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エヴァが地上に出たが使徒が見当たらない。
「使徒はどこですか?」
姿が見えないと苦戦しますよ。
『100mほど離れてるわ。ビルの向こう側よ。目の前というのはさすがに今回の使徒にはやばすぎるから。』
前は正体不明な奴なのに目の前に出してたよね?
少しは進歩してるのかな?
・・・・・いや、”今回は”って言ったよね?
「そんなにセカンドさんの状態はヤバイんですか?」
そんなに警戒するほどアスカはひどい状況なのかな?
『まだ目を覚ましてないの。だからあなたを失うわけにはいかないから慎重なのよ。』
・・・・・・・・ほんとに?それにしては扱いがひどいようですが・・・・・・
『でも、なんでアスカのことをセカンドって呼ぶの?』
ビルの向こうの様子をうかがう。
・・・・・・・半漁人?
それは鮫に二つに分かれる特殊な使徒の腕と足を持っていた。
ついでに口にあるのは確からしく外からはコアが確認できない。
「セカンドさんがサードって呼ぶから僕もそっちのほうがいいかな?っと思いまして。」
戦意が抜けていく気がする。
こんなモノにアスカはやられたの?
でも、なんとなく納得している僕もいる。
「それよりも使徒を確認しました。戦闘に入りますか?」
『光には気をつけてね。あとは自由に戦って。』
つまりは倒し方はまだわからないんだね。
なら、力押しで倒すしかないな。
「了解、殲滅に入ります。」
(身体能力制御発動。運動速度2倍、知覚速度3倍で定義。ラプラス起動)
すぐに突っ込む。
口の部分にボディーブローの要領で殴りつける。
見事に貫通しなにやら液体を使徒が撒き散らしている。
だけど倒せていないのでコアをはずしてしまったようだった。
使徒は腕に貫通されているにもかかわらず二つに分離した。
厄介な・・・・・・・
とっさに真後ろに飛んで使徒の攻撃をよける。
知覚速度を上げれば簡単に倒せるかな?
でも、初号機はついてこれるか?
今は一か八かの賭けをする場面じゃないし苦戦しても勝てるだろうしね。
そのあとのしばらく戦闘は僕が圧倒していたのだけど、二つの使徒が近寄らないために同時にコアをつぶすことができなくて実状は互角だった。
(前方に攻撃反応感知)
え?
いきなり二体同時にビームを撃ってきたのをどうにかかわす。
ATフィールドで二体とも吹き飛ばし間合いを取り仕切りなおす。
どうやって倒す?
今のところ有効と思える攻撃は思いつかない。
そう思っていたら使徒は一体に戻った。
チャンス!って!
突っ込もうとしたのを無理やり横に飛んでビルの陰に隠れる。
使徒が光を出したのだ。
何が起こるかわからないから避けるしかない。
これでかわせるともわからなかったけど一応大丈夫のようだ。
光り終わったようなので飛び出す。
使徒が変化していた。
光は変身のときに出るのか。
形が定まらない非常に変な物体。
まあ、いいけどさあ。
とりあえずATフィールドで地面にたたきつけるために跳躍し、使徒の上空に移動した。
そこでまた光った。
これは原型で戦闘形態に変異するのか?
(処理落ち発生。リンク、ラプラス、身体能力制御、強制終了)
な・・・に・・・・・
何かが中に入ってくる。
心を強引に見ようとしているようだ。
『シンジ君!大丈夫?』
・・・あ・・・・れ・・・・?・・・・だ・・・・れ・・・・?
心が奪われていくような・・・・・・
「ここは?」
前面モニターというのかそこから見える景色に長方形にムチがはえている物体が浮遊している。
俺は父親から手紙に呼び出されて会いに行く途中だったのに・・・・何が起こっている?
『シンジ君!しっかりしなさい!』
モニターに見知らぬ婚期を逃しそうな女が叫んでいる。
「あなた誰?」
『シンジ君?私がわからないの?』
見覚えがあるような気がするがきっぱりとわからない。
『記憶喪失?記憶を取るとでもいうの?』
状況がさっぱり飲み込めない。
何か、浮遊物体が光を集めだしている。
『シンジ君!!!とりあえずそこから逃げて!!!!』
逃げる・・・・?
あたりを見渡して出口をさがす。
あ、あった、でも開かない。
「開きません。」
『そうじゃなくてエヴァを動かして逃げるの!』
『駄目です!もう間に合いません!!!』
間に合わない?
