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新世紀エヴァンゲリオン 世にも奇妙な我が人生

新たなる戦い編
第 6話 「ナデシコ出航(前編)」
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「何!?情報を流すだとっ!!いかん、それはいかんっ!!」

 初老の男性が大声で叫びながら座っていた椅子から腰を上げ最高級の材質で作られた執務机に拳を叩き付けた。その拍子に机に置かれていた飲み掛けの麦茶が入ったコップが倒れた。麦茶が広がり執務机置いてあった資料等が濡れるのも構わず目の前にいる男を鬼も射殺せと言わんばかりに睨み付けた。

「これは冬月社長がこのネルガルのTOPに立つ為の布石なのですよ」

 睨み付けられた男はそんな者どこ吹く風と平然としていた。180cmは有るだろう長身に不敵な笑みを浮かべ人差し指でめがねを押し上げながら言った。光の加減か眼鏡のレンズがキラリと一瞬光る。その様は強持て系の顔も合間って威圧するような雰囲気を醸し出していた。

「くっ・・話を聞こうじゃないか、六分儀」

 その態度が気に食わなかったが六分儀と呼ばれた男は無駄な事は一切しない事を知っていた。その為、冬月社長と呼ばれた初老の男は苦虫を噛み潰したような顔をしながら座り直す。その時、机の上の惨状を目にして顔を顰めた。

「その前に片づけましょう」

「・・・そうだな・・エミカ君、悪いが雑巾を持ってきてくれ」

 冬月は端末から隣の秘書室に控えている秘書の一人を呼び出した。

「またですか?分かりました」

 返事が有るや否やこの社長室にすぐにエミカと呼ばれた妙齢の女性が入ってきた。ネルガルの社長ともなれば有能な秘書であるだけでなく見た目もまた要求される。このエミカもご多分にもれず有能であり、容姿もまた優れていた。そのエミカがすぐに来たと言う事はこうなる事を予想して準備していたのであろう事が分かった。冬月は何か面白くないと憮然とした。その間にすばやく片づけたエミカが会釈してその場を出ようとした時、エミカと六分儀の視線が合った。六分儀がニヤリと笑ったのが冬月に見えた。そしてその瞬間エミカがポッと頬を染めたのも。冬月は世の中が信じられなくなった一瞬だった。

(何故だ?何故何だ?あの奴の無愛想で強面の顔でこうももてると言うのだ!?うちの娘ばかりかエミカ君までとは)

 そう冬月がこの六分儀を気に入らない理由の多くがこれだった。どう見ても冬月からはとても有能だが嫌な奴という印象しかないと言うのに自分の娘は一目惚れしたと言うし、先程のエミカを代表とする冬月の抱える秘書達にも人気が有った。

 気に入らなければ六分儀を切れば良いのだがそうなると自分が抱えている事業の多くが立ち行かなくなるためそれができない。そう六分儀に変われる程の人材を今の所見出せておらず使いつづけるしかないのだった。

(絶対、お前なんぞより優秀な奴を見つけて追い出してやる。お前なんぞに”お義父さん”何ぞと呼ばれてはたまらんからな)

 震える拳を握り締め固く誓う冬月であったがその誓いが果たせるかどうかは微妙であった。エミカが退出した後、六分儀は話を切り出した。

「情報を流す事は所謂ネルガルにおける社長派にとって有益だからです。今回、全社を挙げてネルガルで進められているスキャバレリ・プロジェクト、成功すれば会長派に流れは行き会社を掌握されます」

「それは分かっている。だが、あのプロジェクトの失敗はネルガル自体へのダメージが大きい。へたをすればこのネルガルが傾くかもしれんのだ!」

 自分が把握している状況を殊更いわれ、その苛立ちに冬月は声を荒げた。

「その点はご安心をそれをカバーする為の案は立てております」

 六文儀は言いたいことを言うと口元をニヤリと歪ませた。その態度が冬月にはたまらなく馬鹿にされたようで腹がたった。

「聞こうじゃないか」

 だがその感情を押さえ込んで冬月は問うた。はっきり言って冬月はこの六文儀をそばに置くようになってから胃薬を常備するようになってしまった。今もキリキリ痛み出したので机の上にあった胃腸薬を取り、口に運んだ。

 そんな冬月の様子を冷ややかに見つめた後、六文儀は口を開いた。

「では説明しましょう。我々が・・」

――ネルガル・・世界に誇る企業ではあるが決して一枚岩ではなかった。水面下では会長派、社長派に別れて主導権をどちらが握るのかと暗闘しているのであった。その主だった計画はこの部屋の主ではなくお抱えの用心棒と言わざるおえないような男より紡ぎ出されていることを殆どの者は知らない。そしてその策謀はナデシコを中心に巻き起ころうとしていた。




