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人と人との繋がりをみる。
その先にあるものを予見し、変えていく。
世界を維持するために。
世界を守るために。
俺にはその能力を持たされている。
涙を流しながら"よかった、みんなを殺さないですんで"といって俺の腕の中で死んでいった敵。
彼がこの仕事をすればよかったといつも思う。
会うたびにわざと俺に殺される彼に・・・・・・・・・・俺は何ができる?

ひさしぶりの夢はわけがわからなかった。





7kgもある騎士剣で素振りをし始めたから筋肉痛が激しい。
論理回路を発動させたら重さなどはあまり関係ないのだが、普通の状態でもある程度使えないといけない。
トレーニングは欠かせないんだよなあ。

「せんせぇは今日も筋肉痛か?」

そういって突付いてくる。
トウジ!痛いっての!

「やめなさい。」

化け物退治を昨日もしてたから寝不足も重なって体調がすこぶる悪いんだから。

「筋肉痛になるようなことって、何やってんだよ。」

「筋肉トレーニング。」

ケンスケの言葉に答えを返す。

「ところでさ、さっきから進んでないよね?」

自販機に並んでいるんだけど全然進まない。

「何かあったのかな?」

あ、前から誰か来た。

「どうしたの?」

「自販機が動いてないんだ。」

「そうなの?ありがとう。」

自動販売機が壊れたのか?

「しょうがないね、他のところに行こうか。」

それから3個ほど回ったが全部故障中みたいだった。

「何かあるな。」

僕もそう思う。

「何があるの?」

答えが返ってくるわけ無いが聞いてみる。

「そんなのわかんないよ!」

ごもっとも。

「まあしゃあない、水で我慢するしかないの。」

そうだろうね。
教室に戻ろうとするとレイとアスカにばったりと出会った。

「ジュースなら買えないよ。全部壊れてるみたい。」

一応助言しておく。

「違う、これは停電。」

はあ、そうですか。

「そういえば、外の信号にも光がともってないし、大規模な停電だな。」

さっき確認した情報をレイに渡す。
アスカは大人しいな・・・・・なぜ?

「だから、今からネルフに行くのよ。あんたもついてきなさい。」

・・・・・・なんですと?

「なぜ?行くのなら勝手にどうぞ。」

「碇君・・・・ついてきて、お願い・・・・」

レイにお願いされてしまった。

「別にこなくてもいいのよ。」

・・・・・・アスカ、何あせってるの?

「別にいいよ、学校はサボりだね。」

女の子二人の護衛か、騎士になるための第一歩かな?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・僕は騎士になる気なの?




バスに乗ったのは良かったけど交通機関は混乱してて事故に巻き込まれなかったのが不思議な今日この頃です。

「開かないね。」

まあ、電気が通ってないから当たり前か。

「・・・緊急マニュアル・・・・」

レイがボソっと言う。
そんなのあるなら初めから出してよ。

「私、目を通さずにすてちゃったわ。」

アスカ君、それはどうかと思うよ。
レイからマニュアルを受け取り目を通す・・・・却下。

「遠回りが過ぎるね、やっぱりここを通ろう。」

左腕のブレスレットを壁に当てる。

「ちょっと、何する気なの?」

アスカ、ちょっと黙っててよ。

(情報解体発動) 

接触したところから、論理構造をハッキング、消去。
壁が砂みたいに崩れ落ちる。
情報解体の前には金属など紙でできた壁と同じだ。
アスカは真っ青になっている。

「行こうか。」

そう言ってネルフに進入。
次々に邪魔な壁やドアを消して進む。
順調順調♪

体に微妙な違和感を感じてアスカとレイを巻き込んで伏せる。

「キャっ。」

「何すんのよ!」

キン!

銃声だ。
敵みたいな人と鉢合わせになったみたい・・・・・・
二人を誘導して壁の影に隠れる。

「・・・・で、どうすんのよ。」

アスカが真剣な顔をして聞いてくる。
どうするって?僕にたてつく奴は殲滅あるのみ。

「今すぐに投降しろ!命の保障はしてやる!!」

僕は大きな声で敵と思われる存在に警告をする。

「君たちこそ諦めて投降しなさい。」

声からして年は35〜40といったところか・・・・・

「交渉決裂だな!命は大切にしたほうがいいよ!もう遅いけどね!」

暗闇で声を出すのはこちらの位置を知らせるようなものだけど、僕には関係ない。

(予測演算開始)

目に映る原子の動きを計算して人数を割り出す。
4人、戦力が不足すぎるよ。

「二人ともここにいて。」

「ちょっと、シンジ!何を・・・・」

アスカの言葉の続きを待たずに飛び出す。

(光速度、万有引力、プランク定数、取得。自己領域展開)

周りに時間が遅くなる。
4人とも固まっちゃって・・・・・・。
後ろに回って自己領域を解く。

(自己領域終了。身体能力制御発動。運動速度、知覚速度20倍で定義)

4人とも葬り去る。
たぶん自覚できないまま死んだんじゃないかな?

