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人間は見たいものをだけをみる習性がある。
だから、これは僕がみたいと思ってみてるんだねきっと。
ただいま僕は野宿をしている。
そしてまわりはとてもにぎやかです。
下半身が無い半透明の人とか首吊り自殺みたいに首に縄をくくりつけているこれまた半透明の人。
そういった人々のほかにもなぜか野生動物とかが集まってとってもにぎやか♪

「って・・・・・・・・・・・・・・・・・これが僕の見たいものかああああああ!!!!!!!!」

僕が呻こうが叫ぼうが全然気にしてくれないとてもとても素敵なかたがた。

「どうでもいいけどさあ、野生動物って火を怖がるんじゃなかったっけ?」

僕のすぐ横で気持ちよさそうに焚き火にあたって寝転んでいる子狐に問いかける。
子狐は全然気にしていないように本当に気持ちよさそうだ。
それにしても幽霊ってほとんど見えないはずのものなのになぜこんなに見えるのかな?

「もう好きにして・・・・・・・・・・・・・」

ぐすん
そんな擬音が聞こえてきそうな感情になってますですはい。
もう、明日には目的地につくって言うのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





これが・・・・・・・・・・・・・・摩周湖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
確かに噂どおり綺麗な水だ。
周りの自然もいい感じだ。
ボーーーーーーと眺める。
何時間かずっとそうしていたけどさすがにあきた。
服を脱いで湖にはいって泳ぐ。
水はいい、僕が意識しなくてもそういう姿だよって教えてくれるから。
僕のあやふやな意識を僕の体が補ってくれる。
僕の体の形を水は教えてくれる。
何か・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・安心する。

「ここでもないんだよね。」

泳ぎ疲れたから火をつけて温まる。
ここは夢で出てきた湖じゃないみたいだ。
あの、クジラみたいなイルカみたいな生き物が泳ぐ湖はどこにあるんだろう?
あれ?こんなところに誰だろう?
なんとなく僕の勘に引っかかる。
人間のようだけど・・・・・・・・・・・・・・・こんなとこまで来る人ってどういう人だろ?
例によって例のごとくネルフの制服姿の人が姿を現す。

「碇シンジ君、使徒が現れたんです。葛城三佐が要請をするといっていました。同行願いませんか?」

なるほど、前のあのCDに記録したことで交わした契約を行使したわけですな。

「はい、いいですよ、でも大変ですね、こんなところまで派遣されて。」

「仕事ですから。」

どうでもいいけど、あなたはなぜ帽子をかぶってらっしゃって僕が殺した人そっくりなのでしょうか?

「どうでもよくないでしょう?」

・・・・・・・・・・・・僕の考えを読みましたか?

「いいえ、声に出てますよ。」

あら失敗。
そんな癖はついていないはずなんだけど・・・・・・・・・・・・・・・・ほら、僕の鼓膜には届いてないし。

「本人さんですか?」

「そうですよ、あなたに殺されたのは私ですよ。」

性格が変わってませんか?

「まあ、それもどうでもいいことですね、何で戻るんです?」

「少しはなれたところにヘリをとめました。それで基地まで行ってそのまま戦闘機で第三東京に戻ってもらいます。」

ふむ、金がかかってるね。

「なかなかの待遇ですね♪」

僕は極上の笑顔を迎えに来た人に向けてあげた。





「碇君、このプリントを綾波さんと惣流さんに届けるのを頼んでもいい?」

結局ネルフに行ったときにはもうかたがついていて僕の出る幕はすでになかった。
二体のエヴァは満身創痍でその修理の調整に付き合ってレイとアスカは学校を休んでいるらしい。

「別にいいよ。」

委員長さんからプリントを受け取る。
でも、なんで僕に頼むのかな?
アスカは僕の隣の部屋だからいいとして・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、考えてもしかたないか。
綾波の家にいくのってずいぶんと久しぶりだなぁ。

「シンジ、ちょっとええか?」

靴を履いてる僕に向かってトウジが声をかけてきた。

「別にいいよ。」

僕の了承を得たトウジは拝むように僕に頼み事をしてきた。

「実はな、ケンスケの奴が好きになったおなごが前の怪物の襲撃んとき死んでもうてな、エヴァの話したってくれへんか?ケンスケ、そういうのすきやからな。」

「本人は落ち込んでるの?」

「本気やったんや!落ち込むにきまっとるやろ!」

まあ、それもそうか。
それにしてもそんなにテンション高くするほどのことかな?

「いいよ、いつどこでするの?」

「ワシん家や、そこでお茶でも飲みながらかたってくれや。」

そういってぼうっとしているケンスケに声をかけに行くトウジ。
僕的にはそっとしていてほしいときってあると思うけどね。
結局エヴァの話題なんてあまり無い僕はトウジの家に着く前にネタが尽きてしまった。
だいたいケンスケのほうが知っている状況なんだからしょうがないよね。
トウジの家についてから程なくしてケンスケが帰ってしまった。
トウジ君の企み大失敗♪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わざとじゃないですよ?