謎の物体は光を集め終わって撃ち出そうとしていた。
敵か?
「盾よ。」
自分の前に精神世界から干渉した壁を作り出す。
すると俺が腕を上げるのと呼応して青紫の腕が見えた。
ロボットに乗っていてそれは精神体の動きに反応するみたいだな。
俺の防御術法を真似るようにこのロボットもオレンジの光で盾を作る。
謎の物体の出した光は完全にオレンジの光の盾に防がれている。
自分の力を使わなくても法術を使えるのか・・・・便利だな。
ん?
何か感覚が変だ。
原因は・・・・・・・・・
自己分析に入る。
・・・・I-ブレインが起動してる・・・・・・ふ、反則だな。
ものすごく性能の悪いが、一応外部デバイスもあるみたいだ。
それと敵の波動、覚えがある。"奴"の下僕だ。つまりは俺の敵。
(リンク開始)
精神が暗転してウィンドウを眺めこのロボットの情報を得る。
ロボットというより生命体のようだ。
どこかの世界の魔神と同じようなものだろう。
実際どこかの堕天使の力もちょっとだけ流れてきているようだし。
だが、人が取り込まれているようだ。
この人を介して意思をこの物体に伝えているのか?
でも、余計なもの以外の何者でもないな。
その取り込まれている人を無視して直接この生物兵器とつなぐ。
精神を現実に戻す。
後ろに跳躍する・・・・うまくいった、盾も一緒に動く。
これで感覚はつかんだ。
(光速度、万有引力、プランク定数、取得。90ナノセコンド、範囲50m、1Gで定義、自己領域展開)
通常世界と切り離された空間を作りだす。
自分の都合のいい世界を自由に作れるから非常に便利だ。
正面がわからないけどとりあえず今いるところの反対側に移動しビーム系のイメージを組み立てる。
(自己領域終了。設定を初期化)
設定を初期化しないと90ナノセコンドと50mそして重力の1Gがそのままになるからいちいち戻さないといけない。
こんなロボットを使うよりも生身で戦ったほうが楽なんだが。
俺の世界と周りの世界の時間軸が重なり合う。
「くらって死ね。」
盾を構成していたオレンジの光がオレンジの光の筋になり謎の物体を飲み込み空に消えていった。
もう攻撃してくるものは無いようだ。
「終わりか?」
ん?何か流れ込んでくる。
これは・・・・・この町に来てからの記憶のようだ。
意識が・・・・そうか・・・これは・・・・・・・・
「あれ?使徒は?」
『ATフィールドによる電波障害消えました!』
『目標完全にロスト!殲滅されたものと思われます!』
『大丈夫?シンジ君?聞こえてる?』
なになになに??
状況が全く理解できない。
「聞こえています。使徒は倒せたんですか?」
『そうよ。あなたが倒したの。覚えてない?』
全く覚えてません。
「全然・・・・倒したんですよね?回収をお願いできますか?」
目的を果たしたならもういいよね?
『わかったわ。ちょっと待ってて。』
数分で指示が来てちゃんと無事回収終了。
今回はもしかしてやばかったのかな?
あ、赤木さんだ。
「シンジ君。今アスカが起きたわ。」
なぜ僕に言う?
もしかしてアスカを温存して僕を出撃させたいだけだったのか?
「そうですか、で?どうなんですか?」
「とりあえず異常は無いみたいよ。あなたは記憶喪失状態にさせられたのにアスカは無事だったようね。」
だからなぜに僕に言うの?
「何が言いたいんですか?」
この人ってずっと僕を観察するような目でみてるんだよね。
「使徒の光を受けたときってどんな感じだった?」
「意識がとられていく感じですかね。」
「そのあとは?」
「覚えてません。気づいたら終わってました。」
もしかしたらこれもエヴァの力かも知れない。
改めて得体の知れないものだと印象づけられた形だ。
「本当に?」
「嘘ついてもしょうがないでしょう。じゃあ、僕はもう帰ります。」
頭を下げてとっととこの場を後にする。
家に前押しかけないでくださいね。
僕は部屋に戻って盛大にため息を吐いた。
そう、盗聴器やカメラをはずすといっておいて三個ほど残っているんだよね。
こういうのだから信用を失うんですよ。
ネルフのいい加減さに呆れて呆然としてしまったがふと、思い出した。
そういえばアスカの状態はどうなんだろう?
本当に大丈夫なのかな?
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