ランスの冒険 第一話 〜光を求めて〜

第3章 捜索2日目 〜盗賊退治(後編)〜


 洞窟は、盗賊が住んでるとはいえ、じめじめと湿気ていた。

そんな中をランスは進んで行く。しばらくすると、左右に分かれていた。

(とりあえず左から行ってみるか)

ランスは左へ行く判断をし、向かっていった。進んでいくと扉がある。ランスは罠がないか鍵がかかってないか確認する。その手際は妙に手馴れていた。

(うーん、なんか人の気配がするぞ。・・・多分一人だな)

ランスは意を決すると扉を蹴り開け中に踊りこんだ。中に入るとそこには一人の凶悪そうな盗賊がおり、振り向いた。

「なんでぇ、てめえは」

「貴様こそ、何者だ!」

「俺か、俺は盗賊のムララ様だ。わはははは。で、てめえはだれだ?」

「お前になんか、もったいなくて、誰が教えれるか」

「わはは、小僧め、言いよる。見たところ。てめえも、俺と同業だろ。俺達に団入りしたいんなら持参金に200GOLD用意しな」

「誰が同業だ。失礼な。この俺様をなめるんじゃないぞ」

「いい度胸だ。俺と張り合おうとは、わははは」

「はん、貴様は、死ね」

ランスとムララと名乗った盗賊は戦闘状態に入った。ムララの得物はアックスだ。

一瞬、睨み合うが、

「キェェー」

気合を発し、ムララがアックスを振りかぶりランスの脳天めがけ振り下ろす。

「遅いんだよ!」

その斬撃を紙一重でかわし、そのまま、ムララの横を剣を凪ぎながら通り過ぎる。

「ぐはっ!」

ランスの一撃はムララに致命傷を与える。堪らず膝をつくムララに

「止めだ」

と間髪いれず2撃目をいれ、ムララの息の根を止める。

「ふん、威張りくさっていたわりにたいしたことがなかったな」

あっさりと倒したランスは興味をうしなったのか部屋を詳しく観察した。入ったときは、戦闘状態に入っていて余裕がなかったからだ。部屋にはこれといったものは無かったが上へのぼる階段があった。

(上にのぼってみるか)

階段を2,3段進んだところでランスは足に痛みを感じて堪らず

「うぎゃ!」

と悲鳴をあげ階段から飛び降りた。

「いてて・・・ふう(この階段には何かありそうだな。俺様の勘がなんの用意も無く登れば死かそれに準じる状態になると告げている)」

とりあえず、階段や部屋を調べてみるが仕掛けもなにも見つからなかった。ついでにムララの死体も調べるが手がかりは無い。ムララを調べていて財布を見つけたランスは中をみて「しけてやがるな」とぶつぶつ文句を言いつつも自分の物とした。

(とりあえず、手がかりなしか。このままじゃ、埒があかん。もう一つの方へいって見るか)

先ほど分かれたところまで戻って今度は右へいく。途中に人やモンスターの骸がころがっていたりしたが気にせず進んでいくと突き当たり左に曲がっているので一旦、曲がっているところの手前で立ち止まり覗き込む。人影なぞは見えず扉らしきものが左側に2箇所あるのが確認できた。

(手前の扉から調べていくか)

先ほどの扉と同じ手順で確認する。今回は人の気配がしない。ランスは扉をあけて部屋に入った。そこは、盗賊たちが寝床に利用している部屋のようだった。とりあえず調べてみるランス。戸棚を開けてみると、

「へへへ、ラッキー。体力回復の薬が4つあるじゃないか。(ふふ・・盗賊から物を盗むのはいい事だ)」

発見した薬をランスは至極満足そうに自分の物とした。他にはないかと周りをみて目に付いた机。

(おや、紙が置いてあるな。なにかの情報か?)