「それじゃあ、僕も帰るよ。」

「悪かったな、頼んでこの結果や。」

「トウジのせいじゃないよ、一人になりたいときもあるさ。」

僕だったら嫌だしね。
そっとしてあげるほうがいいと思うけどね。
そろそろレイの家に行かないと夜遅くなってしまう。

「また明日ね。」

そのまま部屋をでて玄関で靴を履いていたら誰かが入ってきた。

「ただいまぁ〜〜」

小学生かな?それくらいの女の子。

「お邪魔しました。」

ニッコリと笑って挨拶をして出て行く。
女の子がものすごい顔をしたけど無視することにした。
それほど驚くって死んだ誰かに似ていたとかかなにかかな?
そんなことは微塵も気にならなくなったところでレイの家に行かなくちゃ〜〜〜〜。





相変わらず質素なところだね。
あ、チャイムが壊れてる・・・・・・・・・・・・・・・・どうしようかな?
郵便受けに入れても気づかないだろうしね。
あ、開いてる・・・・・・・・・・・・・・・施錠くらいしようよ。
とりあえず入るのはまずいよね?

「レイ!いたら返事しましょうね!」

ドンドンとドアを叩きながらレイを呼ぶ。

「何?」

ドアが開いてレイが出てきた。
うわぁ〜〜〜〜〜、眠そう。

「ごめん、寝てた?」

「夕べ、起動実験徹夜だったから。」

「お疲れ様、これ、プリントたまってるから届けてってさ。ごめんね、睡眠の邪魔しちゃって。」

任務完了しました。
睡眠の邪魔しちゃったのは計算外だけどね。

「少しあがってけば。」

帰ろうとした僕になんとなくあせったようにそんな言葉をかけるレイ。
ビックリしている僕にレイはさらに言葉を重ねる。

「上がっていかないの?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ものすごく上がっていってほしそうな顔ですな。
まあ、この顔は物ほしそうな顔って感じかな?

「うん、お邪魔します。」

僕がそう答えると目に見えて明るい表情になる。

「お茶入れるわね。」

レイの部屋に入るのは二回目だね。
一回目は殺風景な部屋だったのにだいぶ家具とかが増えて・・・・・・・って!この配置って僕の部屋にとても似ているんだけど?

「どうぞ。」

「え?」

レイがお茶を入れて出してくれた。
冷蔵庫にでも入ってたのかな?
お湯を沸かしたりしてたらこんなに早く入れれないからね。

「ありがとう。」

ズズっ
ん〜〜〜〜〜〜〜まずい♪
さては僕の部屋にいたときから今日まで入れてなかったな。
明らかに腕が落ちてますよレイさん。

「苦い・・・・・」

レイも苦い顔をして感想を言う。

「はははは、ねえ?この部屋って僕の部屋を真似したの?」

レイはちょっとうつむき加減に頷いた。

「何で?」

「碇君の部屋・・・・・・・・・・・暖かかった。」

「暖かかったんだ。で、部屋を改装して暖かくなった?」

「いえ、変わらないわ。」

ふ〜〜〜〜〜ん、そんなものかな?

「暖かいのは好き?」

うつむきの角度が増して頷く、良く見てないとわからないって。

「なら、家に来る?」

「え?」

「一緒に住む?家事分担でよければね。」

家事分担してくれれば僕も楽だしメリットかなりあるんだよね。

「待ってて。」

考える時間がほしいとか?
一応その気はあるんだね。
そう思っている僕を無視し、レイは前に買ってあげた鞄に衣類を入れ始めた。

「えっとぉ〜〜〜〜〜。」

思考がしばし停止している間にレイは荷物を調え終わったのか僕のそばにきた。

「できたわ、いきましょう。」

ハヤ!
さっきの待っててというのは準備するから待ってってことだったんですか?

「じゃあ、いこっか♪」

レイちゃんゲットでチュウ♪・・・・・・・・違うって。
なんだか、レイを見てるとほうっておけない気分になる。
どこかで確かに感じたことがある感覚におぼれてしまう。
苦しくて・・・・・・・・切なくて・・・・・・・少し安心する。
安息は無いけど、確実に安らぎはある。
この気持ちは・・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・

「碇君。」

いきなりレイに呼ばれて思考が飛んでしまった。

「何?」

「いきすぎ・・・・・・・・」

良く周りを見れば・・・・・・・・・確かにマンションを素通りしそうになっていた。
・・・・・・・・・・・・・いつの間に帰ってきたんだろう?







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