「はあ、じゃあやっぱり、あれはイロウルの悪戯ってわけじゃないんだね?」

 僕はあのエステバリスに乗った時の現象がイロウルのせいではないかどうか確認した。

<当たり前だ。私はそんな暇人ではない。どうせやるなら意義あるものにしたいと思うからな>

 得てして電子生命と言う物はその成り立ちから、極力無駄を省き効率よく動くことを旨とし、意味の無いことはしない傾向にある。イロウルもまたそれに当てはまっていた。

「そうかぁ・・はあ、何なんだろう?」

兎に角、僕としてはあの現象は一寸気になった。

<それは分析してみなければ分からない。しかし、興味深い物では有る。こっちがてんてこ舞いになっていたからな。そっちの方を分析出来るほどの余力はなかった>

〔こちらは認識していた。記録も有る。変わった事だったしね。でも使えるセンサー類では正確な所、掴めなかった〕

 オモイカネはナデシコを制御している存在なので当然ながら艦内で起こっている事の情報は常に送られてきている。それを整理し保管しておくのも役目の一つだと前に聞いた事がある。誰かはルリちゃんだったかラピスだったかは覚えていないけど。

<まあ、当然だな。単なる監視システムだからな精々映像カメラぐらいだ。後は熱センサー辺りがあればいい所だろう。そんな物でも何か分かるかもしれん。確認してみよう・・・・・ふむ、実に興味深い>

 だが、その言葉とは裏腹にアルファは欠伸をして伸びをしていた。僕としては待つ意外にやる事はない。取り柄としては精々、家事が行える事ぐらいだ。・・あっ、もうすぐ出向するって言ってたから、今のうちにお布団を干しておきたいな。プロスさんに申請しておこう。

ツンツン

 誰かに突かれた。まあ、誰かというか今この場でするようなのは一人しか思い浮かばない。ラピスだ。ルリちゃんなら声を掛けてくるだろう。案の定、突かれた方を見るとラピスがいた。その向こうには暇そうにルリちゃんがモニタを見ていた。

「何?ラピス」

 真摯な瞳で見詰めてくるラピスを僕も見詰め返した。

「・・シンジ・・」

 何か思いつめたように僕に言ってきた。

「何かな?」

「・・今日の晩御飯・・何?」

 何を期待していたのか分からないけど耳を傾けていたルリちゃんが椅子から落ちそうになった。まあ、前半だけ聞いていれば何か在ると考えてもおかしくない声音だったけどね。僕だってドキドキしたし。でも、きっとリツコさんが見たら言うだろうな・・無様ねって。

「そういえば、もうすぐそんな時間になるのか。支度しなくちゃな。ラピス、まだ何にするか決めてないよ。リクエストある?」

 何時もなら食堂で食べる所だけど休みの時は出来るだけ部屋で食事を摂る事にしている。それにラピスにしろ、ルリちゃんにしろ、育ちからか基本的に受動的だ。これは多少マシになってても僕にも言えることだけど。

 だから、機会があればこのように問い掛ける事にしている。でも、食事に関してはルリちゃんの方が無頓着だからそっちに聞いた方が良かったかもしれない。ラピスの場合は食事についてはホウメイ師匠の元で鍛えられたから嗜好も大分、確立されている。ルリちゃんは誰も食事に気を使うような事はされなかったから、食べれればいいと思っているしね。最も僕の所や食堂で食べるようになってからは少しづつ考えを改めているようだけど。

「・・カレーライス・・」

 ラピスは少し考え込むと好物の一つを言った。

「カレーか・・」

 初めてラピスがそれを食べた時、結構大騒ぎしたっけな。それでも気に入ったのかよく食べるようになったっけ。最もその都度、違う種類のものを食べていたけど。

「そう、カレーライス」

 こころなしかラピスが目をうっとりさせて言ったように見えた。

「ルリちゃんもそれでいい?」

 何とか態勢を立て直して席に座りなおしたルリちゃんに質問した。

「えっ?私ですか!?」

 急に話を振られて慌てたようだった。その様子がとてもかわいらしかった。

「そうだよ?一緒に食べるでしょ?」

 ここ最近は一緒に食べるようになっているので当たり前のように言った。

「・・はい、別にかまいません」

 一見無表情に言ったけど、僅かに頬が引きつっているように見えた。その理由は大体察しがつく。

「大丈夫だよ。今回のは甘いからね?」

 そう、ルリちゃんはカレーライスを苦手としていたのだ。初めて食べたのが本格的なものだったのか子供には刺激がきつ過ぎるものだった。

「本当ですか?」

「本当だよ」

 同じようなカレーを食べたラピスとは違う反応を示すルリちゃんに僕は笑顔で答えた。カレーにも色々在る事を教えてあげないとね。ふと、アルファ達の方を見ると未だ僕の問い掛けたエステバリスの現象を考察中のようだった。