おもむろに手にとって見てみるランス。

「んー、なになに、もう、盗賊なんて嫌だ。盗賊をやめて農夫になってマナニさんと結婚するんだ。でもこんな事、親方にばれたら殺されるだろうな。・・・・うーん、なんてバカな奴なんだ。こんな重要な紙をテーブルの上に置いとくなんて。(ひょっとして途中で見た私刑されていた死体こいつのか?どうでもいいが、どっちかつーとこのマナニて人のほうが気になるな)」

一通り調べ終えて、一息ついたあと、

(他にはなさそうだな、次は奥の扉に行ってみるか)

部屋をでて奥の扉へ向かうランス。部屋を出るときも念のため通路を確認するのは忘れない。

奥の扉を調べてみると、今度は人のうめき声が聞こえる。

(うめき声か・・でも野郎のだな。これが女のだったらうはうはなんだが)

ちょっとやる気がそがれるランス。

(よっしゃ、行くか)

意を決し、部屋に踊りこんだ。だが、そこにはセメントに塗り込められた男がいるだけだ。

「うーー、たすけてくれ・・・」

(ふん、ここは拷問場みたいだな)

塗り込められた男は必死にランスに助けを乞う。

「何だ?おっさん」

「た、助けてくれ・・・」

「あいにく男を救うような善人者でないのでね」

「そんな・・」

「お願いだ、助けてくれたら何でも言う事を聞く」

「500GOLDだ」

「そんな大金持っていない」

「じゃ、あきらめろ」

「金以外で何とかならないか?」

「お前に美人の娘はいるか?」

「・・・・・」

「やっぱり、あきらめろ。お前を助ける理由が浮かばない」

「助けて」

「(しかし、どうやってこのセメントを取るのだ、こんなの不可能だ。助けるすべが無いなんて恥ずかしくていえないないな。よし、ここは・・)ばーか、お前なんか助けてやるもんか。じゃ」

「待ってくれ、助けてくれーー」

男は必死に去っていくランスに呼びかけるがランスは振り返りもしなかった。女なら違う反応を見せるのだろうが。

(これで、あの階段のトラップの手がかりは無くなっちまったな。どうするか?・・・・)

ここでは、省略しているが、通路を移動するときに何人かの盗賊と遭遇しぶち殺していたのだ。そして、ランスがわかる範囲にはもう盗賊はいない・・・

(ん、まてよ、そういえば昔、キースに似たような話を自慢話に聞かされた事があったな。・・うがー、腹立つ。あの禿げ親父め)

がん、がん、がん。

おもむろに壁に蹴りを入れるランス。落ち着いたのかもう一度考え始めるランス。

(ふう・・・そうだ。確か、魔法の靴とやらでトラップを抜けたとかいっていたな。ありそうな所といえばさっきの盗賊の部屋か。行ってみるか)

ふたたび、盗賊の部屋に行くランス。

ランスはもう一度、部屋を調べる。

「ふふふ、あるじゃないか」

ランスは一足の[盗賊の靴]を見つけた。

「さっそく、試してみるか」

そういって、階段のある部屋へ靴をもって移動するのであった。

     *
     *

階段のある部屋まで移動したランスは[盗賊の靴]の靴を履き、階段をのぼる。今度は痛みを感じずにのぼりきる事が出来た。

「がはは、さすが俺様。さて、こんな手の込んだトラップがあるという事は、この奥には・・」

いよいよ終盤だなといった感じに気を引き締めるランス。辺りを警戒しつつ進むと両側に扉があるのを発見する。

ますは左手側の扉を調べ、次に右側を調べる。両方ともには人の気配はしない。

(まずは、左だな)

中に入ると、そこはまだ作りかけの部屋らしく工具が散らかっているだけだった。

(はずれか、次は右だな)

今度は右の扉を開いた。そこは盗賊が利用している部屋らしく、下にあった部屋と似たようなものだった。
(とにかく調べるか)

「なんか、だんだん面倒くさくなってきたな。こういうときになんでシィルがいないんだ。まったく」

そういいつつ、調べる事はやめないランス。

「お、カギ発見」

ランスは[盗賊のカギ]を手に入れた。ランスは他にはなさそうなので長居は無用とさっさとでて先にすすむことにする。

また、進むと両側に扉があるのを発見する。同じように両方とも順に調べる。

(両方とも人の気配がするな。左が一人、右は・・・とりあえず最低でも3人か・・・人数が少ないほうから行くか)

