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『先の戦闘によって第三新東京市の迎撃システムは大きなダメージを受け、現在までの復旧率は五十パーセント、実戦における稼働率はまだゼロと言っていいわ。』
リニアラインに沿って目的地まで向かっている最中に説明を受けている。
『零号機ならびに弐号機は、目標に対し近接攻撃。初号機は後ろでサポートいい?』
僕とあのコで接近攻撃でレイは援護か。
僕が剣であのコが薙刀でレイはパレットガン・・・・まあ、こんなものだろう。
『あ〜あ、日本でのデビュー戦だってのに、どうしてわたし一人に任せてくれないの?』
『初号機および弐号機、R26リニアラインよりリフトオフ!』
エヴァがリフトオフされ立ち上がる。
電源確保っと。
『アンビリカルケーブル接続完了!送電開始!』
『三人がかりなんてやだな、趣味じゃない。』
『わたし達は選ぶ余裕なんて無いのよ、生き残るための手段をね。』
『サードもなによ!乗らないなんて言っておいて結局乗ってるじゃない。』
ごもっともです。言い返せない。
「自己の生命よりも魅力的な報酬に乗せられたのとお願いされたから・・・・・だね。邪魔はしないから気にしないで。あくまで君が主役だから。」
『もちろんよ!』
沖のほうで水柱が上がった。
「来たみたいだね。」
『攻撃開始!』
『じゃ、あたしから行くわ、援護してね!サードはその場に待機!』
「レイの射線を塞がないようにね。」
『うっさいわね!』
うまく動いて射線をあけたまま突っ込んでいく弐号機。
いい動きをしている。
『たああああああ!!!!」
使徒が真っ二つに引き裂かれた。
『おみごと!ナイスよアスカ!』
アスカって名前なんだ・・・・・・
「さすがだね。」
『当然♪どうってことない敵でしたわよ。』
『駄目。まだ動いてる。』
レイの声に反応して使徒に目をやる。
・・・・・二匹に増えた!
『うそおおお!なんてインチキ!』
確かにインチキだ。
アスカが使徒の片割れを切りつけるが傷をつけてもすぐに回復してしまった。
「レイ!援護頼む!」
僕もアスカを援護するために突っ込む。
二対一の状況から一対一の状況にしないとアスカの負担が大きい。
弾丸とともに使徒の懐に入り切り裂く・・・・・が、すぐに回復してしまった。
『コアを狙って!』
『わかってるわ!』
「コアってどこですか!」
尋ねている間にも攻撃の手を緩めない。
『胸の赤い玉よ!』
「はっ!!」
正確にコアを真っ二つにする・・・が、すぐに回復してしまう。
『だめえええ!全然効かない!』
効いていないわけではない。
再生能力が高すぎるのだ。
防御力自体は低いほうだろう。
『やだ!離してよ!』
アスカが捕まったようだ。
かまっている暇はないけどね。
『きゃあああああああああ!!!』
『きゃあ!』
鈍い音、弐号機と初号機がぶつかったようだ。
初号機のほうに投げつけるなんて予想外だ。
僕のほうに向かって投げてくると思って注意してたのに。
レイもそう思って油断したのかもしれないな。
「くそ!」
一人で二匹を相手にしなくてはならなくなった。
腕が伸びてくる避け切れない・・・・・あれ?オレンジの光に攻撃が阻まれたようだ。
・・・・・・・そうかこれがATフィールドか!
