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いつもどおりにエヴァの起動準備をしていいく。
シンクロの時に視界が暗くなって目の前にレイがいた。
・・・・・・いや、レイではない、外見では間違いなくレイだけど違う。
レイ(偽)はこちらをじっと見ている。
あ〜〜〜、この子・・・・初号機か。
なんとなく直感がそう告げてきた。
・・・・・・・・よろしく♪
できるだけやさしそうな笑顔を向ける。
そうしたらレイ(偽)の顔が赤くなった・・・気がした。







「マヤさん、確認します。零号機と弐号機はもうやられてるんですね?」

『ええ、だから、がんばってね』

はいはい、あ、みえた。

「きた。」

・・・・・・・・・・・黒い・・・・エヴァ?

「今回の使徒ってエヴァに似てますね。」

あの背中のふくらみは・・・・・エントリープラグ?

『シンジ、それはもうエヴァではない、使徒だ』

ということは、あれはエヴァだったってことか・・・・もしかしたらパイロットも乗っているかも知れない。
そんなことは関係ないか。
使徒はあくまで自然体で歩いている。
それに向かってパレットガンをフルで打ち込む。
例によって例のごとく全然きいていないが避けもしないなんて余裕だな。
使徒が近づいてくる。
ようやく跳躍すれば届く距離、攻撃射程内にまで来た。
僕はパレットガンからプログレッシブナイフを装備を変えている。
接近戦で勝負!!!
使徒がなんの予備動作もなく跳躍した。
でも、構えてる僕を捕らえられるわけは無い!
すばやく後ろへ跳躍してプログレッシグナイフを投げつける。
空中で起動を変えることができない限りこのタイミングでは避けれない!
予想どうり命中したのはいいけど、防御されて今は使徒の左腕に突き刺さっただけだ。
ん?右腕を地面に突き立てた?
地面に使徒の右腕が刺さっている、何か企んでるんだろうけどチャンス!だと思おう。
踏み込もうとしたら使徒が左腕を薙いだ。
それだけならまだしも腕が伸びたから慌てて回避行動をせざるおえなく後ろにさらに跳躍した。
腕が伸びるのか・・・・・やっかいだな。
どうしたものかと戦闘思考でいると着地と同時に地面から右腕が生えてきて首をつかまれた。
ち!策にまんまとはまったってことか!!

『生命維持に支障発生!!パイロット危険です!!』

マヤさん・・・・・報告だけなんだね・・・・きゃああとか大丈夫?とか普通声かけてこない?

『いかん!シンクロ率60%にカットだ!』

生命維持処置か、正しいよ。

『待て!』

父さん・・・・・・・・僕のことをなんだと思ってるの?
僕は白いATフィールドを発生させて使徒の右腕を切り払った。
切り取ってもなお首に食い込んでいる手をとる。

「父さん・・・・・パイロットはあの中にいるの?」

へたに近づけばやられるのを理解したのか使徒も慎重になっているようだ。

『ああ』

「救出策は?」

『必要ない』

「殺しちゃうよ?」

『やれ』

「・・・・・・・了解。マヤさん外部に音声を出させて。聞こえなくても奴のパイロットに伝えておくことがある。」

『・・・・・・・・・いいわよ』

油断なく使徒を睨みつけて対峙しながら大声で叫ぶ。

「おまえを殺すように命令が出た!戦場にでる兵器に乗ることを決めたくらいだから死ぬ覚悟を決めてこなかったってことはないだろう?もし、できてないなら・・・・・・・・覚悟が無いのに戦場にでてくるな!!まあ、忠告も無駄になるけどね。」