ランスは左の扉を開け、中に入った。部屋の中はうす暗く部屋の中央には女盗賊がナイフを構えて立っている。

「お前、何者だ。見かけない奴だな」

ランスが入ってきたので警戒したらしい。

「お前こそ、何者だ」

「なんだと。

「お前、新入りか?」

「そうです・先輩・・よろしく。(くく、気が強そうだが、なかなかいい女じゃないか)」

ランスは目が慣れたのか女盗賊の容姿(青い髪のショートカットにしなやかでありながら出るとこは出ている、何より鋭い目つきが猫を連想させる)をみてニヤリとした。

「なにか、ようか?」

とりあえず先ほどのランスの態度とセリフで緊張を解きナイフをしまう女盗賊。

「用がないと来たらだめなんかよ」

「ああ、だめだ」

「先輩の名前はなんていうんだい?」

「うるさい、だまれ」

さすがにムッとしたのかランスは次のようにいった。

「いくらで犯らしてくれるんだ?」

「ばかやろー。このナイフで喉をきれいに切られたいのか?」

(ストレートすぎるか、方針を変えて変化球で行ってみるか)

決断するとランスはスッと、女盗賊に近づく。あまりの自然な動きに女盗賊があっけにとられている内にランスはナイフを持っていた手を軽く掴んだ。

「ふふ、かわいい君にそんな、刃物は似合わないよ。さあ、僕に貸してごらん。(こういう娘はこういう態度に弱いんだよな)」

甘い言葉をささやいた。

「そ、そんなに俺が抱きたいのかよ。(真っ赤)・・・そうだな、俺の出す問題3問正解したら抱かれてやってもいいぜ」

「本当かい?」

(くくく、思わぬ展開だ)

「ああ、しかし1問でも間違うとダメだぞ」

「じゃ、問題を教えろ」

     *

「・・・・・・」

「どうした正解なんだろ。

「・・・そ、そんな・・・俺の偏見に満ちた問題だったのに」

「わははは、俺様の勝ちだ。この程度、天才の俺様には楽勝だ。もっと難しい問題を出すんだったな」

「ちっ、わかったよ。好きなようにしな」

「では、いただきます。(ぐふふ、ラッキー)」

          *
          *

「あぁっ・」

「君はもうこんなやくざな仕事はやめるんだな。向いてない」

「私は・・・はあ、はあ」

「ほら、こんなとこにいるから、もう肌がこんなになっているじゃないか。女の子ならもっと肌を大事にしなくちゃいけないぞ」

「あっ・」

「なかなか、かわいいぞ」

「私、そんな事、言われたの初めて。いつもボスや仲間達は、私を性欲の道具としか・・」

「・・・・・・・(ちゃんと女らしくできるじゃねえか。目つきも穏やかになっている。こちらの方が前より数段いい)」

無言で女盗賊の髪をいじるランス。

「ああ・・・・・・」

「俺様が助け出してやる、この盗賊団をやめないか?」

「うるさい!一回抱いたぐらいで、わかったふうな口を聞くな」

「ふーん、一回じゃなければいいのか?」

「えっ・・・あっ、ちょっと・・・・・だめ・・・・だめったら」

          *
          *

「お前の体は、なかなかいいいぞ、少し堅い所がまた魅力的だ」

「くっ・それって誉めてるの?けなしてるの?」

「もちろん、誉めている」

「わかったな。もう、お前は俺様の”女”なんだ。盗賊なんかやめな」

「うん・・・」

「じゃ、ちょいと用事を片付けてくるから、ここで待ってな」

そういってランスは女盗賊の部屋をでた。

(二ヒヒ。うまくいったぜ。さて、次々)

ランスは顔をにやけつつ向かいの扉を開き、部屋に入る。

 そこには、二人の盗賊が女の子を襲っているところだった。

「なんでぇ、あんちゃん。いて。下を切ってしまったぜ」

モヒカン狩りの男はナイフを舐めていたのか、入ってきた拍子に舌を切ったようだ。ランスは別に気にもしないが。

(ふん、野郎ばかりが二人か見たところたいした事はないが女の子を人質にされたりしたら厄介だな。あの女の子が酒場の娘だろうか・・・)

女の子は部屋の隅で裸でうずくまっており、あれされた行為の後が・・・

「あら、たくましいお兄さん。私達のしている事に文句でもあるの」

気持ち悪い男は、そういった。

(うげ、こいつら。女の子の安全を確保したら即効でぶち殺そう)