(身体能力制御終了)

「二人とも!もうでてきていいよ!」

二人がこちらに来る前にしたいから武器を徴発しておく。
残弾確認、安全装置の有無。
手際よく確認する。
それにしてもこういう状況に慣れてるな。
ん?
後ろから気配が・・・・・・・一応閉じ込めておくか。

(チューリング起動。ゴーストハック発動)

廊下を構成している物質で大きな手を作り出す。
それで通路を封鎖した。
あと一時間は解けはしない。
爆弾などで吹き飛ばさないと通れはしない。
・・・・・それはいいけど、道がわからない。

「レイ、道はあってる?」

「あってるわ。」

アスカはさっきの死体を見たのか吐きそうになってる。
大丈夫?
レイの道案内の下ちゃんと目標までたどり着いた。

「何か作業音してるね。何かあったのかもしれないね。」

ガラガラやらド〜〜〜ンやらうるさい。

「ここまで来たらもういいよね。じゃあ僕はもう帰るよ。」

ネルフの人に見つかったら何かとうるさそうだしね。
アスカはこの会話を聞いてないみたい。
レイはコクンと頷いてアスカを誘導しながら音のするほうへ歩いていった。

「ここで何しているのかな?」

はう!見つかった!

「別に何も・・・・・」

そういって振り返る。
帽子をかぶったネルフ職員さんだ。

「そう?迷ったのか?」

そういうわけでも・・・・・・あるかな。

「そういわなくも無いかな?」

僕はそういってあからさまに目線を反らす。

「ははは、そうとしか言わないよ。案内しようか?」

よし!勘違いさせることに成功♪

「・・・・お願いします。」

ペコリと頭を下げる。

「ついておいで。」

そういって振り向いて歩き始める。
僕は大人しくついていく。
何か下へ下へといっているような気もしないでもないけど・・・・あってるの?
それから黙々と歩き続ける。




男は大きな扉の前で立ち止まった。

「君に見せたいものがあるんだ。」

いや、早く帰りたいだけでみたくないんですけど。

「見せてくれなくていいですよ。」

「そういわずに見ていってくれよ。」

男の人は力任せに扉を開く。
扉が開いていきその先には白い巨人がいた。

「どうだい?感想なんかあるかな?」

「感想?・・・・・・白い巨人、キリスト風味かな?」

キリストのように両手に杭を打ち込まれている。

「これは最初の人類・・・リリスだ。」

あれ?

「リリスって確か人間から天使になったんじゃなかたっけ?それに最初の人類はアダムでしょ?」

キリスト教では確かそんな話だったような・・・・・・・

「そういわれているだけだ。誰もそんなことを確認したわけじゃないからな。」

ふむ、光と一緒だね。
理論とかはあるけど、実際に観測ができるわけじゃないから結局実証されていない机上の空論を真実としている。
音とかなら観測できるのにね。

「で?これを僕に見せて何をしたいんですか?」

しばしの沈黙。
男の人は僕を伺うように観察している。

「エヴァはどうやって動かすんだ?」

何?そんなことを知りたいの?

「エヴァの構造は知りませんけど、精神の体を頭の中で作ってその体を動かす・・・・そんな感じですね。」

説明はむずかしいんだよね。

「・・・・・・・君がネルフに所属していないのは知っている。そこで相談なんだが・・・・・俺たちの組織に入らないか?」

俺たちの組織?

「お誘いありがとうございます。でも、僕は何かに縛られるのは嫌なのでお断りします。」

「ネルフに義理立てしてもしかたがないだろう?」

「同感です、ちなみに僕が義理立てするような人間だとお思いですか?」

静かな沈黙。
この人、思考が停止したな。

「そ、そうか・・・・・残念だ。」

そういって男は僕に銃口を向けた。

(身体能力制御発動。運動速度、知覚速度20倍で定義)

射線から体をずらして駆け寄る。
銃を叩いて当身を入れる。

(身体能力制御終了)

ガンっ
銃と指が天井に当たったようだ。
男の人自体はそのまま真っ直ぐに飛んでいって壁にぶつかり肉片になった。

「結局、あなたって何者だったんですか?」

それはいいとして、どうやって上に帰ろう?





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