「僕は部屋に戻って準備しておくよ。じゃあね」

 僕はこのまま、ここに居ても直ぐに意見は聞けないだろうと立ち去る事にした。

「楽しみにしている(います)」

 その僕に二人の少女が声を掛けてくれた。

「期待していて」

 僕はそう口にして、期待に応えるべく部屋に戻った。

     *

「「「いただきまーす」」」

 眼前には各々にカレーライス、アルファ達には焼き魚・・今回はししゃもを用意した。添え物に福神漬けとらっきょを小皿に入れて用意した。漬物はまあ各人の好みと言う事で。

 合図と共にカレーを食べ始めた。僕自身はみんなの様子を食べずに見ていた。

「おいしい」

「確かにあまいです。前のに比べれば」

 ラピス達の意見を聞いて一応、満足を得る事が出来たようでにっこりと笑うと僕も食事を開始した。

 その後、しばらくは言葉なく時折、お皿とスプーンがかち合う音がした。よっぽどお腹を減らしていたのか何時もより食べるペースが速いように感じる。

 そう言えばカレーといえばミサトさんのを思い出すな・・あれは酷かったよな。一口食べただけでどうしてもカレーとは思えなかった。その時御呼ばれしていたリツコさんも同じ意見だった。それにミサトさんのペットである温泉ペンギンのぺんぺんもカレーを一口食べてノックアウトしたような気がする。

 あれからだよなミサトさんに食事を用意させるのは危険だと感じたのは。それまではたまたまミサトさんの仕事が忙しくてミサトさんが当番の時はレトルト食品だったのが幸いしたんだった。それで食事に着いては僕がやる事にしたんだよね。それが今や本当のコックさんを目指している。人生何が在るかわからないよ。本当に・・・

「?」

 一瞬、自分の視界にお皿が現れて何だと思った。お皿の先を追って行くとそこには皿を差し出したラピスがいた。

「おかわり・・」

 僕はその言葉に皿を受け取った。

「ごはんはどのくらい?」

「さっきと一緒でいい」

「わかったよ」

 ラピス達はよく食べる。育ち盛りだし、IFS所持者はその機能維持の為に人よりも多めにカロリーをとるらしい。横目で見るとルリちゃんもおかわりをするべく僕にお皿を出すタイミングを計っているようだった。

 ラピスに盛り付けたカレーを渡すとルリちゃんも皿を差し出してきた。

「私もおかわりお願いします」

 矢継ぎ早に出してしまったので恥ずかしかったのか頬を少し染めていた。元々肌が白いので欲目立つ、そんな所が微笑ましいと僕は思いながら受け取ってラピスと同じように聞いた。

「ごはんはどのくらい?」

「最初と同じぐらいにして下さい」

「わかったよ」

 その言葉どおりに僕はカレーを盛り付けて渡した。アルファ達は食事を終えて満足したのか寛ぎ始めていた。

 僕も残り少ないカレーを食べ終えるとそれを待っていたのか、アルファ達が話し掛けてきた。

<なあ、シンジ。さっき、言っていたエステバリスの件だが>

<何か分かったの?>

<大体はね>

<最終的な結論に至るデータ不足・・>

<つまるところ推論になるが>

<兎に角話してよ>

 聞けば僕は意識外に追いやっていた考えが浮かんでくるような気がしたけど仕方がない。今までの経験上、遅かれ早かれその事態はやってくるのだ。

<聞かない方が良かったと思う事柄かもしれんがそれも定めかな?>

 イロウルも同じようだった。なら知らないより知っておいた方が心構えができる・・と思いたい。

<いいよ。お願い>

 どちらにしろ聞くしかないよ。

<結論からいうとあの現象はシンジが起こしたと思われる>

<やっぱり、そうだよね>

 まあ、それは当然推測できる。何てたってその時に掌に痣が浮かび上がっていたんだものね。

<シンジが人型ロボットをというか操縦するとすれば連想するのは当然ながらEVAのことになる。そうだな?>

<確かにコクピットに座った時にまず思ったのはEVAとの相違だから>

 その時の事を思い出しながら僕は答えた。

<それで動かす時も同じような感覚で行ったんだよな?>

<そうだね。エステバリスはIFSで動かすとか言っていたけどIFSで動かすっていう感覚を知らないから自分の知っている感覚で動かそうと思ったんだ>

 大体、IFS自体のイメージが余り掴めないんだよね。どういうものかは頭でわかっているし、IFSをつけているラピスが実際使っている所を見たけど。

<それ故にエステバリスの装甲の色が変化したのだろう>

<どうやってさ>

<ATフィールドによるものだろうな>

<ATフィールドが!?>

 ATフィールドって何でもありなんだろうか?

