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僕のあずかり知らないところで僕を巻き込むくらい大きな何かが動いている。
僕はそれをしらないといけないのか?
僕はそれに対してどうしたらいいんだろう?
でも、はっきりとわかることがある。
それは、自分を取り戻さないといけないということ。
今の僕を壊してでも、昔の僕に戻らなくてはいけない。
霧島マナ、彼女にあってその思いが強くなった。
やっぱり、今の僕は偽者なんだろうか?




「芦ノ湖って意外に大きいんだね。」

「琵琶湖よりは小さいけどね。」

マナと二人で図書室に来ている。
マナと僕とは地図とにらめっこしていた。

「湖みたいな。」

「バスで20分くらいかな?」

夢を見たような気がする。
湖で泳いでいる夢を・・・・・・・そのときから僕は湖が好きになったんだと思う。

「一人で行ってもね・・・・・・・・」

「僕も見たいよ、湖は海よりもなぜか好きだから。」

「今度の日曜日ね晴れなんだって。」

もしかして誘ってるのかな?

「・・・・・・・・・一緒に見に行く?」

「ホント!うれしい!」

「じゃあ、待ち合わせ場所とか調べとくよ。」

「私は二人分のお弁当を作って持っていくね。」

「わかった。」

さて、本屋に行かないといけないかな?




この本かな?
本屋なんてあまりこないからどこになにがあるかわからなくて結構困る。
本当に面倒くさい。
けど、霧島さんには恩があるからこれくらいはしないとね。

「よお、お目当ての雑誌は見つかったかい?」

この声は・・・・・・・・・・・・

「加持さん、こんなところで何してるんですか?」

「こうやって見ると普通の中学二年生だって実感できるわね。」

「赤木さん・・・・・・・デートでもしてたんですか?」

「それは君だろ?」

「とんでもない、僕は赤木さんとデートなんてしませんよ、守備範囲外です。」

守備範囲内もあやふやで確定してないけどね。
あ、赤木さんの額に青い線が入った。

「ここじゃなんだから食事でも付き合わないか?」

「加持さんのおごりですか?」

「おいおい、君のほうが金持ちじゃないか。」

「加持さんのおごりですか?」

「シンジ君なあ。」

「加持さんのおごりですか?」

「・・・・・・しょうがないな、それでいいよ。」

勝った♪

「それでは行きましょうか♪」




「日曜日に芦ノ湖でデートか。」

「素敵じゃない。」

赤木さんもそういうデートをしたいのかな?

「でも、僕はこういうの苦手でして。」

僕はあんまりこういうことをしたことが無いんだとおもう。
記憶をなくてからは初めてのことだしね。

「そんなに硬くなるなよ、たかがデートなんだから。ほらちょうど芦ノ湖の地図もあるし、作戦を立てよう。」

これで監視をしやすくなるわけですね。
まあ、湖の周りを一通り回るだけでいいだろう。

「シンジ君、その女の子のためにエヴァのパイロットになってくれないかしら?」

「誰かのためにっていうのは自分に負担をかけて無理を強いてしまいます。だからお断りします。」

「じゃあ、今までどおりってことね。」

「そういえばマギの中の僕のデータってサードチルドレン扱いになってましたよ、一般人またはネルフの首領の息子とかに書き換えといてください。じゃないと次回は乗りませんから。」

「・・・・・・・・・わかったわ。」

相手の弱みを握っているのは強いね。

「そうそう、加持さんの連絡先を教えておいてくれませんか?困ったことがあったら連絡したいですから。」

「お?いいぞ。」

加持さんの携帯番号ゲット♪

「そろそろ仕事にもどらないと・・・・・・・」

「はい、さようなら。」

はっ!しまった!先に帰られた!おごってもらうはずだったのに!
テーブルの脇には伝票・・・・・・とりあえず出よう・・・・・・・・
会計を済ませて外に出る。
はめられたーーーーーー。
失意の元にふらふら街を歩き回る。
僕としたことが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あ、霧島さんだ・・・・・・
男の子と楽しそうに会話してる・・・・・・・年は同じくらいか?
まあ、いいけどね。
もうかえって寝よ。




「シンジ君待った?」

白のワンピースに白の帽子・・・・・・赤いリボン・・・・・・
すごく似合ってる。
はっきりと可愛い。

「いや、全然待ってないよ。」

時間にして3分くらいかな?