「やあ、先輩方、楽しんでますね」

(何でこんな野郎どもに・・・)

「女の白い肌をこのナイフで切り裂いたら美しい赤い血がぷっぷっと考えただけでもぞくぞくするぜ」

(・・・・このモヒカン野郎・・危ない奴だぜ)

「僕の背中を叩いてよ、最近、肩がこってしんどいのよ」

(誰が、やるか。すぐに楽にしてやるぜ、あの世に送ってやるからな)

「なんかほしいぞ。なにかくれ」

あつかましくも、ランスは盗賊達に手を出した。

「しゃあねえな、おい、あの変な銅像があったろ。あれをやろうか」

「そうね、使わないし」

そういうと、モンスター・ハニーをかたどった銅像を持ち出して、ランスに渡した。

(・・これはパティちゃんがいっていた[はにわ銅像]じゃないか?・・言ってみるもんだな)

「それより兄さん、一緒にこの娘をいじめないか。ボスのおさがりなんだが、中々いいぜ」

といって下卑た笑いをする盗賊二人。

「さて、兄さん、犯っちまおうぜ」

「ほらほら、こんなチャンスないわよん」

「では、お言葉に甘えて」

ランスは油断無く少女の元へ歩み寄った。女の子はあきらめたような表情で頬には涙のかれたあとが残っていた。

(よっぽど、酷い目にあったんだな。アレされるにはちょっと早いような身体つきだが・・。こいつらをぶち殺してじっくりと慰めてやろう)

ランスは少女と盗賊の間に入った辺りでくるりと方向転換し、盗賊のほうに振り向くと、

「おらおら、貴様らぶちころしてやる」

剣を握り締めて襲いかかった。

「うげ・・・ばいばいだぜ」

「私も、争いは好まないの。その娘は、あげるわ」

二人の盗賊はそう言って、足早に立ち去ろうとする。

「あほう。逃すか!」

ランスはすばやくモヒカン野郎に詰め寄ると

「ゲッ」

あわてるモヒカンをズバッと一撃で切り殺す。

「ヒッ」

それを見た気持ち悪い男は一目散に逃げようとする。

「オリャ!」

ランスは気持ち悪い男にすぐ攻撃範囲に追いつけないと判断すると手にした剣を投げつけた。

「ぐへっ」

投げた剣は見事に気持ち悪い男の後頭部に刺さり絶命した。

「ふん、女の子へ酷い事した報いだ。この盗賊団の男共は皆殺し決定だ。(最初から逃すつもりはないが)」

盗賊達を始末したランスは剣を回収し、うずくまっていた女の子を助け起こした。

「大丈夫か。しっかりしろ」

事の成り行きに呆然としていたのか、ランスの問いかけにようやく自分が助かった事に気づいた女の子。
「助けて下さってありがとう。私フララといいます」

「フララちゃんか、俺様はランス」

そういいながら、ランスは女の子を見た。じっくりと。

そんな、ランスの様子に女の子は自分が素っ裸なのを思い出し真っ赤になって胸と大事な所を手で恥ずかしそうに隠した。

「あまり、見ないで下さい。恥ずかしいです」

「おお、すまない。このマントを使え。(ちぇ、裸を見れないのは残念だが、ここはやさしくして後でムフフ・・)」

そう言って自分がつけていたマントを渡す。

「ありがとうございます」

「ところで、聞きにくい事なんだが君以外にヒカリという娘がここに捕まっていないか?」

「知りません。聞いた事も無いです。でも、今、ここのボスの所に女の子がひとり・・」

話していて涙目になるフララを見て

「いい、最後まで言わなくていい。(くそ、早いところ。盗賊達をぶち殺そう。そして、ウハウハだ。とっ、それより、ボスの所にいる女の子って言うのは酒場の親父の娘かな?)君はここにいろ。まだ、盗賊が何人か残っているからな。俺様以外は開けちゃダメだぞ」

フララがうなずくのを確認すると

「ボスを倒したら迎えに来るから、安心して待ってるんだ」

そういってランスは部屋を出て行くのだった。

ランスは部屋をでたあと通路の奥に進むと頑丈そうな扉があり鍵がかかっているようだ。

「ふん、ばかめ、俺様はカギを持っているんだぞ」

と言いながら途中で見つけた[盗賊のカギ]を使って扉を開け踊りこんだ。

(けっ、通路が続いているな。だが、こんな扉があったんだ。ボスの部屋はこのちかくだな)