<実の所、ATフィールドには恒常的なものと変動的なもの、の2種類ある。わかるかね?>

<えっ!そうなの?・・変動的なものはあれだよね壁みたいに使ったりするものだよね。恒常的なものは・・そうか人の形を成しているものだ!!>

 前にカヲルくん・・あれミサトさんだったけ?・・まあ、いいや誰かから説明されたと思う。

<正解だ。人はというか生命は無意識の内にATフィールドによって己が形を作っている。それと同じような事がエステバリスにも起こったのだ>

<でも一応EVAは生物だけどエステバリスは生物じゃないよ?>

 EVAって生物なのだと実感したのは一度過剰シンクロでEVAに溶けてしまった時だった。あの時が一番、EVAを生々しい物と感じたな・・

<エステバリスそのものはだ。しかし、シンジという存在を得る事で擬似生命を形成したのだ。もともとシンジはEVAを生物としてではなく生体ロボットと捉えていたからそのイメージが再現されたという感じかな。だから、擬似生命となった時点で活動する為に電源がつき最適化が行われたのだろう>

 まあ、生物も電気信号で動いているとか聞いた事があるから、意思・・魂さえあれば構成素材が違うだけで生物と言えるのかもしれない。大体、説明してくれているイロウルだって厳密には生物とは言えないと思うし。

<色が変わったのは?>

 大体、今までの説明で予想つくけど聞いてみた。

<それはシンジの慣れ親しんでいた初号機のイメージからだろう。そして、それは恒常的なATフィールドが張られたという事でもある>

 答えは予想通りだ。

<何か変わるの?>

 恒常的なATフィールドって言われても、存在を形作っているものとしか理解していない。その他にもあるのだろうか。

<随分変わるな。実際の所、発現している状態を調査しなければ分からないが、装甲強度が飛躍的に高くなっているだろうな。それから重量の軽減化>

<えーと、もっと具体的にお願いします>

 意味はわかるけど、それが具体的にはどういう事になるのか分からなかった。

<要するに使徒の事を思い出してくれ。使徒はものにもよるがATフィールド無しでも実体弾兵器の殆どをものともしなかっただろ?中にはN2兵器の直撃にも耐えれるものもいたんだしな。それと同じような事が起きていたと思われる。これはEVAも同じだぞ?ATフィールド無しで普通に考えれば装甲が持たない攻撃も耐えて見せたしな>

<そう言えばそうだね>

 確かにそうだよな。EVAに乗って戦っていた時を思い出して僕は納得した。

<重量が軽くなっていることについてはEVAにも在った事からの推測だ。本来、EVA程の形であの大きさのものは存在し様がない>

<何で?>

<本来は自重を支えきれないのだ。だが、そうじゃない。EVAの重量が変動しているからだ。EVAの組み立て前と後では計量で差がでている事は確認されている。それに考えても見たまえ、この現象が強化されれば浮く事さえできる>

<使徒にも浮いているのが一杯いたもんな>

 多分、本当はもっと説明できるんだろうけど、そうなると専門用語が一杯出てきて余計分からなくなるからこんな物なんだろうな。

<その通り。さて、重量が軽くなる事でエステバリスはその分、機動性が高くなると言う事だ。地上よりも宇宙の方がそれは顕著に表れるだろうがね。これだけ説明すればあの状態のエステバリスが現行兵器以上に機能する事がわかるだろう?>

<そうだね。所でその現象が起きていた時、僕の掌に痣が浮き上がっていたんだけど、どういう事か分かる?>

 多分話していなかった事を話した。

<ふむ・・それは力を発現させている印かもしれんな。シンジは”知恵の実”だけでなく”命の実”を得ているからな。それを得た時につけられた傷だろ?>

<良く覚えてないよ・・>

 その時は殆ど自失状態で何が起きていたのかすら覚えていない。

<それについては追々思い出すかもしれんし、思い出さないかもしれん。心の問題だろうからな>

<そうだね・・でも、何で起こったんだろう?>

 そう、起きるにしては余りにも唐突というか不自然な気がする。

<必要だからじゃないか?>

 事も無げに言ってくれた。その意味わかっているんだろうか?

