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翌日僕は葛城さんの部屋に呼ばれていた。
部屋にはアスカとレイと部屋の主の葛城さんがいた。

「全員そろったみたいね。今回の作戦だけど、二つに分離した使徒はお互いがお互いを補っているの。つまり二身で一体ってことね。倒すには二つの核を全くの同時にたたかないといけないの。アスカとシンジ君とレイの三人にまったく同じ攻撃を繰り出せるように協調、完璧なユニゾンをしてもらうわ。」

補完しあっている・・・・・いい関係だね。

「相手は二人なのに三人で同じ動きをして倒すんですか?」

何気ない疑問だと思う。
他の二人も同じことを思っていることであろう。

「いいえ、時間の問題でエヴァは二体しか修理できないのよ。だからユニゾンできるようにより相性のいい二人を選ぶことにして、その二人のエヴァを直す事にしてるのよ。」

「なら、僕とレイで決まりじゃないですか。アスカは技量が高いけど、ユニゾンには向かないと思いますし。」

この言葉にアスカが反応してしまった。

「使徒を倒すのは私よ!あんたたちはひっこんでなさい!それに零号機は修理の必要はないでしょうが!」

いや、零号機は一番重症だよ。たぶん中破あたりは、いってるんじゃないかな?

「いや、それがね。零号機は一番修理に時間がかかるみたいなのよ。理由は詳しくは聞いてないけど。戦闘をみてる限りではダメージを受けてないはずなんだけどね。」

無理な運動をしたから逝ってしまったんだよね。
初号機だったら圧倒できたのに妙に苦戦してしまったのはそのせいだ。

「それって結局サードが一番の重症ってこと?」

「ま、そういうことね。それはおいといて、とりあえず攻撃パターンをダンスしてるからこれができたら完璧なユニゾンができるわ。」

そういって紙を渡される。
音譜に振り付け・・・・・・・覚えるのだけでもたいへんだなあ。
まあ、とりあえずI-ブレインに覚えさせて・・・・・っと。
二十分後各組み合わせでダンスを終えた。

「アスカは完璧ね、シンジ君もうまいわね、レイもちゃんとできてるし、悩むわねえ。」

葛城さんが悩んでいる。
僕がうまいのはI-ブレインの助力を受けてるからなんだけどね。

「考えるまでも無く私は確定でしょ?三人の中で一番うまいもんね♪」

「そうねぇ。とするとあとはシンジ君かレイのどちらかね。」

うまい下手で決めるの?

「よう!がんばってるか?」

加持さん参上。
ドアを開ける音も気配もわからなかった。
アスカも葛城さんもビックリしている。

「加持さん♪」

「私一人で大丈夫なのに。」

アスカが猫かぶってるし、葛城さんは不満な顔を作っているがかなりうれしそうだ。
ラブ光線が部屋を満たしているような気もしないでもないけど無視することに決定♪

「昨日ぶりですね。差し入れも無いんですか?」

アスカに睨まれてるような・・・・・別にいいけど。
加持さんは全然どうじていないようだ。

「いやあ、悪い悪い。発案者として見学に来ただけだから差し入れを用意してなかった。」

ちっ、使えねえ奴。

「特別期待してなかったからいいんですけどね。」

「加持さん落ち込まないで、碇君は加持さんにやきもちを妬いてるだけなんですよ。」

アスカが猫なで声で見当はずれなことを言う。
過大評価かもしれないけど加持さんはこちらの意図を正確に把握していることだろう。

「それよりも三人の踊りを見せてもらえないかな?」

「それって三人同時ってことですか?」

「いいや、ペアの状態でだ。」

予想どうり踊りを見ている限りではアスカはこの作戦には合わない。
それが葛城さんにはわかっていないようだけど、この人なら?
とりあえずは普通に踊ることにする。
アスカはさすがに完璧に踊りきる。
僕も追従する。
97点、ミスは全部僕だったりもする。

「踊りはいいね。でも、足りないな。」

良く見てる。
僕もアスカも相手のことを気にせずに踊っているが、アスカは自分しか見えてなくて僕は完璧にするのに必死だという違いがある。
I-ブレインの助力を受けているとはいえ、実際に体を動かしている以上誤差が生じる。
完璧に踊る相方に気を使う余力はないのだ。
次にアスカとレイが踊る。
全然あわない。
98点・・・・・・あってないけど二人ともダンスはできているから点数はでるんだよね。

「この組み合わせは駄目だな。」

「なんでよ?」

葛城さんは睨みで覆った不思議そうな顔をしている。
アスカは一人で走りすぎなんだよね。

「さて、次で最後だな。」

僕とレイが踊る番になる。
僕はこの組み合わせが一番いいと思っている。
さっき踊ったときよりもレイがあわせてくれる。
僕も気を使うが余計な気を使うと逆に会わなくなるとさっき踊ってみてわかっていたので最小限の気遣いにとどめる。
94点だった。

「ほう、できてるじゃないか。シンジ君とレイちゃんで決まりだな。」

「なんで?加持さん!なんで?私とファーストが踊ったほうが点数は上だったでしょ?」

アスカが加持さんに突っかかる。

「私も教えてほしいわ。なんで踊りが一番良くできてるアスカじゃあ駄目なの?」

葛城さんも加持さんに尋ねる。
この作戦はきっと葛城さんが発案じゃなくて加持さんあたりが発案者だね。

「君が優秀すぎるからだよ。」

その場にいる全員が僕に視線を向ける。
疑問の視線。
加持さんだけはお手並み拝見といった目つきをしている。

「この作戦はあくまで相方とのタイミングを合わせること、僕もレイも君ほど完璧には踊れない。だけど、レイは他人に合わせるということに長けている。だからよりレイのレベルに近い僕の方が相性が良く、完璧な君はこの作戦には向かないんだよ。」