いまだ、通路なのに毒づいたあと、慎重に進み始めるランス。しばらく進むと通路は右に曲がっており、先を覗いてみると扉がありその隙間から光が漏れている。

(ふふん、いよいよ大詰めか)

扉を開き中に入るとそこには壁に鎖でつながれたほとんど半裸に近い姿でぐったりとした女の子がいる。
「酒場の娘か?」

そのランスの問いかけに、女の子はハッとして

「助けてください」

と助けを求めてきた。その時、ランスの視界に大きな影が現れた。

「おい、若造。ここは俺のお楽しみの部屋なんだ。なんのようだ」

ボスらしき男がランスを威圧してきた。

(ふん、さすがに他の盗賊と違って格が違うな。俺様に比べれば100万年早いが・・こいつがボスらしい)

「その娘を返してもらおう。(そんなんで威圧してるつもりかよ)」

ランスは剣を構えて一歩でた。

「お前、面白い事を言うな。俺の機嫌のいい内にさっさと帰りな」

「このひひ爺が、俺様は娘を返せと言ってるんだ。聞こえなかったのか?もうボケてるのかよ」

「きさまー」

(ふん、こんな軽い挑発で冷静さを失うとはたいした事ないな)

盗賊のボスは大鎌を振り回して襲い掛かってきた。

それを、盾で受け流し、体制が崩れたところに蹴りを放つ。

「ぐっ」

ボスは耐えて体制を整えようとしたがランスは隙を与えず斬撃をあびせる。ボスはかろうじてかわすが
より、不利な体制になっていた。

「おりゃ」

ランスの一撃が右肩をとらえた。堪らずボスは大鎌を手から落とし、肩を抑える。

「年貢の納め時だ」

後は一方的だった。何度か、ランスの攻撃をかわしたりしたが攻撃手段が封じられていたので、反撃も出来ず、最後には這い蹲り、

「ま、まってくれ、命だけは・・助けてくれ」

と命乞いするボスを

「やだ」

そう言ってランスは文字通り切って捨てた。

「ふん、女の子に酷い子とした男を何で助けてやらないといかんのだ」

げしっ。ランスはボスを部屋の隅に蹴り飛ばした。

そして、女のこの方に振り向く。さっきは、すぐに戦闘になったので良く見てなかったが髪は緑のロングヘアの体は出ているところは出て引っ込んでるところは引っ込んでるなかなかナイスバディな女の子だった。