<それって、僕は再び戦わなくちゃいけないって事?>

 また、命の削り合いをしなければならないのだろうか?もう、あんなのはごめんなのに・・

<生きると言う事は戦うという事でもある。どういう形であれな>

 僕の雰囲気に慰めの言葉を掛けてくれたがこの暗くなる気持ちはどうしようも無かった。

「シンジさん、さっきからどうしたんですか?」

「シンジ、へん・・」

 僕の様子がおかしかったのか何時の間にかご飯を食べ終わったルリちゃん達がじっと僕の方を見詰めていた。

「えっ!あの・・その・・」

 2対の瞳が僕を慌てさせた。彼女たちは”綾波”を想起させるから。無言で見詰めるそれはかなりのプレッシャーを僕に与える。

「何か内緒話でもされていたんですか?」

 ルリちゃんの否応無しに答えさせようという感じを僕は受けた。それは僕の思い込みかもしれないけど。

「た、大した事じゃないよ。それより、カレー食べ終わったんだったら食後のデザートを出すよ。ちょっと待ってて」

 僕は追及を避けるべく話題を変え、空気を変える為にデザートを取りにいった。今日のデザートはみかんゼリーだ。アルファ達の分もある。

 その後は何とか追及される事無く、デザートを楽しむ事が出来た。

     *

 俺は少しの間であったが勤めていた食堂を見渡した。

「ほれ、給料だ」

 俺は雇い主のサイゾウさんに差し出された給料袋を受け取った。突然の解雇・・

「首っすか・・」

 まあ、当然だよな。戦闘音が聞こえただけで恐怖にガタガタ震えて叫んで動けなくなるんだから。仕事上のミスでじゃ無い事だけが唯一の慰めか・・俺は俯いてしまった。

「何時までも臆病者のパイロットを雇ってるなんて、噂立てられちゃ、こちとら困るんでな」

 サイゾウさんは困った顔で俺の右手の甲にある文様を見詰めてきた。

「これは・・火星ではみんな!」

 自分の言い分と共にサイゾウさんの顔を上げたらその顔には苦い表情が浮かんでいた。多分、客からの非難か何かがあったんだろう。サイゾウさんにも生活がかかっている以上、仕方ないかと思った。

 俺はサイゾウさんの視線を感じて右手の甲に浮かぶ文様を左手でかぶせた。その文様はIFSと呼ばれるシステムをセットした際に浮かぶ物だ。でも、これは地球圏(月を含む)では一般には広まっておらず、現状でつけているのは軍のパイロットだけというのが世間の常識だ。

「でもな、世間一般のみんなはそうは思っちゃくれん」

 サイゾウさんも俺の思いを知ってか知らずか同じような事を言った。サイゾウさんには色々とわけ在りになっちまった俺を拾ってくれた恩がある。第一、俺の夢であったコックの修行もさせてくれたのだ。

「まあ何だ、この調子だとこの辺も時間の問題だろうからな。この時期に離れるのも考えようによっちゃいいと思うぜ。それからなアキト、逃げてる内は何にもならんぞ?」

 再び俯いて沈んでいる俺にサイゾウさんは慰めの言葉を掛けてくれた。

 逃げてる・・か、実際その通りだ。俺は訳がわからない内に突然、火星に攻めてきた木星蜥蜴に殺されそうになって気が付いたら地球にいた。殺されそうになる直前、守ってあげなくちゃと思っていた女の子・・アイちゃんを置き去りにして。

 それからは自分だけがあの地獄と化した火星から逃げ出してきた罪悪感から逃れるように拾ってくれたサイゾウさんの元でコックの修行に打ち込んだ。

 でも、ダメだった。戦闘音を聞くと木星蜥蜴に殺されそうになった時に感じた恐怖、無力感、そして逃げ出してしまった罪悪感が俺を苛んだ。

 サイゾウさんの言葉は最もだ。このままじゃ、俺は何事にも中途半端になってしまいそうだった。

「・・・逃げるだけじゃダメだって事だ」

 サイゾウさんはもう一度、黙っている俺に言った。でも、その言葉尻から俺を心配してくれている事だけは分かった。大体、住み込みで修行までさせてもらっているのに餞別代りにお金を・・袋を触った感じでは結構な額が入っている事で分かる。

「まあ、逃げるのは楽だけどな?何時までもって訳にはいかんだろ?人生、楽ありゃ、苦もありだ」

 俺はサイゾウさんの少しおどけた調子で言われた事をかみ締めた。何時までもってわけには行かない事は俺自身も理解していた。サイゾウさんはこれを切欠にしろと言っているのだと思う。

「まっ、そう言うこった」

 サイゾウさんは俺の肩をポンと叩いた。その言葉は妙に優しい感じがした。

「・・サイゾウさん、いままでありがとうございました」

 俺はやっとの事で、そう告げて一礼すると雪谷食堂と書かれた看板をかかげている店を出た。背には自分の所持品をつめたリュックサック、それに収められず強引にリュックサックに括りつけていたフライパンが音を立てる。

 それから働いて得た僅かな給料で購入した中古の自転車にまたがり店を後にした。

 その背後に雇い主だったサイゾウさんの声が聞こえてきた。

「ちゃんと自分を取り戻して、まだ続けたいと思ったなら帰って来い」

 その言葉を聞いて俺はサイゾウさんがやっぱり、ただ追い出したんじゃないと感じた。



 そうはいっても、やはり唐突に追い出されてしまい文句の一つもたれようというものだった。俺は自転車をゆっくりと走らせながらこれからどうするかを思案していると

プッ、プゥー

 と甲高いクラクションが短く鳴った。俺は進んでいた道の端によって車に道を譲った。その横を車が徐行で通り過ぎていく。それを横目で見た。ショートカットの若い女が運転しており、後部座席にはどうも髪の長い女が座っているようだった。二人とも何かの制服を着ているのが気になったがどうせ自分には関わりないと考えるのを止めた。そんな事より、今後どうするかだ。

ゴロンゴロンっ!!ガンッ!!

