした。こういうとき人のぬくもりは安心させることができるからだ。

(せめて、夢はいいものが見れればいいな。フララちゃん。さて、明日は朝から城に行くぞ・・・)

そう、思いながら眠りに就くランスだった。


 <続く>






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