「早く、助けてください。腕がもう痛いの」

女の子は青い瞳に涙目に訴えた。

「おう、ちょっと待て」

そういって、女の子を見ていたランスは鎖からはずしてあげた。

「助けて下さって、ありがとうございます。酒場の娘のパルプテンクスといいます」

傷だらけになっていた手首をさすりながら礼をいう女の子。

「俺様はランス。長い名前だな。パルちゃんでいいか?」

「えっ、はい」

「ここには、君の他にヒカリって子がいなかったか?」

「わかりません。私以外の人がどうなったのかは・・・」

「そうか・・(手がかりなしか・・)ちょっとまて、手当てしてやる」

そういって、ランスは自分の装備から傷薬をとりだし手当する。女の子にはやさしいランスであった。

「あの・・私、先に父の所に帰りますので」

ランスに治療されたパルプテンクスは言った。

「送っていくぞ」

「いえ、大丈夫です。私足が速いですから」

「途中で盗賊やモンスターが出るぞ。それに、君が大丈夫に思っていても、ひどい扱いをうけていたから体は思うように動かない。それに君だけを送って行くわけじゃないから」

「えっ」

「君以外にフララって子がいるんだ。それにその格好じゃ街中に入っていけないだろ?」

「えっ(真っ赤)」

パルプテンクスは改めてランスに指摘されて、今の自分の格好を思い出し、胸を隠すようにする。

「がはは、ちょっと待ってろ、服を調達してきてやる。なに、心配はいらん。ちゃんと女の子のだ。あてがあるからな」

「すいません。では、お願いします」

パルプテンクスも考え直したようでそう返事した。

「おう、任せろ。ちょっとだけ待て。もうここは安全だとは思うがなカギは閉めておくから俺様以外は入れん。お、これがあったら嫌だよな」

そういって、ランスはボスの死体を引きずって部屋を出て行った。

「なんか気が抜けちゃったな・・・」
パルプテンクスは一人になってしまい、自分自身に降りかかった災いを思い出したのか少し暗くなっていた。

ランスは女盗賊の所へ行った。

「おう、元気しているか。俺様を待ってXXXぬらして待っていたか」

「えっ(真っ赤)。何を言っている」

「がはは、かわいいぞ。それより、ここを出る準備はできたか?」

「ああ、でも本当に大丈夫なのか。俺は、ボスが怖い」

「ふん、大丈夫だ。信じられないなら、こっちへ来な」

そう言って、ボスの死体を見せるランス。

「!」

それを見て息を呑む女盗賊。

「ちゃんと死んでるぜ。これで安心だろ」

そう言って女盗賊を覗き込む。

「・・・・・」

「泣いてるのか?」

「どうしてかな。これで、自由になるのに、うれしいはずなのに、なんだろ?この悲しい気持ち」

女盗賊は静かに涙を流していた。そんな様子の女盗賊をランスは無言で抱いてやる。

「道具としてしか見てもらえなかったんだ。初めても何もかもボスに捧げたのに・・・うう・・」

ランスと女盗賊はしばらく抱き合っていた。

「ありがとう」

「ふん、俺様の”女”が悲しんでるんだ。慰めんでどうする? さて、ここを出るぞ。その前にお前の服、2着よこせ。捕まっていた女の子に着せるから」

「わかった」

女盗賊は服をランスに渡す。

「ところで、お前、ヒカリって娘を知らないか?」

「なに、ヒカリ・・?」

「何か、知っているのか?」

「何も知らねえよ、ばか。そんな事聞くんだったら・・・いや、何でもねえよ」

「やきもちか?」

「違う!」

「もう少し、女の子らしくしないとダメだぞ」

「お前にそんな事をいわれるすじあいはない」

ランスはそんなことを言う女盗賊のあごを持ち上げ、

「そんなことは、ないぞ。お前は俺様の”女”だからな。今もかわいいが、女の子らしくすればもっとかわいい」

「なっ・・ん」

おもむろに唇を合わせるランス。

「わかったな?」

「(真っ赤)う、うん」

「がはは、わかればいい。それでだな。これから、お前は自由都市郡の一つ[アイス]行け」

「[アイス]?」

「そうだ。場所は知ってるな?」

「ああ」

「俺様は助けた女の子を連れて街に戻らなけりゃならん。そこに行くのはお前、まずいだろ」

こくんとうなずく女忍者を見て言葉を続ける。

「[アイス]に行って、そこにある[キースギルド]という冒険者ギルドがある。そこのキースっていうやつが居るからそいつにこれを渡せ」

そういって、さっき準備した紹介状を女盗賊に渡す。

「そこで、お前の食い扶持を紹介してくれるだろう。だが、キースって奴には心を許すなよ。あいつは好色禿げ親父だからな。それと、これは当座の資金だ。俺様はまだ、あの街でやることがあるのでしばらくは帰れん」

そういって、かなりの額になるGOLDを渡す。

「これを持って逃げるとは思わないのか?」

「それは、それでお前の人生だ。好きにするといい。俺様も好きに生きてるしな。ただ、俺様は自分の女なら自分の力の及ぶ限り、全力で守るし、見捨てない。だから、どうするかは自分で決めな」

「・・・・・」

女盗賊は無言で自分の荷物を持ち出て行く。

「俺様はアイスの町でお前に会えるとうれしいぞ」

と女盗賊の背中に声をかける。女盗賊は足早にここを去った。それをランスは見送った

「行ったな。・・・ん、何か忘れていると思ったら、名前を聞くのを忘れていた。まあ、いいか、今度、聞けば」

イタすことはしっかりやり、「俺様の”女”」といっているのに、ごく基本的な事が抜けていたことに気づいたランスは結構暢気なことを言ってのけた。


 <続く>






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