第十一話(I) 4人で
それで……昨日のあれで美樹から仁志へと話が渡っているのだろうか。 それに対する恐怖というかそういうものがある。 でもそれがどうなのか真相が知りたいというのか興味もある。 その興味一身(?)で学校へと行く。 朝、同じように新聞を取りにいって皐月さんと会っているのだから、僕も早く行けない事も無い。 それに仁志も美樹も学校に行くのは早いから行ったとしてそんなに暇になるというわけでもないだろう。 でも、早く行ったとしたらもちろん行っている間に皐月さんと会う可能性もある。 そうなると……。 結局再三再四、同じことの繰り返しだ。 ならあえてゆっくりしてたほうが……と思う。 それに、この学校に通い始めてからずっとこの時間だし。 学校への行き道をそんな事を考えながら歩いていると、学校へつく。 教室へ入ると、仁志の机の周りに仁志と美樹、皐月さんが集まっていた。 「おはよ〜育人」 と、挨拶するのは美樹だ。 「おはよう」 「あれ仁志、何かやってるのか?」 仁志と美樹がまるで皐月さんの目から仁志の机を阻むかのように立っているので訊いてみる。 「ああ、ちょっとな」 と、最初に明かしてくれないと多分後どれだけ聞いても答えてくれないので諦める。 「そうか?まあなんでもいいけどな」 僕は自分の席に座ってかばんを片付ける。 仁志が僕の席の後ろに立って相変わらず机の上に何があるのかを隠す。 そこまでして隠したいものとは一体何なのだろうか。 どちらにしても相手は仁志、何も見せてはくれないだろう。 そう考え仕方がないので先生が来るまで待つ。 するとそれを見計らったかのように先生が教室に入ってきた。 いつもの改まった話し方で会を始める。 そして会も終わり昼休みまでの日程が終わる。 弁当を広げ食べようとしているところに声をかけられた。 「おい育人」 と、仁志が僕を 「皐月ちゃん、ちょっと」 と、美樹が皐月さんを同時に呼ぶ。 「なんかあった?」 と、僕が仁志に 「えっ、何?」 と皐月さんが美樹に返す。 それがちょうどさっきの仁志と美樹と同じように二人の声が重なる。 僕はわざと皐月さんから顔をそらす。 すると目の前に座っていた人と目が合い、思わず仁志の方に向き直る。 「あのさぁ、次の次の日曜日、二十二日に遊園地に四人で行こうと思うんだけどどう?」 遊園地? 何を唐突なと思いつつ、二十二日に何かあったかと考える。 二十二日はとくに予定は無いか……。 それで四人というと僕と仁志、そして皐月さんと美樹のことだろう。 二人を呼ぶくらいだし。 「私は構わないけど……」 「僕も」 とくに予定が無いので遊園地行きに同意する。 「なら決定ね」 「えっ、でもなんでいきなり遊園地なんかに?」 と皐月さんが抗議する。 僕も別に水族館でも……とも思う。 「別に良いじゃない」 「今わざわざ、しかも遊園地に行くって何かあった?」 たぶん二人がこうして持ちかけるというのは昨日の美樹のことだろう。 それで仁志にそれを話して、朝遊園地行きを計画してた。 そうすれば辻褄が合う。 「いや別にないけどよ。たまには遊園地に行くのもいいかと思ってさ」 たま……というよりどうみても計っている。 「えっ……みんなで行くなら私も行くけど」 「なら、時間は何時が良いんだ?」 時間……二十二日は一日中暇だから特に何かあるというわけでもない。 「僕はいつでも」 「私も……」 「なら朝の八時半に駅でいいか?」 「うん」 「構わないけど」 「じゃあ八時半で」 随分早いなぁと思いつつ、同意する。 こうして二十二日に遊園地に行く事が決まったのだった。 でもこのときはこれが朝に期待していた大きな転機だとは思ってもみなかったのだった。 |