説明を終えて加持さんに視線を向ける。
これであってますよね?
すると加持さんが口を開いた。

「シンジ君の説明は正解だ。アスカ、優秀だからはずされるってこともあるんだよ。」

「アスカの出番もあると思うよ。真打は最初に出ないものだろ?」

するとアスカは戸惑っているようだがしぶしぶといった感じで承諾する。

「そういうことなら仕方ないですよ。」

ブリっ娘してる・・・・・・別にいいんだけどね。
僕はさっさとマットを回収する。

「ちょっと!これから練習するのよ!片付けてどうするの!」

葛城さんは慌てて静止する。

「わかってます。だから僕の部屋でやるんですよ。いつまでもこのゴミの中にいたくはありませんから。」

そうなのだ、いままでゴミの城で相方探しをしていたんだよね。
実は息をするのも辛かったりする。

「まあ、この状態じゃしかたないな。」

加持さんも同意してくれた。

「レイ、いくよ。」

マットを持ち葛城邸を後にする。





「え?レイも一緒にこの部屋で寝るんですか?」

一応僕は男でレイは女ですよね?

「そうよ、これから五日間一緒に生活してもらいます。」

「して、その意図は?」

「二人の息をぴったり合わせるにはお互いのことを良く知ること、もちろん体内時計も合わせといたほうが良い、ということだ。」

加持さんが説明してくれる。

「一緒に寝て、一緒に起きて、一緒に食べて一緒にトレーニングするだけだから深く考えること無いわよ。」

浅く考えてもちょっと問題あると思うのですが?

「深く考えるなって、いくら使徒を倒すためだからって一緒の部屋はまずいんじゃない?」

アスカが自分の意見をのべる。
僕もそう思うけど。

「アスカが住むわけじゃないんだしいいでしょ?それともあなたたちも嫌なの?」

意地悪そうな顔をした葛城さんがそんなことを言う。

「僕は別に嫌じゃないですけどね。」

と、答えてレイの方を見る。

「私も嫌じゃありません。」

と、のたまってくれた。
いや、女の子のほうが否定してくれないと説得力が・・・・・・

「ならいいわね。決まり♪」

もう決定事項のようだ。

「ちょっと待ってください。レイの親御さんの了解はとってるんですか?」

「レイはネルフが保護して育てたから親はわからないの。」

「そうなんですか。了解しました。」

「それじゃあ、もうこんな時間なので解散しようか。」

もう9時過ぎだ。

「そうね。それじゃお邪魔しました♪」

何か引っかかる言い方をして葛城さんは部屋を出た。

「加持さん♪送っていって♪」

「ああ、夜に女の子一人じゃ危ないからな。」

「気をつけて。」

アスカと加持さんを見送る。
レイと二人っきりになってしまった。

「シャワー先に使っていいよ。お湯を入れてもいいし、好きにして。」

「わかったわ。」

お風呂場に消えていくレイを見送ってあと、僕は自分の部屋に行って毛布を取り出す。
今日は布団を用意できなかったからレイには僕のベットで寝てもらうとして、僕はやっぱりソファーかな?
自分の家なのに野宿もどき・・・・・なんだか泣きたくなるな。
お風呂から出たときのためにバスタオルを用意しておくか。
・・・・・・・あ、服どうするんだろ?
明日取りに行くとして、今日はどうやってしのごうかな?
やっぱり僕のを貸すしかないよね。
下着は無しでいてもらうしかないかな?
とりあえずは短パンとシャツを置いておく。
さて、状況整理だ。
明日はレイの家に着替えを取りに行って、宝石屋で銀を頼んでデパートに行って布団を買うっと。
アスカへのフォローはあれでいいだろ、レイとの相性は悪いわけじゃない。
今回の使徒は特性の割には楽に倒せそうだな。
はあ、僕はいったい何者なのかって問いに答えが出ない・・・・・前進していないってことだよね。
I-ブレインはすごく便利なもので、人間の脳をコンピューターにしたようなものらしい。
物質が持っている情報を書き換えることによっていろいろなことができるらしいが、生物は情報量が多く、金属は比較的少ないため、金属を変化させることのほうが楽なのだ。
これは相手の情報量が多ければ何もできないってことだ。
それはいい、問題はいつ僕はそんなものを埋め込まれたってことだ。
最高傑作とは何のことか。
夢の続きはもう見ていない。

ガラ

あ、レイが出てきたみたい・・・・・・いぃ!

「服ぐらい着ろよ。置いといたろ?」

「私に用意してくれてたの?」

裸で男の前に出て恥ずかしくないのか?
男として見られていないのかもしれないね。
僕としてはどっちでもいいけどね。

「そうだよ。服着てきなさい。」

素直に脱衣所にいって服をしてきた。

「そこの部屋のベットを使ってね、先寝てもいいよ。」

そういって僕はお風呂場に向かう。
レイに僕のベットを貸したから僕は居間でごろ寝しようか。
ちょっと先が思いやられる。





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