少し使徒が震えたように見える。

「マヤさん、ありがとう、もういいよ。」

戦闘開始だ!
時間が引き延ばされる感覚に陥る。
使徒が動く、この感覚になってなお普通に動く使徒、確かにレイとアスカには荷が重いな。
性懲りもなく地面に左腕を突き立てる使徒に向かって一直線に突進して突きを放つ。
顔面に入って派手に吹き飛ぶ。
顔がつぶれるくらいの予想はしていたのに見た目にはダメージを観とめられなかった。
・・・・・・結構てこづるかも・・・・・・・
転んでいる使徒に向かって追い討ちをかける。
人間なら心臓があるところにめがけて正拳突きを繰り出して動きを奪うはずだったのだが・・・・・拳が目標に到達した時には使徒の姿はもう無かった。
残像か!
周りを見回す、くそ!見失った!!
戦闘においてはほとんど致命的だったがすぐに敵の位置を感知できた。
上!!!!
前転するように転がりながら攻撃を避ける。
そんな僕に使徒は追い討ちをかけてきた。
使徒の移動中に姿勢をなんとか攻撃できるだけの体勢に持っていきカウンターを狙う。
左の突きに右半身で使徒の懐にもぐりこんで寸頸の要領で吹き飛ばす!!
何か身体の内側がつぶれる感触に肩から左腕もえぐれ飛んでいった。
勝負はほとんどついた・・・・・・・救出も考えても良いくらいの戦力差がついている。
ガクンとした感覚・・・・・シンクロが切れた?

『信号受信を確認』

『管制システム切り替え完了』

『全神経ダミーシステムに直結完了』

『感情素子22.6%が不鮮明!モニターできません』

『かまわん、システム開放!!攻撃開始!!!!』

父さんの声とともにエヴァが動き始める。

「何?何が起きてる?何をやった!!!」

返事は返ってこない。

「僕が乗って無くても動くなら、最初からそうしとけよ!!」

何か理由があったんだろうけど知ったことではない。
こんな機体に乗ってるのに自分の意思じゃ動かずに戦闘をする・・・・・不安でしょうがない。
エヴァが使徒に襲い掛かる・・・・・が、反撃を受けた。
思いっきり蹴られたのだ。
僕の操縦よりもスピードが無いエヴァ。
僕の操縦と同じくらいの速さがある使徒にとってはもう、余裕で反撃できるほどの敵でしかないだろう。
一気に戦況が不利なった。
一方的にやられだした。
相手は右腕の途中から無いし、左腕が無い状態なのに足技のみで圧倒されている。
右足でエヴァは押さえつけられて使徒の口からよだれをたらしてきた。

『右腕パージ!!』

さっき左腕を折られたから使徒と同じ状態だ。
たく・・・・・・・・・仕方ないな。
やあ♪
初号機のレイに笑顔を向ける。
レイは驚いた顔をした・・・・・ようなきがした。

『初号機、信号を拒絶!』

『全てのシステムがロックされていきます』

『全システム、パイロットの制御下へ移行!』

「があああああああああああああああああ!!!!!」

使徒に向かって思いっきり吠えると白い色のATフィールドが嵐となって使徒にぶつかった。
目に見えて使徒が砂のように細かくなって消えていく。
残ったのはATフィールドの範囲にいなかった太ももから下の足だけだった。

「はあはあ、ぐぅううう。」

腕の痛みが口からもれて出る。
くそ、どうして僕が父さんの尻拭いなんかしなきゃいけないんだよ!!

「指揮官ならもっとしっかりしてくれよ!」

僕は文句をぶちまけていた。
もういやだ・・・・・・もう、やつらのいうことは聞かない、そう決心した。
初号機のレイに向かって意思を向ける。
次、勘違いしたら許さないよ。
なんとなくレイ(偽)は恐怖の表情を浮かべたような気がした。








「レイ、お疲れ様。」

「・・・・・シンジ君も・・・・」

「ご飯はそこにおいてあるから、温めて食べて。僕は疲れたから寝るよ。」

僕が起きているときに戻ってきてくれて良かった。
言うことは言ったし、もう寝るか。
自分の部屋に戻ろうとしたけどレイの顔色が異様に悪いことに気づいてしまった。

「何かあった?」

まあ、戦闘に出て行ったんだし疲れていても別におかしくはない。
なら、なぜ気になったのか?
レイはこの問いに完全に動揺した。
レイの反応も意外に思ったがそれ以上に僕のなんとなくの的中率に寒気すら感じる。

「なんでもないわ。」

嘘だと確信できるほどの嘘。
レイは嘘が得意ではないらしい。
だからって僕が嘘が得意というわけでもないけど。
それでも嘘をつくということは知られたくないんだろう・・・・・・レイの気持ちを尊重してやろう。

そう思ってあのあとちゃんと自分の部屋に行って自分の布団に入ったはずだよね????
なぜレイが僕の布団に紛れ込んでいるのかな?
まあ、好都合ではある。
時計を確認する・・・・・・・3時半・・・・・・学校も特にないし・・・・・まあいいか。