「へ!?」

 突然、俺の視界が黒く覆われた。

ガコッ!

「ぐぉ!」

ガシャン!!

 何かが俺にぶつかった結構な衝撃だ。俺はたまらず自転車ごとこけた。

「な、なんでおれだけぇ・・もうやだ・・」

 俺は散々ついてないってのに、これかとうるうると涙が目に浮かんだ。こればっかりはどうしようもない。視界には中身をぶちまけたトランクケースが転がっているのが見えた。これが俺にぶつかったらしい。俺は良く無事だったなと思えるぐらい丈夫そうだった。

 それから前を見るとさっき通り過ぎた車が停まっており、その後部にあるトランクが開いていた。その中には溢れんばかりの荷物が入っており、どうやら俺にぶつかったトランクケースはそのトランクから零れた物のようだった。

 停まった車から俺の方に二人の女が駆け寄ってきた。いや、良く見ると短い髪の方はどうやら男のようだった。車内は薄暗かったので勘違いしていたらしい。最も女顔で体つきも結構、華奢だから人によっては女に間違えられるのかもしれないけど。

「すみません、すみません!あの・・お怪我はありませんか?」

 長い髪の美女がしきりに謝ってきた。その後ろではさっき女と間違えた青年が頭を下げていた。

「ああ、一応な」

 俺は文句をたれた。そして、頭に何か掛かっていたみたいなので取って見るとブラジャーだった。

「うわぁーー!」

 俺は慌てて放り投げてしまった。かなり、大きかった。恐らくというか、絶対目の前の髪の長い美女の物だろう。青年が俺が放り投げてしまったものを慌てて回収しようとして、その正体を知り、顔を真っ赤にしていた。意外と純情のようだった。

「大体、あんたら畳み方がおかしいんだよ!」

「はぁ・・」

 俺は愚痴りながらも、散らばってしまった物をまとめてトランクケースに収めていく。俺は途中、白っぽい布みたいなものを掴んで入れようとしてそれがパンティである事に気が付いた。顔がかーっと熱くなるのが分かった。

「あっ、えーと、そ、そのー」

 俺は慌てて弁解し様としたが言葉が思い浮かばなかった。

「・・・」

 だが、そんな俺には反応せず、女性は俺をじぃーっと見詰めていた。そりゃもう、真剣に。穴が開くんじゃない勝手ほど。

「うわっ!?ごめんなさい、ごめんな・さい?」

 そんな女性の反応に俺は謝る事しか思い浮かばなかったがどうやら怒ってない事だけは確かだった。それに何だか懐かしいような感じがした。一瞬、誰かと重なるのだが今一はっきりとしない。

「あの、何処かでお会いしませんでしたか?」

「いや、そんな気はしないけどな・・多分」

 俺もそう言われてさっきから頭に引っかかるのだがどうも思い出せないのでそう答えた。

「ユーリカーー!そろそろ行かないと間に合わないよー!!」

 一緒だった青年が何時の間にか俺がまとめた荷物を車に運び込んで声を掛けてきた。そうか、この女性、ユリカって言うのか。・・あれ?どこかで聞いたような・・気が・す・る?

「そうですか、ご協力有難うございました!」

 女性は一礼すると俺の前から急いで立ち去り車に乗り込んで青年と共に去って行った。俺はユリカねぇ?と考え込みながら、その車を見送った。まあ、もう関わりあう事も無いだろうと思い考えを打ち切った。

 俺はとりあえず立ち上がって自転車を起こそうと振り返った。その時、何かが落ちているのが見えた。

「ん?まだ何か落としてるのか?フォトスタンド?・・はっ!?」

 俺は何気に落ちているフォトスタンド取り上げて入っている写真を見て固まった。

 そこにはどこかの草原に情けない顔をした小さい頃の俺がすわり、その頭に嬉しそうに花冠をしている女の子が映っていた。その子が成長すれば丁度、今さっき会った女性になるだろうと容易に想像できた。

「あ、会ってるっ!会ってるぞ!!俺達は会ってる!!」

 急に俺の記憶が繋がった。そうだ!どうしてなんだろう。直ぐに思いつきそうなもんじゃないか。

「そうだ、会ってる!会ってるぞ!ユリカ!!そうだ、お前はミスマル・ユリカじゃないか!!」

 思い出した。普通なら忘れようたって忘れられない事のはずだった。何で忘れていたんだ?・・いや、心当たりはある。あのユリカに何度、酷い目に合わされたか。あいつが地球に戻ると聞いて嬉しい泣きするぐらいだったからな。記憶の彼方へ封印するぐらいは至極、もっともなような気がする。