「行こうか。」

「うん♪」

まずは船〜〜〜〜〜♪
お金は僕もちぃ〜〜〜〜〜〜〜〜
当たり前か、僕はなぜかお金もちなんだし。




「結構綺麗な湖だね。」

澄んでいる・・・・・・・いつか、摩周湖にも行きたいな。

「ねえ、マナって呼んで。」

「はいはい、わかったよ。」

苦笑してしまったよ。

「何?駄目?」

「いいよって言ったんだよ・・・・・・マナ。」

「なあに?シンジくん・・・・」

なぜトロ〜〜〜ンとした声になるかな?

「なんでもないよ、マナ。」

「シンジ・・・・・・・好きよ・・・・・・シンジ・・・・・」

不意をつかれてしまった。
たぶんキョトンとした顔になっているだろう。

「ありがとう。」

好意を向けられて嬉しくない人間は少ない、僕も嬉しいほうにはいる人間なんだね。

「私ね、もしかしたら断られるんじゃないかって思ってた。」

デート?それは僕から誘ったようなものなんだけど・・・・・・

「どうして?」

「なんとなく・・・・・・・・」

「なんとなく・・・・・・ね。」

湖が綺麗だな。
なんとなくは強い、僕が湖がすきなのもなんとなく何だし。

「もし、私があなたの敵だとしたらどうする?」

「敵だったら容赦なく倒すよ、でも、敵になれるかどうかって問題がけど。」

「・・・・・・・・もし、私が敵だとしてもシンジ君は私を愛してくれる?」

「僕がマナのことを愛していてマナが敵だったとしたら、まあ、愛していることには違いないだろうね。」

あなたは私が殺します。
わかった、それじゃ僕はそれまで君を守るよ。
愛する少女の決別の言葉にそれでも少年は愛を伝えた。
僕も・・・・・・・・・・ずっと思い続けるのかもしれない。

「シンジ・・・・・好き・・・・・」

考え込んでいた僕にマナの顔が近づいてくる。
唇が触れた瞬間僕の頭の中にある光景が浮かんだ。。
銀色ともとれる白い反射性の高い髪に白い瞳の少女。
いつか必ず出会うことが約束されている運命の人とも呼べる人。
そう、この子と僕はあわなくちゃいけない・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・ありがとう。」

唇を離してお礼を言う。
キスしてくれなかったら思い出せない記憶だったから。
マナは恥ずかしそうに頬を染めている。
そんなに照れることかな?




「なんや、シンジか。」

「霧島さんも一緒?」

トウジもケンスケも何でこんなところまで?
浴衣を着ているということは温泉に入りにきたんだろうけど、遠くないか?

「ええ。」

「シンジ、彼女をこんなところに連れ出してすみにおけんやっちゃな。」

すみにおいてもらえないのはそのせいか?

「すみおいておいてよ。」

「トウジ、邪魔しちゃ悪いよ、行こう。」

「しゃーないな、じゃ。」

さっぱりしてるのかネットリしているのかよくわからない人たちだよね。

「僕たちもそろそろ帰ろうか?」

「もう少しいよ。」

「そう、なら温泉でも入る?」

「うん。」

どこの温泉がいいとかよくわからないので適当に選ぶ。
風呂場にでて気づいた・・・・・ここは・・・・混浴だ。
そういえばマナが赤くなって気がする・・・・・・・・・僕が気づかなかっただけのようだね。
温泉なんだからまずは体を洗う。
シャンプーを付けてあわだてている最中にマナが入ってきたようだ。
チラっとマナの姿を確認する。
タオルくらい巻こうよ、仮にも僕は男だよ。
それにしてもネックレスに赤い光・・・・・僕のお守りだったものをちゃんとつけてるみたいだね。

「シンジ君、背中流そうか?」

「もう自分でやっちゃったよ。」

泡を流してさっさと湯船につかる。

「はあーーーーーーー、いい湯かもーーーーーーー」

かなり年寄りはいっていると思われるけど良いものは良い。
マナも湯船に入ってきた。

「シンジ君、私が転校してきた日に近所の子だっていってたよね?」

僕とマナは背中合わせでお湯につかっている。

「言ったよ。」

ふわああああ、なんだか眠くなってきちゃった。

「それって本当に私なのかな?」

「わからない、苗字が思い出せないからね、ただ、間違いなくマナっていう名前だったよ。」

「その子は幸せそうだった?」

「普通だったと思うよ。」

僕をいじめから守ってくれた女の子、だけど、彼女が引っ越してからいじめは再発した。

「そろそろ出るよ、頭がくらくらしてきた。」

のぼせております。

「うん、じゃあ私もでる。」

そのあと手をつないで僕らは家路についた。





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