(I-ブレイン起動。最適化・・・・・・・・・リミット解除)

ひさしぶりにI-ブレインを起動させた。
変なメッセージが聞こえたけど無視しよう。

(リンク開始)

レイの構造を覗き見するのは久しぶり・・・・・・・・・・・は?
体に適度に張り巡らされた異常反応。
これって麻薬中毒の人の反応じゃないか。
レイって麻薬中毒者なのかな?
・・・・・・・・・とりあえず浄化しておこう。
生命体としてのエラーも今回は見当たらないしそのへんは無視できる。

(情報身体制御起動。情報組み換え開始。情報身体制御成功。情報組み換え率100% )

はや!!
麻薬なんか情報量が少なくて簡単なのかも知れないけど・・・・・・・ちょっと早すぎる気がする。
まあどうでもいいや。
レイの寝顔を見ながら思う。
そう、そんなことどうだって良い

(I-ブレイン終了)

I-ブレインも休ませてあげないと。
・・・・・・・・リミッターが外れたとか聞いてびびっているわけじゃないよ・・・・・
自分に言い訳してどうするんだろう?







う〜〜〜〜ん、今何時?
システムツールブルー、ファイターシステム、フォールドシステム、ともにイエロー。
体の調子をコンピューターのように分析して、今の僕には意味はわからないけど悪くはないというニュアンスだけ心に残る。
それよりも時計・・・・・・・・・・視界がぼやけてよく見えない・・・・・・
視覚の調節をしてピントを合わせる。
起ききったら無意識にできることも起きたての時は意識しないと体は反応してくれない。
11時・・・・・・・・え?
もうすぐお昼・・・・・・朝ご飯抜いちゃった・・・・・・・レイはもう起きてるのかな?
起き上がろうとして腕にオモリがあるのを確認する。
レイ・・・・・まだ寝てたの??
まあ、僕が言えた義理でもないか。
起こさないように気を使って起きあがる。
とりあえず一日に必要な分のカロリーを摂取しとかなきゃいけない。
お腹がすくという感覚が希薄で気を抜くとすぐに食事をすることを忘れてしまう。
この体になってからその傾向がひどくなった気がするのも気のせいじゃないんだろうな。
生物としては絶対どこかおかしいと思うけど、なぜか自分らしいと思えるのだから仕方ない。
ストロベリージャムがある・・・・・・食べないともったいないよね。
よし、食パンを焼いてジャムを塗ってそれでOKということにしよう。
トースターに食パンを入れてご飯はこれねっという意味を込めて食パンが入った袋をテーブルの上に乗せておく。
パンを食べた後、何をするでもなくぼーーーーーっとする。
部屋の中からじゃあ見えるはずのない空に視線をやる。
いつの頃からかこの空じゃないと思った。
空をずっと眺めてる僕・・・・・・・・・・・・・何かに絶望していたと思う。
まだ何か、思い出していないことがあるんだよね。
それとこの体・・・・・・碇シンジの体とは絶対に違う。
たぶんこの体が本当の自分だって気はするんだけど、自信がない。
この体になったことなんてなかったしね。
記憶か・・・・・記憶が戻ったのに記憶喪失気分が抜けないなんてどうかしちゃったのかな?

「シンジ君、おはよう。」

思いっきり不意をつかれた。
体が一瞬だけ硬直する
意識領域が一気に広がりレイの心臓の音はもとより血が流れる音すらも聞こえる。
レイの方を見ると種類の特定はできないけど分子構造すらも見て取れる。
完全に戦闘モードに移行しているようだ。
・・・・・戦闘モード??何が?

「レイ、おはよう。」

こっちの事情はおくびにもださないように挨拶をする。
声も震えてないし表情にも出ていない。
よし、完璧♪

「ご飯作ってないからパン焼いて食べて。」

と、こっちに接近してくる葛城さん以外の人が近づいてくる、そしてチャイムが鳴った。
なんだろう?
この心拍数と血流音・・・・・女性の確立89%ってところかな?
ってか、まだ高性能モードだったんだ。
とっとと感度をさげてっと。

「今でます。」

さっきの感じ・・・・・母さんの可能性80%
ドアを開けると、ほら、母さんだ。

「シンジ?」

母さんが疑わしげに問いかけてくる。

「一応そうだよ。母さん。」

危なかった・・・・抱きつきそうになった。
僕はまだ母親がほしいのかな?






























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