 それでも、あの女性がミスマル・ユリカなら俺は聞く事がある。少なくとも、これで目前の行動は出来たんだ。直ぐに追いかけよう。俺はすぐさま決意すると自転車に乗り、さっきの美女、ミスマル・ユリカを追い掛け始めた。

 その方向には確か軍施設があった。そこに向かって行ったって事はユリカは軍人なのか!?思わずあの性格で軍人なんて無理だろうと思うのだが、でも軍服っぽい制服も着ていたしユリカの家って軍人の名門だったと思うし、ミスマルのおじさんも軍人だったから当然の流れなのかもしれない。第一、さっき話した限りでは俺と遊んでた時に比べて大分マシだった。時の流れは偉大だと言う事だろうか。

 しかし、自分で言うのもなんだがどうやってユリカに再度、接触しようって言うんだ?まあ、忘れ物を届けに着たとか言っても預かるだけで本人には会えないような気がする。当たって砕けるしかないか・・



 そんなこんなで必死に自転車を漕いで目的地まできた俺は当たって砕ける事にした。

「ユリカにっ!ユリカに会わせろっ!!ミスマル・ユリカーーーっ!!」

 俺は施設の守衛達に掛けより、面会を希望したが怪しい奴と思ったのか捕まってしまった。それから取調べ室に連れ込まれた。

 しばらく何もされることなくただボーっとしていると赤いベストを着たちょび髭に眼鏡のおっさんが警備員を伴って入ってきた。

「こ奴が自転車で突っ込んで来たんです。その後、ただユリカに会わせろと叫ぶ次第で」

 警備員の一人が俺を指して入ってきたちょび髭に眼鏡のおっさんに説明していた。

「ほう、パイロットですか」

 ちょび髭に眼鏡のおっさんが俺をなめ回すように見て俺の右の甲にあるIFSに目をつけて言った。

「ち、違うっ!おれはコックだ!!」

 俺は咄嗟に右手を左手で隠して叫んだ。くそっ!何で火星ではみんな着けているのが当たり前だったのにここでは違うんだ!!と悪態を心の中でついてしまった。こう言った時、つくづく自分は地球人ではなく火星人だと思うようになっていた。

「まあ、私たちが聞いても同じような事しか言いませんでして。ユリカなる人物についてはただ会わせろとしか言わず・・」

 警備員はほとほと困り果てたという表情で言っているのを俺は見た。はん!素直にユリカに会わせてくれればよかったんだよと言えたらいいが、俺でも警備員の立場なら同じようにするからな。

「ふむ・・」

 ちょび髭に眼鏡のおっさんが何か考え込むと懐から何かの端末を取り出した。

「舌を少し出してくれませんかな?」

 そう言うと端末に繋がったペンをちょび髭に眼鏡のおっさんは持った。俺はここはおとなしく従う方が、賢明と考えておとなしく出した。

「あっなたの、おっ名前なんてーの!?っと」

 なにやらリズムに乗って台詞をはきながら、手にしたペンを俺の舌につけた。

「つっ!?」

 俺は舌に針に刺されたような感じがして声と共に顔を歪めた。

「遺伝子データ?」

 俺が何をされたのかようやく悟った。遺伝子サンプルをあのペンで採取した、もしくは分析したのだろう。

「えっと、おっ!テンカワ・アキトさん・・全滅した火星のコロニー出身ですと!?どうやってこちらに!?」

 ちょび髭に眼鏡のおっさんは驚きを隠せなかった。

「それは・・木星蜥蜴に殺されそうになって気が付いたら地球に居たって聞いても信じていただけませんよね・・」

 俺は自信なさげに言ったがちょび髭に眼鏡のおっさんはそれを聞いて一瞬だけ顔つきを変えた。直ぐに平常に戻ったが俺はこのおっさんが俺が火星からこっち・・地球に来れた事について心当たりが在るように思えた。

「ほほう、それからは料理の修業を・・」

 ちょび髭に眼鏡のおっさんはふむふむと顎に手を当てて何かを考え込んでいた。

「あの・・「そうですな、それがいいでしょう」」

 俺が言いかけた質問は遮られた。

「今日からあなたはナデシコのコックさんです」

「え!?コック!?それにナデシコ!?何ですか!?」

 突然の事に俺は聞きたいことを忘れて叫んでいた。後で気付いた時は後の祭りで、時期を逸した聞きたかったことは結局、聞きそびれることになった。

 ちょび髭に眼鏡のおっさん・・プロスペクターさんに結局、なんだかんだと押し切られてナデシコとやらでコックというかその補助をする事になった。

「変な形だな」

 俺が目にしたものの率直な感想を漏らした。

「いやいや、このナデシコ・・わが社が誇る最新鋭の技術を駆使して作り上げた機動戦艦”NERGAL ND−001”を始めて見た方は殆どそう仰いますな」

 ニコニコ顔でいうプロスペクターさんに俺はもう一度、ナデシコを見上げた。これが戦艦なのかそして俺の新たなる職場。だけどこの時点で俺は戦艦ってどういうものか全然分かっていなかった。いや、考えたくなかったのかもしれない。

