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「はい、例の報酬です。」

CDを加持さんに渡す。
これで借り貸しなしの潔白の身になったね♪

「シンジ君大活躍だったそうじゃないか。」

「興味ないです。それじゃあ。」

「つれないなあ。」

つれなくていいでしょ?本命を連れて行ってくださいよ。

「良い旅を。」

僕は加持さんのその言葉に手を振ることで答えてそのまま学校へ行く。
実はもう遅刻なんだよね。





「資料ないなあ〜〜〜〜〜〜」

地図があるから他はあんまり重要でなく、それはそれでOKなんだけどね。
まあ、考え込んでても仕方ないな。
とりあえず出してきた資料を戻す。
ドンッ   バサバサバサ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しまった。女の子とぶつかってしまった。

「ごめん、大丈夫?」

女の子が落とした本をひろう。

「ごめんなさい・・・・・・」

怯えてますか?って聞きたくなるしゃべり方をする女の子だなあ。
拾った本を差し出す。

「本当にごめんなさい。ぼうっとしてて。」

「拾ってもらったらありがとうって言った方がいいよ。少なくとも僕はそっちのほうが嬉しい。それとぶつかったのは僕のミスでもあるから謝罪はいらないしね。」

眼鏡をかけてて髪の長い女の子か・・・・・・・・・・・気弱そう。

「あの、あなたは・・・・・・・・・・」

僕は?

「僕はここの生徒だけど?」

教師には見えないよね?

「すいません・・・・・・・・・あなたのお名前は?」

ああ、なるほど、それよりなんであやまるかな?

「碇シンジ通称ナマケモノ一応人科に属している突然変異の希少種。」

「え?」

困惑してるねぇ、真面目さんだあ♪

「冗談だよ、気にしないでよ。」

「ごめんなさい、気づかなくて・・・・・・・」

気づいてよ。

「それより、そんなに読むの?」

僕が拾っただけでも4冊・・・・・・・・・・・・

「本が好きなんです。だって、本はいろんなことを教えてくれるから。」

「それを言ったら他人もいろいろなことを教えてくれるよ。」

「えっと・・・・・・」

「人付き合いは苦手みたいだね、無理しなくてもいいと思うし、そのままでもいいと思うよ。」

僕もそろそろ帰るし。

「あの、碇君は本好きなんですか?}

「好きだと思われる。」

「えっと・・・・・・」

「あはは・・・・・・好きだよ。」

「よかった・・・・・・・・・・・」

「なんで?」

「だって同じ趣味の人がいるだけで楽しくなるじゃないですか。」

確かに仲間意識とか芽生えて楽しいかもしれないね。

「でも、知識書は読まないな。」

「冒険物とか読むんですか?」

「まあ、どちらかといえばそっちかな?」

実は口からでたらめというか口から出ていることは意識しないで出ている言葉だったりする。
記憶喪失になってからは本という本は読んでないからね。

「私も読みます。本を読んでると自分が本の中で旅しているような気がして。」

「本を読んでいてそう感じるならそうなんだと思うよ。それから、本の中で旅してるんじゃなく自分の頭、つまり脳の中で旅しているってことで、脳の中のできごとは自分にとって全てが本物だから実際に旅しているのと同じだよ。」

あってる?あってるかな?いいのかな?

「そうなんですか?」

「そうなんだよ。」

妙にきっぱりと言う。
ほんとにそう思ってるの?

「ぼろが出ないうちに帰るね、バイバイ。」

「あ、はい、さようなら。」




自宅に帰って小手を装備して薄手の長袖で小手を隠した軽装備で旅にでた。
とりあえず列車で北に行けるところまで行ってみて、交通手段が無くなったらあるけばいい。
自由気ままの一人旅♪
でも、なぜか狙われる僕・・・・・・・・・・襲ってこられたらどうしよう?
まあ、それもどうでもいいって言えばどうでもいいけど。
新潟県の上のほうでもう電車が無くなってしまった。
ここから先は歩くしかないね。

(身体制御発動、心拍数、疲労度、安定化します)

戦闘はできないけど、長時間動けるというメリットがある魔法を起動する。
こうして歩いてるとわかるけど、復旧してないなあ。
家がぽつぽつしかない・・・・・・・・・・・田舎だってことも復旧して内容に見える理由なのかもしれないな。
しかも深夜だから人っ子一人いないし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして歩いてると本当怪しい人だなあ。








さすがに四日も歩き続けたら疲労がたまってきたな。
身体的にはなんでもないけど、常に疲労を無力化しているI-ブレインがそろそろ疲労でとまりそう。まあ、おかげで本州最北端までこれたからいいけどね。
さて、海を渡りますか。

(光速度、万有引力、プランク定数、取得。自己領域展開。引力係数変動)

