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とりあえずレイ達と別れたところまで帰ってこれた。
停電だったために来た道のドアが開きっぱなしで難なく帰れた。
それにしても停電が長すぎないか?
「アスカ!!しっかりしなさい!!!」
葛城さんの声が聞こえてきた。
声大きいよ。
何メートル離れていると思ってるんですか?
「早くちゃんと動かしなさい!!!あああ!!もう!」
そんなに怒ったら老化しちゃいますよ。
ケイジの様子を観察してみる。
初号機が無い・・・・・レイは出撃したみたいだね。
弐号機はある・・・・作戦でここにいるわけではなさそうだけど・・・・・・どうしたんだろ?
「シンジ君?」
げ!ばれた!
オペレーターさん、後ろから来るなんて反則ですよ。
「何してるんですか?」
とりあえずは、質問される前に質問しておこう。
「え?ちょっと・・・・・」
トイレか・・・・・
とりあえず直感でそう解釈することにする。
「そうですか、それではごきげんよう♪」
深々と頭を下げて反転し、すぐさまダッシュ!
「え?シンジ君?」
さっきまでアスカに叫んでいたはずの葛城さんがいつの間にか僕の後ろ・・・僕が反転したから前にいてぶつかってしまった。
葛城さん・・・・僕になにか恨みでもあるんですか?
「シンジ君、何でここにいるのかは知らないけど今使徒に襲われてるの。あなたの力を貸してほしいのよ。」
僕は転んでいるのにあなたは大丈夫なんですね。
「マヤ!何してるの?早くきなさい!」
赤木さんがオペレーターの人を呼ぶ。
そう、マヤっていうんだ・・・・・
「・・・・・穏便には出られなさそうだからいいですよ。報酬はどうします?」
僕の言葉に葛城さんは思案顔になって考えこんだ。
前に僕が言ったこと覚えてたのかな?
「なぜこんなところに来ているのかを聞かないことにするわ。」
「レイとアスカの護衛です。施設使用に伴いネルフ本部への立ち入りは許可されてますから問題ないはずですよ。よって、報酬にはなりません。」
「今は非常時よ。」
「非常時のことの事項なんて聞いてませんし、説明書をくれても無いですよ。」
「・・・・・・・・・2億円と・・・・・ネルフのデータベースのアクセスを許可します。どう?」
は?
「アクセスはいいとして制限は?」
部外者に制限もなしに情報をだしちゃ駄目でしょ。
「マギの中に入っているデータなら何でも見れるわ。ただし、専属のオペレーターに頼んでみてね。」
「マギって何ですか?」
「ネルフのメインコンピューターよ。」
そんなところのデータを見ていいんですか。
「それってまずいんじゃないんですか?」
「使徒を倒さないともっとまずいのよ。」
うわ、むちゃくちゃのような気もするけど圧倒されてる・・・・・・・・・
「いいですよ。交渉成立です。案内の人を付けてください、スーツを着に行きますから。」
「悪いけど、そんな時間は無いのよ。」
緊迫してます?
とりあえず上の制服を脱いで財布を出し葛城さんに差し出す。
「葛城さん、預かっといてください。」
荷物を葛城さんに押し付けたところで赤木さんが声をかけてきた。
「シンジ君、弐号機に乗って。」
あれ?アスカは?
「セカンドは?乗ってたんでしょ?」
「調子が悪いみたいだから降ろすわ。」
「零号機は?」
「ほとんど終わってるんだけどまだ修理中なのよ。」
なるほど、だからレイは初号機で出たのか。
「了解いたしました。」
エントリープラグに歩み寄りハッチを開き中に入る。
「えっとぉ、アスカさん?動かさないんだったら降りて休んだら?」
傍からはっきり見えるくらいに震えているアスカ発見。
「いやあああああああああああああああああああああ!!!!来ないでええええええええ!!!!」
すごい大声・・・・・・いい加減にしなさい。
「それは別にいいけど、だったら自分で外に出てよ。僕はこれからこいつで戦闘行動をしなきゃいけないんだから。」
「いやああ!いやあああ!!来るな!!!悪魔!!!怪物!!!化け物!!!」
我は蒼き風の魔神にして悪魔を束ねる魔王。
化け物!!あんたは人間じゃない!!!
わかってる・・・・俺は人間であって人間では無くなっている存在だから・・・・・・・
生物学的には人間だったりするんだよな。
たしかに私はサタン様をお慕しておりますが、堕天はしてないのですよ。
天使?悪魔?違うな、俺はその狭間の人間だ。
俺はお前が好きなんだけど、お前のすることは俺の仕事の妨げになるから・・・・・ごめん。
アスカの言葉に反応して僕の頭の中にいろいろな言葉が浮かんだ。
どんな意味があるの?