剣を振ると刀身があたっていないのに使徒の体が引き裂かれる。
再生能力がなければこれでカタがつくな。
使い方は術法とほぼ同じだな。
(身体能力制御発動、運動速度、知覚速度3倍で定義)
3倍のスピードで切りつけてやる。
ATフィールドはちゃんと加速されていても使えるみたいだ。
だが、3倍でも回復能力を超えることはできないようですぐに回復してしまった。
しかもエヴァの体に負担がかかっているらしく体のあちらこちらが痛い。
初号機ではこんなことは無かったんだけど・・・・・・
(身体能力制御発動、運動速度、知覚速度2倍で再定義)
痛みが増してきたから2倍に落とす。
悪化はしなくなったけど倒す方法が見つからないし、零号機は3倍の時のダメージでもうすぐ動けなくなるだろう。
少し後退して視界に二匹とも収まるようにする。
そしてATフィールドで沖のほうへ吹き飛ばす。
(マクスウェル起動。エントロピー制御開始。氷槍起動)
使徒が落ちたであろう場所に巨大な氷が出現する。
氷槍を作るために奪った熱量を氷槍の中に戻してやる。
大規模な水蒸気爆発を起こしてダメージをとる。
爆発の衝撃をやり過ごした後
(身体能力制御終了)
数分待ったが使徒が動いている様子は無かった。
「このままでは倒せません。零号機も戦闘不能ですし、一度退却して体勢を立て直しましょう。」
司令部の進言する。
『そうね、確かに情報を分析して倒せるようにしなきゃいけないわね。』
あっさり通った。
使徒が動いてなかったのが一番の理由なんだろうな。
「では回収お願いします。」
さて、どうやって倒したものか・・・・・・・・・・
さっきの戦闘が映っている映像をみんなで見終わった。
『本日午前十時五十八分二十秒、二体に分離した目標『乙』の攻撃を受け、初号機と弐号機は活動停止、零号機によりどちらも回収、この状況に対するE計画責任者のコメント。』
『無様ね。』
零号機も傷ついてたから回収するのほんと大変だった。
それにしてもコメントまでいれるなんてマメというか暇な人だね。
『零号機の攻撃により『乙』『甲』ともに構成物質の二十二パーセントの破壊に成功』
「やったの?」
「足止めにすぎん、再度進行は時間の問題だ。」
「ま、立て直しの時間が稼げただけでも儲けものですよ。」
「いいか君達、君達の仕事は何だか分かるか」
冬月さんが珍しく声をかけてくる。
「エヴァの操縦。」
「・・・・・・」
アスカとレイはそれぞれ答えを返す。
「学生だから勉強かな?ま、あんまり興味ないけど。」
とりあえずパイロットではないので操縦とか敵意はないので使徒を倒すとかではないよね。
「使徒に勝つことだ、こんな醜態を晒すために、我々ネルフは存在しているわけではない。」
「なんであたしだけ!」
いや、僕にも言ってきてるよ。
除外されてるのはレイだけのようだ。
「もういい!」
冬月さんは悲痛な顔で出ていちゃった。
かわいそうに・・・・・・
レイはチラっとこちらを見て出て行った。
レイ、アイコンタクトはまだできないんだけど・・・・・・
ただいまネルフの食堂で他人の金で食事中。
「もう!なんであたしだけ怒られるのよ?」
「確かに倒した所で気を抜いたのはまずかったな。」
「でもでもでも、二人の援護があればなんとかなりましたよ!」
「アスカが待機と言ったからだろ?それに二つにわかれてからすぐにシンジ君は援護に入ったじゃないか。いい判断しているよ。」
このオジさん誰だろう?
「えっと・・・・」
言いよどんでしまったがこの人には僕の言いたいことがわかったようだ。
「ああ、悪い悪い。俺は加持だ。よろしく。」
加持さんね、それはともかく何でぼくの名前を知ってるんだろう?
「それはいいですけど・・・・・僕って有名なんですか?」
「ああ、エヴァを初の実戦で動かし既に2体の使徒を一人で倒したサードチルドレン。この世界じゃ君は知らない人がいないほど有名だね。」
この世界ってどの世界だろう?
「それより・・・・・・・死相が見えますよ。危険なことはほどほどにしたほうがいいですよ。」
危険な雰囲気を漂わす人だったのでカマをかける。
「それはどういうことかな?」
大当たりだったみたい。
関わらないほうがいいかな。
「別にいいじゃないですかそんなこと。それよりも、今回は相手が悪かっただけだよ。きっと倒し方が特殊なんだよ。普通だったら最初の君の一撃で倒しているはずだし、情報収集を怠った作戦を立てる人のミスだから気にしなくて言いと思うよ。」
まあ、通常の兵器が効かないなら情報収集は無理だとおもうけどね。
「そうよ!普通だったら勝てたのよ。普通じゃないって教えなかったミサトが悪い!」
そう言われている葛城さんは反論すると思いきや、思考中って顔をしはじめた。
「そうね、ごめんなさい。私が悪かったわ。」
ビックリ!肯定しちゃったよ。
「とりあえず初号機を直して倒せるメドがたったら教えてください。最悪倒し方がわからなくても初号機に僕が乗ったら倒せますし。それから報酬は倒せた後で受け取りますので。ごちそうさまでした。」
さっさと食堂をでる。
食堂の中で報酬ってなんのこと?とか言う声が聞こえたような気もしないでもない。
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