いつもは1/3に設定されている重力を1/9に設定しなおして、進行方向に3倍の重力をかけてジャンプする。
重力をかけているといっても加速をさせていないので約27kほどしかでない。
海になんどか落ちかけたけど、重力が少ないから水の抵抗でも充分再ジャンプができたので問題なくわたれた瞬間。

(I-ブレイン強制終了、再起動まで最低12400秒必要)

あ〜〜〜あ、落ちちゃったよ。
まあ、ここまで運んでくれたんだし感謝感謝。
とりあえず夕方まで歩いてやっと宿を発見した。
さすがにI-ブレインの補助もなしでのまずくわずの強行軍はヘタしなくても死ぬからね。
何の問題もなく宿が取れてよかった。
ここで満席ですとかいわれたら最悪だしね。
布団に入ってちょっと時に嫌あ〜〜〜〜〜〜な予感がしたから起き上がってにづくりをする。

「火事です!早く非難してください!!」

予感的中しちゃったよ。
すばやく部屋から出て非難する。
リビングあたりで男一人がぶつぶつ言っている。

「俺は別に無償の奉仕の市民の味方じゃないんだけどね。むしろ人類滅んでほしいくらいだし。毎晩空に向かって小惑星の激突を祈ってるのになかなか願いが叶わなくてさ。」

『一生懸命な娘じゃねえか。俺は好きだね。』

「あれ?未練が出てきた?墓場に帰りたいんじゃなかったっけ?」

男の言葉に小型のラジオが男の言葉を完全に無視した答えを返した。
見たところただのラジオじゃなくて幽霊つきみたいだ。
珍しいものをもってるな。
それより・・・・・・・・・・・・・

「ごめん、隕石もどきをこの前排除しちゃった。あれがちゃんと落ちてたら致命的じゃなくても日本くらいは死んでたかも知れない。」

男はこちらをぽかんとした表情で見た。

「火元は台所みたいだね、ところで台所に何か用なの?手伝おうか?」

「いらない。」

つれない人だね。
まあいいけどさ。
僕が見ているのが嫌そうにしながら台所に入っていく。
ちょっとたってガン!という音がして水が噴出した。
なるほど、水道でも壊して火事を止めようって言うんだね。

「誰か手伝って!」

さっきの火事を伝えていた女の子の声がした。
・・・・・・・・・・・・・・・焼け死ぬ心配はもうしなくていいだろうから・・・・・・・・僕が行くか・・・・・・・・・・
声がした方向へと向かう。

「どうしたの?」

「ここになにかあるみたいなの!大事なもの!でもあかないの!」

なぜか和服を着ている女性が頼んだ結果みたいだね。
これというのは金庫で和服の女性を見ている限りでは鍵は合っているみたいだ。
だから、力任せに引っ張る!
ガキ!という音がして金庫はみごとに開いた。
中には・・・・・・・・・・・・・・・手紙
少女はその手紙を手にとって和服の女の人を見つめた。
この子って幽霊が見えるんだ。
よくみるとなかなかに可愛い。
年のころは12くらいかな?
セミロングくらいの髪の毛で猫ッ毛っていうのか、そんな感じ。
と、僕が女の子を観察してたら女の子が走り出した。
そっか、急ぐよね、家事はまだ広がってるっておもってるんだから。
部屋の外に出ると、炎が広がっていた。
計算外だ。
水道の水程度では鎮火できなかったんだね。

「なんでまだこんなところにいるの?」

さっき台所に入っていった男が女の子に話しかけていた。
お連れさんだったんだ。

「いくぞ。」

そういって女の子を抱えたところで僕が目に入ったようで困ったような表情になった。
たぶん、女の子一人ならともかく僕まで面倒を見れないといあった感じだろう。

「お構いなく。自分のことくらいは自分でできますから。」

そういったら聞き届けたのか走っていく。
僕はさっきの部屋に戻って窓から飛び降りる。
ここは二階だから全然無理することなく着地を成功させることができた。

「はあ、せっかく宿取ったのに・・・・・・・・・・・・・・・」

ちょっと未練がましく宿を見上げてその場を後にする。
警察の事情聴取なんてしゃれにもならないよ。




夜に歩いたせいでもう眠くて眠くてしょうがなかったから、宿を取って寝ることにした。
夜歩いたおかげで隣町までこれたのはいいけど、宿が見つからない。
どこかな?
探していると二階ぐらいの高さで命綱も何もつけづに作業している人がいた。

「気をつけてね。」

下の女の人が心配そうにしている。

「大丈夫だって、これでも先祖はサルだから。」

へぇ〜〜〜〜〜、サルなんだ〜〜〜〜〜〜。

「みんなサルでしょ。」

男の人の言葉に女の人は冷静に返す。
僕は気づかなかったよ。
宿はこの看板を改装していたところだった。
全然気づかずに30分も歩き回ってしまった。






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