「さあテンカワさん、いきますよーう」

 プロスペクターさんは笑顔を崩さずに俺をナデシコの方へと誘った。

 ナデシコに足を踏み入れるとそこはデッキだったらしく所々に青い制服を来た作業員が慌しく動いていた。中でも全長6メートル程の赤い色のロボットがガシャガシャと動き、青い制服に白い作業用の上着をツナギを着てハンドスピーカーで赤い色のロボットに怒鳴り込んでいた。

「・・あれ、何をやっているんですか?」

 俺はあの妙な動きをしているロボットを見てプロスペクターさんに尋ねた。

「おかしいですね。パイロットは3日後の予定で乗っていないはずなんですが?」

 そう言いながらも微妙に顔が引きつっているのが見て取れた。その間にもロボット・・プロスペクターさんが言う所のネルガル重工製汎用人型兵器エステバリスと言う最新鋭の人型兵器らしい。

『レッツ・ゴォーーッ!ゲキガンガーーーーーッ!!』

 動きは相変わらずで見様によっては踊っているように見えた。時折、エステバリスから声が聞こえポーズを決めている。どこかで見たことがあるポーズだなと思った。

『おい、何処のトンマか知らんが、そのエステはまだ整備中なんだっ!!とっとと降りろーっ!!大体それはケギガンガーじゃねー!エステバリスだー!!』

 動き回るエステバリスの足下と何かの拍子に踏み潰されるのではないかと思われる位置でハンドスピーカー片手に叫ぶ男がいた。格好から見てもどうやら整備員のトップだろうか。

「セイヤさん!ここは危ないですよ!離れましょう!!」

 その男のそばに黄色い制服を着た自分より若く見える男・・少年が来て怒鳴っている男の腕を引っ張っていた。俺より若い奴がいるのに目を丸くした。

「うるせい!!離せっ、シンジ!!俺のエステちゃんが〜〜」

 なんだかんだと少年に引きずられるように踊っている?赤いエステバリスから離れていった。小柄で華奢に見える少年は見かけによらず結構な力の持ち主のようであった。

 赤いエステバリスは足元でそんな事をやっているとは気にすることなく動いていたがぴたりと止まった。

『ふっ・・この場にいる君達だけにお見せしよう。これが俺様の必殺技・・・』

 そして中で操縦していたパイロットがそう宣言すると共になにやらポーズを取り出した。そして、次の瞬間、

『ガイ・スーパーナッパーーー!!』

 とスピーカ越しに叫びをあげ、赤いエステバリスが体を沈み込ませ、一瞬タメると為と同時に膝を伸ばし、片足つま先立ちで右拳を天をも貫けとばかりに突き上げた。

 パイロットの言う所の”ガイ・スーパーナッパー”を決めたエステバリスは見ようによっては確かにカッコ良く見える。だが、そのポーズを決めるのには無理があったようだ。

 調整不足によりバランサーもうまく機能していない中、無茶な体勢で固定すれば自ずと結果は導き出される。つまり、

ズガシャアーーーーンッ!!!

 赤いエステバリスは態勢を崩して倒れ、近くにいた整備員たちは慌てて避難した。倒れた衝撃は俺達の足元にまで及んだ。何ともはた迷惑な事である。

「結局何なんですか?」

「イヤー何ともはや、お恥ずかしい」

「結局、分からないって事ですね・・・」

 俺は少しじと目でプロスペクターさんを見た。プロスペクターさんはいやいや、困りましたなあ、とにじみ出る汗を拭いていた。あのパイロットは減給ですと何気に処分を口走っていた。先程、貰った名刺からすれば、お金を握っている以上、それ相応の力はあるのだろう。

「はっはっはっ、いきなりのこの騒ぎすいませんねえ。何せこのナデシコ、クルーは性格はともかく能力第一で選びましたもので」

 言い訳じみた説明がなされた。

「・・つまり人格は考慮しなかった・・変人が多いって事ですか・・」

 俺は先程の整備のトップの言動もきっちりと聞いていたとプロスさんの反応からあながち間違ってはいないのだろう事が感じられた。

「はっはっはっ、そのかわり一流ばかり集まりましたがね」

 その言葉に俺は引っかかった。俺はどう見たって一流とはいえないからだ。それなのに乗せる予定の無かった俺を急遽乗せようとしている、何か在ると思えて仕方なかった。

「類は友を呼ぶって言うけど・・変な形の戦艦には変な人が集まるのかな・・」

 自分はそんな中に含まれたくはないぞと思った。


(つづく)

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(後書き)

 うーん、後半は原作と同じよ流れとなってしまいました。でも、やっとこさ6話目にて本編へ突入です。

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注)新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAXの作品です。
  機動戦艦ナデシコは(c)XEBECの作品です。






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