「はいはい、悪魔でも怪物でもいいけど、とりあえず出てってくれないかな?」
僕はアスカの腕を掴んだ。
そしたらアスカは過剰に反応した。
「いやああああああ!!殺さないでえええええ!!!」
僕の敵になりさえしなければ殺さないよ。
力を入れるとアスカは声を出さなくなった。
『どうしたの?アスカが出てこないようだけど・・・』
赤木さんが通信してきた。
「錯乱しているようです。外に出すのはちょっと苦労しそうですね。このまま出撃しますいいですね?」
暴れているアスカを横目に報告する。
『・・・・・それで動かせるならいいけどね。』
「では動かします、作業員の人の非難をお願いします。」
暴れるアスカを無理やりどかして操縦席につく。
(リンク開始)
「固定してるのは無理やりどかすんですよね?」
『そうよ。』
エヴァを操り固定をはずす。
『すごい、本当に動かしてる。』
ちょっと待て、弐号機に乗れって行ったのは赤木さんですよ。
「・・・・・あの、どこから外に出るのかという指示と今回の敵の情報をお願いします。」
横目でアスカを見る。
ガタガタと小さく丸まって震えている。
『あ、そうね、ごめんなさい。左手にあるパレットガンを持ってそこの出口から出て。』
赤木さんが指し示すほうには出口というよりも穴があった。
パレットガンを持って指示に従いそこから外に・・・・・・出れないじゃん。
そのまま通路みたいなところを四つんばいになって進む。
『今回の使徒は溶解液を出すみたいなの。それに溶かされないように注意して、ごめんなさい、これ以上の情報は無いの。』
弱点もわからないのか。
「了解しました。」
『それと内部電源しかないから早く撃破してね。』
大丈夫、気づいてますよ。
「敵と遭遇する前に電源が切れたりしたらお笑いですね。」
・・・・・・・・・・自分で言っていて洒落になっていないことに気づいてしまった。
『そこは大丈夫、レイはちゃんと電源を残して遭遇しているから。』
とりあえずはその辺は安心か、その気になれば身体能力制御をぎりぎりまであげて倒せばいいし。
それにしてもアスカはあいかわらず震えている。
「アスカ。」
呼ぶとビクっと体がはねてさらに震えが大きくなった。
「お話しするから聞いてて・・・・・あるところに平凡な少年がいました。」
アスカの反応は変わらない。
「その少年はいつも一人でした。印象が薄く、クラスメートにも名前を知らない人が出るくらいに人との関わりが苦手で、いじめられても味方は一人もいません。」
彼女と出会って変わった少年の話。
「そんなある日、少年は戦闘に巻き込まれてロボットに乗ってしまいました。少年は操縦の仕方を知らないはずなのに敵を撃破します。それをきっかけに少年はロボットに乗り続けました。」
ちゃんと聞いてるかな?
「最初は本気で嫌がっていた少年は最終的には自分の意志で乗ろうと決めます。そんな少年にロボットは問いかけます。なぜ乗るの?降りようと思えば何度もそのチャンスはあったでしょう?っと、少年は答えます。ずっと一人ぼっちだった。自分が消えても誰も気づかない、自分が死んでも誰も悲しまない、僕はいらない存在なんだ、でも、ここには自分を必要としてくれる君がいて、よくわからない命令する人たちがいて、ほんとによくわからないけど、自分を必要としてくれるならそのために生きるのもいい。」
アスカが僕を見ていた。
僕はアスカの見つめ返して言う。
「君は何のために戦うの?君のしたいことって何?君の生きる意味って何?君には何か守りたいものはある?」
ん?光?
とりあえずアスカのことは意識の外に出す。
「縦穴に出たみたいです。」
何かどろどろしているものが壁についてる?
これが溶解液かな。
『その上に使徒がいるわ。』
顔だけ出して距離を確認する。
危なかった、もう少しで溶解液を食らうとこだった。
それにしても・・・・
「下に初号機らしき物体を発見したんですけど・・・・」
どろどろに溶けてますけど。
『そう、だから早くしないとレイが死んでしまうのよね。』
「はあ、そうですか。」
そういうことは早く言ってよね。
「ATフィールド。」
言葉に出すことによってイメージを組み立てやすくなる。
楯状にして壁を削るようにしてきれいにして足場を確保。
溶解液をATフィールドの盾で防ぎつつ銃口を上に向ける。
ATフィールドの盾を使徒に向かって飛ばしパレットガンで全力射撃。
ATフィールドで使徒の装甲を削れれば攻撃力不足のパレットガンでもダメージを与えられる・・・・と思う。
効果があったのか爆発があり無事倒せたようだ。
残り時間を確認、あと30秒強。
いけるかな?
すぐに自由落下でそこまでいき、初号機を抱いてジャンプ。
溶解液で装甲が溶けたのか少し痛い。
一度のジャンプでは届かなくてまともな足場が無いためATフィールドを足場にしてさらにジャンプ。
脱出成功。
初号機は装甲がほとんどなくなっていて痛々しかった。
初号機からエントリープラグを引き抜く。
弐号機のエントリープラグも出す。
そこで電源がちょうど切れた。
「任務完了・・・・・かもね。」
どうでもいいから、今は寝たい。
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