第四十話 家庭円満
ピンポーン……。 家のチャイムが来客の知らせをする。 もちろんうちへ来たのは仁志と美樹だ。 新居に住んで早、もう何ヶ月が経つだろう。 ともかくあれから無事に結ばれて、こうして帰るべき場所を共にしている。 僕は、とある会社の海外事業部にいてお得意の英語で活躍している。 一方、皐月さんは近くの公民館で、教室を開いている。 互いに得意なことの上にいるわけで、それがさほど苦しいものではなくて、こうして有意義な時間も過ごせる。 あの二人はあれからずっと彼氏・彼女の関係で、一体何時になれば式を挙げることになるのか分からない。 幾度となく、訊いてみるのだけども二人にとっては今のままがいいらしい。 まあ僕にはよく分からないが。 とりあえず、僕と皐月さんの間には指して大きな喧嘩もなかったので、こうしてあの時の関係を維持し続けている。 あれから何度か高校の同窓会はあったものの、三年では皆別々のクラスだったので会うことはなかった。 しかし、相変わらずこの四人の関係はそのままでこうしてたまに美樹や仁志も遊びにやってくる。 この先、何があるかは分からないけれども、今がこうして幸せな毎日であることには変わりない。 |
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あれから数年が経ったというのに育人君はあまり変わっていない。 結局プロポーズだって私からする羽目になった。 まあOKだったんだけど。 もちろん状況が状況だから恥じらいはあるだろうけど、育人君の返答には少々時間がかかったような気もする。 場所は例の砂浜で、去年の夏に花火に行ったその帰りだ。 まあ悪くはない。 人が帰った後、今度は私が育人君を呼び止めてしたわけだけど。 お互いの親同士は元々顔見知りで仲もよかったからそれほど時間がかかったと言うわけでもなかった。 結婚式における仲人は仁志君で、それも無事に済んだ。 新婚旅行なんていうのは英語圏の海外で、育人君はもちろん得意げになって現地の人と会話をしていた。 私はそのうちごく一部しか分からなかったけれども。 私たちはしばらく私の前の家、育人君の家の隣に住んでいて、しばらくお金を蓄えていた。 それから家の住宅地内にある空き地に家を建てて、今の住まいというわけだ。 まあそれほど時間がかかったというわけではなかったのだけども。 ……もちろん、二人だけで建てたというわけではなくてある程度互いの親に仮があるけども。 まあこうしてのんびりと新婚生活を送れるのもあの二人のおかげだと思う。 |
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